いつもとちょっと違った旅行がしたい、旅行を思いっきり満喫したい…そんな方にこの夏おすすめしたいのが、エコツーリズムです。旅行先の文化や自然に触れながら、人も環境も持続可能な方法で旅を楽しむエコツーリズム。日本各地では、その土地ならではの取り組みがスタートしています! エコツーリズムとは? 出典:pixabay.com エコツーリズムとは、英語の「Ecology(生態系)」と「Tourism(旅行)」の2語をかけ合わせた造語。旅行先の自然環境・歴史・文化などを理解し、環境保全や地域の人と観光の共存を目指した持続可能な旅行のことです。 エコツーリズムは、特定の観光地に人が溢れて渋滞や混雑を引き起こすことで地域住民の生活の質を低下させ、時には自然や生態系を傷つけてしまうマスツーリズムやオーバーツーリズムと対極的な意味を持ちます。 旅行者側も、地元ガイドや住民とのコミュニケーションを楽しみ、知識や経験を得ることで、よりその地域を楽しむことができます。エコツーリズムは、新しい旅行の在り方なのです。 おすすめの国内エコツーリズム5選 世界でもオーストラリアや北欧などエコツーリズムを打ち出す国は増えてきており、日本でもその土地でしかできない体験ができる場所が増えてきています。 岩手県釜石市 出典:photo-ac.com 東日本大震災で津波の大きな被害を受けた岩手県釜石市。2021年、津波で廃船となってしまった「観光船はまゆり」を引き継ぎ、釜石湾を一周する「漁船クルーズ」がスタートしました。漁船クルーズは、名前の通り漁船を利用し、ガイドは漁師が行います。漁業について知るきっかけになり、案内する方も自らの仕事を見つめ直すきっかけになっているそう。 また、釜石市は岩手大学と海洋プラスチックゴミ対策を進め、実際に漁船クルーズを利用した観光客に海水を採ってもらい、顕微鏡で海中のマイクロプラスチックを顕微鏡で直接確認することで、環境の変化や要因を学ぶプログラムを開発しています。このような海洋汚染への取り組みが評価され、2018年から5年連続で「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選ばれています。釜石市では、他にも魚や海藻類の収穫から出荷までを体験できる場所もあり、海を感じながら旅行をしたい人にはぴったりの旅先です。 参考:釜石市の「世界の持続可能な観光地TOP100選」5年連続選出及びグリーン・デスティネーション・アワード「シルバー賞」受賞について(報告)|釜石市 神奈川県三浦市 出典:photo-ac.com 神奈川県三浦市では、市がエコツーリズムの推進をしています。豊かな自然環境という土地柄、農業や漁業の体験プログラムが充実しています。その中でも注目したいのが、源流から湾まで、河川流域全体において自然がそのまま残されている小網代(こあじろ)の森です。アカテガニなど希少種を含む約2,000種の生き物たちの多様な生態系があり、ゆっくりと散策を楽しむことができる、首都圏では大変貴重なエリアです。この森は、神奈川県・三浦市・公益財団法人かながわトラストみどり財団・NPO法人小網代の森野外活動調整会議等が連携して保全活動を行っています。動植物の採取が禁止されているなど、生態系を守るためのルールが定められているので、事前に確認しましょう。 参考:小網代の森について|神奈川県ホームページ 第3章 三浦市のみどりづくり施策|三浦市 岐阜県下呂市 出典:photo-ac.com 全国でも有数な温泉街として知られる岐阜県下呂市。御嶽山や飛騨川・馬瀬川など豊かな自然と、神社仏閣やお祭り、伝統芸能などの歴史・文化が、地域の人によって受け継がれています。下呂市では現在、温泉を楽しみながら地元の文化や自然にも目を向けてもらおうと、エコツアーの開催やエコツアーのガイドの育成に力を入れています。森林が多い下呂市では森林保全活動にも力を入れており、2022年に「Present Tree(プレゼントツリー) in 下呂」というプロジェクトをスタートしました。