• rootus編集部が選んだ、2023年のエシカルトレンド

    コロナ前の活気を戻しつつある2023年。エシカルな観点から社会を見たときには、どのような傾向があったのでしょうか。この1年、rootus編集部が注目したエシカルなニュースをピックアップします。 rootus編集部が選んだ2023年エシカルのトレンド 2023年は、コロナ禍の自粛が完全に明け、社会の動きが活発化。持続可能な未来に向けて環境や人に配慮する傾向が加速し、「エシカル」ということばは、数年前よりも浸透している印象です。一方で、世界では大規模な戦争が勃発。報道などを通じて現地の状況を知り、平和と戦争について考える機会が多かったのではないでしょうか。2023年は、どう自然と向き合い、平和を持続していけるのかを考える1年となりました。 イベントの復活とエシカル消費の拡大 2023年の春、コロナ禍の自粛が緩和され、各地ではリアルなイベントが開催されるようになりました。各業界の第一線で活躍するゲストによるクロストークイベントや、エシカルなマインドを持つブランドを全国から集めたマーケットが頻繁に開かれました。経済成長を求められる現在の社会で、自然や人を第一に考えるイベントやそのような想いで生まれたプロダクトは、今後どのように広がりを見せていくのか。来年以降も注目したい分野です。 円安と物価高における日本の課題 2023年を象徴する出来事と言えば、原油の高騰や円安に伴う物価高です。これまで日常的に購入していたモノが値上がりし、消費者だけでなく業者も頭を抱えることとなりました。このような現状になり改めて気が付かされるのが、日本の食料自給率の低さです。また日本は、食品以外の多くの製品も海外生産に頼ってきました。物価高への対応策としても、改めて地産地消の推進や、ものづくりや文化の継承が、今の日本にとって重要な課題となるでしょう。 大量生産・大量消費から「サステナビリティ重視」へのシフト これまでサステナビリティを打ち出してこなかった業界も、持続可能な社会に向けての取り組みを始めています。例えば、使い捨ての量産品が並ぶイメージの強い100円均一ショップでも、環境や生産背景こだわった製品が見られるようになりました。ダイソーでおなじみの株式会社大創産業では「Standard Products」という店舗名で、サステナビリティを軸としたショップを展開しており、全国各地に店舗を増やしています。Standard Productsの環境に配慮した2アイテムは、「2023年度グッドデザイン賞」を受賞。100円均一の事業を継続しながら、サステナビリティ事業も展開するハイブリッドな取り組みが、注目を集めています。 EUのグリーンウォッシュ規制の加速化 2023年3月22日、EUは「環境訴求指令案(Green Claims Directive)」を発表。いわゆる「グリーンウォッシュ」(環境に配慮しているように打ち出しているものの、実体がともなっていないこと)の広がりを懸念して発表され、企業が環境配慮をアピールする際には裏付けが必要となります。これをきっかけに多くの国において、グリーンウォッシュ規制に対する意識が高まっています。 関連記事:https://rootus.net/article/3049関連記事:https://rootus.net/article/3725 G7広島サミットをきっかけに注目された「グローバルサウス」 「グローバルサウス」とは、端的にまとめると、新興国および途上国のことです。先進国と比べてGDPが低い国や貧困率が高い国などが、グローバルサウスの国に該当します。もともと、グローバル化によってその被害を受ける地域や住民のことを指しています。グローバルサウスが注目されたきっかけは、2023年5月に行われたG7広島サミットです。緊迫が続くロシアとウクライナのことだけでなく、グローバルサウスとG7の国々をはじめとした先進国の関係性について話し合いが行われました。この際にG20と連携して食糧とエネルギー支援を行うことで課題解決を進めていくことを表明しています。 関連記事:https://rootus.net/article/1195 世界各地での紛争 2023年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルへの攻撃を開始したことから、イスラエルが報復。イスラエルとハマスの武力衝突が激化しました。世界では核廃絶が叫ばれる中、イスラエルは核の使用をちらつかせるなど、予断を許さない状況になっています。そして現地では、日々たくさんの民間人や子どもたちが犠牲となり、十分な支援を受けられない現状があります。また、2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻も終わりが見えず、ミャンマーなどの情勢もいまだ不安定です。 人権に配慮したクリーンな運営体制の見直し 2023年は企業やメディアなどで、これまでの運営の見直しをせざるえないニュースが取り上げられました。ブラックボックス化された企業体制によって何かの被害にあっても泣き寝入りせざるを得ない人や、メディアやSNSのコメントによる真偽の不明な情報によって傷ついた人もクローズアップされ、人権を考えさせられる出来事も多くありました。これ以上、悲劇を生まないために、企業やメディアでクリーンな運営をすることが求められています。 2024年は、よりエシカルな社会に 2023年は世界的に、エシカルな未来に向けて、今までの体制の見直しを軸とした動きが見られました。取引先や購入先を選ぶ際に「エシカルであるかどうか」がより意識されつつあります。エシカルであることが「社会的な信用を得られる」指標にもなっているようです。また、終わることのない紛争は、世界に暗い影を落とし、平和の在り方を改めて考えた方も少ないはずです。 2024年は、2023年に挙がった課題点をどう解決していくかが注目すべき点であるとともに、誰一人取り残さないようにするためには各自はなにができるのか、考えていくことが求められることでしょう。

