この夏、注目したい!国内のエコツーリズムな旅先5選

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いつもとちょっと違った旅行がしたい、旅行を思いっきり満喫したい…そんな方にこの夏おすすめしたいのが、エコツーリズムです。旅行先の文化や自然に触れながら、人も環境も持続可能な方法で旅を楽しむエコツーリズム。日本各地では、その土地ならではの取り組みがスタートしています!

エコツーリズムとは?

出典:pixabay.com

エコツーリズムとは、英語の「Ecology(生態系)」と「Tourism(旅行)」の2語をかけ合わせた造語。旅行先の自然環境・歴史・文化などを理解し、環境保全や地域の人と観光の共存を目指した持続可能な旅行のことです。

エコツーリズムは、特定の観光地に人が溢れて渋滞や混雑を引き起こすことで地域住民の生活の質を低下させ、時には自然や生態系を傷つけてしまうマスツーリズムやオーバーツーリズムと対極的な意味を持ちます。

旅行者側も、地元ガイドや住民とのコミュニケーションを楽しみ、知識や経験を得ることで、よりその地域を楽しむことができます。エコツーリズムは、新しい旅行の在り方なのです。

おすすめの国内エコツーリズム5選

世界でもオーストラリアや北欧などエコツーリズムを打ち出す国は増えてきており、日本でもその土地でしかできない体験ができる場所が増えてきています。

岩手県釜石市

出典:photo-ac.com

東日本大震災で津波の大きな被害を受けた岩手県釜石市。2021年、津波で廃船となってしまった「観光船はまゆり」を引き継ぎ、釜石湾を一周する「漁船クルーズ」がスタートしました。漁船クルーズは、名前の通り漁船を利用し、ガイドは漁師が行います。漁業について知るきっかけになり、案内する方も自らの仕事を見つめ直すきっかけになっているそう。

また、釜石市は岩手大学と海洋プラスチックゴミ対策を進め、実際に漁船クルーズを利用した観光客に海水を採ってもらい、顕微鏡で海中のマイクロプラスチックを顕微鏡で直接確認することで、環境の変化や要因を学ぶプログラムを開発しています。このような海洋汚染への取り組みが評価され、2018年から5年連続で「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選ばれています。釜石市では、他にも魚や海藻類の収穫から出荷までを体験できる場所もあり、海を感じながら旅行をしたい人にはぴったりの旅先です。

参考:釜石市の「世界の持続可能な観光地TOP100選」5年連続選出及びグリーン・デスティネーション・アワード「シルバー賞」受賞について(報告)|釜石市

神奈川県三浦市

出典:photo-ac.com

神奈川県三浦市では、市がエコツーリズムの推進をしています。豊かな自然環境という土地柄、農業や漁業の体験プログラムが充実しています。その中でも注目したいのが、源流から湾まで、河川流域全体において自然がそのまま残されている小網代(こあじろ)の森です。アカテガニなど希少種を含む約2,000種の生き物たちの多様な生態系があり、ゆっくりと散策を楽しむことができる、首都圏では大変貴重なエリアです。この森は、神奈川県・三浦市・公益財団法人かながわトラストみどり財団・NPO法人小網代の森野外活動調整会議等が連携して保全活動を行っています。動植物の採取が禁止されているなど、生態系を守るためのルールが定められているので、事前に確認しましょう。

参考:小網代の森について|神奈川県ホームページ
   第3章 三浦市のみどりづくり施策|三浦市

岐阜県下呂市

出典:photo-ac.com

全国でも有数な温泉街として知られる岐阜県下呂市。御嶽山や飛騨川・馬瀬川など豊かな自然と、神社仏閣やお祭り、伝統芸能などの歴史・文化が、地域の人によって受け継がれています。下呂市では現在、温泉を楽しみながら地元の文化や自然にも目を向けてもらおうと、エコツアーの開催やエコツアーのガイドの育成に力を入れています。森林が多い下呂市では森林保全活動にも力を入れており、2022年に「Present Tree(プレゼントツリー) in 下呂」というプロジェクトをスタートしました。このプロジェクトでは、人工林の跡地に地元で育った広葉樹を植え、天然生林をつくります。広葉樹の植樹によって生き物たちが再び戻れるような森を作っています。

参考:下呂市の自然とあそぼう!~下呂市エコツーリズム~|下呂市ホームページ

兵庫県豊岡市

兵庫県の北部、但馬地方にあり、日本海に面した豊岡市は、日本で最後のコウノトリの生息地として知られています。半世紀以上にわたり、地域をあげて自然再生を目指し、コウノトリの命をつなげる活動が行われており、今では300羽以上のコウノトリが生息。これまでJTBと連携し、コウノトリが生息する湿地の環境保全活動に参加するといったユニークなコウノトリツーリズムを展開してきました。

他にも市内では自転車移動ができるよう電動自転車スポットを設けており、CO2削減にも力を入れています。

参考:コウノトリと共に生きる 豊岡の挑戦|環境庁

福岡県糸島市

福岡市の市街地から約40分の糸島市は、青い海と白い砂浜が映えるフォトジェニックな場所として人気が出ています。糸島市では、過剰に観光客が増えるオーバーツーリズムにより自然破壊を引き起こさず、次世代に糸島の魅力を引き継ぐため、一般社団法人糸島半島エコツーリズム協会を立ち上がりました。アウトドアの体験クラブ「イトリト」では、スポーツサイクルの歩行性能と電動自転車のアシスト機能を兼ねた自転車E-BIKEで海岸線や山道を走るサイクリングや、海岸でヨガなどのエクササイズなど、糸島の人が大切に受け継いできた自然を満喫できるプランを提案しています。

参考:糸島半島をE-BIKEで走ろう!|糸島市

エコツーリズムで忘れられない思い出を!

出典:pexels.com

エコツーリズムは地域の文化や歴史に触れることで、自然と人、旅行の在り方を考えるきっかけになります。また、現地の人や大自然との出会いは、旅行をずっと豊かなものにしてくれるでしょう。コロナ対策が緩和された今、旅行を検討する方もいることでしょう。旅行先を考えるなら、今までとは一味違う旅、エコツーリズムを楽しんでみては。

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この記事を書いた人

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元専業主婦の編集ライター兼校正者。子育てや教育、美容、ライフスタイルを中心とした複数のジャンルで記事企画や執筆、インタビューに携わり、キャリアを重ねる。近年は、持続可能な社会環境づくりに関心を抱く。成人した娘と息子を持つ母。

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