このプロジェクトでは、人工林の跡地に地元で育った広葉樹を植え、天然生林をつくります。広葉樹の植樹によって生き物たちが再び戻れるような森を作っています。 参考:下呂市の自然とあそぼう!~下呂市エコツーリズム~|下呂市ホームページ 兵庫県豊岡市 兵庫県の北部、但馬地方にあり、日本海に面した豊岡市は、日本で最後のコウノトリの生息地として知られています。半世紀以上にわたり、地域をあげて自然再生を目指し、コウノトリの命をつなげる活動が行われており、今では300羽以上のコウノトリが生息。これまでJTBと連携し、コウノトリが生息する湿地の環境保全活動に参加するといったユニークなコウノトリツーリズムを展開してきました。 他にも市内では自転車移動ができるよう電動自転車スポットを設けており、CO2削減にも力を入れています。 参考:コウノトリと共に生きる 豊岡の挑戦|環境庁 福岡県糸島市 福岡市の市街地から約40分の糸島市は、青い海と白い砂浜が映えるフォトジェニックな場所として人気が出ています。糸島市では、過剰に観光客が増えるオーバーツーリズムにより自然破壊を引き起こさず、次世代に糸島の魅力を引き継ぐため、一般社団法人糸島半島エコツーリズム協会を立ち上がりました。アウトドアの体験クラブ「イトリト」では、スポーツサイクルの歩行性能と電動自転車のアシスト機能を兼ねた自転車E-BIKEで海岸線や山道を走るサイクリングや、海岸でヨガなどのエクササイズなど、糸島の人が大切に受け継いできた自然を満喫できるプランを提案しています。 参考:糸島半島をE-BIKEで走ろう!|糸島市 エコツーリズムで忘れられない思い出を! 出典:pexels.com エコツーリズムは地域の文化や歴史に触れることで、自然と人、旅行の在り方を考えるきっかけになります。また、現地の人や大自然との出会いは、旅行をずっと豊かなものにしてくれるでしょう。コロナ対策が緩和された今、旅行を検討する方もいることでしょう。旅行先を考えるなら、今までとは一味違う旅、エコツーリズムを楽しんでみては。
農家に宿泊する休暇の過ごし方が、都市部に住むヨーロッパに人から人気を集めています。動物に触れあいながら自然を身近に感じることは、子どもにとっても大人にとってもかけがえのない体験に。今回は、アグリツーリズムが盛んなイタリアから、トスカーナ地方で体験したファームステイをレポートします。 アグリツーリズムとは? アグリツーリズムとは、「アグリカルチャー(農業)」+「ツーリズム(観光)」を組み合わせた造語で、20世紀後半のヨーロッパで生まれました。ファームステイ、農家民宿、と言うとよりイメージしやすいと思います。それ以前から夏休みなどを田舎で過ごし、自然に触れ、現地の人と交流する習慣があったので、ヨーロッパの人々にとっては真新しい概念ではありませんが、近年は、より体系化。選択肢も増え、アグリツーリズムの滞在先が選べるサイトが充実し、情報も得られやすくなってきています。 イタリア・トスカーナ地方で盛んなアグリツーリズム イタリア全国で盛んなアグリツーリズム(イタリア語では「アグリツーリズモ」)ですが、イタリア中部のトスカーナ地方は、質、量、人気ともに群を抜いています。フィレンツェから少し足を伸ばすと、ワイナリーや丘の上の中世の街が宝石のように点在するトスカーナ。お城を改装したラグジュアリーなホテルなども多い中、ファミリーに最適なのがアグリツーリズモ滞在です。ハイシーズンは6月頃から。ヨーロッパ各地だけでなく、北米などから家族連れが次々に訪れ、自然や農家と触れ合いながら都会では体験できないスローライフを満喫します。一度滞在して気に入ると翌年もリピートするゲストが多く、アグリツーリズモのオーナー一家とは友人や家族のような関係になることも。基本的には、どの滞在も朝食付きで、夕食をとることもでき、子どもをプールで遊ばせている間などに、他のファミリーとも自然に交流が生まれるのもこの滞在の醍醐味です。 