近年、国全体で長時間労働や雇用格差などを見直す動きが進んでいます。その流れによって、これまでの働き方が見直され、少しずつですがそれぞれのライフスタイルを重視した働き方が選べるようになってきました。今回は、新しい働き方につながるワークライフマネジメントについて解説していきます。 ワークライフマネジメントとは? 出典:unsplash.com ワークライフマネジメントとは、自分のペースに合わせて仕事(Work)と私生活(Life)の管理を行い、バランスを取りながら両方とも充実させていく考え方です。 自分自身で仕事もプライベートもマネジメントすることで、仕事に意欲がわき成果を出しやすくなり、オフタイムは自分の好きなことや興味関心のあることを存分に楽しめるようになるといわれています。 ワークライフバランスとの違いは? ワークライフマネジメントは、ワークライフバランスと混同される場合がありますが、ふたつのワードの相違点は、「自発的」に動いているか否かです。 ワークライフマネジメントは、仕事や私生活を自らコントロール・管理する意味合いが含まれています。一方でワークライフバランスは、企業サイドが時短勤務やフレックス制度、短時間勤務などを設けて、従業員に提案や奨励をするようなかたちのことを示します。 ワークライフマネジメントが注目される背景 出典:pexels.com 日本ではこれまで、長時間労働やみなし残業といった労働形態が大きな社会問題になってきました。会社や業界にもよりますが、現在、労働環境は改善されている傾向にあり、そのような流れで出てきたのがワークライフバランスという言葉です。 ワークライフバランスもワークライフマネジメントと目指すところは一緒でしたが、前述した通り、次第に“会社が社員に制度として提供するもの”という意味合いが強くなってきてしまい、社員はその制度を受け取る、受け身の状態であることが懸念されていました。そこで、社員自らが仕事とプライベートを充実させようと管理することが大切だという本来の認識を取り戻すべく、ワークライフマネジメントという言葉が新しく誕生したのです。 ワークライフマネジメントのメリット ワークライフマネジメントが進むと個人にとって、以下のようなメリットがあります。 ・モチベーションの向上働き方やプライベートに満足していればモチベーションが向上。双方のクオリティアップにも繋がります。 ・やりがいを感じるやらされているわけではなく、自ら選択しマネジメントすることはやりがいに繋がります。 ・ライフステージが変わっても働き続けることができる働き方を選ぶことができれば、親の介護や出産・育児など様々な理由で離職する可能性も少なくなります。 一方企業にとっても以下のようなメリットが生まれます。 ・優秀な人材の確保ライフステージの変化によって職場を離れるケースが減少することは、優秀な人材の流出を抑止することにも繋がります。 ・生産性の向上一人ひとりのモチベーションが上がることにより生産性の向上が見込めます。 ・新たなアイデアの創出プライベートを充実させることで、仕事においても革新的なアイデアが生まれるかもしれません。近年子どもだけでなく、大人にとっての“遊び”の重要性が注目されています。 ワークライフマネジメントの企業事例 社員自ら生活をマネジメントするためには、それが叶うような職場の環境が非常に重要です。最近は、ワークライフマネジメントを推し進める企業が出てきています。主な事例として次の3社があります。 株式会社ベネッセホールディングス 株式会社ベネッセホールディングスでは、多様な働き方によって仕事(Work)と私生活(Life)の両方を大切にすることを推奨しています。在宅勤務やフレックス勤務などの働き方だけでなく、リスキル休暇といった自己研鑽に充てる休暇も提供し、従業員が満足できる働き方を実現しています。 参考サイト:働きやすく活気ある職場づくり(労働慣行) | 社会 | サステナビリティ | 株式会社ベネッセホールディングス 株式会社日本総合研究所 株式会社日本総合研究所では、性別やライフステージを問わず『社員全員にとって働きやすい職場づくり』を推進。ライフステージに合わせた働き方の選択肢を設け、女性のキャリアステップにおけるロールモデルの拡充や、多様な価値観に応じた柔軟で生産性の高い働き方の実現を目指しています。 参考サイト:ワークライフマネジメント|学生向け・キャリア採用向け情報サイト|日本総合研究所 千寿製薬株式会社 千寿製薬株式会社では、ライフワークバランスから一歩踏み込んだライフワークマネジメントを軸にした働き方改革を実践。充実した休暇制度や、子育てや介護に関する制度、在宅勤務制度など、全社員が「ワークライフマネジメント」の当事者であると認識し、仕事と生活を充実させるために主体的に働き方を考えられるような取り組みを行っています。 参考サイト:「仕事と生活の調和」のさらに先へ 「ワークライフマネジメント」の推進 | SENJU SENSE | 千寿製薬について ワークライフマネジメントで充実した働き方とライフスタイルを叶えよう 自分で仕事も生活をマネジメントし、充実させることは簡単なことではないように思うかもしれませんが、自らの生活や人生について考えることは私たちにとって大変重要なことです。ライフワークマネジメントをキーワードに、会社の制度を再度確認し、自分の希望の働き方やプライベートの時間を見つめなおしてみるのもいいかも知れません。
グローバル化が進展する中、その流れとは逆を行く「ローカリゼーション」というワードが世界中で注目を集めています。ローカリゼーションとはなにか、なぜ今注目されるのかを解説しています。 ローカリゼーションとは 元々、ローカリゼーションとは、自分たちの手がけた製品もしくはサービスを特定のマーケットに適応させる取り組みのことでした。 最近では、ローカリゼーションは、地域社会に紐づくワードでも使われるようになっています。この場合の意味合いは、地域内の資源やお金を回すことで、生産に携わった人と消費者が距離を縮めながら、自分たちで地域を活性化するということを指します。グローバル化が進み、安価な輸入品が手に入り、便利になった一方で、地域の文化が失われることが危ぶまれ、地元産のものを購入し、地域の活動を盛り上げようとするローカリゼーションのムーブメントが世界中で起こっています。 グローバリゼーションとローカリゼーション ローカリゼーションは、グローバリゼーションの対極にあるといってもいい言葉です。様々な国から調達した原料を使い、労働力のある国の工場で大量生産し、それを輸送して別の場所で売る、といった仕組みを持つのがグローバリゼーションです。私たちが普段購入する洋服や雑貨などあらゆるものが、複雑なサプライチェーンを持っています。 一方、ローカリゼーションでは、地元で採れたものや生産されたものを地元で売るというようなことが進みます。「地方創生」「地産地消」などもローカリゼーションの一環です。 関連記事:実はこんなにたくさん!地産地消のメリットとは ローカリゼーションが注目される背景 出典:unsplash.com 近年、ローカリゼーションが注目さる主な背景として以下のようなものが挙げられます。 人とのつながりが希薄となった 少子高齢化や核家族の増加、そして新型コロナウイルス感染拡大によって、家族以外の人と触れる機会が減っています。なかには近所付き合いが全くないという人も一定数います。このような人が地域の中で取り残されないよう、地元の人通しで繋がれるローカリゼーションが必要とされています。 地域文化の継承が難しくなった 日本では地方の過疎化が加速し、働き盛り世代で地域を担う人が少なくなっています。そのため地域の文化や伝統、技術の継承が大変難しい状況です。その解決のひとつとして、ローカリゼーションを加速させ、地域の魅力を再発見することが挙げられます。 ローカリゼーションのメリット ローカリゼーションのメリットは、地域の人と人との繋がりが密になることで、「絆」が強くなることです。例えば、地域全体で地域に住む子どもの面倒を見ることで、自分の居場所を確保しやすくなり、世代を超えてコミュニティが構築されます。地域のコミュニティは有事の際にも重要で、例えば災害があった場合でも安否の確認がしやすくなり、避難するのが困難な高齢者や障がい者に声を掛け合うなど、お互いに助け合うことができます。 また、地域で経済が回ることで、地域の活性化が見込めます。新しい取り組みや場所、商品などが地域から生まれることにより、新たな雇用の創出や、若い世代が地域に残って生活することに繋がるかもしれません。活性化することで地域外の人からも目に留まりやすくなり、地域文化の継承や後継者不足の問題解決にも繋がる可能性があります。 最後に、環境にもたらす影響も少なからずあります。遠くの国から輸入してくるモノや食品と比べて、地域でできたものは「フードマイレージ」が低く、輸送にかかる環境負荷が抑えられます。 関連記事:フードマイレージとは?買い物するときに注目したいポイントを解説 ローカリゼーションのデメリット ローカリゼーションが進むことで私たちの生活にマイナスの影響はあるのでしょうか。 今私たちの身の回りには、安価で生産数も安定しているものが多くあり、豊富な種類が手に入ります。これはグローバリゼーションの賜物です。一方、ローカルで作られるものは、大量生産でないことも多く、供給は安定しないかもしれません。また、生産者との公正な取引から、価格も多少高めに設定されることもあります。しかし、ローカリゼーションが進み、地域の経済が潤うようになれば、このような問題も少なくなってくるでしょう。 ローカリゼーションの国内具体例 ローカリゼーションの取り組みとして、各地で施策が始まっています。 JAあいち三河 JAあいち三河では、ローカリゼーションの一環として中山間地域を中心に金融機関の移動車と移動購買店舗車の運転をしており、地域に住む方の生活インフラを整えています。ほかにもいちご農家の減少を食い止めるための「いちご塾」を開校し、次世代を担う農家の育成にも注力しています。 参考:JA あいち三河 × SDGs 兵庫県豊岡市 兵庫県豊岡市では、若者の人口減少にフォーカスした取り組みを積極的に行っています。ほかにもジェンダーギャップの解消と外国人定住者の受け入れなど、誰もが暮らしやすい地域を目指すため、今の時代背景を考えた施策を提案し、実行しています。 参考:豊岡市の地方創生戦略 (人口減少対策) 豊かな地域を育むために 出典:unsplash.com 地域過疎化・後継者不足といった深刻な地域の問題を解決していくためには、ローカリゼーションは必要な要素です。最近は、若い世代や移住した人たちが地方を盛り上げる取り組みも多く見られます。 経済やコミュニティを豊かなものにして、地域が力をつけていくために、私たち個人ができることはたくさんあります。生産者に会えるマーケットに出かけて地元の野菜を買う、地域の産業や伝統文化を知ることも、そのひとつです。世界でも注目されるローカリゼーションは、日本でもますます大切な取り組みとして広まっていくことでしょう。
カーボンニュートラルは、私たちの住む地球を持続可能なものにしていくためのキーワードの一つです。近年、テレビや新聞で取り上げられることも増え、国や企業を中心にカーボンニュートラルを意識した取り組みが広がっています。こちらの記事では、少し難しいように感じるカーボンニュートラルについて、かみ砕いてわかりやすく解説します。 カーボンニュートラルとは 出典:unsplash.com カーボンニュートラルとは、人の活動が起因となって発生する温室効果ガス(CO2など)の排出量から、植林などによる「吸収量」を差し引き、排出量の合計を実質的に「ゼロ」にすることを指します。 2015年のパリ協定では、世界共通の長期目標として、 ・世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標) ・今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること などが合意されました。 これに伴い、日本を含む120以上の国が2050年までにカーボンニュートラルを達成するために取り組みを始めています。 カーボンニュートラルが必要な理由 出典:unsplash.com 世界では海面上昇や砂漠化、大規模災害、深刻な水不足など、気候変動が人々や生態系に大きな影響を与えています。私たちの住む日本も例外ではなく、埼玉県や群馬県、岐阜県といった内陸の県の夏は異常な暑さとなり、全国的にゲリラ豪雨などによる被害も多く発生しています。 世界の国々が一丸となってカーボンニュートラルを目指す主な理由は、このような気候変動危機を回避することにあります。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、世界で工業化が進んでから、世界の平均気温は約1.1℃上昇しているとされており、人類や地球上の生態系に深刻な影響が出る境界値は工業化からプラス1.5℃と言われており、気温上昇はあと0.4℃に抑える必要があるのです。 持続可能な未来に向けて、今すぐ私たちが取り組まなければならない喫緊の課題である気候変動。気候変動を食い止める一つの策としてカーボンニュートラルの取り組みが求められています。 日本政府も目指す「2050年カーボンニュートラル」 日本では、2020年10月に開かれた臨時国会の所信表明演説において、当時の内閣総理大臣だった菅義偉氏が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指す」という宣言をしました。 日本は、CO2だけに限らず、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを温室効果ガスとして削減することを目指しています。現在国内の温室効果ガスの排出量は、年間12億トンを超えると言われています。「2050年カーボンニュートラル」を確実に進めるために、2030年には温室効果ガスを2013年度の46%削減することを目指し、段階を踏んで達成していくことを宣言しています。 国が進める具体的な取り組み 日本政府はカーボンニュートラルを現実のものとするために、多方面での取り組みを行っています。いくつか具体的な事例を見ていきましょう。 グリーン成長戦略 並大抵の努力では実現が難しい2050年カーボンニュートラル。目標を達成するためには、エネルギー・産業の構造の大きな転換や、投資によるイノベーションが必要となります。積極的に温暖化対策を行うことが成長のチャンスであるという考えのもと、「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策 がグリーン成長戦略です。国は、再生エネルギーの促進をはじめとし、農業やIT産業など14の分野でそれぞれの課題や目標を明記。税金の投入や、規制改革および標準化・国際連携などを通して全面的に企業をサポートします。 ゼロカーボンシティの実現 環境省は、地方公共団体の脱炭素化への取組に対し、情報基盤整備、計画等策定支援、設備等導入を支援しています。2050年カーボンニュートラルを宣言する地方公共団体は増加してきており、2022年12月時点では、800を超える地方公共団体が取り組みを始めています。 脱炭素社会の実現に向けて 国の動きに連動して、国内では脱炭素社会に向けた取り組みを行う大企業が増えてきています。国や企業が脱炭素社会に向けて取り組むインパクトは、社会にとって大変大きいもので、2050年カーボンニュートラルの実現のためには不可欠です。 私たちの生活に関わる企業も取り組みを始めています。そのような企業に注目することが私たち一人ひとりにできるカーボンニュートラルに向けたアクションになってくるでしょう。 【参考】令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)第1部 第2章|資源エネルギー庁国の取組 - 脱炭素ポータル|環境省