  • 砂漠に動物が増える?CACTUS TOKYOに聞く、サボテンレザーの知られざる可能性

    日本でも有数のサボテンレザーブランドCACTUS TOKYO。2023年9月に新たなコレクションを発表し、カーボンフットプリントの公開もスタートさせました。そして、今回から新たにコンセプトとして掲げられたのが「生物多様性」というキーワードです。サボテンレザーと生物多様性にはどのような関係があるのでしょうか?製品に込めた想いを代表の熊谷渓司さんにお聞きしました。 サボテンレザーの専門ブランド、CACTUS TOKYO 作り手の技が光る、洗練されたデザインのバッグやウォレット。CACTUS TOKYOは、本革にも引けをとらない滑らかな風合いを持つサボテンレザーアイテムを展開するブランドです。国内サボテンレザー専門ブランドの先駆けとして2021年にスタートしたCACTUS TOKYO。 ここ数年サボテンレザーは、ファッションブランドをはじめとする各業界から熱い視線を集めていますが、いち早くそのサステナブルで機能的な素材に着目し、様々なプロダクトを世に送り出してきました。 都市と自然を結ぶプロダクトデザイン 2023年秋のコレクションであるビッグトート / サワロ(SAGUARO) 都会的なアイテムであるCACTUS TOKYOの製品の裏側には、プロダクトを通して、自然の豊かさを伝えたいという深い想いがあります。そこには、常に自然の中に身を置いてきた熊谷さんならではの感性が息づいています。 「私は北海道で育ち、幼い頃から自然が身近にありました。学生の頃はスキー部に所属し、山で過ごす時間がほとんどだったと思います。その頃からこの自然を守りたいという気持ちはずっとありました。」 CACTUS TOKYO代表の熊谷さん 「今は都市に住んでいますが、都市部に住んでいても、自然を感じられる機会や場所は重要です。CACTUS TOKYOは、都市に馴染むデザインでありながら、持つことで自然と繋がれるものでありたいと思っています。」 熊谷さんは、これまでの経験から環境問題に興味をいだき、ブランドを立ち上げる前は、ブログなどで環境問題に関する情報を発信してきました。 機能性が高く、環境負荷の低い素材として注目されるサボテンレザー 環境問題についての発信を行う活動の中で出会ったのが植物性レザーという新たな可能性です。数ある植物性レザーの中からサボテンレザーを選んだのには大きな理由があります。 「様々な植物性レザーのサンプルを取り寄せたのですが、サボテンレザーを触った時にその滑らかさに驚きました。本革に劣らない手触りだったのです。また、水や汚れに強く、軽いのも魅力的でした。」 未使用のサボテンレザー(写真左)と熊谷さんがブランド立ち上げ当初から使用している名刺入れ(右)。ほとんどメンテナンスをしなくても綺麗な白をキープしている サボテンレザーは、軽く濡れてしまった程度であれば撥水し、メンテナンスもほとんど必要としません。ハンドバッグ一つでおおよそリンゴ1個分の重さという、美しさと機能性を持ち合わせた素材です。 サボテンレザーを語るうえで、サステナブルであるという点も非常に重要です。サボテンは、砂漠の過酷な環境下でも、水や肥料を必要とせず自生することのできる植物であるため、生育にかかる環境負荷が圧倒的に低く済むのです。製造段階で排出されるCO2が他の素材と比べて格段に少ないことも、サボテンレザーがサステナブルである理由の一つです。 CACTUS TOKYOは今年からカーボンフットプリントを明示し、CACTUS TOKYOの長財布と他素材の長財布を比較したとき、動物由来の製品と比べて約7430g、石油由来の製品と比べて約410gのCO2を削減できることが分かっています。 CACTUS TOKYOの製品は、一般的なブランドと比べてCO2の排出が少ないことがわかる サステナブルなだけではなく、リジェネラティブな製品へ サボテンは、環境負荷が低いだけでなく、植えることで緑が増え、生物多様性に寄与することもわかってきています。 「サボテンを植えることで、微生物が増え、それを餌とする虫が寄ってくることによって、多様な鳥や動物が集まってくることがわかっています。サボテンが増えることによって、そこに小さな生態系が生まれるのです。直接サボテンレザーの生産地であるメキシコの生産者からも、実際に鳥類が増えたという話を聞いています。」 「失われつつある生物多様性を回復させ、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする30by30(サーティ・バイ・サーティ)という動きがありますが、CACTUS TOKYOは、30by30の取り組みに賛同し、私たちのプロダクトを使うことで緑を増やし、生態系を取り戻していく循環ができればと思っています。」 環境省によると、森林の減少、外来種による生態系の喪失やかく乱、生物資源の過剰な利用などの人間活動によって、既知の哺乳類、鳥類、両生類の種のおよそ10~30%に絶滅のおそれがあるとされています。 地球上の生物多様性が失われつつある中、私たちの生活の中でどう多様性を守っていけるのかは喫緊の課題です。“今の状態を維持する”というサステナブルな取り組みだけでは、もはや自然は守れないと言われています。緑を増やし生物の棲みかを積極的に増やしていくリジェネラティブな考え方は、私たちの消費にとって大切な選択肢かもしれません。 「素材にも多様性を持たせ、バランスの良い社会にしていきたい」 サボテンレザー専門ブランドである点に加えて、CACTUS TOKYOは製品づくりのなかでこだわっている点があります。それは、日本の技術や伝統を残していきたいという思いのもと、製品はすべて、国内の熟練した職人の手によってひとつひとつ丁寧に作られているという点です。 一方で、サボテンレザーならではの課題にも直面してきました。「当たり前ですが、革製品を作る工房の機械や技術は、本革に合わせています。サボテンレザーとなると扱い方に工夫が必要になってくるんです。はじめはそこに苦労しました。今では、職人さんたちがサボテンレザーの特性を理解してくださり、以前のような問題は起きなくなりましたね。」 熊谷さんは、今抱える課題について他にもこう話します。「サボテンレザーは今、世界中で取り扱われ始めています。現にサボテンレザーの価格は値上がりしています。サボテンレザーの知名度が上がっていくのは喜ばしい一方で、一つの素材ばかりに需要が集中してしまうと、環境負荷は高くなってしまうと思うんです。どんなものでもそうですが、一つの素材をみんなが集中して使うのではなく、適度なバランスと“多様性”が必要だと思っています。」 熊谷さんは今、サボテンレザーだけでなく、近年登場し始めた他の植物性レザーにも注目。それぞれの素材が持つ特徴などを細かく調査しています。 CACTUS TOKYOが今見つめるもの 最後に、熊谷さんに今後の展望をお聞きしました。 「海外の方に知ってもらう機会を増やしたいですね。日本では、分業ではなく、一人の職人さんがすべての工程を担うことができます。みなさん世界に誇れる技術を持っているのです。立体的な造形や細かい縫製など、今後はより一層、ものづくりの技術があるからこそ実現できるような製品をリリースし、ぜひ海外のみなさんに手に取って見ていただきたいと思っています。また、生物多様性を打ち出し始めたいま、今後は、ビジュアルも“生物多様性”を体現したものを生み出していけたらと思っていますので、楽しみにしていただければと思います。」 都市と自然を“生物多様性”というキーワードでつなぐ、CACTUS TOKYO。従来のものと比べて環境負荷が低い製品や資源を有効活用した製品は多く存在するものの、持つことで緑や生物を増やせるというプロダクトは、私たちの消費に新たな流れを作り出していくことでしょう。 お話を聞いた方 熊谷渓司さん CACTUS TOKYO代表。年間100日を山で過ごす学生時代を過ごし、その後大手機械メーカーで経営企画に携わる。自然との触れ合いの中で環境問題に関心を持ち、自ら情報発信をする中でサボテンレザーに出会い、ファッションを通じて環境問題を解決することを目的とするCACTUS TOKYOを2021年に立ち上げた。 CACTUS TOKYO公式HPhttps://cactus-tokyo.com/

  • ファッションブランドのエシカルスコアが検索可能に!「ShiftC」がローンチ

    12月13日、ファッションブランドのエシカルスコアが検索できるサイト「Shift C(シフトシー)powered by Good On You」(以下、Shift C)がサービスを開始しました。 Shift Cとは Shift C は、ファッションブランドのエシカルスコアが検索できるサイトです。サイトでは、商品の価格を知るのと同じくらい簡単に、その商品が社会や環境に与える本当の影響を知ることができるのが特徴です。 環境負荷の低いものを選びたい、働いている人に過度な負荷を強いてほしくない、動物を傷つけるものは使いたくない…など、自分の価値観に合った、納得のいく選択や買い物ができるよう、ファッションブランドのエシカルスコアを5 段階のシンプルな結果で見ることが可能です。 世界最大級のエシカル評価機関である「Good On You」と連携 世界最大級のエシカル評価機関であるGood On You はファッションブランドの公開情報に基づき、900 以上の詳細な評価項目を用いて、専門的な知識を持つリサーチャーがファッションブランドの取り組みを評価。 Shift C ではこのレーティングシステムにより、グローバルブランドを含めた総数約5800ブランド(うち日本ブランド170以上)の「人間」「地球」「動物」の3つのカテゴリーにおける評価を参照することができます。グリーンウォッシュなどが懸念される中、企業の開示情報から、その企業の取り組みの良し悪しを判断することは非常にハードルの高いことですが、Good On You 及びShift Cでは、プロのリサーチャーが調査した結果に基づく、ファッションブランドのエシカルスコアを一律の評価軸で比較することができます。 サイトでは、おすすめのブランドを紹介していたり、欲しいアイテムから関連するブランドを探したりすることも可能。 人や環境のためにどのブランドを選んでいいのかわからない、そんな方はぜひサイトを訪れてみては? ShiftC公式サイト:https://shiftc.jp/