ワイン畑を見晴らす「アルパカの丘」でアグリツーリズム体験 トスカーナに住む義叔母が友人から、アルパカと触れ合えるアグリツーリズモがある、と聞いて今回訪れたのが、こちらの「LA VALLE DEGLI ALPACA(ラ・ヴァッレ・ディ・アルパカ)」。アルパカの谷、という意味ですが、実際はワインの産地、キャンティの丘の上にあるアグリツーリズムです。 オーナーが手作りした大きな家は、元々は宿泊客を迎えるために建てられたのですが、年々孫が増え、今はオーナー一家が3世帯で賑やかに暮らしています。4月から9月の半年間、日帰りのゲストを迎えるスタイルをとっています。屋外プールや、広い芝生を貸し切ることも可能。最大の魅力は、何と言ってもアルパカをはじめとした動物たちとの触れ合いです。 私たちが訪れた夕刻は、動物たちが庭から小屋に戻り始めていました。 アルパカは典型的な草食動物で、性格はとても穏やか。後ろの方から私たちをじっと見つめているアルパカもいれば好奇心旺盛で近づいてくるアルパカもいて、色々な反応を観察できます。4年前、夜中にオオカミの群れに襲われて12頭のアルパカが亡くなるという、嘘のような痛ましい出来事もあったそう。 生後2週間の赤ちゃんの可愛さと柔らかさは格別でした。 アルパカに続き、羊と馬も小屋に。これから動物たちは各部屋で食事を済ませ、19時頃寝るそう。放牧されていたアヒルや七面鳥たちも、鳥小屋へと戻ってきます。 ゲストの子どもたちはオーナー一家の子どもや犬とも自然に仲良くなり、暗くなるまで丘を駆け回って遊びます。子どもたちにとって、都会の日常では体験できない自然や動物との触れ合いは、何事にも変えがたい貴重な経験です。 オーガニックのローカルフードもファームステイの楽しみのひとつ 一方大人は、18時ごろから手作りのチーズや生ハム、ブルスケッタ、ワインでアペリティーボタイムがスタート。オーガニックのローカルフードはどれも新鮮で、絶品。 広い空が薄暮に染まるのを、ゆったりと眺めながらいただくワインも格別です。丘の向こうから吹くひんやりとした風に吹かれて、一日が終わります。 心豊かになれる旅の選択肢、アグリツーリズム ミラノやローマなど都会で働く人も、週末やバカンスは仕事モードをオフにして、家族や友人と、自然に囲まれてのんびりと過ごします。イタリアでは引きこもりという話を聞いたことがありません。長い夏休みや冬休みは反強制的に山や海に連れ出されるので、引きこもる暇がないのかもしれません。観光地をめぐる旅行とは一味違ったアグリツーリズム。動物や人々との交流を通して思い出に残る体験をしたい人におすすめしたい旅のスタイルです。 LA VALLE DEGLI ALPACAhttp://www.lavalledeglialpaca.com
ここ数年、旅行先に自然豊かなところが選ばれる傾向にあるそう。さらに、コロナをきっかけに山や川、海といった場所が人気を集めています。そこで今注目したいのが、エコツーリズムという考え方。いつもの旅とは一味違った体験をしたい方におすすめのエコツーリズムについてご紹介します。 エコツーリズムとは 出典:pexels.com 環境省によると、エコツーリズムとは、「自然の営みや人と自然との関わりを対象とし、それらを楽しむとともに、その対象となる地域の自然環境や文化の保全に責任を持つ観光のありかた」とされています。訪れる先の自然や文化を満喫しながら、同時に環境や人に過度な負担をかけない持続可能な旅行、それがエコツーリズムの考え方です。 オーバーツーリズムがもたらす問題 出典:pexels.com 第二次世界大戦後、それまで富裕層だけに許されていた観光が、広く一般の人々の中で急速に広まりました。これをマスツーリズムといいます。そんなマスツーリズムの流れの中、観光客が過度に増えすぎてしまっている地域が増えてきています。観光地にたくさんの人が押し寄せた結果、自然環境の破壊や、遺跡や建築物の破損、混雑や渋滞による地域住民への悪影響などが問題になっているのです。 