みんなが住みやすい社会を作っていくためのソーシャルデザイン。近年国内外で、人にフォーカスした社会づくりや街づくりが活発になっています。今回は、国内・海外から注目のソーシャルデザイン事例をピックアップ。もともとあった場所をどんな世代の人でも使えるようにバリアフリーにすることでみんなが集まれる場所へとリニューアルしたり、人と自然が共存できる場所を作ったりと、アイデアに溢れた場所がどんどん増えてきています。各地でどんな取り組みが進んでいるのか見ていきましょう。 関連記事:https://rootus.net/article/1490 日本のソーシャルデザイン事例3選 アーティストが提案する憩いの場「HIROPPA」(長崎県波佐見町) この投稿をInstagramで見る 有限会社マルヒロ(@maruhiro.hasami)がシェアした投稿 「HIROPPA(ヒロッパ)」は、磁器づくりの歴史がある波佐見町に拠点を構え、波佐見焼の食器や雑貨を販売する企業、マルヒロが2021年10月にオープンした複合施設です。敷地内には国内外のアーティストが手がける作品が点在しているのが特徴です。芝生をメインとした公園を中心とした施設には、コーヒーショップやマルヒロの直営店、キオスクを併設。ベビーカーや車椅子でも回れるよう、バリアフリーの通路を完備するなど、老若男女どんな人でも楽しめるコミュニティースペースとなっています。また、子どもたちに自由に遊びを楽しんで欲しいとい願いから、公園には一般的な遊具はあえて設置していません。廃棄予定の波佐見焼を利用した白い「砂浜」など、気軽に地域の伝統に触れられる工夫が随所に施されています。 マルヒロ公式サイト https://www.hasamiyaki.jp/ HIROPPA公式サイト https://hiroppa.hasamiyaki.jp/ 子どもも大歓迎のくつろげる空間にリニューアル(滋賀県立美術館) この投稿をInstagramで見る 滋賀県立美術館SMoA(@shigamuseum)がシェアした投稿 1984年に開館した滋賀県立近代美術館。時代の変化に合わせて、敷居の高いイメージだった美術館から、どんな人も広く受け入れる「くつろげる美術館」を目指し、大幅な改修を経て、2021年6月に滋賀県立美術館としてリニューアルオープンしました。ガラス張りの大きな窓から光が降り注ぐ、明るいキッズスペースには様々な空間設計がされています。琵琶湖をイメージしたという柔らかなフォルムのプレイマットの傍に本棚を設置し、遊びながら自然にアートと触れ合うことのできる仕掛けを施したり、椅子と机は低めにすることで乳児~小学生までの使用を可能にしています。また、授乳室のあるファミリールームやファミリートイレも完備。大人の楽しむ場所のイメージが強い美術館が、幅広い年代の集う空間へと生まれ変わりました。 公式サイト https://www.shigamuseum.jp/ 企業と警察が一緒に課題を解決(広島県尾道市) おのみちサイクルポリス隊員が,サイクルイベント「グラン・ツール・せとうち2022」で,参加者に法令遵守と交通事故防止を呼びかけました。5月は「自転車マナーアップ強化月間」です。交通ルールの遵守とマナーの向上を目指しましょう。「自転車も ルールを守る ドライバー」【#尾道警察署】 pic.twitter.com/dsQpTLojkh— 広島県警察(公式) (@HP_maplekun) April 27, 2022 広島県尾道市は、しまなみ海道のサイクリングの拠点となっており、レンタサイクルやサイクリストのための施設などが充実する「サイクリストの聖地」。コロナ以前は年間30万超のサイクリストが訪れていましたが、来訪者の一部にはマナーやモラルに欠ける行為もあり、地元住民を悩ませていました。尾道サイクリング協会は、2017年10月、事故防止とマナー啓発に役立てて欲しいとの願いを込めて、尾道署へポリス特別仕様の自転車5台を寄贈。フラットバーを採用したハンドルや、誘導灯、サイドミラーを装備するなど警察官が使いやすいデザインとなっていて、坂道の多い尾道でも乗りやすいよう設計されています。高い機能性を備えた自転車でパトロールする「サイクルポリス隊」は、尾道のまちづくりを支えるシンボル的存在です。 海外のソーシャルデザイン事例3選 使われなくなった街の電話ボックスを現代風にアップグレード(中国・上海) スマートフォンの普及により現代人には馴染みの薄い存在になりつつある公衆電話。上海では、使われずに街の中でスペースを取っていた公衆電話ボックスを、誰もが使えるスペースに改修する取り組みが行われています。目に飛び込んでくるのはビビッドなオレンジに塗りつくされた内装。かつての電話ボックスは個室タイプですが、再生後は歩道側の壁をなくし、誰でも座れるパブリックスペースに生まれ変わりました。イス、テーブルにフリーWi-Fiと充実の設備で、カフェさながらのつくりに。公衆電話の機能を残しながらも、現代にマッチしたスペースは街の人たちに有効利用されています。 公式サイト https://100architects.com/project/orange-phonebooths/ 人々が気軽に集まれる都市型デザインの移動式空間(チェコ) この投稿をInstagramで見る KOGAA(@kogaa_studio)がシェアした投稿 都市は華やかで活気がある一方、人々の孤立も生む一面も合わせ持っています。チェコのデザイン事務所が提案するのは、都市空間の活用されていないスペースに「移動式」のパブリックスペースを作り、街を活気づけるアイデアです。屋根のない円形型の移動式建築「AIR SQUARE」にはベンチが備え付けてあり、人々の憩いの場として活用され、イベントやファーマーズマーケットとしても使用可能。上部リングにはヒートアイランド対策として熱を和らげる効果がある他、夜間には照明の役割を担い、街の安全性に貢献します。どんな人も気兼ねなく使えるようにバリアフリーに設計されています。 公式サイト https://www.kogaa.eu/projects/air-square 野鳥とサステナブルを体験する宿泊施設(スウェーデン・ハラッズ) この投稿をInstagramで見る Treehotel(@treehotel)がシェアした投稿 Biosphereは野鳥保護を目的としてスウェーデンの宿泊施設「Treehotel」内に作られた客室です。ホテルのコンセプトはサステナビリティと自然環境を楽しむこと。総数340個の鳥の巣箱が、木の上に建てられた客室を360度ぐるっと囲むように設置され、客が鳥たちの住まいにお邪魔させてもらっているかのようなユニークなデザインに。鳥たちの生息地で暮らす体験を通して、サステナビリティへの新たな知見を得ることができ、人々の癒しにも繋がります。 公式サイト https://treehotel.se/en/rooms/the-biosphere 世界的に広がりをみせるソーシャルデザイン 国内外のソーシャルデザイン事例を紹介しました。世界的にも人が暮らしやすい街づくりは注目されており、さらには自然保護も掛け合わせて、新たなアイデアが次々と誕生しています。より良い社会を作るのに欠かせないソーシャルデザイン。みなさんもぜひ身の回りのソーシャルデザインを探してみませんか。
皆さんは食材を買う際にどのような点チェックしますか。持続可能な食の未来を考えるとき、まず確認しておきたいのが、食材の原産地です。本記事では、買い物をするときに取り入れたいアイデア、「フードマイレージ」について解説します。 フードマイレージとは 出典:unsplash.com フードマイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標のことです。地産地消を進めて環境負荷を減らそうとイギリスで広がった「フードマイルズ運動」を参考に、20年前に日本の農林水産省農林水産政策研究所が提唱しました。 フードマイレージの計算方法 出典:pexels.com フードマイレージの計算式は簡単で、以下の方法で算出できます。 フードマイレージ=「食料の輸送量(t)」×「輸送距離(km)」 ※単位はt・km(トン・キロメートル) フードマイレージは、数値が大きければ大きいほど、購入者と生産地が離れていることを表します。食品が私たちの食卓に並ぶまでには、輸送のプロセスを経ていて、移動や品質保持のため、石油などのエネルギーが使われ、CO2が排出されているのです。つまり生産地と食卓の距離が長ければ長いほど、環境に負荷をかけているということになります。 フードマイレージが小さい食材のメリット フードマイレージが小さい食材のメリットは、運送コストがほとんどかからず、地球環境に与える負荷が少ない点です。生産地から食卓までの輸送距離が短いと、CO2の排出を最小限に抑えることができます。同じ食材を選ぶのであれば、地元や近くの生産地で収穫された食材の方が、環境に優しいのです。また、国内で生産されたものを選ぶことは食料自給率の向上にも繋がり、これは持続可能な食の在り方に欠かせません。 日本のフードマイレージ 農林水産省が公開した「令和3年度食料需給表」の資料によると、近年の日本の食料自給率は4割に満たない数値が続いており、欧米と比べても明らかに低いということがわかります。 出典:農林水産省大臣官房政策課 食料安全保障室 令和3年度食料需給表(pdf) また、農林水産省では、主要国のフードマイレージに関するデータも公開しています。 グラフを見てもわかるとおり、食料自給率が低い日本は食料を海外に依存しているということもあり、フードマイレージの数値が極めて高いという結果となっています。 出典:「フード・マイレージ」について - 農林水産省(pdf) この2つのデータやグラフから見てもわかるとおり、私たちが普段食べている食材の多くは輸入に頼っており、食卓に並ぶまでには大きな環境負荷がかかっていることが見て取れるでしょう。 フードマイレージのデメリット 出典:pexels.com 食材が生産地から食卓に並ぶまでの環境負荷などがわかるフードマイレージですが、留意しなければならない点もあります。まず、フードマイレージの指標は、食品の輸送に限定されているという点です。例えば生産段階でどのくらいCO2が排出されているかなどは考慮されていません。そのため、単純に海外で作られたものの方が国産に比べて環境負荷が高いとは言い切れないのです。どのくらい環境に負荷がかかっているのかは、生産から総合的に見なければなりません。また、輸送手段によってCO2の排出量は異なるという点も留意したいところです。トラックよりも船の方がCO2排出量は格段に少ないですが、これはフードマイレージには反映されていません。 以上のように、簡単に算出できるフードマイレージだけでは総合的な環境負荷は判断しきれません。しかし簡単だからこそイメージがしやすく、私たち消費者が買い物をする上でアクションに結び付けやすいのではないでしょうか。フードマイレージも含め、食材がどのように作られて、どのように私たちの元にやってきたのか、生産や輸送の背景を知ることが大切なのです。 フードマイレージの小さいものを選ぶには 出典:unsplash.com フードマイレージが小さいものを選ぶポイントは以下のとおりです。 ・生産地をチェックする ・住んでいる地域の特産品をリサーチする ・食材を選ぶときは外国産ではなく、なるべく国産を選ぶ 他にも近くで開催されているファーマーズマーケットなどに足を運んでみるのもおすすめです。直接生産者から地元野菜を購入できるメリットがあり、生産の背景を知ることができます。 関連記事:【都内近郊18選】生産者に会えるファーマーズマーケットに行こう 私たちが普段触れている食料になかには、コーヒーやアボカドなど国内で生産していない食料があり、すべての食料を環境負荷の少ないものに切り替えることは難しいのが現状です。 しかし、一人ひとりが地元や国内で手に入る食料を知り、フードマイレージを小さくしようとする意識の積み重ねで、環境への影響が変わってきます。食料の選び方のひとつにフードマイレージを取り入れてみてはいかがでしょうか。