  • 子ども食堂の新たな選択肢。「こどもごちめし」がつくる助け合いの循環

    厚生労働省の調査によると、日本の子どもの7人に一人が相対的貧困であることがわかっています。そのような現状の中、子どもたちに食事を無償または低価格で提供しようと各地で開かれているのが子ども食堂です。認定NPO法人全国こども食堂支援センター むすびえによると、2023年2月時点で全国にある子ども食堂は7,363箇所。その数は年々増加傾向にあり、子ども食堂を必要としている家庭が多いことを示していますが、ボランティアで行われていることが多いことから、継続的な運営が課題になっています。 今回は、2023年にスタートした「こどもごちめし」を運営するKids Future Passportを取材。継続的な子ども食堂を全国に広めるための新たな仕組み、こどもごちめしの背景にある想いを、代表の今井了介さんに伺いました。 子どもの成長を社会や地域全体で支える新たな仕組み 2023年にスタートしたこどもごちめしは、地域の飲食店を起点にこどもの居場所をつくり、食事を提供するウェブ上のサービスです。こどもごちめしのサイトに飲食店が登録し、子ども食堂としての役目を担います。中学生以下の子どもたちは提携しているお店から好きな場所を選んで食事をとることができ、その食事代は、企業や自治体、個人の寄付で賄われる仕組みです。 今井さんは、こどもごちめしの特徴を以下のように説明します。 「現在、日本に住むこどもの7人に一人が相対的貧困で、ひとり親家庭の相対的貧困は、48%以上と言われています。見た目だけではわからないケースも多いため「隠れ貧困」とも言われ、困窮する家庭が多いという現実が、まだまだ知られていないのです。そのような子どもたちを支援しようと、子ども食堂が各地にありますが、みなさんボランティアでやられていることがほとんどなので、資金面や運用面から、毎日の食事を提供することは難しいことを隣で見て感じていました。そこで、社会全体で、継続的に子どもの食をサポートしていけないかと考えたのが、こどもごちめしです。 こどもごちめしは、飲食店を利用した継続性の高い子ども食堂です。こどもたちは、行きたい日に行きたいレストランを選んでいくことができます。また、家庭の状況というのは大変繊細なものです。子ども食堂というと、周りの目が気になって利用できない方もいます。こどもごちめしはご飯を食べ終わったら、スマホ内のデジタルチケットを見せます。電子マネーで支払うのと動作が似ており、他の人から見ると、子ども食堂を利用したということがわかりにくいため、本人や家族は周りの目を気にせずに利用できるのも特徴です。」 サービスの使い方。わかりやすさを大切にしている こどもごちめしは、子どもが食事を無料(1,000円まで)でとれるだけでなく、子どもを持つ家庭や飲食店がサービスを使うハードルがとても低いことも特筆すべき点です。 「飲食店は登録料を必要とせず、既存のメニューを子どもたちに提供するので、コストがかかることはありません。利用したいご家庭は、ユーザー登録をすれば、誰でも1週間に3回利用することができ、生活保護を受給している家庭の子どもは毎日利用することができます。」 家庭と飲食店と寄付する団体や個人、三方が関わり合って、子どもたちの食を社会全体で支えていく。それをウェブのシステムで展開しているのがこどもごちめしなのです。 全国の子ども食堂と連携して広く深い支援を 子ども食堂の役割は、食事を提供することだけではありません。食の場を通して、地域の大人と子どもとの接点ができ、コミュニティが作られるという大きな意義も持ち合わせています。 「本人や親御さんからありがたいと言ってもらえるこどもごちめしのサービスですが、飲食店様からも、“地元の子どもと関われるきっかけができて嬉しい”という声をいただきます。」と今井さんは話します。 こどもごちめしに登録するTACO RICOのスタッフと今井さん(右下) また、今井さんは、全国の子ども食堂にもこどもごちめしのシステムを利用してもらい、連携していくことを大切にしていきたいと言います。 「相対的貧困に当てはまると言われている子どもたちが国内に200万人以上もいる中、こどもごちめしのサービスは、より多くの子どもたちに食を届けることができます。そして、各地の子ども食堂の役割は、地域コミュニティにとって大変重要です。多くの子どもの成長を見守っていくためには、地域の子ども食堂と伴走し、広く深く支援していくことが重要だと考えています。ふるさと納税の使途として“子どもを支援する”という選択肢を増やし、子ども食堂の食事代に充てていくという取り組みも少しずつ始まっています。例えば茨城県境町はその取り組みで、3年間で6万食以上を子どもたちに届けています。 最近は、子ども家庭庁の子どもの未来応援基金という補助金も新たに新設されました。そのような補助金とこどもごちめしのシステムを利用して、自治体や商店街ぐるみでの子ども食堂を開催いただけたら嬉しいです。」 相対的貧困の家庭の子どもたちに、毎日の食を提供するためには、現状の地域の子ども食堂に任せておくには負担が大きすぎます。こどもごちめしのようなサービスが、自治体や企業を巻き込んで社会全体で子どもたちを支えていくこと、そして地域の子ども食堂が子どもたちの居場所を作っていくことの、2つの方向からのアプローチが必要なのです。 食と一緒に子どもたちの夢を応援していきたい こどもごちめしでは、子どもたちが楽しめるイベントも企画しています。 「まだスタートして間もないですが、イベントも積極的に開催しています。例えば、先日はプロバスケットボールであるBリーグに所属するサンロッカーズ渋谷の選手をゲストに呼び、子どもたちとシュート体験を楽しみました。キッチンカーを呼び、そこで実際にこどもごちめしのサービスを体験できるような場所にしました。子どもたちにとって、プロのバスケットボール選手と間近で会えるのは、きっと思い出に残りますよね。スポーツや音楽に関連したアクティビティや、こどもごちめしのアンバサダーの方々に協力していただくイベントも開催していく予定です。子どもの食事だけでなく、夢を応援するサービスにしていきたいと思っています。」 スーパーマーケットの前で行われたイベントには多くの親子が訪れた©️ SUNROCKERS SHIBUYA 助け合いの循環ができる社会を目指して 子どもが毎日当たり前に食事をとれるよう、社会全体で見守ることを目指す、こどもごちめし。今井さんは最後にこう話してくださいました。 「こどもごちめしは、食事が終わってレジで画面を見せると、協賛する企業の名前が出てくるようになっています。それを見て“自分たちはこういう大人に支えられているんだ”ということを頭のどこかにでも置いておいてもらえたら、その子たちが大人になったときに誰かを支えよう、困っている人を助けよう、という循環が生まれてくれるのではないかと期待しています。子どもが大人に期待していないという話も聞いたりしますが、“絶対に君たちのことを見限ってないよ”“取り残されていないよ”というメッセージを強く伝えていきたいと思っています。」 自分が受けた善意を他の誰かに渡すことで、善意をその先につないでいくというPay it forwardのマインドを持つこどもごちめし。日本の子どもの未来を社会全体で支えていこうというエシカルな取り組みの今後に注目です。 お話を聞いた方 今井了介さん NPO法人Kids Future Passport 代表理事。Gigi株式会社 代表取締役。作曲家・音楽プロデューサー。2018年にGigi株式会社を立ち上げ、人とお店と地域にやさしいビジネスモデルを提案し、フードテックを使用した「ごちめし」などのサービスを展開。未来の子どもたちを支える支援の輪を広げていきたいと、2023年7月にNPO法人Kids Future Passportを設立、「こどもごちめし」をローンチした。 こどもごちめし公式HP:https://kodomo-gochimeshi.org/

