循環型社会を目指すサーキュラーエコノミーについて知ろう!

近年、国内外でサステナブルな社会づくりに向けた取り組みが盛んです。そんな状況のなか、大量にモノを生産し消費する従来のスタイルから、資源を再利用する方向へと変わりつつあります。そこで新たに生まれたことばが「サーキュラーエコノミー(循環経済)」です

本記事では、サーキュラーエコノミーの概要や事例を踏まえて、知っておきたいポイントをご紹介します。

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サーキュラーエコノミーとは

出典:pexels.com

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)は、直訳すると「循環型経済」です。企業などの作り手が、モノやサービスを生産・構築する段階からリサイクルや再利用を視野に入れること。そして、なるべく新しい資源を使用しない、または消費量を抑えることを目指します。資源の価値を最大限に生かすこと、資源の消費を最小限にとどめること、廃棄物をなるべく出さないよう工夫することを目的とした循環型のシステムのことです。

従来のリニアエコノミーとの違い

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サーキュラーエコノミーが普及する前は、大量生産が行われ、使い終わったら処分して終わりというリニアエコノミー(Linear Econony)という経済システムがごく当たり前でした。

下図のように、サーキュラーエコノミーが循環型の丸い形で表されるのに対し、リニアエコノミーは直線的に表されます。

出典:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/html/hj21010202.html

しかし、自然環境に負荷がかかり、これからさらに世界の人口が増えていくなかで、このリニアエコノミーのシステムのままだと、多大な資源を消費することになり、ゴミの量が増えるだけでなく、生産や焼却によりCO2の増加につながります。その結果、地球環境を脅かすという問題に発展してしまうのです。

近年のSDGsの取り組みの流れも相まって、生産して使って捨てるという一方通行のシステムではなく、資源を効率的に循環させ、環境への負担を最小限にとどめるサーキュラーエコノミーで経済や社会を回していこうという流れができました。

つまり、リニアエコノミーとサーキュラーエコノミーの違いは、資源を新しく取り入れて生産と消費を行い、廃棄物を出すか、資源を有効利用した生産で使い終わった時に再び3R(リデュース、リユース、リサイクル)ができるようにして資源を循環させるか、という違いです。

サーキュラーエコノミーの事例

それでは、サーキュラーエコノミーに取り組んでいる企業や自治体の事例を見ていきましょう。

RE.UNIQLOプロジェクト|株式会社ファーストリテイリング

UNIQLOを国内外に展開している株式会社ファーストリテイリングでは、「RE.UNIQLO(リユニクロ)」というプロジェクトをスタート。
自社商品全てを回収対象とし、生活が困窮している難民へ支給する、CO2削減がかなう代替燃料へ再生させるなど、再利用の取り組みが始まっています。また、ダウンリサイクルでは、使わなくなったダウンが最新のアイテムに。

「服が新しい服に生まれ変わる」という面白い取り組みを進めています。

参考:RE.UNIQLO:あなたのユニクロ、次に生かそう。|服のチカラを

神戸プラスチックネクスト|神戸市

神戸市は、大手製薬メーカーや日用品メーカーなど19の企業や団体と連携して、プラスチック材のゴミを回収し、再生するシステム「神戸プラスチックネクスト」を発足しました。
シャンプーなどのプラスチック製詰め替えの袋を回収する専用ステーションをスーパーなどに開設し、普及を進めています。

プロジェクトの特筆すべきポイントは、「水平リサイクル」を推し進めている点。
今までは、リサイクルされてできた新たな製品は、使用後ゴミとして捨てられていました。しかし、水平リサイクルはリサイクル後に全く同じ製品に戻すことによって、何度も同じ製品として使い続けることができるのです。

この新しいリサイクル方法を確立するために、日用品メーカーは、リサイクル試験を通じて課題や技術を共有。よりリサイクルしやすい、つめかえパックの素材や形状を議論するなど、企業同士協力しながら、循環可能な詰め替えパックの開発に取り組んでいます。

参考:神戸プラスチックネクスト

持続可能な天然ゴム農園の運営|株式会社ブリヂストン

人口が増え車の台数の増加に伴い、さらなる需要が見込まれるタイヤ。

ブリヂストンでは、より良い地球環境を次世代につなぐため、サーキュラーエコノミーへの取り組みを始めています。

原材料の使用量を抑え、資源の再利用やリサイクルされた原材料を一部に採用。また、再生可能な資源の利用も積極的に行っています。

2021年にはタイヤを原材料に戻すリサイクルの研究開発をスタートさせました。

また、再生可能資源として、持続可能な天然ゴムを生産できるよう、東南アジアの農園をバックアップ。最新のテクノロジーなどを用いて、生産性アップを目指しています。

参考:https://www.bridgestone.co.jp/csr/environment/resources/index.html

私たちの生活の中にもサーキュラーエコノミーを取り入れよう

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今回はサーキュラーエコノミーの概要と自治体、企業が取り組む実例をご紹介しました。次世代の人たちが豊かな暮らしができるよう、今後さらに国内外であらゆる取り組みがなされていくことでしょう。

私たちも、購入するときから廃棄にならないもの・リサイクルできるものを選ぶ、不要になったときはゴミにせずリユースするなど、普段の生活の中で「サーキュラーエコノミー」を実現することができます。
「今、できること」を考えていきたいですね。

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この記事を書いた人

元専業主婦の編集ライター兼校正者。子育てや教育、美容、ライフスタイルを中心とした複数のジャンルで記事企画や執筆、インタビューに携わり、キャリアを重ねる。近年は、持続可能な社会環境づくりに関心を抱く。成人した娘と息子を持つ母。

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