各国が抱える経済格差や貧困、環境汚染などの解決すべき課題。世界にはそんな時代に一石を投じるチェンジメーカーがいます。今回は私たちの社会にインパクトを与え、新たな波を起こしたチェンジメーカーをご紹介します。 チェンジメーカーとは 出典:unsplash.com チェンジメーカーとは、ビジネスや活動を通して社会の課題解決にチャレンジし、新しい風を吹き込むような人を指します。時代によって社会の課題は異なるので、チェンジメーカーと呼ばれる人の定義も社会の状況によって変化するものですが、今日の社会では、チェンジメーカー=社会起業家のようなイメージもあり、物質的な豊かさではなく精神的な豊かさを求め、貧困や環境問題などに取り組む人が支持を得ています。 世界のチェンジメーカー7人 社会にソーシャルグッドなインパクトを与えるだけでなく、私たち個人にも新しい発想をもたらしてくれるチェンジメーカー。 今回は、世界的に大きな影響を与える現代のチェンジメーカー7人をピックアップしました。 ホセ・ムヒカ氏 ホセ・ムヒカ氏は、ウルグアイの元大統領です。2012年にブラジル・リオデジャネイロでの国連会議で大量消費社会を痛烈に批判し、人類にとって本当の「幸せ」とは何かを訴えたスピーチで一躍有名になりました。貧困をなくす政策を推し進めた大統領時代には、自身の給料の9割を寄付。大統領公邸には住まず、郊外の質素な家で妻と生活していたことから、敬愛の念を込めて「世界でいちばん貧しい大統領」とも呼ばれ、過去には日本でもドキュメンタリー映画が上映されました。ウルグアイだけでなく世界中にファンの多い元大統領です。 ムハマド・ユヌス氏 ムハマド・ユヌス氏は、バングラデシュ出身の経済学者であり、実業家です。貧困の根絶を目指し、1983年に無担保小口貸付を行うグラミン銀行を創設。生活に困難な人たちの自立支援に尽力しました。2006年にはグラミン銀行とともに、ノーベル平和賞を受賞。無担保小口貸付の仕組みはマイクロ・クレジットと呼ばれ、それを取り入れたマイクロ・クレジット・バンクが、60カ国以上の国で設立されています。日本でも、ユヌス氏のビジネスモデルをベースに「一般社団法人グラミン日本」が、シングルマザーを中心とした支援を行っています。ユヌス氏はそれまで難しいとされてきた貧困の根本的解決に挑み、その仕組みが世界に大きな影響を与えているのです。 ケイト・ラワース氏 ケイト・ラワース氏は、イギリス出身の経済学者です。自身の著書『ドーナツ経済学が地球を救う』では、地球を気候変動から守りつつ、貧困や格差を解消していく経済活動のモデルを「ドーナツ」型の図にしたことで多くの人たちから注目を集めました。これまで社会が当たり前に追い求めてきた成長ではなく、持続可能な繁栄の社会を作ることを提案しています。その持続可能なモデルは、各国の自治体からも支持を受け、オランダのアムステルダムでは市をあげてドーナツ型の経済のかたちを目指しています。 セリーナ・ユール氏 セリーナ・ユール氏は、ロシア出身で現在はデンマークで活動する食品ロス問題の専門家であり、NGO団体「Stop Wasting Food movement Denmark」の設立者です。デンマークで目の当たりにした大量の食品廃棄に疑問を持ち、2008年にフェイスブックページでグループを作ってロスをなくす運動を開始。スーパーなどに声をかけ、無駄が出やすい食品のまとめ売りをなくすところから始めました。政府も彼女の活動に賛同し、メディアが取り上げ始め、協力者はまたたくまに増加。2013年までの5年間でデンマーク国内の食品廃棄量を25%削減するのに大きく貢献しました。 マララ・ユスフザイ氏 マララ・ユスフザイ氏は、史上最年少でノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の人道活動家です。女性教育弾圧に反対活動をしたことでタリバンから銃撃を受けながらも、女性が教育を受ける権利を全世界に訴え続けました。その努力が認められ、パキスタンでは初めて無償で義務教育を受けられる権利を盛り込んだ法案を可決。また、「マララ基金」を設立し、すべての女子が平等に教育を受けられるよう活動をしています。著書には『武器より一冊の本をください:少女マララ・ユスフザイの祈り』があり、彼女の半生を綴ったドキュメンタリー映画も制作されています。 斎藤幸平氏 斎藤幸平氏は、日本の哲学者であり、経済思想家(マルクス主義者)です。歴代最年少でマルクス研究者の最高権威『ドイッチャー記念賞』を受賞した自身の著書『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』では、温暖化、異常気象などの問題を抱える資本主義の構造を批判し、私たちはどうあるべきかを説いています。新書大賞を獲得した2021年の著書『人新世の「資本論」』も、今地球上で起きている問題を自分事としてとらえながら読み進めることができる、おすすめの一冊です。NHKの番組などメディアでも活躍する斎藤氏。持続可能な未来に向けて真剣に取り組む姿勢と、わかりやすい説明にファンが増え続けています。 小林りん氏 小林りん氏は、学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(以下、UWC ISAK Japan)の代表理事であり、2013年に日経ビジネスが選ぶ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した方です。留学中に経験したメキシコでの貧困問題や、国際児童基金(ユニセフ)でフィリピンのストリートチルドレンの教育支援に携わったことから、この社会の仕組みを変えていくリーダーシップ教育の必要性を実感。2014年に軽井沢に全寮制インターナショナルスクールUWC ISAK Japanを開校しました。国籍も育ってきた環境も異なる生徒は、チェンジメーカーを育てるための実践的な授業を受けるだけでなく、ダイバーシティの中で生きるということを、身を持って経験しています。 チェンジメーカーからインスピレーションを 出典:unsplash.com 世界や社会を大きく動かしているチェンジメーカー。たとえ自分が直接その影響を受けることがなくても、彼らの思想を学ぶだけで大きな刺激になります。今私たちが直面するたくさんの課題。チェンジメーカーを手本に、一人ひとりが真剣に地球の未来について考えなくてはいけないフェーズにきているのかも知れません。今回ご紹介した7人については、書籍や映画もあり、インターネットなどでも情報を集められるので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
スマートフォンやパソコンなどのデバイスは、今や私たちの生活になくてはならない存在です。一方で、スマートフォンを常にチェックしてしまう人やゲーム、SNSなどに過剰にのめりこんでしまう人も増え、「デジタル中毒」「SNS依存症」といった新しい言葉も生まれました。そんなデジタルと切っても切り離せない現代人におすすめなのが、デジタルデトックスです。本記事ではデジタルデトックスが注目される理由とおすすめのデジタルデトックス方法をご紹介します。 デジタルデトックスとは? 出典:unsplash.com デジタルデトックスとは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのデバイスに一定時間(期間)触れないことです。「ネット断ち」とも呼ばれることもあります。 期間は決まっていないので2~3日デジタルデバイスに触れないケースもありますし、普段の生活に取り入れて数時間だけ行うこともあります。例えば、「勉強に集中したいから18時から翌朝7時までスマートフォンを使わない」「通学・通勤の電車の中ではInstagramを見ない」などのデトックス方法もあり、期間もきまりも様々です。 SNSがもたらす心への影響 出典:unsplash.com SNSは、いつでもどこでも友人や知人と繋がれるだけでなく、欲しい情報も手に入れることができる便利なツールです。しかし、使う時間が長かったり、使い方を間違えてしまうと心が疲弊してしまう側面があります。個人で簡単に情報を流すことができるため、SNS上ではネガティブな情報や信憑性の低い情報も拡散されています。 また、既に海外や日本国内でも知られている通り、SNSの利用頻度が高い子どもほど、自己肯定感が低くなり、孤独を感じやすいという研究結果があります。インスタグラムなどのSNSでは、人の生活の方が幸せで楽しく見えてしまうものなのです。 LINEやTwitterを使ったネットいじめも明るみになってきており、グループから特定の人物を外すなどの事例もあり問題になっています。そのようにSNSは楽しい面がある一方で、心にストレスがかかってしまうという結果も実際に出てきています。 デジタルデトックスが注目される理由 近年デジタルデトックスが注目される背景には、SNSによるストレス以外にも、デジタルデバイスを常に使う人に起こる体や心の不調があります。 例としては以下のようなケースが挙げられます。 ・長時間操作することよって生じる肩こりや眼精疲労 ・SNSやメールを夜中まで使用することによる睡眠不足や睡眠の質の低下 ・ネガティブな言葉や画像、ニュースによるストレス デジタル中心の生活を一度リセットしてくれるのがデジタルデトックスです。このデジタルデトックスの時間を設けることにより、デジタルに関する依存症や中毒から心や体を守ってくれると言われています。 デジタルデトックスの効果 デジタルデトックスが心身に与える効果は以下のようなものがあります。 ・眼精疲労がなくなる ・肩こりや腰の痛みが軽減する ・疲れがとれる ・睡眠の時間が確保できる、睡眠の質が上がる ・他のことに使える時間が増える ・五感が磨かれる ・情報が遮断され、ストレスから解放される 他にも様々な効果が見込まれます。 一度まずはデジタルデトックスにチャレンジしてみて、何が変わったか、どんな気づきがあったか感じてみるのも良いでしょう。 おすすめデジタルデトックス方法 出典:unsplash.com まずはどのくらいの時間デジタルに触れないか決めるところから始めましょう。常にスマートフォンをチェックしている人は1時間からでもいいですし、寝る前何時間は使わない等のきまりでも良いでしょう。他にも、毎日決まった時間にデジタルから離れる習慣をつける、「最近疲れているな」と感じるなら思い切って1泊2日のデジタルデトックスの旅に出る等の方法も効果的です。 今回は例として、スマートフォンを使用している場合のデジタルデトックス方法をご紹介します。 寝具のすぐ近くにスマートフォンを置かない スマートフォンをベッドや布団の近くに置いてしまうと、気になって寝る前にSNSなどを見てしまう可能性が。寝る前にスマートフォンを見ると睡眠の質の低下に繋がるので、スマートフォンは寝具から離れた場所置くか、寝室に持ち込まないようにします。加えて、スマートフォンの「 おやすみモード」に設定しておくと通知などが入らなくなるので、おすすめです。 スマホアプリの通知をしない、または最低限の設定に留める メールやSNSの着信が入るとスマートフォンにバッジが入る場合があります。スマートフォンの通知が入ると開きたくなってしまうので、通知オフの設定をすると良いでしょう。重要なアプリだけは通知を残しておく設定をしておきましょう。 専用アプリをダウンロードする スマートフォンアプリには、デジタルデトックス目的でリリースしているものもあります。 Forest(iOS/Android両方可)は、世界136ヶ国において仕事効率化部門1位を獲得したアプリです。スマホを触らないと、アプリ内で樹木がひとりでに育つ仕組みになっています。ほかにも「デジタルデトックス アプリ」と検索するといくつかのアプリがありますので、最適なアプリを選んでみてはいかがでしょうか。 自然の中で過ごす 休日には海や山へ出かけるのもデジタルデトックスのひとつです。例えばスマートフォンを触りながらトレッキングをするのは難しいですし、海に入れば強制的にスマートフォンと離れることになります。数時間デジタルから離れて自然に触れれば、五感も磨かれ、心も体もリフレッシュできます。 お風呂や温泉に入る 海に入るのと同じ方法で、お風呂や温泉はスマートフォンと物理的に離れた状態を作ることができます。そしてぼーっとする時間は、意外と脳にも良い影響があるとされ、記憶と記憶を結びつけたり整理したりすると言われます。いいアイデアが浮かぶのも、温泉に浸かっているときだったりするのです。 瞑想を取り入れる 医学やビジネスの面からも大きな注目を集める瞑想。瞑想はストレスの軽減や仕事・勉強のパフォーマンスアップにも効果的です。スマートフォンの「機内モード」をオンにして、1日10分でも瞑想の時間を取り入れれば、これも立派なデジタルデトックスです。 デジタルデトックスのイベントに参加する デジタルデトックスを推進する団体もあります。そこでは日本各地で開催される、数時間のイベントから旅行まで、デジタルデトックスを目的とした体験に申し込むことができます。「デジタルデトックス 体験」などと検索してみると見つけることができます。 デバイスの使い方を見直して最適なデジタルデトックスをしましょう 出典:unsplash.com デジタルデバイスは、今や私たちの仕事や生活にとってなくてはならないものです。しかし、使いすぎると体調不良を引き起こし、とめどなく溢れる情報にストレスを感じる原因になり得ます。そのリスクを回避策として一定時間(期間)デバイスに触れないというデジタルデトックスが有効です。 寝る前のスマートフォンの置き場所を見直すのはすぐにできますし、日常の中でも「スマートフォンに触れられない」状況を作ることは意外と簡単です。また、自然の中で過ごす休日を計画するのも選択肢の一つです。今日からデバイスの使い方を見直し、生活に支取り入れられる範囲でデジタルデトックスにトライしてみてはいかがでしょうか。
限りある資源を無駄なく使用するにはどうしたらよいでしょうか。リサイクルやリユースなどこれまでも資源を再利用する動きはありましたが、近年、廃棄されるはずだったものにデザインを加え、新たに生まれ変わらせるアップサイクルが進歩しています。この記事ではアップサイクルとは何かご説明します。 アップサイクルとは アップサイクルとは、廃棄されるはずだったものや生産段階で出た副産物に、アイデアをプラスして価値をつけ、新たな製品として生まれ変わらせることを言います。 一般的にアップサイクルはリサイクルより使用するエネルギーが少なくて済み、コスト削減に繋がることもあります。また、資源を最大限に有効利用できることから、取り組む企業が増えてきています。 関連記事:サステナブルにファッションを楽しめるアップサイクルブランド5選 リサイクルとの違い 出典:unsplash.com リサイクルとアップサイクルは、廃棄物を再生させるという点で共通していますが、廃棄物を原料の状態に戻すかどうかという点が大きく異なります。 リサイクルは、役目を終えた物を原料に戻して、再度資源として利用するのに対し、アップサイクルは基本的に原料に戻すことをせず、元の製品の素材をそのまま使用します。 リサイクルは、原料に戻す際のコストや環境負荷がかかることも多いため、その負担が少ないアップサイクルの方がよりサステナブルな資源活用法として脚光を浴びています。 アップサイクルされている素材の例 出典:pixabay.com 今様々な業界で、廃棄物や生産によって生まれた余剰な物をアップサイクルする取り組みが始まっています。 ここからは、どのような素材がアップサイクルされるのか事例を紹介していきます。 生地・糸 アパレルの生産現場では、生地を裁断する時に出る切れ端「裁断くず」が生まれ、他にも余剰な糸が捨てられています。廃棄される裁断くずを使用し、再び糸として使えるようにしたものや、洋服、ハンガーにアップサイクルした製品が登場しています。 家具 買い替えサイクルは10年と言われる家具。不要になり回収をされた家具はまだ使えるのにも関わらず、そのまま廃棄処分ということも少なくありません。家具のアップサイクルでは、ペイントで色を塗り替える、木枠を付け足すなど、デザインを一新して、再び家具として生まれ変わらせる取り組みが行われています。 海洋プラスチック 分解されるまで数百年から数千年かかると言われている、海洋プラスチック。