  • GOOD VIBES ONLY。最新技術で目指す、“衣類廃棄ゼロ”への道

    環境省によると、一年間でごみに出される衣類は約50.8万トン。消費者が廃棄する衣類が膨大であるのに加え、売り切ることができずに在庫として残り、結果として消費者のもとに届く前に廃棄される衣類も多く存在します。 今回は、“衣類廃棄ゼロ”を目標に掲げ、最新のデジタル技術を取り入れたアパレル企業向けのプラットフォームを展開する、GOOD VIBES ONLYを取材。代表の野田貴司さんに、今のアパレル産業が抱える課題についてお聞きしました。 在庫ロスは生産量の30%以上が当たり前。多くのアパレル企業が抱える課題 出典:unsplash.com 本当に欲しいと思った洋服しか買わない、長持ちする素材を選ぶ、など消費者が衣服に関わる環境負荷を低減するためにできることは、大方想像がつくものです。しかし、企業がどのような問題を抱えているかは、なかなか知る機会がないもの。長年アパレル業界に携わる野田さんは、企業における衣類廃棄問題を以下のように話します。 「時代の流れもあり、現在は少しずつ在庫を減らしている企業さんは多いものの、生産量の30%以上は在庫として常に倉庫で保管しているというのが一般的です。機会損失を避けるため、売り切れを出さないよう、はじめから売れ残りを想定して、発注なども行っているところが多いですね。プロパーの在庫消化率70%だと、かなりいい方という印象です。在庫の処分方法はもちろん、倉庫の維持費もかさみ、実は課題があったのにもかかわらず、そのモデルが出来上がっている中で、なかなか改善されてきませんでした。」 GOOD VIBES ONLY代表の野田貴司さん そのようにして売れ残った在庫がたどる経路は様々です。 「企業として、在庫の処分を行う際は、サンプルセールなどを行う、焼却、バイヤーに買ってもらって海外に売る、バッタ屋(商品を格安で販売する店)に買ってもらって安く売るという選択肢があります。最終的には、海外に送られて埋め立てられるケースも多く、アパレルは生産だけでなく、廃棄の方法も問題になっています。」 なぜそんなに在庫をかかえているのかという質問に答えることができなかった 野田さんが初めて衣類廃棄について問題意識を持ったのは、他業界の人の何気ない一言でした。 「以前携わっていたアパレルブランドを売却するときに、今までアパレルには全く携わってこなかった業種の企業からの、デューデリジェンス(事前調査)がありました。当時20~30億円ほどの売上がある会社で4億円分の衣類が過剰在庫になっていることをお伝えしたのですが、そのときに“なぜ在庫が4億円分もあるのですか?”と驚かれて、そのときにはっとしました。」 アパレル企業では、その量の在庫を抱えることは極めて一般的であり、疑問に思うことがなかったため、その質問に答えられなかったと言います。 その出来事をきっかけに、野田さんは“衣類廃棄ゼロ”をミッションに掲げたGOOD VIBES ONLYを設立。アパレル企業が抱える課題を解決しながら衣類廃棄をなくすためのプラットフォーム“Prock(プロック)”の開発に着手しました。現場や企業の声を反映し、自社ブランドでのテストを繰り返しながら、およそ3年の歳月をかけて実用化にこぎつけたのです。 廃棄衣類ゼロを目指して開発、現場の課題解決にも繋がるツールの開発 Prockが提案する新しい洋服のサプライチェーン 「Prockでは、アパレル企業が行う企画・デザイン~販売までの管理をDX化し、業務の効率化を測りながら、余剰在庫問題をワンストップで解決することができるサービスです。大きな特徴の一つは、3Dデジタルサンプル技術です。試作品であるサンプルを実際に作らなくとも、特徴や質感など細かく数値化された生地を画面上で選び、リアルに限りなく近い質感の立体的なサンプルを確認することが可能になっています。洋服のサンプルはもちろん、生地屋さんから送られてくる生地のサンプルの廃棄も減らすことにも寄与しています。品質の高い日本の生地をデジタルサンプルとして海外に展開することも考えています。」 実際のデジタルサンプル。すでに大手のアパレルブランドでも取り入れられている Prockの二つ目の特徴として、AIによる需要予測があります。これまで現場の人の経験と勘で行ってきた発注作業を、AIを使用してどのくらいの需要が見込めるのかを判断することにより、正確で、売れ残りのない数の発注が可能になったのです。 「AIによる需要予測では、SNSに3Dサンプルを掲載した際の反応から、発注の段階で、販売数の見込みがわかります。必要以上の生産をしないことにより、無駄になってしまう衣服を生まないことに繋がります。Prockは、アパレル産業で長い間慣習化されてきたやり方を見なおし、課題を一つずつ解決しながら辿り着いた結果です。デジタルサンプルに置き換えるだけで、国内だけでも1600万着と言われるサンプルを削減することができます。また、アパレル業界全体の余剰在庫を10%削減すると、国内で2億着近くの在庫ロスをなくすことができると試算しています。」 課題解決と売上アップの両立を目指す 衣類廃棄ゼロを掲げProckを各アパレルメーカーに提案する中で、課題も見えてきています。 「現場の作業をより効率化し、同時に在庫管理を行えるツールとしてProckの導入をお勧めする中で、企業さんからは、課題解決も嬉しいけれど売上も伸ばしたい、という声が聞かれるようになりました。業務を効率化するだけでは、今のアパレル業界にアジャストできないと感じています。そんな中、私たちは、不特定多数の人にアプローチする販売方法ではなく、SNSの分析結果を利用したPRを行っています。その洋服を必要としている人に効率的に情報を届けることで、売上に繋げながらも、無駄になる衣服を減らしていくことを目指しています。」 結果、サンプルコストは80%削減し、プロパーでの利益率がアップした事例が出てきています。 また、NFTとしてデジタルサンプルを販売し、ゲームの中のキャラクターにリアルなアパレルメーカーの衣装を着させることができるような、新たな挑戦も。デジタルで洋服を売るという、アパレル企業にとって新しいビジネスモデルを提案しています。 そして、すべてがオンライン上のサービスであるからこそ、人の顔が見える機会を大切にしたいと、野田さんは言います。 「オンライン上で完結してしまう時代ですが、人との繋がりは、サステナブルな社会にリンクしていると思います。私たちがやっていることはデジタルだからこそ、リアルイベントなども行っていきたいと思っています。デジタルファッションを通じて、買う過程を楽しめるようなエンターテインメント性のあるものが良いですね。」 消費者の私たちにできることは? 出典:pexels.com メーカーでも細部まで把握しきれないほど、複雑になっている洋服のサプライチェーン。その中で販売される前に捨てられ、日の目を見ることのない洋服が大量にあるという現実。私たち消費者が洋服を購入するとき、どのようにブランドを選ぶのがよりエシカルなのでしょうか。 最後に、サステナブルな生産に配慮したブランドかどうか見極めるための方法をお聞きしました。 「サステナビリティを打ち出しているブランドさんは増えてきていますが、洋服を購入する際は、生産情報を開示しているかどうか、確認してみるのが良いと思います。販売員さんに、どのように生産されているのか直接聞いてみるのも良いと思います。売り場の販売員さんが生産の背景まで知っているブランドなら、信頼も高まります。オンラインのショップであればぜひ問い合わせしてみてください。消費者が変われば、その需要に応じて生産者も変わります。どちらか一方ではなく、両方の意識が、透明性の高いアパレル産業の実現には欠かせません。」 「アパレルが汚染産業であることから目を背けず、目を向けることが大切だと思っています。アパレル産業を含む社会全体もそうであってほしい。」と話す野田さんからは、アパレル産業を変革していくという強い意志を感じました。持続可能な社会へ大きく舵を切るためには、新しい技術を取り入れ、時代や社会のニーズに合った取り組みが不可欠なのではないでしょうか。 お話を聞いた方 野田貴司さん  株式会社グッドバイブスオンリー代表取締役。1992年、福岡県出身。大学を経て上京し、22歳からソーシャルメディアマーケティングに携わる。その後、D2Cの先駆けであるD2Cファッションブランド「eimyistoire」の立ち上げに貢献。2017年に同社を退社し、「廃棄衣類ゼロ」をミッションに掲げるGOOD VIBES ONLYの立ち上げに参画。これまでの経験を活かし、従来の洋服のサプライチェーンをより効率的かつサステナブルにするシステム「Prock」を開発。3DデジタルサンプルをはじめとするProckは、現在大手アパレルメーカーにも取り入れられている。

