日本工芸品の魅力を再発見。ずっと大切にしたい食器に出会える「HULS Gallery Tokyo」

日本の風土と共に受け継がれてきた伝統文化や伝統工芸。今、国内のみならず海外からもその価値が見直され、再注目されています。

東京・赤坂にある「HULS Gallery Tokyo」は、英語対応の工芸コンシェルジュが案内してくれる現代工芸ギャラリー。
日本全国から集まった日本工芸品を実際に手に取り、その魅力を改めて感じることのできるHULS Gallery Tokyoに伺いました。

日本全国の工芸品が並ぶ店内

ガラス張りの明るい店内では陶磁器、漆器、ガラス、織物、竹木工芸品を中心に日本各地の工芸品を展示・販売しています。

HULS Galleryでは、「Roots & Touch」というコンセプトのもと、土地に根ざした伝統的なものづくりをしている作家やメーカーの工芸品をセレクト。

素材を活かしたデザインが多く、自然によりそう作り手の想いが伝わってきます。

現代の生活様式に馴染むデザインを重視しているため、伝統に支えられながらもフォルムや色遣いなどからは新鮮さが伝わる作品が多く並んでいる印象でした。

気がつくと身の回りのものは安価に手に入る手軽なものが多くなってしまいがちですが、ずっと大切にしたいと思えるものに出会える豊かさを感じます。伝統工芸を通じて、自然との共存やものを大切に扱う心も養えるような気がしました。

海外でも注目される日本工芸の魅力

こちらの商品は全て、代表自らが輪島を訪問し、作り手と対話しながらセレクトしたもの。

意外にも1店舗目はシンガポールからスタートしたとのことで、日本文化や工芸品に関心の高い方やビジネスパーソンを中心に人気を集め、昨年3店舗目がオープンしたそうです。

国内では、オンライン販売のほか、赤坂の店舗では実際に手に取って商品を見ることができます。

代表が島根県の窯元を訪れたことをきっかけに、普遍的なものの価値を大切にしたいという想いと工芸の魅力が重なり、スタートしたHULS Gallery。

コンセプトである「Roots & Touch」は、工芸品の産地や技法などの背景にあるストーリーと、見た目だけでなく触れてなお美しいのが日本工芸の特徴であることを伝えていきたいという想いから生まれています。

被災地から生まれた再生プロジェクトも企画展に登場

常時展示販売されている商品の他にも、ギャラリー中央のスペースでは、定期的に企画展を実施。

取材に訪れたこの日は、『輪をつなぐ輪島展』という展示が行われていました(現在は終了)。能登半島地震により、ギャラリーで扱う輪島の作り手たちも甚大な被害を受けたとのこと。そんな中、震災後の復興プロジェクトとして生まれた作品が並びました。

震災により、大量に廃棄されようとしていた輪島塗の食器。人々が大切にしてきた食器が捨てられてしまう光景に心を痛めた輪島塗のメーカーが、廃棄される予定の食器をレスキューし、生まれ変わらせました。

修理が可能な輪島塗は、塗り直すことで美しく甦り、風合いのある仕上がりに。
輪島塗は分業制で、被災地でそれぞれの職人さんを集めるのは難しい中、塗りの職人さんのみで完成するのもこのシリーズの特徴です。

ものに新たな価値を吹き込む技法は他にもあります。被災によって欠けてしまった漆器に金継ぎの技法を施しつつデザインを加えたシリーズは、金色がアクセントとなり、作品の魅力を一層引き出していました。

伝統で彩る現代の暮らし

HULS Galleryでは、日本の伝統工芸の魅力を様々な視点で国内外に発信するオンラインメディア「KOGEI STANDARD」も運営。なかなか作り手自らが情報を発信するのは難しい中、このように魅力を伝えるプロフェッショナルの力が重要だと感じました。

伝統の中で土地とつながり、時代に寄り添いながら進化し続けている日本の工芸。その美しさは今、日本だけでなく海外の方の暮らしをも彩っています。HULS Gallery Tokyoを訪れて、作品の持つストーリーや質感、纏う空気に触れ、あなたが惹かれる一品との出会いを楽しんでみては?

HULS Gallery Tokyo

住所:東京都港区赤坂6-4-10 赤坂ZENビル 2階
営業時間:10:00~18:30
定休日:日曜・祝祭日
公式HP:https://hulsgallerytokyo.com
インスタグラム:https://www.instagram.com/hulsgallery_tokyo

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この記事を書いた人

特殊ペインター・写真家・ソーシャルベンチャーの仕事を経て現在スナックママとしてソーシャルグッドな場づくりをしているお酒好き。一人一人が自分を表現して生きられる豊かな社会を作るのが夢。特に関心があるのはジェンダーと気候変動。