一見使い道のないように思われる海洋プラスチックも、きらきら輝くアクセサリーや、アパレル製品としてアップサイクルする活動が広がりを見せています。 漁網 不要になった漁網は、廃棄コストが高いなどの原因で海に不法投棄されていることが社会問題となっています。漁網の多くはプラスチックやナイロンからできており、放置すると海の生態系に悪影響を与えかねません。漁網のアップサイクルでは、その素材の強さを生かし、レインジャケットなどのアパレル製品や鞄、エコたわしとしてアップサイクルされ販売されています。 コーヒーかす コーヒーを抽出したあとに当たり前にように廃棄されていたコーヒーかす。特にカフェなどの店舗では毎日大量に廃棄されていたコーヒーかすですが、ボディスクラブやスイーツの原料などへアップサイクルするアイデアが生まれています。 タイヤ 自動車や自転車の廃タイヤは、土に還るのに膨大な時間がかかってしまう点や焼却時に有害物質が出ることなどが問題とされています。廃タイヤは耐久性や撥水性といった特徴を生かし、フットウェアのソールや、鞄、キャンプ用の小物などとしてアップサイクルされています。 ビニール傘 リサイクルをすることが難しいため、壊れてしまったら廃棄するしかなかったビニール傘。アップサイクルでは、ビニール部分を生地として利用したバックや小物があります。元々ビニール傘なので、撥水機能もしっかりしています。 野菜・果物 規格外などで捨てられていた野菜や果物を皮や茎をスナックとして加工したものが登場しています。また、アパレル製品の染色原料として活用する取り組みもあります。 アップサイクルによって生まれた製品 次にアップサイクルによって生まれた実際の商品をご紹介しましょう。 iTTo この投稿をInstagramで見る アップサイクルヤーンiTTo®︎ 世界で唯一のリアルTシャツヤーン(@itto0113)がシェアした投稿 iTToは、廃棄予定だった国内の新中古Tシャツから生まれた糸の「Tシャツヤーン」です。Tシャツヤーンの販売だけではなく、「作る体験を楽しんで、アップサイクルに興味を持って欲しい」という想いからワークショップも開催しています。カラフルな商品のラインナップを見ているだけで、ハンドメイド欲が高まってくるかも⁉ 公式サイト:iTTo ethical market HUG BROWNE(ハグ・ブラウン) この投稿をInstagramで見る HUG BROWNE®︎(ハグ・ブラウン)(@hug_browne)がシェアした投稿 HUG BROWNEでは、コーヒーが抽出された後に出るかすをその日のうちにカフェから回収し、新鮮な状態で原料化。それをボディスクラブの原料として使用しています。単なるアップサイクルアイテムでなく、動物性原料を使用していないヴィーガン処方。プラスチックスクラブ、シリコン、パラベン、動物性原料、合成着色料、合成香料なども使用していません。 公式サイト:HUG BROWNE Coffee Sugar Scrub どんどん身近になるアップサイクル! 2030年までに目標達成を目指すSDGsや、世界的な循環型社会への移行により、アップサイクルは今後より多くの企業が参入してくることが予想されます。 近年どんどん身近になってきているアップサイクル。みなさんの周りでもぜひ探してみてくださいね。
近年、国内外でサステナブルな社会づくりに向けた取り組みが盛んです。そんな状況のなか、大量にモノを生産し消費する従来のスタイルから、資源を再利用する方向へと変わりつつあります。そこで新たに生まれたことばが「サーキュラーエコノミー(循環経済)」です 本記事では、サーキュラーエコノミーの概要や事例を踏まえて、知っておきたいポイントをご紹介します。 サーキュラーエコノミーとは 出典:pexels.com サーキュラーエコノミー(Circular Economy)は、直訳すると「循環型経済」です。企業などの作り手が、モノやサービスを生産・構築する段階からリサイクルや再利用を視野に入れること。そして、なるべく新しい資源を使用しない、または消費量を抑えることを目指します。資源の価値を最大限に生かすこと、資源の消費を最小限にとどめること、廃棄物をなるべく出さないよう工夫することを目的とした循環型のシステムのことです。 従来のリニアエコノミーとの違い 出典:pexels.com サーキュラーエコノミーが普及する前は、大量生産が行われ、使い終わったら処分して終わりというリニアエコノミー(Linear Econony)という経済システムがごく当たり前でした。 下図のように、サーキュラーエコノミーが循環型の丸い形で表されるのに対し、リニアエコノミーは直線的に表されます。 出典:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/html/hj21010202.html しかし、自然環境に負荷がかかり、これからさらに世界の人口が増えていくなかで、このリニアエコノミーのシステムのままだと、多大な資源を消費することになり、ゴミの量が増えるだけでなく、生産や焼却によりCO2の増加につながります。その結果、地球環境を脅かすという問題に発展してしまうのです。 近年のSDGsの取り組みの流れも相まって、生産して使って捨てるという一方通行のシステムではなく、資源を効率的に循環させ、環境への負担を最小限にとどめるサーキュラーエコノミーで経済や社会を回していこうという流れができました。 つまり、リニアエコノミーとサーキュラーエコノミーの違いは、資源を新しく取り入れて生産と消費を行い、廃棄物を出すか、資源を有効利用した生産で使い終わった時に再び3R(リデュース、リユース、リサイクル)ができるようにして資源を循環させるか、という違いです。 サーキュラーエコノミーの事例 それでは、サーキュラーエコノミーに取り組んでいる企業や自治体の事例を見ていきましょう。 RE.UNIQLOプロジェクト|株式会社ファーストリテイリング UNIQLOを国内外に展開している株式会社ファーストリテイリングでは、「RE.UNIQLO(リユニクロ)」というプロジェクトをスタート。自社商品全てを回収対象とし、生活が困窮している難民へ支給する、CO2削減がかなう代替燃料へ再生させるなど、再利用の取り組みが始まっています。また、ダウンリサイクルでは、使わなくなったダウンが最新のアイテムに。 「服が新しい服に生まれ変わる」という面白い取り組みを進めています。 参考:RE.UNIQLO:あなたのユニクロ、次に生かそう。|服のチカラを 神戸プラスチックネクスト|神戸市 神戸市は、大手製薬メーカーや日用品メーカーなど19の企業や団体と連携して、プラスチック材のゴミを回収し、再生するシステム「神戸プラスチックネクスト」を発足しました。シャンプーなどのプラスチック製詰め替えの袋を回収する専用ステーションをスーパーなどに開設し、普及を進めています。 プロジェクトの特筆すべきポイントは、「水平リサイクル」を推し進めている点。今までは、リサイクルされてできた新たな製品は、使用後ゴミとして捨てられていました。しかし、水平リサイクルはリサイクル後に全く同じ製品に戻すことによって、何度も同じ製品として使い続けることができるのです。 この新しいリサイクル方法を確立するために、日用品メーカーは、リサイクル試験を通じて課題や技術を共有。よりリサイクルしやすい、つめかえパックの素材や形状を議論するなど、企業同士協力しながら、循環可能な詰め替えパックの開発に取り組んでいます。 参考:神戸プラスチックネクスト 持続可能な天然ゴム農園の運営|株式会社ブリヂストン 人口が増え車の台数の増加に伴い、さらなる需要が見込まれるタイヤ。 ブリヂストンでは、より良い地球環境を次世代につなぐため、サーキュラーエコノミーへの取り組みを始めています。 原材料の使用量を抑え、資源の再利用やリサイクルされた原材料を一部に採用。また、再生可能な資源の利用も積極的に行っています。 2021年にはタイヤを原材料に戻すリサイクルの研究開発をスタートさせました。 また、再生可能資源として、持続可能な天然ゴムを生産できるよう、東南アジアの農園をバックアップ。最新のテクノロジーなどを用いて、生産性アップを目指しています。 参考:https://www.bridgestone.co.jp/csr/environment/resources/index.html 私たちの生活の中にもサーキュラーエコノミーを取り入れよう 出典:pexels.com 今回はサーキュラーエコノミーの概要と自治体、企業が取り組む実例をご紹介しました。次世代の人たちが豊かな暮らしができるよう、今後さらに国内外であらゆる取り組みがなされていくことでしょう。 私たちも、購入するときから廃棄にならないもの・リサイクルできるものを選ぶ、不要になったときはゴミにせずリユースするなど、普段の生活の中で「サーキュラーエコノミー」を実現することができます。「今、できること」を考えていきたいですね。
物価の高騰が続く今。こんな時にこそ見直したいのが地元で採れる生産物です。地産地消はよく聞く言葉ですが、私たちにとっても環境にとっても嬉しいメリットがたくさんあります。今回は地産地消のメリットについてご紹介します。 地産地消とは 出典:pexels.com 「地産地消」とは、「地域生産、地域消費」の略称です。地元で栽培し、収穫(生産加工)された農作物や畜産物、海産物を地元で消費するという意味です。都道府県内で採れたもの、市町村で採れたものなど使われ方はケースによって異なりますが、基本的には「近場で採れたもの」のことです。地産地消の一例としては、畑のそばにある野菜の無人販売や、道の駅、地元スーパーの地元野菜コーナーなどが挙げられます。 地産地消のメリットとは? 出典:pexels.com 地産地消がメリットとしては、主に次の4つが挙げられます。 1.生産者との距離が近い 2000年代に入り、国内で食品業界において度重なる事件事故(食品偽装事件など)が発生しました。このような社会背景も相まって、私たち消費者は自分たち口に入る食品の「安心・安全性」に関心が向けられるようになりました。供給する側(=生産者)は、消費者が安心して食べてもらえるよう「生産者の情報の見える化」に注力するようになったのです。野菜ならば、パッケージに地元の生産者の顔を載せて販売するなどの工夫がなされるようになりました。 最近では、学校給食でも地元野菜を積極的に取り入れており、子どもたちが、地産地消によって自分の住んでいる地域を知るきっかけにもなっています。 2.新鮮な食料を購入できる 地元で生産・収穫されたものは、海外や遠くの地域のものと比べて、生産者から私たち消費者に届くまでの時間が短いケースがほとんどです。朝採りなど、収穫したての新鮮な野菜などが手に入りやすいのです。しかも、地産地消のなかには卸業者を介さないルートを確立している場合もあるので、この場合、中間マージンが発生せず、品質の良い食品をお手ごろな価格で調達できます。 3.環境負荷が低い 海外で生産された食品は、飛行機や船で輸送され、それに伴って多くのCO2が排出されます。それに比べて地元野菜や地元で加工された食品は、輸送にかかる環境負荷が低くなります。また、食品を輸入するということは、海外の生産地の水や資源を間接的に消費しているということです。輸入した食品を自国で生産した場合の水の使用量を計算できるバーチャルウォーターを見ても、輸入した食品の環境負荷の高さを知ることができます。 関連記事:バーチャルウォーターとは?日本に住む私たちができること 4.安定的に供給が見込める 今は食料を安定して輸入できていても、社会情勢や異常気象の影響で輸入がストップしてしまうというリスクは常にあります。農作物は気候によっても左右されますが、国内で生産されたものに関しては、価格・量などある程度安定して手に入れることができます。国内や地元地域で、住民をまかなえる十分な食料を生産しているということはとても大切なことです。 日本でできた食料をどのくらい食べている? 出典:pexels.com 地産地消が広まるということは、国内の食料自給率も上がるということです。それでは現在日本の食料自給率はどうなっているのでしょうか。食料自給率を農林水産省が発表した食品自給率についてのグラフは次のとおりです。 出典:日本の食料自給率:農林水産省 昭和40年には86%あった食料自給率も令和3年には63%まで下がってきており、価格の安い外国からの輸入に頼っているのがわかります。しかし、第一産業(※農業、漁業)従事者の高齢化、後継者減少などの問題があり、日本の食糧自給率の大幅な改善は見込めない状況です。このような困難な状況のなか、どのようにして自給率を上げていくか、大きな課題になっています。 地産地消のためにできる買物のアイデア 出典:pexels.com 私たちのライフスタイルに地産地消を取り入れるには、どのような方法があるでしょうか。取り入れやすい買い物のアイデアをご紹介していきます。 SNSやインターネットで地元の情報をチェックする 生産者や販売者のなかには、多くの方に自分の事業を知ってもらうようSNSなどを通じてアピールしている場合も。インターネットやSNSで地元の農家などを探してみましょう。旬で新鮮なものや、珍しい野菜、地元で栽培されているのを知らなかったようなものまで見つかることも。 ファーマーズマーケットで買い物をする 生産者に直接会うことのできるマーケット。地元の農家さんと話をしながらするお買い物はスーパーとは一味違った楽しみがあります。生産者の顔が見えるのは安心にも繋がりますよね。家から近いマーケットやマルシェを探してみてはいかがでしょうか。 関連記事:【都内近郊18選】生産者に会えるファーマーズマーケットに行こう 産直サービスで近場の農家を見つける 生産者から直接農産物や肉、魚などを購入できるサイトが増えてきています。サイトではこだわりの詰まった生産物や、季節の野菜・果物に出会うことができます。全国各地からお取り寄せできますが、より自宅から近い生産者さんを見つけておくと、送料も安くすむのでおすすめです。 無人販売などの不揃い品を工夫する 無人販売は農家が多い地域など、場所によってあるところとないところがありますが、実は新鮮な野菜を低価格で購入できる穴場。朝どれの野菜が手に入ります。なかには規格外品や不揃い品などが混在している場合がありますが、そのような野菜は調理を工夫すれば、スーパーの野菜を変わらず美味しく頂けます。 地産地消で環境にも人にも優しい食卓を 出典:unsplash.com 今回は地産地消のメリットと私たちができるアクションについてみてきました。地産地消は、新鮮な食品を安く食べられることに加えて、CO2削減など環境負荷の軽減にもつながります。食材を買い物する際には、住んでいる地域の地産地消の取り組みをチェックし、日々の生活に取り入れられる地産地消のアクションを考えてみましょう。