  • 夢のアフリカ渡航が目前に。アーティストSUDA YUMAと家族の知られざるストーリー

    今年の9月、東京・世田谷の落ち着いた住宅街に佇むギャラリーで行われたのが、SUDA YUMAの展示会です。中に入るなり、色鮮やかに躍動する動物を描いた作品が目に飛び込んできます。発達障がいのあるアーティスト、YUMA。彼の目を通して見える動物の世界は、優しく平和で、愛に溢れ、人々の心を魅了し続けています。 動物を描き続けてきたYUMAはこの秋、自身初となるアフリカ渡航プロジェクトを実施予定。ケニアのサファリを訪れ野生の動物を見に行くという大きな挑戦には、クラウドファンディングで多くの支援者が集まっています。 今回は新進気鋭のアーティストYUMAをマネジメントする母の須田裕子さんとご家族を取材。作品のこと、これまでの道のり、そしてアフリカへの挑戦についてお聞きしました。 各界が注目。YUMAが表現する、ポップでユニークな動物たちの世界 YUMAのアートはすべて、動物が主役です。ゾウやキリン、フラミンゴや、クマ、ペンギン、海の生き物たち…それ以外にも多種多様な動物が、ジャングルや森、湖、雪山を背景に登場します。動物たちはみな、生命力に満ち溢れ、個性豊か。ポップな色彩が、唯一無二の世界観を作り出しています。 彼の描く作品には、純粋でユニークな動物の魅力を思い出させてくれる力が宿っているのです。 YUMAはこれまで、個展や合同の展示会を開催しているほか、アパレルメーカーとのコラボレーションを実現。 今年は、富岡八幡宮から「アートパラ干支大絵馬」のアーティストとして選ばれ、2023年の年末から2024年まで、本殿にYUMAの作品が飾られます。 幼い頃からずっと続けてきた、描くということ 幼い頃からクレヨンなどを使って文字や絵を描くことに夢中だったYUMA。裕子さんはその頃のことをこう振り返ります。 「最初はずっとアルファベットを書いていました。そのうち、動物を描くようになっていくのですが、集中力があり、毎日何時間も絵を描いているということが多かったですね。中学生になるころには、小さいサイズの紙から、だんだん大きな紙に描くようになっていました。」 YUMAが現在のスタイルにたどり着いたのは、約3年前。幼い頃から動物を描き続けてきた彼は、初めは色鉛筆など細いタッチの画材を使用していましたが、知人からのすすめもあり、アクリル絵の具を使うように。大胆に色を塗ることができるこのスタイルが自身とマッチし、もともとあった才能をさらに開花させるきっかけとなりました。 自宅にあるアトリエ。100近い色の種類の絵具を全て記憶している 「絵を描き始めると彼の中で迷いはありません。色を選ぶ際も、迷っているのを見たことがないですね。最初から頭の中で色の配色が決まっているようで、バランスを見て色を決めたり、足したりするスタイルではありません。例えばピンクをとったら、先にピンクに塗りたい場所を埋めていくことがほとんどです。」 現在は、図鑑や写真集、実際に動物園に行ったときに見た動物からインスピレーションを受けて創作を行っています。中でも上野動物園には100回以上足を運んでいて、名古屋市の東山動物園もお気に入りだそう。 実物だけでなく、本からも多くの着想を得ている 作品からは見えてこない障がいの現実 才能に溢れた若きアーティスト。YUMAのことを知ろうとするとき、そのような単純な言葉では語れない歴史が、本人と家族にはあります。 裕子さんの言葉の端々からは、朗らかな家族の雰囲気や明るい作品からは想像のつかない、障がいと共に生きることの苦労が垣間見えます。 「YUMAは、思考や感情を口に出して伝えることが得意ではありません。また、記憶力が人並以上であることから、私たちが考えている以上に、これまでの思い出や情報が頭の中に残っています。それをうまく吐き出し、考えをまとめられる方法が、YUMAにとっては描くということです。絵はもちろん、文字をノートに書くことも同じです。常にフル回転している頭を休ませるために、彼にとってそれがとても大切な時間なのです。」 YUMAには欠かせないノート。絵の構想や学んだことなどが書いてある 「アーティストとして活動する前、YUMAは5年ほど働いていました。毎日一生懸命働いていましたが、同じ作業の繰り返しで成長を感じられず、本人は働く目的や目標を失っていました。私も、彼が職場にいることでみなさんに迷惑をかけているんじゃないかと思ってしまい、いつも“すみません、すみません”と謝ってばかりいて、疲弊していたと思います。本人が家でイライラすることも増えてきて、限界だなと思うことが多くなり、じっくり話し合って卒業する決断をしたんです。今は毎日穏やかに過ごしていますが、季節の変わり目などは、バランスを崩しやすいです。日常生活での小さな出来事がストレスになってしまうこともあります。“才能があっていいですね”と言われることもありますが、家族にとっては毎日が戦いです。子育てはみんな大変ですが、自立がなくサポートをずっと続けていかなくてはならないというのは、精神的にも負担です。次も障がいのある子を産みたいかと聞かれたら、二つ返事で“はい”とは言えないですね。」 「ひとつの個性という人もいるけれど、障がいはそのような言葉で説明できるほどいいものではない」とYUMAの兄である将太郎さんも言います。 本人が生まれたときからずっと障がいと向き合ってきた家族からは、借りてきた言葉ではなく、リアルで率直な感情が言葉になって出てきます。 誰の目に映る動物とも違う、YUMAの描く生命力にあふれた優しい動物たち。彼にしか生み出せないアートの背景には、本人と家族しかわからない、日々の物語があるのです。 YUMAの活動が、みんなが生きやすい社会へ繋がるように ピアノは楽譜ではなく、音と指の動きから曲を覚える。記憶している曲数は20曲以上にのぼる 「YUMAは絵を描いて生活しているので、とても恵まれていると思いますが、障がいのある子どもを育てるということは、本人と家族にたくさんの困難があります。例えば学生時代は親の送り迎えが必要で、休まる時間はありませんでした。特別支援学校は駅から離れている場合が多く、一人で通学するのは難しいところが多いんです。周りの親御さんも自分のことは後回しで、働くこともままならない方が多かったですね。中には夜中に働いている親御さんもいました。」 ここ数年、多様性を受け入れる社会の構築は進みつつありますが、その家族まで、必要とされる理解や支援は行き届いていないのが現実です。 学校を卒業する年齢が近づくと他の課題にも直面します。障がいのある子は、社会に出ること自体を目標に設定されがちで、本人の個性や希望などは二の次になってしまうのです。 「障がい者にとって、就労というのはひとつの大きな目標になっています。就労するためにみんな同じような訓練を重ねるんですが、本当は一人ひとり個性豊かで、得意・不得意だってあります。しかし障がいがある人のほとんどは、そのように決められたコースしか選べない現状があるんです。 YUMAの活動を通して、社会に当事者とその家族の状況が伝わり、障がい者の教育や働き方の選択肢が少しでも広がってくれると嬉しいと思っています。」 まだまだ知らない人も多い、障がいを取り巻く現実。YUMAの活動が、障がいのある人と周りの人に対する理解へと繋がり、誰もが生きやすい社会になっていくことを裕子さんは願っています。 YUMAの作品は、たくさんの動物が集まり、まるで話をしているような作品が多い 「いつか行きたいね」が現実に。夢のアフリカへの挑戦 YUMAと母の裕子さん。直接アートを描いたリビングのドアの前で 今、Yumaは長年家族で話していた“アフリカで野生の動物が見たい”という夢を叶えようとしています。 アフリカ渡航プロジェクトは、兄の将太郎さんとその友人の稲川雅也さんが中心となってスタート。何度もアフリカの地に足を運んだ経験や、現地の人との繋がりもあることから、プロジェクトのアイデアが生まれました。 今回訪れるのは、豊かな大自然に多くの生き物が暮らすケニア。ライオン、アフリカゾウ、サイ、ヒョウをはじめとした多様な生物が共生するマサイマラ国立保護区でのサファリ体験をメインに、ナイバシャ湖では水辺に生息する鳥などを観察予定。さらに、現地のアートセンターを訪問し、地元のアーティストとコラボレーションを行います。 渡航に先立ち始まったクラウドファンディングでは、目標額を大きく超え、650万円を達成。リターンの選択肢の一つである、彼がアフリカ帰国後に制作するアートが人気であることから、彼の活躍に期待し、応援したいと考える支援者の多いことが伺い知れます。 アフリカの大地に立つ彼はどんな表情をしているのか。初めて出会う人や文化、自然や動物は彼の目にどのように映るのか。そして帰国したとき、彼が描くものとは・・・? rootusでは、帰国後のYUMAも取材予定。アフリカ渡航という大きなチャレンジを成し遂げようとする若きアーティストYUMAから、今後も目が離せません。 プロフィール SUDAYUMA 1998年、東京都生まれ。発達障がいがあり、夢中になって動物の絵を描く子ども時代を過ごす。現在はアクリル絵の具を使用し、ポップなカラーで彩られた多様な動物が登場する作品の数々を発表。彼の目線で描かれたユニークな生き物の世界観に、アパレルメーカーやクリエイター、芸能人などからの熱い視線が送られている。2023年10月には長年の夢であったアフリカ渡航を予定。クラウドファンディングを中心に、彼の挑戦を支持し、今後の活躍に期待する声が高まっている。 公式HP:https://www.sudayuma.com/公式インスタグラム:https://www.instagram.com/sudayuma/?hl=jaクラウドファンディングサイトページ:https://rescuex.jp/project/76450

  • 未来に残したいプロダクトに出会える「文化商店」ってこんなところ!