このオーバーツーリズムは世界中の多くの地域で問題となっていますが、日本でも京都や鎌倉などの人気の観光地は混雑や交通渋滞が常態化し、観光客の数は住民の数の何十倍になっています。残念ながらそのような旅行の傾向は、自然や地域住民に負担がかかってしまい、未来に向けて持続可能なものとは言えません。 国内で広まるエコツーリズム 出典:pexels.com そこで注目されているのがエコツーリズムです。エコツアーには、山でのトレッキングをはじめ、海や川でのカヤッキング、動物や野鳥ウォッチングなどのアクティビティなどがあり、その種類も豊富です。日本では1990年代から活動が活発になり、中でも沖縄県の西表島、鹿児島県の屋久島、長野県の軽井沢町、北海道の知床半島がエコツアーの先駆けとなりました。エコツアーでは、ガイドが土地の自然や文化を熟知しているなど、自然や文化に対して十分配慮されたものになっているので、必要以上に環境に負荷をかけません。山や川、その土地ならではの文化を満喫し、さらに一歩進んで、知識も深める。大切な自然や文化を未来へ残していこうというきっかけにもなり、いつもと少し違った思い出に残る旅が楽しめます。 エコツアーに参加する方法 エコツーリズムの考えに沿ったプログラムのことをエコツアーといいます。ガイド付きのエコツアーなどは、大手旅行会社でもパッケージで販売しています。また、各地でエコツーリズムの協会が活動しているので、協会のサイトをチェックするのもおすすめです。 他にも、最近ではエコホテルが増えてきています。「エシカルホテル」や「サステナブルホテル」とも呼ばれますが、宿泊先にそのようなホテルを選択するのもひとつです。 エコツアーにおすすめの旅先3選 北海道 知床半島 北海道の東端、オホーツク海に面した知床半島は、斜里郡斜里町と目梨郡羅臼町にまたがる半島で、2005年には世界自然遺産に登録されました。地域をあげてエコツーリズムを推進しており、ガイド付きのエコツアーが充実しています。野生動物ウォッチングや流氷ウォーキング、トレッキングなど大自然を全身で感じられるツアーが満載です。 知床斜里町観光協 https://www.shiretoko.asia/list_guide.html知床ガイド協議会 https://www.shiretoko.guide/ 出典:photo-ac.com 徳島 上勝町 徳島市内から車でおよそ1時間のところにある、人口約1500人の上勝町。日本の原風景が残る自然豊かな町で、里山歩きなどの自然体験ができます。また町は、日本で初めてゼロ・ウェイスト(=廃棄物ゼロ)を宣言。現在ではごみの80%がリサイクルされており、町をあげて持続可能な社会に向けた取り組みがなされています。「HOTEL WHY」は、町のウェイストゼロアクションが学べる新しいかたちの宿泊施設。廃材を利用した画期的な建築のホテルに宿泊しながら、暮らすようにサステナブルな町を体験できます。 上勝町ウェブサイト http://www.kamikatsu.jp/HOTEL WHY https://why-kamikatsu.jp/6 出典:photo-ac.com 青森県・秋田県 白神山地 「神々の住む森」と呼ばれる白神山地。1993年に屋久島と並び、日本で初めて世界遺産に登録されました。人の影響を受けていないブナの原生林に、多種多様な動植物が生息・生育しており、貴重な生態系が保たれています。白神山地では、ガイドと巡るエコツアーが充実。ウォーキングをはじめ、季節に合わせた山地ならではのアクティビティが楽しめます。 秋田白神ガイド協会 https://akita-shirakami-guide.jimdofree.com/ 出典:photo-ac.com エコツアーでこれからの旅をもっと豊かに ここ数年見つめなおされている自然との付き合い方、そして旅行の在り方。エコツーリズムの考え方を少しでも旅行にプラスすることで、今までにない感動的な出会いが待っているはずです。ぜひ次の旅行のキーワードにしてみてはいかがでしょうか。