近年、国全体で長時間労働や雇用格差などを見直す動きが進んでいます。その流れによって、これまでの働き方が見直され、少しずつですがそれぞれのライフスタイルを重視した働き方が選べるようになってきました。今回は、新しい働き方につながるワークライフマネジメントについて解説していきます。 ワークライフマネジメントとは? 出典:unsplash.com ワークライフマネジメントとは、自分のペースに合わせて仕事(Work)と私生活(Life)の管理を行い、バランスを取りながら両方とも充実させていく考え方です。 自分自身で仕事もプライベートもマネジメントすることで、仕事に意欲がわき成果を出しやすくなり、オフタイムは自分の好きなことや興味関心のあることを存分に楽しめるようになるといわれています。 ワークライフバランスとの違いは? ワークライフマネジメントは、ワークライフバランスと混同される場合がありますが、ふたつのワードの相違点は、「自発的」に動いているか否かです。 ワークライフマネジメントは、仕事や私生活を自らコントロール・管理する意味合いが含まれています。一方でワークライフバランスは、企業サイドが時短勤務やフレックス制度、短時間勤務などを設けて、従業員に提案や奨励をするようなかたちのことを示します。 ワークライフマネジメントが注目される背景 出典:pexels.com 日本ではこれまで、長時間労働やみなし残業といった労働形態が大きな社会問題になってきました。会社や業界にもよりますが、現在、労働環境は改善されている傾向にあり、そのような流れで出てきたのがワークライフバランスという言葉です。 ワークライフバランスもワークライフマネジメントと目指すところは一緒でしたが、前述した通り、次第に“会社が社員に制度として提供するもの”という意味合いが強くなってきてしまい、社員はその制度を受け取る、受け身の状態であることが懸念されていました。そこで、社員自らが仕事とプライベートを充実させようと管理することが大切だという本来の認識を取り戻すべく、ワークライフマネジメントという言葉が新しく誕生したのです。 ワークライフマネジメントのメリット ワークライフマネジメントが進むと個人にとって、以下のようなメリットがあります。 ・モチベーションの向上働き方やプライベートに満足していればモチベーションが向上。双方のクオリティアップにも繋がります。 ・やりがいを感じるやらされているわけではなく、自ら選択しマネジメントすることはやりがいに繋がります。 ・ライフステージが変わっても働き続けることができる働き方を選ぶことができれば、親の介護や出産・育児など様々な理由で離職する可能性も少なくなります。 一方企業にとっても以下のようなメリットが生まれます。 ・優秀な人材の確保ライフステージの変化によって職場を離れるケースが減少することは、優秀な人材の流出を抑止することにも繋がります。 ・生産性の向上一人ひとりのモチベーションが上がることにより生産性の向上が見込めます。 ・新たなアイデアの創出プライベートを充実させることで、仕事においても革新的なアイデアが生まれるかもしれません。近年子どもだけでなく、大人にとっての“遊び”の重要性が注目されています。 ワークライフマネジメントの企業事例 社員自ら生活をマネジメントするためには、それが叶うような職場の環境が非常に重要です。最近は、ワークライフマネジメントを推し進める企業が出てきています。主な事例として次の3社があります。 株式会社ベネッセホールディングス 株式会社ベネッセホールディングスでは、多様な働き方によって仕事(Work)と私生活(Life)の両方を大切にすることを推奨しています。在宅勤務やフレックス勤務などの働き方だけでなく、リスキル休暇といった自己研鑽に充てる休暇も提供し、従業員が満足できる働き方を実現しています。 参考サイト:働きやすく活気ある職場づくり(労働慣行) | 社会 | サステナビリティ | 株式会社ベネッセホールディングス 株式会社日本総合研究所 株式会社日本総合研究所では、性別やライフステージを問わず『社員全員にとって働きやすい職場づくり』を推進。ライフステージに合わせた働き方の選択肢を設け、女性のキャリアステップにおけるロールモデルの拡充や、多様な価値観に応じた柔軟で生産性の高い働き方の実現を目指しています。 参考サイト:ワークライフマネジメント|学生向け・キャリア採用向け情報サイト|日本総合研究所 千寿製薬株式会社 千寿製薬株式会社では、ライフワークバランスから一歩踏み込んだライフワークマネジメントを軸にした働き方改革を実践。充実した休暇制度や、子育てや介護に関する制度、在宅勤務制度など、全社員が「ワークライフマネジメント」の当事者であると認識し、仕事と生活を充実させるために主体的に働き方を考えられるような取り組みを行っています。 参考サイト:「仕事と生活の調和」のさらに先へ 「ワークライフマネジメント」の推進 | SENJU SENSE | 千寿製薬について ワークライフマネジメントで充実した働き方とライフスタイルを叶えよう 自分で仕事も生活をマネジメントし、充実させることは簡単なことではないように思うかもしれませんが、自らの生活や人生について考えることは私たちにとって大変重要なことです。ライフワークマネジメントをキーワードに、会社の制度を再度確認し、自分の希望の働き方やプライベートの時間を見つめなおしてみるのもいいかも知れません。
グローバル化が進展する中、その流れとは逆を行く「ローカリゼーション」というワードが世界中で注目を集めています。ローカリゼーションとはなにか、なぜ今注目されるのかを解説しています。 ローカリゼーションとは 元々、ローカリゼーションとは、自分たちの手がけた製品もしくはサービスを特定のマーケットに適応させる取り組みのことでした。 最近では、ローカリゼーションは、地域社会に紐づくワードでも使われるようになっています。この場合の意味合いは、地域内の資源やお金を回すことで、生産に携わった人と消費者が距離を縮めながら、自分たちで地域を活性化するということを指します。グローバル化が進み、安価な輸入品が手に入り、便利になった一方で、地域の文化が失われることが危ぶまれ、地元産のものを購入し、地域の活動を盛り上げようとするローカリゼーションのムーブメントが世界中で起こっています。 グローバリゼーションとローカリゼーション ローカリゼーションは、グローバリゼーションの対極にあるといってもいい言葉です。様々な国から調達した原料を使い、労働力のある国の工場で大量生産し、それを輸送して別の場所で売る、といった仕組みを持つのがグローバリゼーションです。私たちが普段購入する洋服や雑貨などあらゆるものが、複雑なサプライチェーンを持っています。 一方、ローカリゼーションでは、地元で採れたものや生産されたものを地元で売るというようなことが進みます。「地方創生」「地産地消」などもローカリゼーションの一環です。 関連記事:実はこんなにたくさん!地産地消のメリットとは ローカリゼーションが注目される背景 出典:unsplash.com 近年、ローカリゼーションが注目さる主な背景として以下のようなものが挙げられます。 人とのつながりが希薄となった 少子高齢化や核家族の増加、そして新型コロナウイルス感染拡大によって、家族以外の人と触れる機会が減っています。なかには近所付き合いが全くないという人も一定数います。このような人が地域の中で取り残されないよう、地元の人通しで繋がれるローカリゼーションが必要とされています。 地域文化の継承が難しくなった 日本では地方の過疎化が加速し、働き盛り世代で地域を担う人が少なくなっています。そのため地域の文化や伝統、技術の継承が大変難しい状況です。その解決のひとつとして、ローカリゼーションを加速させ、地域の魅力を再発見することが挙げられます。 ローカリゼーションのメリット ローカリゼーションのメリットは、地域の人と人との繋がりが密になることで、「絆」が強くなることです。例えば、地域全体で地域に住む子どもの面倒を見ることで、自分の居場所を確保しやすくなり、世代を超えてコミュニティが構築されます。地域のコミュニティは有事の際にも重要で、例えば災害があった場合でも安否の確認がしやすくなり、避難するのが困難な高齢者や障がい者に声を掛け合うなど、お互いに助け合うことができます。 また、地域で経済が回ることで、地域の活性化が見込めます。新しい取り組みや場所、商品などが地域から生まれることにより、新たな雇用の創出や、若い世代が地域に残って生活することに繋がるかもしれません。活性化することで地域外の人からも目に留まりやすくなり、地域文化の継承や後継者不足の問題解決にも繋がる可能性があります。 最後に、環境にもたらす影響も少なからずあります。遠くの国から輸入してくるモノや食品と比べて、地域でできたものは「フードマイレージ」が低く、輸送にかかる環境負荷が抑えられます。 関連記事:フードマイレージとは?買い物するときに注目したいポイントを解説 ローカリゼーションのデメリット ローカリゼーションが進むことで私たちの生活にマイナスの影響はあるのでしょうか。 今私たちの身の回りには、安価で生産数も安定しているものが多くあり、豊富な種類が手に入ります。これはグローバリゼーションの賜物です。一方、ローカルで作られるものは、大量生産でないことも多く、供給は安定しないかもしれません。また、生産者との公正な取引から、価格も多少高めに設定されることもあります。しかし、ローカリゼーションが進み、地域の経済が潤うようになれば、このような問題も少なくなってくるでしょう。 ローカリゼーションの国内具体例 ローカリゼーションの取り組みとして、各地で施策が始まっています。 JAあいち三河 JAあいち三河では、ローカリゼーションの一環として中山間地域を中心に金融機関の移動車と移動購買店舗車の運転をしており、地域に住む方の生活インフラを整えています。ほかにもいちご農家の減少を食い止めるための「いちご塾」を開校し、次世代を担う農家の育成にも注力しています。 参考:JA あいち三河 × SDGs 兵庫県豊岡市 兵庫県豊岡市では、若者の人口減少にフォーカスした取り組みを積極的に行っています。ほかにもジェンダーギャップの解消と外国人定住者の受け入れなど、誰もが暮らしやすい地域を目指すため、今の時代背景を考えた施策を提案し、実行しています。 参考:豊岡市の地方創生戦略 (人口減少対策) 豊かな地域を育むために 出典:unsplash.com 地域過疎化・後継者不足といった深刻な地域の問題を解決していくためには、ローカリゼーションは必要な要素です。最近は、若い世代や移住した人たちが地方を盛り上げる取り組みも多く見られます。 経済やコミュニティを豊かなものにして、地域が力をつけていくために、私たち個人ができることはたくさんあります。生産者に会えるマーケットに出かけて地元の野菜を買う、地域の産業や伝統文化を知ることも、そのひとつです。世界でも注目されるローカリゼーションは、日本でもますます大切な取り組みとして広まっていくことでしょう。
カーボンニュートラルは、私たちの住む地球を持続可能なものにしていくためのキーワードの一つです。近年、テレビや新聞で取り上げられることも増え、国や企業を中心にカーボンニュートラルを意識した取り組みが広がっています。こちらの記事では、少し難しいように感じるカーボンニュートラルについて、かみ砕いてわかりやすく解説します。 カーボンニュートラルとは 出典:unsplash.com カーボンニュートラルとは、人の活動が起因となって発生する温室効果ガス(CO2など)の排出量から、植林などによる「吸収量」を差し引き、排出量の合計を実質的に「ゼロ」にすることを指します。 2015年のパリ協定では、世界共通の長期目標として、 ・世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標) ・今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること などが合意されました。 これに伴い、日本を含む120以上の国が2050年までにカーボンニュートラルを達成するために取り組みを始めています。 カーボンニュートラルが必要な理由 出典:unsplash.com 世界では海面上昇や砂漠化、大規模災害、深刻な水不足など、気候変動が人々や生態系に大きな影響を与えています。私たちの住む日本も例外ではなく、埼玉県や群馬県、岐阜県といった内陸の県の夏は異常な暑さとなり、全国的にゲリラ豪雨などによる被害も多く発生しています。 世界の国々が一丸となってカーボンニュートラルを目指す主な理由は、このような気候変動危機を回避することにあります。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、世界で工業化が進んでから、世界の平均気温は約1.1℃上昇しているとされており、人類や地球上の生態系に深刻な影響が出る境界値は工業化からプラス1.5℃と言われており、気温上昇はあと0.4℃に抑える必要があるのです。 持続可能な未来に向けて、今すぐ私たちが取り組まなければならない喫緊の課題である気候変動。気候変動を食い止める一つの策としてカーボンニュートラルの取り組みが求められています。 日本政府も目指す「2050年カーボンニュートラル」 日本では、2020年10月に開かれた臨時国会の所信表明演説において、当時の内閣総理大臣だった菅義偉氏が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指す」という宣言をしました。 日本は、CO2だけに限らず、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを温室効果ガスとして削減することを目指しています。現在国内の温室効果ガスの排出量は、年間12億トンを超えると言われています。「2050年カーボンニュートラル」を確実に進めるために、2030年には温室効果ガスを2013年度の46%削減することを目指し、段階を踏んで達成していくことを宣言しています。 国が進める具体的な取り組み 日本政府はカーボンニュートラルを現実のものとするために、多方面での取り組みを行っています。いくつか具体的な事例を見ていきましょう。 グリーン成長戦略 並大抵の努力では実現が難しい2050年カーボンニュートラル。目標を達成するためには、エネルギー・産業の構造の大きな転換や、投資によるイノベーションが必要となります。積極的に温暖化対策を行うことが成長のチャンスであるという考えのもと、「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策 がグリーン成長戦略です。国は、再生エネルギーの促進をはじめとし、農業やIT産業など14の分野でそれぞれの課題や目標を明記。税金の投入や、規制改革および標準化・国際連携などを通して全面的に企業をサポートします。 ゼロカーボンシティの実現 環境省は、地方公共団体の脱炭素化への取組に対し、情報基盤整備、計画等策定支援、設備等導入を支援しています。2050年カーボンニュートラルを宣言する地方公共団体は増加してきており、2022年12月時点では、800を超える地方公共団体が取り組みを始めています。 脱炭素社会の実現に向けて 国の動きに連動して、国内では脱炭素社会に向けた取り組みを行う大企業が増えてきています。国や企業が脱炭素社会に向けて取り組むインパクトは、社会にとって大変大きいもので、2050年カーボンニュートラルの実現のためには不可欠です。 私たちの生活に関わる企業も取り組みを始めています。そのような企業に注目することが私たち一人ひとりにできるカーボンニュートラルに向けたアクションになってくるでしょう。 【参考】令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)第1部 第2章|資源エネルギー庁国の取組 - 脱炭素ポータル|環境省