    今、ブランドストーリーや商品の裏側にある想いに共感して買い物をする人が増えてきていると言われています。そんな時代にぴったりのイベントが2023年9月に東京・原宿で初開催。「未来の文化を売り買いする体験イベント、文化商店」とは?どんなイベントなのか詳しくレポートします! 商店街をイメージした空間デザインに高まる期待! 今回、文化商店が開催されたのは原宿駅すぐの施設。受付を済ませるとすぐ出迎えてくれる大きな暖簾をくぐり、こだわりのブランドが待つ会場へ。早くも、素敵なモノと人との出会いを予感させる、心地よいテンポの音楽が耳に入ってきます。 会場の中でもひと際目立つ、大きな暖簾! 今回の出展は全26ブランド。将来文化となっていくであろうブランドのみが揃い、お店の人とじっくり話しながら商品について知ることができるのが、この文化商店の大きな特徴です。世に出たばかりの商品や、こだわり抜かれた商品、ユニークなコンセプトを持つ商品やエシカルでサステナブルな商品などが並びます。 商店街の賑わいが表現された、明るく楽しい雰囲気の空間 素敵なストーリーを持つブランドが勢ぞろい まず目に止まったのが、緑と白を基調とした統一感のあるブース。ALL GREENは、日本全国から選び抜いた一番茶を、定期便で届けるサービスです。会場では、3種類のお茶を試飲して、気に入ったお茶に投票。顆粒タイプになっていてお水でも簡単に溶かすことができますが、その手軽さに相反し、どのお茶も上品で香り高く、奥深い味わい。改めて日本茶の魅力に気付かされます。 どれも本格的なのに手軽。どのお茶も同じくらい人気でした お酒好きなら見逃せないのが、Better life with upcycleのクラフトビール。こちらのクラフトビールは、なんとサンドイッチを作る際に切り落とすパンのミミを使用。老舗のパン屋さんが新たに立ち上げたブランドです。さらに、パンのミミを使用したラベンダー香るジンも発売。どのお酒も同ブランドから出ているラスクと相性抜群です! パンのミミをアップサイクルして作られたクラフトビールとラスク 色とりどりのお花が並ぶのは、アプローズ。アレンジメントや作品はすべて港区にある福祉事業所で手作りされているそう。お花の組み合わせが絶妙で可愛く、自宅用やプレゼント用に気軽に購入できる大きさが嬉しい!シーズンに合わせた商品も取り揃えていました。 センスの良いブーケなどが並ぶ FERMENSTATIONは、未利用資源と独自の発酵技術を組み合わせた製品を開発しているブランドです。中でも、オーガニック玄米からできたエタノールを使用したアウトドアスプレーとピロースプレー、栄養がたっぷり含まれた発酵由来の「米もろみ」を使用した洗顔石鹸は、品質の高さから愛用者が多い商品。他にも様々な企業と未利用資源を使ったコラボレーション商品を生み出しています。 大きな可能性を秘めた「発酵」を取り入れたプロダクトたち ・・・と、ここまでたくさんのブランドを見てきましたが、他にも魅力的なショップが目白押し。自分に合うお味噌汁をその場で栄養士さんが選んでくれるMISOVATION、サステナブルなファッションを提案するO0uやKAPOK KNOT、重くて焦げやすく扱いにくいという鉄のフライパンの概念を覆す岩鉄鉄器など、心惹かれるお店が立ち並びます。 一軒一軒じっくり見ていたら時間が足りないほど、どこも生産者とお店の人のこだわりと愛がこもった商品で溢れていました。 ”文化”を体験できる新感覚イベント 会場では、スタンプラリーも実施。気に入ったブランドのブースでお店のスタンプを4つ押すと、最後に大きなガラポンを一回引くことができます。出展しているブランドの商品など、内容も豪華! 回すだけで、つい笑顔になる巨大なガラポン! 会期中は、出展するブランドによるワークショップも開かれました。 次々と心ときめくプロダクトに出会えた今回の文化商店は、まだまだ見たかった…!というのが正直な感想。次回の開催は未定ということですが、こんなに盛況なら次回も開催されるはず、と期待しています。 「私たちの未来に残したい商品や文化、取り組みは?」そんなことを改めて考えさせられる魅力満載のイベントでした。

  • 第20回フェアトレード学生サミットが開催。真剣に向き合う3日間に

    Fair Trade Student Network(以下、FTSN)は、フェアトレードに関心のある全国の学生を繋ぐ学生団体です。FTSNは、2004年に設立され、サステナブル業界で活躍しているOB・OGを多く輩出。定期的にイベントを開催しており、その中で最大のイベントがフェアトレード学生サミットです。 今年もフェアトレード学生サミットが開催 2023年8月29日の東京・代々木。国立オリンピック記念青少年総合センターには、フェアトレード学生サミットに参加するため、中学生から大学生まで、全国から学生が集いました。 開催20回目となる今回のテーマは「Discover & Communicate」。参加者一人ひとりがフェアトレードの“いちばんイイところ”を発見し、他者に伝えられるようになることを目標に、業界の第一線で活躍するゲストによる講演やワークショップを通して、3日間にわたり、フェアトレードに関する理解を深めました。 さらに、一般参加者を交えた交流パーティも組み込まれており、盛りだくさんのプログラムとなりました。 フェアトレードに対する理解を深める充実のプログラム 日本語で直訳すると「公正取引」となるフェアトレード。定義が難しく、他者に伝えるときにどうしても抽象的になりがちです。 サミットの初日には、フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長の潮崎真惟子さんなど、フェアトレードの最前線で活躍するゲストによる講演を実施。フェアトレードの概念の伝え方についてイメージを膨らませました。 フェアトレード・ラベル・ジャパン潮崎さんによる講演 2日目には、これまでに数々のCMを手がけ、国内外で多数の受賞歴のある映像監督の高島太士さんを講師に招いて、フェアトレードの魅力の「伝え方」に関するワークショップを開催。 グループに分かれた参加者は、高島さんが用意したフレームワークに基づいて、それぞれが設定したターゲットの心を動かす方法を議論し、キャッチコピーの形へと落とし込んでいきます。 学生たちは高島さんの助言を受けながらキャッチコピーを作成した 最終日にはサミットの締めくくりとして、グループごとに作成したキャッチコピーのプレゼンテーションを行いました。 学生たちの未来につながる3日間に キャッチコピーを学ぶワークショップでは、プログラムの時間だけでは飽き足りず、夜遅くまで白熱した議論を重ねる学生が多く見られました。また、プレゼンテーション本番では思うように発表することができずに悔し涙を流す姿も。フェアトレードと真剣に向き合う熱い姿勢が伝わる3日間となりました。 参加した学生からは「これまでになかった視点から、伝える上で必要な考え方を学べた」という声が。普段関わる機会のないゲストとの交流や、同じ志を持つ全国の学生との出会いは、参加した学生たちにとって大きな財産になるでしょう。 より良い社会のために踏み出す学生の活躍に期待 これまで、フェアトレードの活動に関わったことがないという学生の参加もあった今回のサミット。そのことからも、社会を良くするために一歩踏み出そうとする若い人が増えてきていることがわかります。 「ここで得た経験をそれぞれ持ち帰り、周りの人へ広めていくことで良い循環が生まれることを期待したいです。」と広報担当で自身も学生の村瀬さんは話します。 FTSNは今後もオンラインの定期的な団体交流企画などを予定。今後ますます盛り上がりを見せることが期待されます。 【第20回フェアトレード学生サミット】主催:第20回フェアトレード学生サミット実行委員会公式サイト:https://20th-ftsn-summit.studio.site/

  • AIのメリットと問題点。テクノロジーで人は幸せになる?