いつもとちょっと違った旅行がしたい、旅行を思いっきり満喫したい…そんな方にこの夏おすすめしたいのが、エコツーリズムです。旅行先の文化や自然に触れながら、人も環境も持続可能な方法で旅を楽しむエコツーリズム。日本各地では、その土地ならではの取り組みがスタートしています! エコツーリズムとは? 出典:pixabay.com エコツーリズムとは、英語の「Ecology(生態系)」と「Tourism(旅行)」の2語をかけ合わせた造語。旅行先の自然環境・歴史・文化などを理解し、環境保全や地域の人と観光の共存を目指した持続可能な旅行のことです。 エコツーリズムは、特定の観光地に人が溢れて渋滞や混雑を引き起こすことで地域住民の生活の質を低下させ、時には自然や生態系を傷つけてしまうマスツーリズムやオーバーツーリズムと対極的な意味を持ちます。 旅行者側も、地元ガイドや住民とのコミュニケーションを楽しみ、知識や経験を得ることで、よりその地域を楽しむことができます。エコツーリズムは、新しい旅行の在り方なのです。 おすすめの国内エコツーリズム5選 世界でもオーストラリアや北欧などエコツーリズムを打ち出す国は増えてきており、日本でもその土地でしかできない体験ができる場所が増えてきています。 岩手県釜石市 出典:photo-ac.com 東日本大震災で津波の大きな被害を受けた岩手県釜石市。2021年、津波で廃船となってしまった「観光船はまゆり」を引き継ぎ、釜石湾を一周する「漁船クルーズ」がスタートしました。漁船クルーズは、名前の通り漁船を利用し、ガイドは漁師が行います。漁業について知るきっかけになり、案内する方も自らの仕事を見つめ直すきっかけになっているそう。 また、釜石市は岩手大学と海洋プラスチックゴミ対策を進め、実際に漁船クルーズを利用した観光客に海水を採ってもらい、顕微鏡で海中のマイクロプラスチックを顕微鏡で直接確認することで、環境の変化や要因を学ぶプログラムを開発しています。このような海洋汚染への取り組みが評価され、2018年から5年連続で「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選ばれています。釜石市では、他にも魚や海藻類の収穫から出荷までを体験できる場所もあり、海を感じながら旅行をしたい人にはぴったりの旅先です。 参考:釜石市の「世界の持続可能な観光地TOP100選」5年連続選出及びグリーン・デスティネーション・アワード「シルバー賞」受賞について(報告)|釜石市 神奈川県三浦市 出典:photo-ac.com 神奈川県三浦市では、市がエコツーリズムの推進をしています。豊かな自然環境という土地柄、農業や漁業の体験プログラムが充実しています。その中でも注目したいのが、源流から湾まで、河川流域全体において自然がそのまま残されている小網代(こあじろ)の森です。アカテガニなど希少種を含む約2,000種の生き物たちの多様な生態系があり、ゆっくりと散策を楽しむことができる、首都圏では大変貴重なエリアです。この森は、神奈川県・三浦市・公益財団法人かながわトラストみどり財団・NPO法人小網代の森野外活動調整会議等が連携して保全活動を行っています。動植物の採取が禁止されているなど、生態系を守るためのルールが定められているので、事前に確認しましょう。 参考:小網代の森について|神奈川県ホームページ 第3章 三浦市のみどりづくり施策|三浦市 岐阜県下呂市 出典:photo-ac.com 全国でも有数な温泉街として知られる岐阜県下呂市。御嶽山や飛騨川・馬瀬川など豊かな自然と、神社仏閣やお祭り、伝統芸能などの歴史・文化が、地域の人によって受け継がれています。下呂市では現在、温泉を楽しみながら地元の文化や自然にも目を向けてもらおうと、エコツアーの開催やエコツアーのガイドの育成に力を入れています。森林が多い下呂市では森林保全活動にも力を入れており、2022年に「Present Tree(プレゼントツリー) in 下呂」というプロジェクトをスタートしました。