みんなが住みやすい社会を作っていくためのソーシャルデザイン。近年国内外で、人にフォーカスした社会づくりや街づくりが活発になっています。今回は、国内・海外から注目のソーシャルデザイン事例をピックアップ。もともとあった場所をどんな世代の人でも使えるようにバリアフリーにすることでみんなが集まれる場所へとリニューアルしたり、人と自然が共存できる場所を作ったりと、アイデアに溢れた場所がどんどん増えてきています。各地でどんな取り組みが進んでいるのか見ていきましょう。 関連記事:https://rootus.net/article/1490 日本のソーシャルデザイン事例3選 アーティストが提案する憩いの場「HIROPPA」(長崎県波佐見町) この投稿をInstagramで見る 有限会社マルヒロ(@maruhiro.hasami)がシェアした投稿 「HIROPPA(ヒロッパ)」は、磁器づくりの歴史がある波佐見町に拠点を構え、波佐見焼の食器や雑貨を販売する企業、マルヒロが2021年10月にオープンした複合施設です。敷地内には国内外のアーティストが手がける作品が点在しているのが特徴です。芝生をメインとした公園を中心とした施設には、コーヒーショップやマルヒロの直営店、キオスクを併設。ベビーカーや車椅子でも回れるよう、バリアフリーの通路を完備するなど、老若男女どんな人でも楽しめるコミュニティースペースとなっています。また、子どもたちに自由に遊びを楽しんで欲しいとい願いから、公園には一般的な遊具はあえて設置していません。廃棄予定の波佐見焼を利用した白い「砂浜」など、気軽に地域の伝統に触れられる工夫が随所に施されています。 マルヒロ公式サイト https://www.hasamiyaki.jp/ HIROPPA公式サイト https://hiroppa.hasamiyaki.jp/ 子どもも大歓迎のくつろげる空間にリニューアル(滋賀県立美術館) この投稿をInstagramで見る 滋賀県立美術館SMoA(@shigamuseum)がシェアした投稿 1984年に開館した滋賀県立近代美術館。時代の変化に合わせて、敷居の高いイメージだった美術館から、どんな人も広く受け入れる「くつろげる美術館」を目指し、大幅な改修を経て、2021年6月に滋賀県立美術館としてリニューアルオープンしました。ガラス張りの大きな窓から光が降り注ぐ、明るいキッズスペースには様々な空間設計がされています。琵琶湖をイメージしたという柔らかなフォルムのプレイマットの傍に本棚を設置し、遊びながら自然にアートと触れ合うことのできる仕掛けを施したり、椅子と机は低めにすることで乳児~小学生までの使用を可能にしています。また、授乳室のあるファミリールームやファミリートイレも完備。大人の楽しむ場所のイメージが強い美術館が、幅広い年代の集う空間へと生まれ変わりました。 公式サイト https://www.shigamuseum.jp/ 企業と警察が一緒に課題を解決(広島県尾道市) おのみちサイクルポリス隊員が,サイクルイベント「グラン・ツール・せとうち2022」で,参加者に法令遵守と交通事故防止を呼びかけました。5月は「自転車マナーアップ強化月間」です。交通ルールの遵守とマナーの向上を目指しましょう。「自転車も ルールを守る ドライバー」【#尾道警察署】 pic.twitter.com/dsQpTLojkh— 広島県警察(公式) (@HP_maplekun) April 27, 2022 広島県尾道市は、しまなみ海道のサイクリングの拠点となっており、レンタサイクルやサイクリストのための施設などが充実する「サイクリストの聖地」。コロナ以前は年間30万超のサイクリストが訪れていましたが、来訪者の一部にはマナーやモラルに欠ける行為もあり、地元住民を悩ませていました。尾道サイクリング協会は、2017年10月、事故防止とマナー啓発に役立てて欲しいとの願いを込めて、尾道署へポリス特別仕様の自転車5台を寄贈。フラットバーを採用したハンドルや、誘導灯、サイドミラーを装備するなど警察官が使いやすいデザインとなっていて、坂道の多い尾道でも乗りやすいよう設計されています。高い機能性を備えた自転車でパトロールする「サイクルポリス隊」は、尾道のまちづくりを支えるシンボル的存在です。 海外のソーシャルデザイン事例3選 使われなくなった街の電話ボックスを現代風にアップグレード(中国・上海) スマートフォンの普及により現代人には馴染みの薄い存在になりつつある公衆電話。上海では、使われずに街の中でスペースを取っていた公衆電話ボックスを、誰もが使えるスペースに改修する取り組みが行われています。目に飛び込んでくるのはビビッドなオレンジに塗りつくされた内装。かつての電話ボックスは個室タイプですが、再生後は歩道側の壁をなくし、誰でも座れるパブリックスペースに生まれ変わりました。イス、テーブルにフリーWi-Fiと充実の設備で、カフェさながらのつくりに。公衆電話の機能を残しながらも、現代にマッチしたスペースは街の人たちに有効利用されています。 公式サイト https://100architects.com/project/orange-phonebooths/ 人々が気軽に集まれる都市型デザインの移動式空間(チェコ) この投稿をInstagramで見る KOGAA(@kogaa_studio)がシェアした投稿 都市は華やかで活気がある一方、人々の孤立も生む一面も合わせ持っています。チェコのデザイン事務所が提案するのは、都市空間の活用されていないスペースに「移動式」のパブリックスペースを作り、街を活気づけるアイデアです。屋根のない円形型の移動式建築「AIR SQUARE」にはベンチが備え付けてあり、人々の憩いの場として活用され、イベントやファーマーズマーケットとしても使用可能。上部リングにはヒートアイランド対策として熱を和らげる効果がある他、夜間には照明の役割を担い、街の安全性に貢献します。どんな人も気兼ねなく使えるようにバリアフリーに設計されています。 公式サイト https://www.kogaa.eu/projects/air-square 野鳥とサステナブルを体験する宿泊施設(スウェーデン・ハラッズ) この投稿をInstagramで見る Treehotel(@treehotel)がシェアした投稿 Biosphereは野鳥保護を目的としてスウェーデンの宿泊施設「Treehotel」内に作られた客室です。ホテルのコンセプトはサステナビリティと自然環境を楽しむこと。総数340個の鳥の巣箱が、木の上に建てられた客室を360度ぐるっと囲むように設置され、客が鳥たちの住まいにお邪魔させてもらっているかのようなユニークなデザインに。鳥たちの生息地で暮らす体験を通して、サステナビリティへの新たな知見を得ることができ、人々の癒しにも繋がります。 公式サイト https://treehotel.se/en/rooms/the-biosphere 世界的に広がりをみせるソーシャルデザイン 国内外のソーシャルデザイン事例を紹介しました。世界的にも人が暮らしやすい街づくりは注目されており、さらには自然保護も掛け合わせて、新たなアイデアが次々と誕生しています。より良い社会を作るのに欠かせないソーシャルデザイン。みなさんもぜひ身の回りのソーシャルデザインを探してみませんか。
皆さんは食材を買う際にどのような点チェックしますか。持続可能な食の未来を考えるとき、まず確認しておきたいのが、食材の原産地です。本記事では、買い物をするときに取り入れたいアイデア、「フードマイレージ」について解説します。 フードマイレージとは 出典:unsplash.com フードマイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標のことです。地産地消を進めて環境負荷を減らそうとイギリスで広がった「フードマイルズ運動」を参考に、20年前に日本の農林水産省農林水産政策研究所が提唱しました。 フードマイレージの計算方法 出典:pexels.com フードマイレージの計算式は簡単で、以下の方法で算出できます。 フードマイレージ=「食料の輸送量(t)」×「輸送距離(km)」 ※単位はt・km(トン・キロメートル) フードマイレージは、数値が大きければ大きいほど、購入者と生産地が離れていることを表します。食品が私たちの食卓に並ぶまでには、輸送のプロセスを経ていて、移動や品質保持のため、石油などのエネルギーが使われ、CO2が排出されているのです。つまり生産地と食卓の距離が長ければ長いほど、環境に負荷をかけているということになります。 フードマイレージが小さい食材のメリット フードマイレージが小さい食材のメリットは、運送コストがほとんどかからず、地球環境に与える負荷が少ない点です。生産地から食卓までの輸送距離が短いと、CO2の排出を最小限に抑えることができます。同じ食材を選ぶのであれば、地元や近くの生産地で収穫された食材の方が、環境に優しいのです。また、国内で生産されたものを選ぶことは食料自給率の向上にも繋がり、これは持続可能な食の在り方に欠かせません。 日本のフードマイレージ 農林水産省が公開した「令和3年度食料需給表」の資料によると、近年の日本の食料自給率は4割に満たない数値が続いており、欧米と比べても明らかに低いということがわかります。 出典:農林水産省大臣官房政策課 食料安全保障室 令和3年度食料需給表(pdf) また、農林水産省では、主要国のフードマイレージに関するデータも公開しています。 グラフを見てもわかるとおり、食料自給率が低い日本は食料を海外に依存しているということもあり、フードマイレージの数値が極めて高いという結果となっています。 出典:「フード・マイレージ」について - 農林水産省(pdf) この2つのデータやグラフから見てもわかるとおり、私たちが普段食べている食材の多くは輸入に頼っており、食卓に並ぶまでには大きな環境負荷がかかっていることが見て取れるでしょう。 フードマイレージのデメリット 出典:pexels.com 食材が生産地から食卓に並ぶまでの環境負荷などがわかるフードマイレージですが、留意しなければならない点もあります。まず、フードマイレージの指標は、食品の輸送に限定されているという点です。例えば生産段階でどのくらいCO2が排出されているかなどは考慮されていません。そのため、単純に海外で作られたものの方が国産に比べて環境負荷が高いとは言い切れないのです。どのくらい環境に負荷がかかっているのかは、生産から総合的に見なければなりません。また、輸送手段によってCO2の排出量は異なるという点も留意したいところです。トラックよりも船の方がCO2排出量は格段に少ないですが、これはフードマイレージには反映されていません。 以上のように、簡単に算出できるフードマイレージだけでは総合的な環境負荷は判断しきれません。しかし簡単だからこそイメージがしやすく、私たち消費者が買い物をする上でアクションに結び付けやすいのではないでしょうか。フードマイレージも含め、食材がどのように作られて、どのように私たちの元にやってきたのか、生産や輸送の背景を知ることが大切なのです。 フードマイレージの小さいものを選ぶには 出典:unsplash.com フードマイレージが小さいものを選ぶポイントは以下のとおりです。 ・生産地をチェックする ・住んでいる地域の特産品をリサーチする ・食材を選ぶときは外国産ではなく、なるべく国産を選ぶ 他にも近くで開催されているファーマーズマーケットなどに足を運んでみるのもおすすめです。直接生産者から地元野菜を購入できるメリットがあり、生産の背景を知ることができます。 関連記事:【都内近郊18選】生産者に会えるファーマーズマーケットに行こう 私たちが普段触れている食料になかには、コーヒーやアボカドなど国内で生産していない食料があり、すべての食料を環境負荷の少ないものに切り替えることは難しいのが現状です。 しかし、一人ひとりが地元や国内で手に入る食料を知り、フードマイレージを小さくしようとする意識の積み重ねで、環境への影響が変わってきます。食料の選び方のひとつにフードマイレージを取り入れてみてはいかがでしょうか。