    車の自動運転や、人間のような会話ができるChatGPTなど、様々なAIの登場によって、私たちの生活は日々便利になり続けています。一方で、AIが人間の仕事を奪ったり、人間社会を支配したりするのではないかと不安を抱える人もいるでしょう。果たして、AIは人間を幸せにするのでしょうか…?AIのメリットやデメリット、その活用事例を見ながら、新しいテクノロジーとの付き合い方について考えていきます。 AI(人工知能)とは 出典:pexels.com AI(人工知能)はArtificial Intelligenceの略で、人間の知的能力を人工的に再現するものです。AIが登場する以前のコンピューターはプログラムされた通りの処理しか行うことができませんでしが、AIは蓄積されたデータを基に自ら学習し、状況に応じて柔軟に判断することができます。しかし現在、どこまでできたらAIとするかについては、実は明確には定義されていません。 AIにできること、できないこと https://www.pexels.com/ja-jp/photo/8386422/ AIは以下のようなことが得意とされています。 画像・音声認識:音声に字幕をつける、顔認証をするなど 自然言語処理:chatGPTのように言語を理解し、文章をつくるなど 検知・予測:過去のデータと現在の状況を比較、これから起こることを予測するなど 機械制御:自動車の自動運転のように、状況をみて機械を適切にコントロールするなど これらは全て蓄積されたデータから学習し行われます。 したがって、データが存在しないものをゼロから作り出したり、全く不規則なデータを扱うことはできないとされています。また、人間のような汎用性はないため、決められた役割以外のことはできません。例えば、音声認識のために開発されたAIが自動運転をすることはありません。 AIがもたらす5つのメリット 出典:pexels.com 生活が便利になる AIは日常生活だけではなく、企業・医療・教育の現場など、様々な場面で使用されています。あらゆるサービスに搭載されたAIが様々な課題を解決することで、私たちの生活はこれからも日々便利になっていくことは間違いないでしょう。 生産性が向上する 多くの仕事はAIで代用できると言われています。労働不足の解消・業務の効率化・人件費の削減・ヒューマンエラーの排除などのように、多くの問題がAIで解消され、生産性が向上すると考えられています。 事故の減少と安全性の向上 自動運転の導入によって、交通事故が減少すると考えられています。また、機械の劣化を自動で検知できればインフラの安全性の向上にもつながるでしょう。正確な作業を繰り返し、異常を検知することに優れるAIを用いることで、社会の安全性が高まります。 高精度なデータ分析・予測が可能になる AIは膨大な量のデータを処理し、分析したり予測したりすることができます。市場のあらゆるデータから社会や個々の人に必要なことを効率的に予測することで、マーケティングや医療、教育などの質を向上することが期待されています。 やりたいことに時間を使えるようになる AIの活用方法はアイデア次第です。これまで人間が行なっていた様々な作業をAIに任せることで、人間はより重要なことに集中することができます。例えば、AIを搭載した家電に家事を任せれば、家族と過ごす時間を増やすことができるようになるかもしれません。 AIの活用に伴う4つのリスク 出典:pexels.com 雇用が減少する可能性がある 多くの作業がAIに置き換わるため、これまで人が担っていた仕事は減っていきます。新たな仕事も生まれていきますが、必要なスキルを身に付けるなど、社会全体のシフトが必要です。 責任が曖昧になる 例えば、自動運転の自動車で事故を起こした場合、責任の所在がとても分かりづらいという点が懸念されています。AIが十分に社会に浸透し、法律が整備されるまでは、責任が曖昧にならないように注意が必要です。 思考のプロセスが見えない 実はAIの出す答えには、「どういうプロセスで導き出したかわからない」という問題があります。これは、ブラックボックス問題と呼ばれ、解決とともに信頼性の向上が求められています。また、AIを使用する人間側にも、思考することなくAIの導いた答えを受け入れてしまうリスクがあり、こちらも問題視されています。 不適切に活用される恐れがある 画像や文章などのコンテンツを生成できるAIが開発されたことで、フェイクニュースや誹謗中傷の量産といった悪用が危惧されています。 他にも、悪用とは異なりますがデータが独占されるリスクがあります。前述したようにAIはデータに基づいて学習します。実は現状ではこのデータの所有者はあいまいになっています。一部の事業者にデータが集中すると市場が正常に機能しなくなる恐れがあるため、注意が必要です。 AIは人を幸せにするのか 出典:pexels.com AIが人を幸せにするかについて、多くの人が気になっていることでしょう。しかし、AIはツールに過ぎないため、AI自体は人を幸せにも不幸にもしません。全てはそれを使用する人間次第なのです。その中で最も重要となるのが、ガイドラインや法律です。道路交通法がないと安心して運転ができないのと同じように、ルールなくしてAIの幸せな活用方法はありえません。 どのように活用すればAIが人の暮らしを豊かにするかについては、現在多くの議論がされています。例えば、国連のグテレス事務総長は加盟各国への勧告をまとめた提言書を公表し、2026年までにAIを搭載した兵器を法的に禁止する枠組みを設けるように求めています。また、AIの安全保障リスク軽減に向けた新たな国際機関の設置を検討するよう促しました。 AIの存在しない時代に戻ることはない 出典:pexels.com これまで、様々なテクノロジーが社会に変革をもたらしてきました。例えば自動車はより多くのものをより遠くへより速く移動させることを可能にした反面、環境汚染や交通事故を引き起こしました。インターネットやSNSの登場は、誰でも膨大な情報にアクセスできる便利な社会を作った一方で、信憑性のない情報も増えるなど問題もたくさん存在します。 どんなテクノロジーにも良い面と悪い面があり、その全てが人々の生活を豊かにしたと一概に評価することはできません。一つ間違いなく言えることは、一度テクノロジーが社会に浸透すると、それがない時代に戻ることはないということです。それだけ多くの可能性をテクノロジーが切り開いてきたのです。 AIがない時代には戻れない以上、AIを豊かな社会づくりに活用する方法を考えていくことが大切です。全ては使い方次第。無限の可能性を秘めたAIと共存する豊かな未来を思い描いてみては?

  • 【INCLUSIVE TOKYO】多様性はあたりまえ。どんな人でも楽しめるパーティーが渋谷にやってきた!

    “すべてを含む”という意味を持つインクルーシブ。ここ最近は、「年齢や性別、人種、障がいのあるなしに関わらず、多様性を認め合い、共生していこう」という意味合いを持つ言葉として、広く使われるようになりました。 今回、どんな人でも楽しめるパーティー、その名も“INCLUSIVE”が多様性の街、東京・渋谷で初開催! 一体どんなイベントなのか?大盛り上がりの一夜をレポートします! INCLUSIVEとは? 介護福祉士のRyosuke Genmaさんが主宰する、インクルーシブなクラブイベント。年齢、性別、職業、障がいの有無に関係なく、どんな人でも音楽やお酒、出会いを楽しめるパーティーです。 過去には、DJに元RIP SLYMEのSUさん、ゲストにカリスマ美容師の奈良裕也さんやタレントの加藤綾菜さんなどを迎えて、静岡を中心に開催されてきました。 東京・渋谷での初開催に潜入! 満を持して渋谷で開かれたINCLUSIVE TOKYOは、宮下パークのイベントスペースORが会場に。今回も超豪華なDJ陣とゲストを招いての開催です。 オープンするなり、会場にはぞくぞくとお客さんが。もちろんバリアフリーなので、車いすの方も多数。年齢も様々で小さいお子さんもちらほら。そんな中ゆるやかにパーティースタートです。 DJによる音楽が始まると、空気は一気に“渋谷の夜”に! みんなお酒を片手に、音楽や会話を楽しんでいる様子。 パーティーを盛り上げるブースも充実 会場のところどころには企業などによるブースも設けられています。 山梨の福祉施設で作られたクッキーやアートが売られていたり、電動で立ち上がることのできる車いすが体験できたり。まつげエクステやヘアスタイリングをしてくれるコーナーも人が途切れることなく大盛況でした。 今回のパーティーのテーマは“障がい者×性”。障がいのない人もある人も、性別も関係なく使えるセルフプレジャーグッズなどを販売するTENGAも出展。 なかなか切り込みにくいテーマであるものの、オープンで誰にでも開かれたINCLUSIVEの空間では、違和感ゼロ。むしろみんな興味津々です! イベントの後半にはクロストークも 中盤にはミュージシャンのWolfy Sanoさんによるパフォーマンスも行われました。 後半のトークイベントでは、ゲストを招いてのクロストークを開催。障がい者専門風俗嬢の小西理恵さん、車いすで世界一周を成し遂げた三代達也さん、長年介護の現場に携わる中浜崇之さんが、今回のテーマである“障がい者×性”について赤裸々に語ります。 どんな人でも必ずかかわりのある“性”。表立って話しにくい風潮がまだまだありますが、悩みを抱えている人も多く、もっとポジティブに受け入れられるべきトピックです。 包み隠さず話してくれる三人のトークに、障がいがない人も含めて、会場全員が聞き入っていました。 新しいスタンダードを作るINCLUSIVE からこれからも目が離せない! 興奮冷めやらぬまま、イベントは終了。コロナ禍でイベントが長らく開催されてきませんでしたが、理屈抜きで、やはりパーティーは楽しい!そして日常ではなかなか交わらない人たちがごちゃまぜになって盛り上がる夜は、もっともっと楽しい! INCLUSIVEは、お酒と音楽を楽しみながら、自身の視野をぐっと広げてくれるこれからの時代のパーティーでした。今後も開催予定のINCLUSIVE。ぜひ一度足を運んでみては? 最新情報はこちら @gen1106Photo by イシヅカマコト