このプロジェクトでは、人工林の跡地に地元で育った広葉樹を植え、天然生林をつくります。広葉樹の植樹によって生き物たちが再び戻れるような森を作っています。 参考:下呂市の自然とあそぼう!~下呂市エコツーリズム~|下呂市ホームページ 兵庫県豊岡市 兵庫県の北部、但馬地方にあり、日本海に面した豊岡市は、日本で最後のコウノトリの生息地として知られています。半世紀以上にわたり、地域をあげて自然再生を目指し、コウノトリの命をつなげる活動が行われており、今では300羽以上のコウノトリが生息。これまでJTBと連携し、コウノトリが生息する湿地の環境保全活動に参加するといったユニークなコウノトリツーリズムを展開してきました。 他にも市内では自転車移動ができるよう電動自転車スポットを設けており、CO2削減にも力を入れています。 参考:コウノトリと共に生きる 豊岡の挑戦|環境庁 福岡県糸島市 福岡市の市街地から約40分の糸島市は、青い海と白い砂浜が映えるフォトジェニックな場所として人気が出ています。糸島市では、過剰に観光客が増えるオーバーツーリズムにより自然破壊を引き起こさず、次世代に糸島の魅力を引き継ぐため、一般社団法人糸島半島エコツーリズム協会を立ち上がりました。アウトドアの体験クラブ「イトリト」では、スポーツサイクルの歩行性能と電動自転車のアシスト機能を兼ねた自転車E-BIKEで海岸線や山道を走るサイクリングや、海岸でヨガなどのエクササイズなど、糸島の人が大切に受け継いできた自然を満喫できるプランを提案しています。 参考:糸島半島をE-BIKEで走ろう!|糸島市 エコツーリズムで忘れられない思い出を! 出典:pexels.com エコツーリズムは地域の文化や歴史に触れることで、自然と人、旅行の在り方を考えるきっかけになります。また、現地の人や大自然との出会いは、旅行をずっと豊かなものにしてくれるでしょう。コロナ対策が緩和された今、旅行を検討する方もいることでしょう。旅行先を考えるなら、今までとは一味違う旅、エコツーリズムを楽しんでみては。
農家に宿泊する休暇の過ごし方が、都市部に住むヨーロッパに人から人気を集めています。動物に触れあいながら自然を身近に感じることは、子どもにとっても大人にとってもかけがえのない体験に。今回は、アグリツーリズムが盛んなイタリアから、トスカーナ地方で体験したファームステイをレポートします。 アグリツーリズムとは? アグリツーリズムとは、「アグリカルチャー(農業)」+「ツーリズム(観光)」を組み合わせた造語で、20世紀後半のヨーロッパで生まれました。ファームステイ、農家民宿、と言うとよりイメージしやすいと思います。それ以前から夏休みなどを田舎で過ごし、自然に触れ、現地の人と交流する習慣があったので、ヨーロッパの人々にとっては真新しい概念ではありませんが、近年は、より体系化。選択肢も増え、アグリツーリズムの滞在先が選べるサイトが充実し、情報も得られやすくなってきています。 イタリア・トスカーナ地方で盛んなアグリツーリズム イタリア全国で盛んなアグリツーリズム(イタリア語では「アグリツーリズモ」)ですが、イタリア中部のトスカーナ地方は、質、量、人気ともに群を抜いています。フィレンツェから少し足を伸ばすと、ワイナリーや丘の上の中世の街が宝石のように点在するトスカーナ。お城を改装したラグジュアリーなホテルなども多い中、ファミリーに最適なのがアグリツーリズモ滞在です。ハイシーズンは6月頃から。ヨーロッパ各地だけでなく、北米などから家族連れが次々に訪れ、自然や農家と触れ合いながら都会では体験できないスローライフを満喫します。一度滞在して気に入ると翌年もリピートするゲストが多く、アグリツーリズモのオーナー一家とは友人や家族のような関係になることも。基本的には、どの滞在も朝食付きで、夕食をとることもでき、子どもをプールで遊ばせている間などに、他のファミリーとも自然に交流が生まれるのもこの滞在の醍醐味です。 