各国が抱える経済格差や貧困、環境汚染などの解決すべき課題。世界にはそんな時代に一石を投じるチェンジメーカーがいます。今回は私たちの社会にインパクトを与え、新たな波を起こしたチェンジメーカーをご紹介します。 チェンジメーカーとは 出典:unsplash.com チェンジメーカーとは、ビジネスや活動を通して社会の課題解決にチャレンジし、新しい風を吹き込むような人を指します。時代によって社会の課題は異なるので、チェンジメーカーと呼ばれる人の定義も社会の状況によって変化するものですが、今日の社会では、チェンジメーカー=社会起業家のようなイメージもあり、物質的な豊かさではなく精神的な豊かさを求め、貧困や環境問題などに取り組む人が支持を得ています。 世界のチェンジメーカー7人 社会にソーシャルグッドなインパクトを与えるだけでなく、私たち個人にも新しい発想をもたらしてくれるチェンジメーカー。 今回は、世界的に大きな影響を与える現代のチェンジメーカー7人をピックアップしました。 ホセ・ムヒカ氏 ホセ・ムヒカ氏は、ウルグアイの元大統領です。2012年にブラジル・リオデジャネイロでの国連会議で大量消費社会を痛烈に批判し、人類にとって本当の「幸せ」とは何かを訴えたスピーチで一躍有名になりました。貧困をなくす政策を推し進めた大統領時代には、自身の給料の9割を寄付。大統領公邸には住まず、郊外の質素な家で妻と生活していたことから、敬愛の念を込めて「世界でいちばん貧しい大統領」とも呼ばれ、過去には日本でもドキュメンタリー映画が上映されました。ウルグアイだけでなく世界中にファンの多い元大統領です。 ムハマド・ユヌス氏 ムハマド・ユヌス氏は、バングラデシュ出身の経済学者であり、実業家です。貧困の根絶を目指し、1983年に無担保小口貸付を行うグラミン銀行を創設。生活に困難な人たちの自立支援に尽力しました。2006年にはグラミン銀行とともに、ノーベル平和賞を受賞。無担保小口貸付の仕組みはマイクロ・クレジットと呼ばれ、それを取り入れたマイクロ・クレジット・バンクが、60カ国以上の国で設立されています。日本でも、ユヌス氏のビジネスモデルをベースに「一般社団法人グラミン日本」が、シングルマザーを中心とした支援を行っています。ユヌス氏はそれまで難しいとされてきた貧困の根本的解決に挑み、その仕組みが世界に大きな影響を与えているのです。 ケイト・ラワース氏 ケイト・ラワース氏は、イギリス出身の経済学者です。自身の著書『ドーナツ経済学が地球を救う』では、地球を気候変動から守りつつ、貧困や格差を解消していく経済活動のモデルを「ドーナツ」型の図にしたことで多くの人たちから注目を集めました。これまで社会が当たり前に追い求めてきた成長ではなく、持続可能な繁栄の社会を作ることを提案しています。その持続可能なモデルは、各国の自治体からも支持を受け、オランダのアムステルダムでは市をあげてドーナツ型の経済のかたちを目指しています。 セリーナ・ユール氏 セリーナ・ユール氏は、ロシア出身で現在はデンマークで活動する食品ロス問題の専門家であり、NGO団体「Stop Wasting Food movement Denmark」の設立者です。デンマークで目の当たりにした大量の食品廃棄に疑問を持ち、2008年にフェイスブックページでグループを作ってロスをなくす運動を開始。スーパーなどに声をかけ、無駄が出やすい食品のまとめ売りをなくすところから始めました。政府も彼女の活動に賛同し、メディアが取り上げ始め、協力者はまたたくまに増加。2013年までの5年間でデンマーク国内の食品廃棄量を25%削減するのに大きく貢献しました。 マララ・ユスフザイ氏 マララ・ユスフザイ氏は、史上最年少でノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の人道活動家です。女性教育弾圧に反対活動をしたことでタリバンから銃撃を受けながらも、女性が教育を受ける権利を全世界に訴え続けました。その努力が認められ、パキスタンでは初めて無償で義務教育を受けられる権利を盛り込んだ法案を可決。また、「マララ基金」を設立し、すべての女子が平等に教育を受けられるよう活動をしています。著書には『武器より一冊の本をください:少女マララ・ユスフザイの祈り』があり、彼女の半生を綴ったドキュメンタリー映画も制作されています。 斎藤幸平氏 斎藤幸平氏は、日本の哲学者であり、経済思想家(マルクス主義者)です。歴代最年少でマルクス研究者の最高権威『ドイッチャー記念賞』を受賞した自身の著書『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』では、温暖化、異常気象などの問題を抱える資本主義の構造を批判し、私たちはどうあるべきかを説いています。新書大賞を獲得した2021年の著書『人新世の「資本論」』も、今地球上で起きている問題を自分事としてとらえながら読み進めることができる、おすすめの一冊です。NHKの番組などメディアでも活躍する斎藤氏。持続可能な未来に向けて真剣に取り組む姿勢と、わかりやすい説明にファンが増え続けています。 小林りん氏 小林りん氏は、学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(以下、UWC ISAK Japan)の代表理事であり、2013年に日経ビジネスが選ぶ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した方です。留学中に経験したメキシコでの貧困問題や、国際児童基金(ユニセフ)でフィリピンのストリートチルドレンの教育支援に携わったことから、この社会の仕組みを変えていくリーダーシップ教育の必要性を実感。2014年に軽井沢に全寮制インターナショナルスクールUWC ISAK Japanを開校しました。国籍も育ってきた環境も異なる生徒は、チェンジメーカーを育てるための実践的な授業を受けるだけでなく、ダイバーシティの中で生きるということを、身を持って経験しています。 チェンジメーカーからインスピレーションを 出典:unsplash.com 世界や社会を大きく動かしているチェンジメーカー。たとえ自分が直接その影響を受けることがなくても、彼らの思想を学ぶだけで大きな刺激になります。今私たちが直面するたくさんの課題。チェンジメーカーを手本に、一人ひとりが真剣に地球の未来について考えなくてはいけないフェーズにきているのかも知れません。今回ご紹介した7人については、書籍や映画もあり、インターネットなどでも情報を集められるので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
スマートフォンやパソコンなどのデバイスは、今や私たちの生活になくてはならない存在です。一方で、スマートフォンを常にチェックしてしまう人やゲーム、SNSなどに過剰にのめりこんでしまう人も増え、「デジタル中毒」「SNS依存症」といった新しい言葉も生まれました。そんなデジタルと切っても切り離せない現代人におすすめなのが、デジタルデトックスです。本記事ではデジタルデトックスが注目される理由とおすすめのデジタルデトックス方法をご紹介します。 デジタルデトックスとは? 出典:unsplash.com デジタルデトックスとは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのデバイスに一定時間(期間)触れないことです。「ネット断ち」とも呼ばれることもあります。 期間は決まっていないので2~3日デジタルデバイスに触れないケースもありますし、普段の生活に取り入れて数時間だけ行うこともあります。例えば、「勉強に集中したいから18時から翌朝7時までスマートフォンを使わない」「通学・通勤の電車の中ではInstagramを見ない」などのデトックス方法もあり、期間もきまりも様々です。 SNSがもたらす心への影響 出典:unsplash.com SNSは、いつでもどこでも友人や知人と繋がれるだけでなく、欲しい情報も手に入れることができる便利なツールです。しかし、使う時間が長かったり、使い方を間違えてしまうと心が疲弊してしまう側面があります。個人で簡単に情報を流すことができるため、SNS上ではネガティブな情報や信憑性の低い情報も拡散されています。 また、既に海外や日本国内でも知られている通り、SNSの利用頻度が高い子どもほど、自己肯定感が低くなり、孤独を感じやすいという研究結果があります。インスタグラムなどのSNSでは、人の生活の方が幸せで楽しく見えてしまうものなのです。 LINEやTwitterを使ったネットいじめも明るみになってきており、グループから特定の人物を外すなどの事例もあり問題になっています。そのようにSNSは楽しい面がある一方で、心にストレスがかかってしまうという結果も実際に出てきています。 デジタルデトックスが注目される理由 近年デジタルデトックスが注目される背景には、SNSによるストレス以外にも、デジタルデバイスを常に使う人に起こる体や心の不調があります。 例としては以下のようなケースが挙げられます。 ・長時間操作することよって生じる肩こりや眼精疲労 ・SNSやメールを夜中まで使用することによる睡眠不足や睡眠の質の低下 ・ネガティブな言葉や画像、ニュースによるストレス デジタル中心の生活を一度リセットしてくれるのがデジタルデトックスです。このデジタルデトックスの時間を設けることにより、デジタルに関する依存症や中毒から心や体を守ってくれると言われています。 デジタルデトックスの効果 デジタルデトックスが心身に与える効果は以下のようなものがあります。 ・眼精疲労がなくなる ・肩こりや腰の痛みが軽減する ・疲れがとれる ・睡眠の時間が確保できる、睡眠の質が上がる ・他のことに使える時間が増える ・五感が磨かれる ・情報が遮断され、ストレスから解放される 他にも様々な効果が見込まれます。 一度まずはデジタルデトックスにチャレンジしてみて、何が変わったか、どんな気づきがあったか感じてみるのも良いでしょう。 おすすめデジタルデトックス方法 出典:unsplash.com まずはどのくらいの時間デジタルに触れないか決めるところから始めましょう。常にスマートフォンをチェックしている人は1時間からでもいいですし、寝る前何時間は使わない等のきまりでも良いでしょう。他にも、毎日決まった時間にデジタルから離れる習慣をつける、「最近疲れているな」と感じるなら思い切って1泊2日のデジタルデトックスの旅に出る等の方法も効果的です。 今回は例として、スマートフォンを使用している場合のデジタルデトックス方法をご紹介します。 寝具のすぐ近くにスマートフォンを置かない スマートフォンをベッドや布団の近くに置いてしまうと、気になって寝る前にSNSなどを見てしまう可能性が。寝る前にスマートフォンを見ると睡眠の質の低下に繋がるので、スマートフォンは寝具から離れた場所置くか、寝室に持ち込まないようにします。加えて、スマートフォンの「 おやすみモード」に設定しておくと通知などが入らなくなるので、おすすめです。 スマホアプリの通知をしない、または最低限の設定に留める メールやSNSの着信が入るとスマートフォンにバッジが入る場合があります。スマートフォンの通知が入ると開きたくなってしまうので、通知オフの設定をすると良いでしょう。重要なアプリだけは通知を残しておく設定をしておきましょう。 専用アプリをダウンロードする スマートフォンアプリには、デジタルデトックス目的でリリースしているものもあります。 Forest(iOS/Android両方可)は、世界136ヶ国において仕事効率化部門1位を獲得したアプリです。スマホを触らないと、アプリ内で樹木がひとりでに育つ仕組みになっています。ほかにも「デジタルデトックス アプリ」と検索するといくつかのアプリがありますので、最適なアプリを選んでみてはいかがでしょうか。 自然の中で過ごす 休日には海や山へ出かけるのもデジタルデトックスのひとつです。例えばスマートフォンを触りながらトレッキングをするのは難しいですし、海に入れば強制的にスマートフォンと離れることになります。数時間デジタルから離れて自然に触れれば、五感も磨かれ、心も体もリフレッシュできます。 お風呂や温泉に入る 海に入るのと同じ方法で、お風呂や温泉はスマートフォンと物理的に離れた状態を作ることができます。そしてぼーっとする時間は、意外と脳にも良い影響があるとされ、記憶と記憶を結びつけたり整理したりすると言われます。いいアイデアが浮かぶのも、温泉に浸かっているときだったりするのです。 瞑想を取り入れる 医学やビジネスの面からも大きな注目を集める瞑想。瞑想はストレスの軽減や仕事・勉強のパフォーマンスアップにも効果的です。スマートフォンの「機内モード」をオンにして、1日10分でも瞑想の時間を取り入れれば、これも立派なデジタルデトックスです。 デジタルデトックスのイベントに参加する デジタルデトックスを推進する団体もあります。そこでは日本各地で開催される、数時間のイベントから旅行まで、デジタルデトックスを目的とした体験に申し込むことができます。「デジタルデトックス 体験」などと検索してみると見つけることができます。 デバイスの使い方を見直して最適なデジタルデトックスをしましょう 出典:unsplash.com デジタルデバイスは、今や私たちの仕事や生活にとってなくてはならないものです。しかし、使いすぎると体調不良を引き起こし、とめどなく溢れる情報にストレスを感じる原因になり得ます。そのリスクを回避策として一定時間(期間)デバイスに触れないというデジタルデトックスが有効です。 寝る前のスマートフォンの置き場所を見直すのはすぐにできますし、日常の中でも「スマートフォンに触れられない」状況を作ることは意外と簡単です。また、自然の中で過ごす休日を計画するのも選択肢の一つです。今日からデバイスの使い方を見直し、生活に支取り入れられる範囲でデジタルデトックスにトライしてみてはいかがでしょうか。
限りある資源を無駄なく使用するにはどうしたらよいでしょうか。リサイクルやリユースなどこれまでも資源を再利用する動きはありましたが、近年、廃棄されるはずだったものにデザインを加え、新たに生まれ変わらせるアップサイクルが進歩しています。この記事ではアップサイクルとは何かご説明します。 アップサイクルとは アップサイクルとは、廃棄されるはずだったものや生産段階で出た副産物に、アイデアをプラスして価値をつけ、新たな製品として生まれ変わらせることを言います。 一般的にアップサイクルはリサイクルより使用するエネルギーが少なくて済み、コスト削減に繋がることもあります。また、資源を最大限に有効利用できることから、取り組む企業が増えてきています。 関連記事:サステナブルにファッションを楽しめるアップサイクルブランド5選 リサイクルとの違い 出典:unsplash.com リサイクルとアップサイクルは、廃棄物を再生させるという点で共通していますが、廃棄物を原料の状態に戻すかどうかという点が大きく異なります。 リサイクルは、役目を終えた物を原料に戻して、再度資源として利用するのに対し、アップサイクルは基本的に原料に戻すことをせず、元の製品の素材をそのまま使用します。 リサイクルは、原料に戻す際のコストや環境負荷がかかることも多いため、その負担が少ないアップサイクルの方がよりサステナブルな資源活用法として脚光を浴びています。 アップサイクルされている素材の例 出典:pixabay.com 今様々な業界で、廃棄物や生産によって生まれた余剰な物をアップサイクルする取り組みが始まっています。 ここからは、どのような素材がアップサイクルされるのか事例を紹介していきます。 生地・糸 アパレルの生産現場では、生地を裁断する時に出る切れ端「裁断くず」が生まれ、他にも余剰な糸が捨てられています。廃棄される裁断くずを使用し、再び糸として使えるようにしたものや、洋服、ハンガーにアップサイクルした製品が登場しています。 家具 買い替えサイクルは10年と言われる家具。不要になり回収をされた家具はまだ使えるのにも関わらず、そのまま廃棄処分ということも少なくありません。家具のアップサイクルでは、ペイントで色を塗り替える、木枠を付け足すなど、デザインを一新して、再び家具として生まれ変わらせる取り組みが行われています。 海洋プラスチック 分解されるまで数百年から数千年かかると言われている、海洋プラスチック。