売れ残るケーキを減らそう。クリスマスの“食品ロス”に対するアクション

幻想的な光と彩り豊かなケーキに魅了され、大人も心躍るクリスマス。そんな華やかさとは裏腹に、売れ残ったケーキが大量に廃棄されているという現実も。この記事では、大量廃棄の背景と、食品ロスを減らし、サステナブルなクリスマスを楽しむ方法を紹介します。

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海外ではチャリティシーズンのクリスマス

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賑やかなイベントが増える、クリスマス。キリスト教が浸透している国では、一年のうちでチャリティ活動が最も活発になるシーズンともいわれます。

クリスマスチャリティのルーツは古く、苦境に立たされている人や困っている人への寄付・支援といった活動は、喜びと希望を社会にもたらすという考えが根底にあり、何らかの方法で社会貢献になることを行う人が増えるのだそうです。

一方日本では、食品ロスが増えるともいわれるシーズン。季節限定スイーツ、その日限定の豪華な料理やケーキなど、売れ残った食品の大量廃棄が社会問題を引き起こしています。

深刻な食品ロス問題

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2023年度の日本の食品ロス発生量は、年間464万トン。そのうち家庭系は233万トン、事業系は231万トン。前年の472万トンから減少したものの、国連世界食糧計画(WFP)による食料支援量370万トン(2023年実績)の約1.3倍もの量の食品が廃棄されています。

食品ロスの問題点は、まだ食べられるはずのものが捨てられることだけではなく、焼却時に大量のCO2を排出することにもあります。食品は水分を多く含んでいるため焼却時のエネルギー消費が多く、処理コストがあがる、焼却後の灰の埋立地が必要といった社会的コストの増加に繋がります。

食品ロスの問題点はそれだけではありません。全ての食品には、人件費や流通コストといった経費がかかっていますが、売れずに廃棄されているということは、それらを回収できていないということなので、実は経済的損失も大きいと言えます。

クリスマスシーズンの食品ロスの量について、政府の統計データはないようですが、テレビの報道では、一日400〜500㎏ものケーキが食品リサイクル工場に運ばれてくる様子が放映されました。なぜ、そのように大量の食品が廃棄されてしまうのでしょうか。

なぜクリスマスに食品ロスが起きるのか

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クリスマスに食品ロスが起こる背景には、以下のようなことがあります。

  • 販売の機会を逃さないために過剰に製造、過剰に在庫を抱えてしまう
  • 製造・流通過程でおこるミスにより、商品基準を満たさないものがでる
  • 企業が設定する販売目標と、消費行動とのギャップによる売れ残りの増加

これらに加え、食べ残しや食べ忘れに対する罪悪感、もったいないという意識が社会全体で薄れていることも、食品ロスが起きる要因の一つと言われています。

クリスマスケーキの食品ロス削減の取り組み

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年々、食品ロスに関する話題を耳にする機会が増えているように感じますが、実は2000年には980万トンもの食品ロスがあり、日本の食品ロスの量は減少傾向にあります。

減少傾向の理由として、食品ロス削減に向けた活動が広がりをみせていることが考えられ、その一つが、クリスマスケーキの食品ロス削減です。

百貨店やコンビニエンスストア、大手スーパーなどでは、予約限定販売や早期予約による割引などで、クリスマス前後の当日販売数を減らす努力をしています。

おひとりさまサイズの小さいケーキを揃えたり、ケーキのシェア会を行うなど、「クリスマスケーキはこうあるべき」という概念を刷新するような企画が、食品ロス削減に取り組む団体やパティスリーなどを中心に続々とうまれています。

このような食品ロス削減の流れは、持続可能な社会の実現に欠かすことができないとして、多くの企業や地方自治体で取り組まれるようになりました。

株式会社ローソン

大手コンビニエンスストアのローソンでは、販売予測数の徹底管理で食品ロスの削減に努めています。万が一余剰がでた場合には、一般社団法人全国フードバンク推進協議会との連携により、支援を必要としている家庭や福祉施設などに寄贈を行っています。

京都市食品ロスゼロプロジェクト

京都市食品ロスゼロプロジェクトは、消費者と事業者が、共に食品ロス削減を目指すためのプラットフォームです。

「食べ残しゼロ推進店舗」の制度を設け、ロスゼロに取り組む飲食店・宿泊施設・小売店が一目でわかるよう、認定ステッカーを配布。そのほか、賞味期限や消費期限の期間延長実験や、フードバンクへの寄贈、フードシェアリングの推進、食べ残し削減などの取り組みを京都市が牽引して行っています。

ここで紹介した以外にも、株式会社ファミリーマート、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社ゼンショーホールディングスなど、コンビニエンスストアやファストフード、外食チェーンの展開を手がける企業も、食ロス削減に取り組むことを宣言しています。

私たちにできる5つのこと

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食品ロスの削減は、企業や店舗だけに任せるのではなく、消費者である私たちも意識と行動を変えて一緒に取り組むことが重要です。難しく考えず、以下の5つのことを意識して行動するだけでも、食品ロスは減っていくのではないでしょうか。

  • 季節商品などは、なるべく予約して購入する
  • 必要なものを必要な分だけ購入し、使い切る
  • 消費しきれそうにないものはシェアする
  • ドギーバッグの活用で、外食時の食べ残しを減らす
  • 食品ロス削減に取り組むショップなどを活用する

食品ロスを救う、お得で美味しいサービス

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クリスマスケーキに限らず売れ残った商品と消費者を繋ぐサービスや、キャンセルされた商品と新たな顧客を繋ぐサービスなど、食品ロス削減のためのお得で美味しいサービスを提供するプラットフォームが増えています。

ここでは、主なものを3つ紹介します。

TABETE

食品ロス削減のためのフードシェアリングサービスです。まだ美味しく安全に食べられるのに売り切ることが難しい食品を、食べたい人に繋ぎます。飲食店・パティスリー・ベーカリー・ホテルなどバラエティ豊かなお店が参加。

https://tabete.me

タベスケ

賞味・消費期限が近い商品などを、お得に購入したいユーザーに繋ぐサービス。食品ロス削減や環境運動への参加を促すことを目的としています。自治体が主導のサービスとなっているため、安心して利用できるでしょう。

https://tabesuke.jp

食品ロスゼロマーケット

まだ食べられるのにさまざまな理由で行き場を失ったロス予備軍の食品を、サブスク福袋として販売したり、食材として活用することで別の商品へとアップサイクルして販売したりなど、廃棄されるかもしれない商品に新たな価値を吹きこみ、消費者へと繋ぐサービスです。

https://losszero.jp

美味しく楽しいサステナブルなクリスマスを過ごそう

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クリスマスは本来、イエス・キリストの生誕を祝うもの。そして、チャリティ活動を通して社会に喜びと希望を広げるシーズンです。キリスト教徒になり、その考えを浸透させることは難しいですが、何らかの方法で社会に貢献するスタンスを真似ることはできます。

今年は、食品ロスの削減に繋がるサービスを選択して、美味しく楽しいサステナブルなクリスマスを過ごしてみてはいかがでしょう。

参考:
『我が国の食品ロス発生量の推計値の公表について』環境省
『食品ロス削減関係参考資料』消費者庁消費者教育推進課食品ロス削減推進室
『食品ロスって何が問題なの?』農林水産省

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この記事を書いた人

誰もが心豊かに生きられる未来を創造する経営コンサルタント。
建築設計⇒HR広告営業⇒障害者支援事業運営⇒行政事業執行⇒経営コンサルへ。
これまでの経験を通して知った日本文化の奥深さを、衣食住にまつわるストーリーにのせ海外に向けて発信中。

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