コーヒー消費量が世界4位の日本。「コーヒーを毎日飲んでいる」「日常生活の一部になっている」なんて方も多いでしょう。さて皆さんはコーヒーをどのように選んでいますか? 味や価格はもちろん重要ですが、「サステナブル」という選択肢を増やしてみても良いかもしれません。
この記事ではサステナブルコーヒーの定義から特徴、選び方などを紹介していきます。サステナブルライフ初心者の方も、身近なコーヒーからサステナブルを取り入れてみてはいかがですか。
サステナブルコーヒーの定義
そもそもサステナブルコーヒーとは、どういった定義があるのでしょうか。日本サステイナブルコーヒー協会では、以下のように定義しています。
サステイナビリティー(sustainability = 持続可能性)に配慮したコーヒーのことを、サステイナブルコーヒー(sustainable coffee)と言います。現在のことだけではなく未来のことも考えた上で、自然環境や人々の生活を良い状態にたもつことを目指して生産/流通されたコーヒーの総称です。
https://suscaj.org/sustainable_coffee/sustainable/
コーヒー豆を育てるための自然環境やコーヒー豆を栽培する農家の生活を保つなど、コーヒーを飲み続ける未来に向けて、サステナブル活動を継続する必要があるのです。
コーヒーの問題点
私たちが何気なく飲んでいるコーヒー。その1杯を手にするまでのコーヒーを生産する過程では、世界中でさまざまな問題が起こっています。
問題点の一つに、コーヒー豆の生産者が貧困状態になっていることが挙げられます。コーヒー豆の生産国は発展途上国が多く、流通の過程で業者に多くの利益を取られ、生産者の利益がごくわずかになっていることもしばしば。コーヒー農家の厳しい労働環境に反して、利益が合わない点が課題となっています。さらに発展途上国は、児童労働が長年の問題とされていますが、低所得世帯は子どもに頼らざるを得ない生活環境にあります。
さらに森林伐採が進み、熱帯林が減少している点も問題点の一つです。コーヒーを効率的に生産するために森林伐採が進められている一方で、熱帯林で育てないと農薬を多く使う栽培方法になってしまうのです。消費者増加による生産効率を上げたいという気持ちが、環境負荷の増大を後押ししています。
サステナブルコーヒーの特徴
環境や人々の生活を守る「持続可能性」に配慮したサステナブルコーヒーは、「オーガニックコーヒー」「シェードツリーコーヒー」「フェアトレードコーヒー」と大きく分けて3種類あり、それぞれ問題点に配慮したコーヒーが販売されています。
農薬や化学肥料を使わない農法で生産されている「オーガニックコーヒー」は、土壌や水質汚染を防ぐことに繋がります。そして、森林で覆われた木陰で、伝統的な方法で生産される「シェードツリーコーヒー」は、森林伐採を防ぎ自然環境を守ることに繋がります。また、主に発展途上国の小規模農家や労働者に対して、適正価格で取引を行う「フェアトレードコーヒー」は、生産者の安定した生活に繋げることができます。それぞれの特徴を知っておけば、自分が応援したいポイントでコーヒーを選ぶことができます。
サステナブルコーヒーの選び方
サステナブルコーヒーの基準の一つとして認証マークがあります。栽培方法や生産者支援などの目的を果たすために、非営利団体や第三者機関が査定を行い、厳しい審査に合格した場合のみ認証マークが付けられる仕組みです。
認証マークにはいくつか種類があります。例えばカエルのマークが特徴的な「レインフォレスト・アライアンス認証」は、自然環境や働く人々の生活を守る厳しい基準を満たした農園に与えられ、生産農家の持続可能性や、コーヒーを輸入・加工する企業の生産流通の方法が確認できる目印となっています。
他にも黄緑色と水色のマークが印象的な「国際フェアトレード認証」は、生産者への適正価格や適切な労働環境や人権保護、農薬の使用削減をはじめ、人と自然を守る生産基準が数多く定められています。また農場から認証製品として出荷されるまで全ての工程が追跡でき、認証原料を100%使用することが原則です。
そして緑色でリーフのイラストが入った「有機JAS認証」は、農林水産省が定めた規格に合わせて生産された有機農産物だと証明されています。種まき・植え付け前2年以上および栽培中に、禁止されている化学肥料や農薬が使用されていないことがルールとされています。日本で販売するコーヒー豆に「オーガニック」と表示するためには、有機JASマークが必要となります。
他の認証マークは、森林や渡り鳥を守る「バードフレンドリー認証」、自然環境への配慮はもちろん強制労働や児童労働の是正に取り組む「UTZ認証」、オランウータンが生息する熱帯雨林の保護に繋がる「オランウータンコーヒープロジェクト」など多種多様に存在します。自分が守りたいものや共感した活動内容などで、コーヒーを選んでみても良いかもしれません。私たちの何気ない選択が世界を変える第一歩になります。
サステナブルコーヒー、企業の取り組み
コーヒーを販売する企業は、それぞれサステナブルな取り組みを行っています。どのような取り組みをしているのか、一部を紹介していきます。認証マークと合わせて、取り組みに賛同した企業のコーヒーを選ぶのも良いかもしれません。
スターバックスコーヒー
スターバックスコーヒーでは、2030年までに二酸化炭素排出量、水使用量、廃棄物量の50%削減を目指して、環境配慮型店舗「グリーナーストア」の出店、マイタンブラーの利用を楽しむ「タンブラー部」の発足など、さまざまな取り組みを行っています。
種類豊富でデザイン性が高く、カフェでコーヒーをたしなみながらエコを楽しむことができるスターバックスのタンブラー。2019年度には、約800万件のドリンク購入時にマイタンブラー・マイボトルが使用され、約26万kgの二酸化炭素排出量を削減したという結果が出ています。
ブルーボトルコーヒー
ブルーボトルコーヒーは、2002年の創業以来、サステナビリティを重要な理念の一つとして取り組み、「持続可能な材料調達」「廃棄物と温室効果ガス排出の削減」「コミュニティへの配慮」の3分野で新しい時代の変化へ順応してきました。
具体的な取り組みとしては、1杯のコーヒーが淹れられるまでに関わる全ての関係者が、適正な対価のもとでビジネスが続けられるように常に努力を行っています。一部の焙煎所やカフェでは、再生可能エネルギーを使用しており、持ち帰りの商品のストローは竹からつくられているバンブーストローが使われています。竹は燃やした時の環境への負荷が少なく、埋めた時には土に還るのが特徴です。
イオン
イオンでは、持続可能なコーヒーの調達に向けて、自然資源と事業活動の持続を両立させる取り組みを進めています。2030年までに、イオンのプライベートブランドで販売するコーヒー豆を持続可能性の裏付けが取れたものに変えていく予定です。
イオンが認定する第三者認証を取得した原料を使用、またはイオンのサステナブルコーヒープロジェクトの実施のいずれかを行っていきます。
ベトナムで行われている、イオンのサステナブルコーヒープロジェクト。国際NGO公益財団法人国際開発救援財団や現地の教育機関であるタイバック大学と取り組みを行い、コーヒー農家の多くを占めるタイ族の文化的背景を考慮しながら、生活支援、社会・環境・経済の各基準を満たすコーヒーを生産する技術の伝授などを行います。
みんなにとってうれしいサステナブルコーヒーを選ぼう
どこでも気軽に飲めるコーヒーですが、その裏側には環境問題や人権問題など、様々な問題が隠れています。
私たちの生活を豊かにしてくれるコーヒーだからこそ、生産の背景に透明性があり、自然環境や生産者の負担にならないようなサステナブルな選択をしていきたいですね。