ワイン畑を見晴らす「アルパカの丘」でアグリツーリズム体験 トスカーナに住む義叔母が友人から、アルパカと触れ合えるアグリツーリズモがある、と聞いて今回訪れたのが、こちらの「LA VALLE DEGLI ALPACA(ラ・ヴァッレ・ディ・アルパカ)」。アルパカの谷、という意味ですが、実際はワインの産地、キャンティの丘の上にあるアグリツーリズムです。 オーナーが手作りした大きな家は、元々は宿泊客を迎えるために建てられたのですが、年々孫が増え、今はオーナー一家が3世帯で賑やかに暮らしています。4月から9月の半年間、日帰りのゲストを迎えるスタイルをとっています。屋外プールや、広い芝生を貸し切ることも可能。最大の魅力は、何と言ってもアルパカをはじめとした動物たちとの触れ合いです。 私たちが訪れた夕刻は、動物たちが庭から小屋に戻り始めていました。 アルパカは典型的な草食動物で、性格はとても穏やか。後ろの方から私たちをじっと見つめているアルパカもいれば好奇心旺盛で近づいてくるアルパカもいて、色々な反応を観察できます。4年前、夜中にオオカミの群れに襲われて12頭のアルパカが亡くなるという、嘘のような痛ましい出来事もあったそう。 生後2週間の赤ちゃんの可愛さと柔らかさは格別でした。 アルパカに続き、羊と馬も小屋に。これから動物たちは各部屋で食事を済ませ、19時頃寝るそう。放牧されていたアヒルや七面鳥たちも、鳥小屋へと戻ってきます。 ゲストの子どもたちはオーナー一家の子どもや犬とも自然に仲良くなり、暗くなるまで丘を駆け回って遊びます。子どもたちにとって、都会の日常では体験できない自然や動物との触れ合いは、何事にも変えがたい貴重な経験です。 オーガニックのローカルフードもファームステイの楽しみのひとつ 一方大人は、18時ごろから手作りのチーズや生ハム、ブルスケッタ、ワインでアペリティーボタイムがスタート。オーガニックのローカルフードはどれも新鮮で、絶品。 広い空が薄暮に染まるのを、ゆったりと眺めながらいただくワインも格別です。丘の向こうから吹くひんやりとした風に吹かれて、一日が終わります。 心豊かになれる旅の選択肢、アグリツーリズム ミラノやローマなど都会で働く人も、週末やバカンスは仕事モードをオフにして、家族や友人と、自然に囲まれてのんびりと過ごします。イタリアでは引きこもりという話を聞いたことがありません。長い夏休みや冬休みは反強制的に山や海に連れ出されるので、引きこもる暇がないのかもしれません。観光地をめぐる旅行とは一味違ったアグリツーリズム。動物や人々との交流を通して思い出に残る体験をしたい人におすすめしたい旅のスタイルです。 LA VALLE DEGLI ALPACAhttp://www.lavalledeglialpaca.com
ここ数年、旅行先に自然豊かなところが選ばれる傾向にあるそう。さらに、コロナをきっかけに山や川、海といった場所が人気を集めています。そこで今注目したいのが、エコツーリズムという考え方。いつもの旅とは一味違った体験をしたい方におすすめのエコツーリズムについてご紹介します。 エコツーリズムとは 出典:pexels.com 環境省によると、エコツーリズムとは、「自然の営みや人と自然との関わりを対象とし、それらを楽しむとともに、その対象となる地域の自然環境や文化の保全に責任を持つ観光のありかた」とされています。訪れる先の自然や文化を満喫しながら、同時に環境や人に過度な負担をかけない持続可能な旅行、それがエコツーリズムの考え方です。 オーバーツーリズムがもたらす問題 出典:pexels.com 第二次世界大戦後、それまで富裕層だけに許されていた観光が、広く一般の人々の中で急速に広まりました。これをマスツーリズムといいます。そんなマスツーリズムの流れの中、観光客が過度に増えすぎてしまっている地域が増えてきています。観光地にたくさんの人が押し寄せた結果、自然環境の破壊や、遺跡や建築物の破損、混雑や渋滞による地域住民への悪影響などが問題になっているのです。 