一見使い道のないように思われる海洋プラスチックも、きらきら輝くアクセサリーや、アパレル製品としてアップサイクルする活動が広がりを見せています。 漁網 不要になった漁網は、廃棄コストが高いなどの原因で海に不法投棄されていることが社会問題となっています。漁網の多くはプラスチックやナイロンからできており、放置すると海の生態系に悪影響を与えかねません。漁網のアップサイクルでは、その素材の強さを生かし、レインジャケットなどのアパレル製品や鞄、エコたわしとしてアップサイクルされ販売されています。 コーヒーかす コーヒーを抽出したあとに当たり前にように廃棄されていたコーヒーかす。特にカフェなどの店舗では毎日大量に廃棄されていたコーヒーかすですが、ボディスクラブやスイーツの原料などへアップサイクルするアイデアが生まれています。 タイヤ 自動車や自転車の廃タイヤは、土に還るのに膨大な時間がかかってしまう点や焼却時に有害物質が出ることなどが問題とされています。廃タイヤは耐久性や撥水性といった特徴を生かし、フットウェアのソールや、鞄、キャンプ用の小物などとしてアップサイクルされています。 ビニール傘 リサイクルをすることが難しいため、壊れてしまったら廃棄するしかなかったビニール傘。アップサイクルでは、ビニール部分を生地として利用したバックや小物があります。元々ビニール傘なので、撥水機能もしっかりしています。 野菜・果物 規格外などで捨てられていた野菜や果物を皮や茎をスナックとして加工したものが登場しています。また、アパレル製品の染色原料として活用する取り組みもあります。 アップサイクルによって生まれた製品 次にアップサイクルによって生まれた実際の商品をご紹介しましょう。 iTTo この投稿をInstagramで見る アップサイクルヤーンiTTo®︎ 世界で唯一のリアルTシャツヤーン(@itto0113)がシェアした投稿 iTToは、廃棄予定だった国内の新中古Tシャツから生まれた糸の「Tシャツヤーン」です。Tシャツヤーンの販売だけではなく、「作る体験を楽しんで、アップサイクルに興味を持って欲しい」という想いからワークショップも開催しています。カラフルな商品のラインナップを見ているだけで、ハンドメイド欲が高まってくるかも⁉ 公式サイト:iTTo ethical market HUG BROWNE(ハグ・ブラウン) この投稿をInstagramで見る HUG BROWNE®︎(ハグ・ブラウン)(@hug_browne)がシェアした投稿 HUG BROWNEでは、コーヒーが抽出された後に出るかすをその日のうちにカフェから回収し、新鮮な状態で原料化。それをボディスクラブの原料として使用しています。単なるアップサイクルアイテムでなく、動物性原料を使用していないヴィーガン処方。プラスチックスクラブ、シリコン、パラベン、動物性原料、合成着色料、合成香料なども使用していません。 公式サイト:HUG BROWNE Coffee Sugar Scrub どんどん身近になるアップサイクル! 2030年までに目標達成を目指すSDGsや、世界的な循環型社会への移行により、アップサイクルは今後より多くの企業が参入してくることが予想されます。 近年どんどん身近になってきているアップサイクル。みなさんの周りでもぜひ探してみてくださいね。
近年、国内外でサステナブルな社会づくりに向けた取り組みが盛んです。そんな状況のなか、大量にモノを生産し消費する従来のスタイルから、資源を再利用する方向へと変わりつつあります。そこで新たに生まれたことばが「サーキュラーエコノミー(循環経済)」です 本記事では、サーキュラーエコノミーの概要や事例を踏まえて、知っておきたいポイントをご紹介します。 サーキュラーエコノミーとは 出典:pexels.com サーキュラーエコノミー(Circular Economy)は、直訳すると「循環型経済」です。企業などの作り手が、モノやサービスを生産・構築する段階からリサイクルや再利用を視野に入れること。そして、なるべく新しい資源を使用しない、または消費量を抑えることを目指します。資源の価値を最大限に生かすこと、資源の消費を最小限にとどめること、廃棄物をなるべく出さないよう工夫することを目的とした循環型のシステムのことです。 従来のリニアエコノミーとの違い 出典:pexels.com サーキュラーエコノミーが普及する前は、大量生産が行われ、使い終わったら処分して終わりというリニアエコノミー(Linear Econony)という経済システムがごく当たり前でした。 下図のように、サーキュラーエコノミーが循環型の丸い形で表されるのに対し、リニアエコノミーは直線的に表されます。 出典:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/html/hj21010202.html しかし、自然環境に負荷がかかり、これからさらに世界の人口が増えていくなかで、このリニアエコノミーのシステムのままだと、多大な資源を消費することになり、ゴミの量が増えるだけでなく、生産や焼却によりCO2の増加につながります。その結果、地球環境を脅かすという問題に発展してしまうのです。 近年のSDGsの取り組みの流れも相まって、生産して使って捨てるという一方通行のシステムではなく、資源を効率的に循環させ、環境への負担を最小限にとどめるサーキュラーエコノミーで経済や社会を回していこうという流れができました。 つまり、リニアエコノミーとサーキュラーエコノミーの違いは、資源を新しく取り入れて生産と消費を行い、廃棄物を出すか、資源を有効利用した生産で使い終わった時に再び3R(リデュース、リユース、リサイクル)ができるようにして資源を循環させるか、という違いです。 サーキュラーエコノミーの事例 それでは、サーキュラーエコノミーに取り組んでいる企業や自治体の事例を見ていきましょう。 RE.UNIQLOプロジェクト|株式会社ファーストリテイリング UNIQLOを国内外に展開している株式会社ファーストリテイリングでは、「RE.UNIQLO(リユニクロ)」というプロジェクトをスタート。自社商品全てを回収対象とし、生活が困窮している難民へ支給する、CO2削減がかなう代替燃料へ再生させるなど、再利用の取り組みが始まっています。また、ダウンリサイクルでは、使わなくなったダウンが最新のアイテムに。 「服が新しい服に生まれ変わる」という面白い取り組みを進めています。 参考:RE.UNIQLO:あなたのユニクロ、次に生かそう。|服のチカラを 神戸プラスチックネクスト|神戸市 神戸市は、大手製薬メーカーや日用品メーカーなど19の企業や団体と連携して、プラスチック材のゴミを回収し、再生するシステム「神戸プラスチックネクスト」を発足しました。シャンプーなどのプラスチック製詰め替えの袋を回収する専用ステーションをスーパーなどに開設し、普及を進めています。 プロジェクトの特筆すべきポイントは、「水平リサイクル」を推し進めている点。今までは、リサイクルされてできた新たな製品は、使用後ゴミとして捨てられていました。しかし、水平リサイクルはリサイクル後に全く同じ製品に戻すことによって、何度も同じ製品として使い続けることができるのです。 この新しいリサイクル方法を確立するために、日用品メーカーは、リサイクル試験を通じて課題や技術を共有。よりリサイクルしやすい、つめかえパックの素材や形状を議論するなど、企業同士協力しながら、循環可能な詰め替えパックの開発に取り組んでいます。 参考:神戸プラスチックネクスト 持続可能な天然ゴム農園の運営|株式会社ブリヂストン 人口が増え車の台数の増加に伴い、さらなる需要が見込まれるタイヤ。 ブリヂストンでは、より良い地球環境を次世代につなぐため、サーキュラーエコノミーへの取り組みを始めています。 原材料の使用量を抑え、資源の再利用やリサイクルされた原材料を一部に採用。また、再生可能な資源の利用も積極的に行っています。 2021年にはタイヤを原材料に戻すリサイクルの研究開発をスタートさせました。 また、再生可能資源として、持続可能な天然ゴムを生産できるよう、東南アジアの農園をバックアップ。最新のテクノロジーなどを用いて、生産性アップを目指しています。 参考:https://www.bridgestone.co.jp/csr/environment/resources/index.html 私たちの生活の中にもサーキュラーエコノミーを取り入れよう 出典:pexels.com 今回はサーキュラーエコノミーの概要と自治体、企業が取り組む実例をご紹介しました。次世代の人たちが豊かな暮らしができるよう、今後さらに国内外であらゆる取り組みがなされていくことでしょう。 私たちも、購入するときから廃棄にならないもの・リサイクルできるものを選ぶ、不要になったときはゴミにせずリユースするなど、普段の生活の中で「サーキュラーエコノミー」を実現することができます。「今、できること」を考えていきたいですね。
物価の高騰が続く今。こんな時にこそ見直したいのが地元で採れる生産物です。地産地消はよく聞く言葉ですが、私たちにとっても環境にとっても嬉しいメリットがたくさんあります。今回は地産地消のメリットについてご紹介します。 地産地消とは 出典:pexels.com 「地産地消」とは、「地域生産、地域消費」の略称です。地元で栽培し、収穫(生産加工)された農作物や畜産物、海産物を地元で消費するという意味です。都道府県内で採れたもの、市町村で採れたものなど使われ方はケースによって異なりますが、基本的には「近場で採れたもの」のことです。地産地消の一例としては、畑のそばにある野菜の無人販売や、道の駅、地元スーパーの地元野菜コーナーなどが挙げられます。 地産地消のメリットとは? 出典:pexels.com 地産地消がメリットとしては、主に次の4つが挙げられます。 1.生産者との距離が近い 2000年代に入り、国内で食品業界において度重なる事件事故(食品偽装事件など)が発生しました。このような社会背景も相まって、私たち消費者は自分たち口に入る食品の「安心・安全性」に関心が向けられるようになりました。供給する側(=生産者)は、消費者が安心して食べてもらえるよう「生産者の情報の見える化」に注力するようになったのです。野菜ならば、パッケージに地元の生産者の顔を載せて販売するなどの工夫がなされるようになりました。 最近では、学校給食でも地元野菜を積極的に取り入れており、子どもたちが、地産地消によって自分の住んでいる地域を知るきっかけにもなっています。 2.新鮮な食料を購入できる 地元で生産・収穫されたものは、海外や遠くの地域のものと比べて、生産者から私たち消費者に届くまでの時間が短いケースがほとんどです。朝採りなど、収穫したての新鮮な野菜などが手に入りやすいのです。しかも、地産地消のなかには卸業者を介さないルートを確立している場合もあるので、この場合、中間マージンが発生せず、品質の良い食品をお手ごろな価格で調達できます。 3.環境負荷が低い 海外で生産された食品は、飛行機や船で輸送され、それに伴って多くのCO2が排出されます。それに比べて地元野菜や地元で加工された食品は、輸送にかかる環境負荷が低くなります。また、食品を輸入するということは、海外の生産地の水や資源を間接的に消費しているということです。輸入した食品を自国で生産した場合の水の使用量を計算できるバーチャルウォーターを見ても、輸入した食品の環境負荷の高さを知ることができます。 関連記事:バーチャルウォーターとは?日本に住む私たちができること 4.安定的に供給が見込める 今は食料を安定して輸入できていても、社会情勢や異常気象の影響で輸入がストップしてしまうというリスクは常にあります。農作物は気候によっても左右されますが、国内で生産されたものに関しては、価格・量などある程度安定して手に入れることができます。国内や地元地域で、住民をまかなえる十分な食料を生産しているということはとても大切なことです。 日本でできた食料をどのくらい食べている? 出典:pexels.com 地産地消が広まるということは、国内の食料自給率も上がるということです。それでは現在日本の食料自給率はどうなっているのでしょうか。食料自給率を農林水産省が発表した食品自給率についてのグラフは次のとおりです。 出典:日本の食料自給率:農林水産省 昭和40年には86%あった食料自給率も令和3年には63%まで下がってきており、価格の安い外国からの輸入に頼っているのがわかります。しかし、第一産業(※農業、漁業)従事者の高齢化、後継者減少などの問題があり、日本の食糧自給率の大幅な改善は見込めない状況です。このような困難な状況のなか、どのようにして自給率を上げていくか、大きな課題になっています。 地産地消のためにできる買物のアイデア 出典:pexels.com 私たちのライフスタイルに地産地消を取り入れるには、どのような方法があるでしょうか。取り入れやすい買い物のアイデアをご紹介していきます。 SNSやインターネットで地元の情報をチェックする 生産者や販売者のなかには、多くの方に自分の事業を知ってもらうようSNSなどを通じてアピールしている場合も。インターネットやSNSで地元の農家などを探してみましょう。旬で新鮮なものや、珍しい野菜、地元で栽培されているのを知らなかったようなものまで見つかることも。 ファーマーズマーケットで買い物をする 生産者に直接会うことのできるマーケット。地元の農家さんと話をしながらするお買い物はスーパーとは一味違った楽しみがあります。生産者の顔が見えるのは安心にも繋がりますよね。家から近いマーケットやマルシェを探してみてはいかがでしょうか。 関連記事:【都内近郊18選】生産者に会えるファーマーズマーケットに行こう 産直サービスで近場の農家を見つける 生産者から直接農産物や肉、魚などを購入できるサイトが増えてきています。サイトではこだわりの詰まった生産物や、季節の野菜・果物に出会うことができます。全国各地からお取り寄せできますが、より自宅から近い生産者さんを見つけておくと、送料も安くすむのでおすすめです。 無人販売などの不揃い品を工夫する 無人販売は農家が多い地域など、場所によってあるところとないところがありますが、実は新鮮な野菜を低価格で購入できる穴場。朝どれの野菜が手に入ります。なかには規格外品や不揃い品などが混在している場合がありますが、そのような野菜は調理を工夫すれば、スーパーの野菜を変わらず美味しく頂けます。 地産地消で環境にも人にも優しい食卓を 出典:unsplash.com 今回は地産地消のメリットと私たちができるアクションについてみてきました。地産地消は、新鮮な食品を安く食べられることに加えて、CO2削減など環境負荷の軽減にもつながります。食材を買い物する際には、住んでいる地域の地産地消の取り組みをチェックし、日々の生活に取り入れられる地産地消のアクションを考えてみましょう。