千葉見船橋市の木々に囲まれた静かな場所に佇む「空と海」は、シックな平屋建築が印象的な障がい者福祉施設。
福祉施設と聞くと、訪れる場所というイメージはないかも知れませんが、「空と海」にはカフェやアトリエ併設のショップがあり、どんな人でも気軽に訪れることのできる場所です。
施設というイメージはなく、心地よい雰囲気に包まれています。
体づくりとものづくりがコンセプトの障がい者福祉施設
「空と海」はアトリエ、カフェ、グループホームの三つの建物が並び、少し離れたところには工房があります。さらに、デンマークの建築プロジェクト Njordrum Care(ニョードルム・ケア) がデザインしたグループホームが最近新しく完成しました。

利用者さんは、毎日施設の裏にある森の中で体操をした後、広々としたアトリエでそれぞれが好きな場所で作業を始めます。
アトリエでは機織り、縫製、染色、刺子など布をつかった作業ができ、少し離れた「紙漉き工房空と海」では板を切り出すところから仕上げまでの木工作業ができるようになっています。
型にはまらない感性が生み出すアート&クラフトに触れる
アトリエと工房で制作された作品は、施設内の家具やインテリアとして使われているだけでなく、グループホームに隣接した展示スペース「HYGGE」で見ることもでき、アトリエに併設されたショップでは購入することもできます。

アトリエショップには、木のボタンやフォトフレームなどクラフト感あふれる作品から、自由に色とりどりの染色がほどこされた服、絵や文字が描かれたTシャツ、木やレザーを使ったカラフルなオブジェなど、自由な感性が生み出す、個性的で唯一無二の作品が並びます。

日の光がたっぷり差し込む穏やかな空間の中、丁寧に作り上げられた刺し子の作品や端切れを使ったアクセサリーに、時間を忘れるほど、ついつい見入ってしまいます。

全国各地で展示販売なども行っていて、沖縄や国内各地からもアトリエを見に訪れる人がいるそうです。
「明日は毎年ロサンゼルスから訪れるクラフトワークの団体が訪問予定なんです」と話してくれたのは、理事長の大野さん。
海外のお客様には、刺し子の作品や織物、ここで紡いだオリジナルの糸など作品の材料になるようなものが人気だそうです。

手作りの温かみを感じられるカフェでひとやすみ

空と海を訪れた際はぜひカフェ「らんどね空と海」へ。大きな窓と高い天井が開放的なカフェでは、ピザやパスタ、前菜やスイーツがついたコース料理も提供しています。
窓には工房で作られた紙漉きのサンシェードが飾られていて、カフェのテーブルや椅子も木材を贅沢に使った工房のオリジナル家具です。木製のお皿など、作れるものは全てここで作られたのでは?と思えるほど、細部まで人の手の温もりを感じることができる空間です。
メニューを案内し、料理を運んできてくれるのは「空と海」の利用者さん。ゆっくりと丁寧にメニューを説明してくれます。

ピザ窯では船橋の梨の木を薪に使用しているとのこと。カフェの営業時間やメニューは曜日によって変わるので、訪れる前に確認を。
わざわざ足を運ぶ価値のある、オープンな福祉施設を覗いてみては
「空と海」ではさまざまなワークショップも不定期で開いていて、アトリエ内の見学もできるそうです。
スタッフや利用者さんが優しく声をかけてくれ、開かれた空気感が印象的です。
木工の素材は地域の活用されなくなった木材を利用したり、ゴミ回収BOXを作り、近隣の投棄されたゴミ拾いをしたりするなど、地域との関わりをとても大切にしている「空と海」。
ゴミとして拾ったものが創作の材料になることもあるそう! ものづくりからこんなにも世界は広がり、豊かなコミュニケーションが生まれるということを教えてもらったような気がします。
自由に表現することの素晴らしさを体験できる「空と海」にぜひ足を伸ばしてみては?

空と海 社会福祉法人地蔵会
住所:千葉県船橋市神保町177-8
営業時間:レストラン/月〜金 12:00〜14:00 土 11:30〜14:00
カフェ/月〜土 14:00〜16:00
※コースは要予約
※アトリエ空と海の見学などはお問い合わせください
公式HP:https://www.jizokai.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/sora_to_umi_official/