アニマルウェルフェアアワードは、畜産動物、水産動物へのアニマルウェルフェア対応が世界から遅れていく日本において、動物たちのことを考え、アニマルウェルフェアへの取り組みをした企業を年度ごとに選出するアワードです。
日本の畜産動物を守る活動を行うアニマルライツセンターの視点で、できるだけ大きなインパクトを与えたと考えられる取り組みを評価しています。
https://www.hopeforanimals.org/animal-welfare-award/
今年は、以下の企業にアニマルウェルフェアアワードが贈られました。
採卵鶏:鶏賞 味の素
2016年に企業のエシカル通信簿を通して、畜産動物のアニマルウェルフェアの問題を把握してから間もなく、専門家を集めたラウンドテーブルを実施。調達ポリシーを策定し、畜産物のトレーサビリティを確認しその結果の公表を行いました。さらに取り組みを継続し、2023年、鶏卵の調達に関する考え方を公表し、同年中に平飼い卵のマヨネーズを販売開始しました。アニマルウェルフェアを軽視せず着実に歩みを進める姿勢を高く評価され、今回の受賞に至りました。
採卵鶏:鶏賞 白老たまごの里 マザーズ
マザーズは、鳥インフルエンザの大流行を経て、飼育するすべての鶏を平飼い飼育に切り替えることを決定しました。もともと3棟あったうちの1棟は平飼いでしたが、他の2棟も平飼い(エイビアリー)になり、2024年、ついに約4万羽の鶏がケージから解放されます。鶏と人間との関係を見直し、いち早く、すべての鶏舎の切り替えることを決意したことが受賞要因となりました。
養殖魚:魚賞 マルハニチロ
2023年度、マルハニチロは急速にアニマルウェルフェアへの取り組みを開始し、取組状況の公開を行いました。特に飼育密度を10%低下させる取り組みは、今後の水畜産のアニマルウェルフェアの取り組みに対して、良い効果を発揮するものと考えられます。すでに行っていた取り組みを含めて情報を公開し、社会的な企業価値を高めたことが評価されました。
※今回肉用鶏、豚、牛に関する受賞はありませんでした。
アニマルウェルフェアは、具体的な目標設定が求められるステップに
多くの大手、中堅企業がアニマルウェルフェアの調達ポリシーを持ち、生産部門を持つ食肉企業はアニマルウェルフェアに配慮するための自社ガイドラインを持つようになりました。
ここ数年の変化は目覚ましいものの、課題の解決に至っていないのが現状です。次は、動物にしっかり恩恵を及ぼすための目標の設定が求められています。2024年度こそは、そのような国際社会で認められる大きな一歩を踏み出す企業が出てくることが重要です。