このオーバーツーリズムは世界中の多くの地域で問題となっていますが、日本でも京都や鎌倉などの人気の観光地は混雑や交通渋滞が常態化し、観光客の数は住民の数の何十倍になっています。残念ながらそのような旅行の傾向は、自然や地域住民に負担がかかってしまい、未来に向けて持続可能なものとは言えません。 国内で広まるエコツーリズム 出典:pexels.com そこで注目されているのがエコツーリズムです。エコツアーには、山でのトレッキングをはじめ、海や川でのカヤッキング、動物や野鳥ウォッチングなどのアクティビティなどがあり、その種類も豊富です。日本では1990年代から活動が活発になり、中でも沖縄県の西表島、鹿児島県の屋久島、長野県の軽井沢町、北海道の知床半島がエコツアーの先駆けとなりました。エコツアーでは、ガイドが土地の自然や文化を熟知しているなど、自然や文化に対して十分配慮されたものになっているので、必要以上に環境に負荷をかけません。山や川、その土地ならではの文化を満喫し、さらに一歩進んで、知識も深める。大切な自然や文化を未来へ残していこうというきっかけにもなり、いつもと少し違った思い出に残る旅が楽しめます。 エコツアーに参加する方法 エコツーリズムの考えに沿ったプログラムのことをエコツアーといいます。ガイド付きのエコツアーなどは、大手旅行会社でもパッケージで販売しています。また、各地でエコツーリズムの協会が活動しているので、協会のサイトをチェックするのもおすすめです。 他にも、最近ではエコホテルが増えてきています。「エシカルホテル」や「サステナブルホテル」とも呼ばれますが、宿泊先にそのようなホテルを選択するのもひとつです。 エコツアーにおすすめの旅先3選 北海道 知床半島 北海道の東端、オホーツク海に面した知床半島は、斜里郡斜里町と目梨郡羅臼町にまたがる半島で、2005年には世界自然遺産に登録されました。地域をあげてエコツーリズムを推進しており、ガイド付きのエコツアーが充実しています。野生動物ウォッチングや流氷ウォーキング、トレッキングなど大自然を全身で感じられるツアーが満載です。 知床斜里町観光協 https://www.shiretoko.asia/list_guide.html知床ガイド協議会 https://www.shiretoko.guide/ 出典:photo-ac.com 徳島 上勝町 徳島市内から車でおよそ1時間のところにある、人口約1500人の上勝町。日本の原風景が残る自然豊かな町で、里山歩きなどの自然体験ができます。また町は、日本で初めてゼロ・ウェイスト(=廃棄物ゼロ)を宣言。現在ではごみの80%がリサイクルされており、町をあげて持続可能な社会に向けた取り組みがなされています。「HOTEL WHY」は、町のウェイストゼロアクションが学べる新しいかたちの宿泊施設。廃材を利用した画期的な建築のホテルに宿泊しながら、暮らすようにサステナブルな町を体験できます。 上勝町ウェブサイト http://www.kamikatsu.jp/HOTEL WHY https://why-kamikatsu.jp/6 出典:photo-ac.com 青森県・秋田県 白神山地 「神々の住む森」と呼ばれる白神山地。1993年に屋久島と並び、日本で初めて世界遺産に登録されました。人の影響を受けていないブナの原生林に、多種多様な動植物が生息・生育しており、貴重な生態系が保たれています。白神山地では、ガイドと巡るエコツアーが充実。ウォーキングをはじめ、季節に合わせた山地ならではのアクティビティが楽しめます。 秋田白神ガイド協会 https://akita-shirakami-guide.jimdofree.com/ 出典:photo-ac.com エコツアーでこれからの旅をもっと豊かに ここ数年見つめなおされている自然との付き合い方、そして旅行の在り方。エコツーリズムの考え方を少しでも旅行にプラスすることで、今までにない感動的な出会いが待っているはずです。ぜひ次の旅行のキーワードにしてみてはいかがでしょうか。