  • 今こそローカル!新潟・佐渡から学びたい、地域を大切に受け継ぐということ

    地球規模で社会問題が頻出し、持続可能な社会づくりが急ピッチで進められる今。カタカナで“サステナブル”と聞くと、新しいことばのように感じますが、実は自然との共存や、歴史・文化の継承、人との関わりを大切にする考え方は、古くから日本の地方に根差しています。今回は、新潟県・佐渡市にフィーチャー。先人が守ってきた里山と海、文化を受け継ぐ佐渡の魅力を深掘りします! SDGsがはじまる前から自然・歴史・文化を尊重してきた島、佐渡 日本海に浮かぶ、人口約5万人の島、佐渡市。佐渡と聞くと、まず思い浮かぶのは“トキ”と、“佐渡金山”という方は少なくないでしょう。佐渡では、サステナブルやSDGsといったワードが広がる前から、独自の方法で、トキの保護とそれに伴う環境保全や、佐渡金山の歴史遺産の保護、まつりや伝統文化などの継承に、地域一丸となって取り組んできており、国から2022年に「SDGs未来都市」の選定を受け、2023年にはSDGs未来都市の中で特に優れた先導的な取組として「自治体SDGsモデル事業」に選定されています。 佐渡ではSDGs 17の目標に、「佐渡独自の自然・歴史・文化の継承」という独自の目標を加えた18の目標を設定。経済活動と環境保護の両立を礎とした豊かな社会づくりに向けて、新たな挑戦が始まっています。 今回は、今こそ知りたい“これまでの佐渡”と、“新しい佐渡”を5つの視点からお届します! 佐渡を知る5つのコト トキと人が安心して暮らせる空気と土 佐渡のシンボルといえば天然記念物のトキ。一度は絶滅したトキですが、人工繁殖と飼育に取組み、今日では自然界に500羽を超えるトキが生息するまでに至っています。佐渡では「トキの森公園」などの施設でトキの生態を見ることができる他、大空を舞う野生のトキに出会えるチャンスも…! トキの野生復帰の大きなカギとなったのは、島全体で推し進めた環境の再生でした。農薬や化学肥料をできるだけ使わないなど、生きものを育む農法に取組み、2011年には世界農業遺産(GIAHS)に認定され、今、世界に誇れる自然共生のモデルを築き上げています。 先人たちが残してきた歴史ロマンあふれる佐渡金銀山 広大な自然に溶け込むように形を残し、訪れる人を圧倒させる佐渡金銀山。江戸時代初期に鉱山開発がはじまり、平成元年に休山するまでの約400年以上もの長い歴史を持ち、日本の経済発展に大きく貢献してきた世界に誇る金銀山です。 坑道や採掘場所など、遺跡の良好な保存状態は、世界を見ても大変貴重であることから、世界遺産への登録を目指しています。 持続可能な観光を実現する、宿根木(しゅくねぎ) 島内には明治時代にタイムスリップしたような街並みが残る地区があります。佐渡の最南端にある宿根木は、江戸から明治にかけて廻船業で栄えた集落。佐渡観光には欠かせない街でありながら、新たな開発・整備を行っていないため、ありのままの趣ある雰囲気を楽しめます。 過剰な観光開発をしないことは、オーバーツーリズムを回避し、現在も地区に住む住民や景観を保護することにも繋がります。さらに移動手段には、バスや車ではなく、自転車で回ることを推奨し、観光と自然、地元住民の三方にとって、持続可能である旅行の在り方を示しています。 佐渡の豊かな食を伝える地産地消の飲食店 佐渡の魅力は、歴史や景色にとどまりません。海に囲まれ、山もある佐渡は、お米、魚、野菜、フルーツなど、何を食べても本当に美味しい、豊かな食材の宝庫! 島内には、地産地消や海洋保護、規格外農産物の使用など、「エシカルな消費」を意識した以下のような飲食店が増えています。 生産者の顔が見えるジェラート専門店 Mattelato(マッテラート) Mattelatoは、観光客だけでなく、地元の子どもたちからも支持を集めるジェラート専門店。島内のイチゴ農園で収穫されたイチゴや、新潟のブランド柿である“おけさ柿”、ネクタリンなどその時期の旬なフルーツを使ったジェラートは、農園で食べるフルーツに負けないほどのフレッシュさ! 佐渡産の牛乳やハチミツなどのフレーバーも人気で、ジェラートを通して、佐渡の多様な食文化を体験することができます。 「良質な土壌で作られる、生産者のこだわりが詰まった佐渡の食材をもっと知ってほしい」との思いが込められたジェラートは、佐渡に行ったら必ず食べたい逸品です。 公式HP:https://mattelato.com/ サステナブルな食に挑戦する絶景レストラン しまふうみ 真野湾を一望できる海沿いの高台に位置し、佐渡の自然をダイレクトに感じることのできるレストラン、しまふうみ。シーズンによって内容が変わる、名物の“佐渡ジオパークプレート”は、地元で採れる旬の農産物や水産物をふんだんに使い、佐渡の豊かな食を一皿に表現しています。 しまふうみは、新潟県で初めて「ブルーシーフードパートナー」の認証を取得。サステナブルなシーフードを優先的に調達し、海洋保護に積極的な飲食店として水産物の提供を行っています。また、地域の恵みを最大限に生かすため、地元農家の規格外野菜や果物を積極的に取り入れ、ジャムや出汁として余すことなく使うなどの工夫も。 最近では、地元の高校で収穫された金時芋をメニューとして採用。佐渡の食の持続可能性を高めるため、地元の人たちとの関わりを大切に、日々新しいアイデアを生み出しています。 公式HP:https://www.primosado.jp/shimafumi/ 次世代を担う子どもたちへの食育 食育が注目される中、佐渡では、学校や保育園の給食に無農薬・無化学肥料で栽培された地元産のお米を提供する取り組みが始まっています。 地域で採れた食材を口にすることは、次世代を担う子どもたちが自分の住む地域について深く知りたいと思うきっかけに。また、地元の農家が給食を通して子どもたちの成長を支えることで、地域の繋がりがより強くなることが期待されます。 本当の豊かさを求めて佐渡へ SDGs未来都市として、さらに持続可能な社会へと歩みを加速させる佐渡。海や山、文化をゆっくり堪能できる旅行先として選ばれているのに加え、移住に伴う支援制度を設けるなど、移住者を受け入れる体制も充実しています。先人が守ってきた豊かな自然・歴史・文化を礎に、新しい動きを見せる佐渡へ、豊かさのヒントを探しに訪れてみては。 取材協力:佐渡市

  • 未来に残したい世界の絶景「ペリト・モレノ氷河/南米パタゴニア地方」

    この連載では、世界各国を回る旅人やツアーコンダクターが旅先で出会った景色をお届けします。世界から届く絶景写真から、人と自然が共存する豊かな社会の在り方を考えてみませんか? 第三回目となる今回は、アルゼンチンとチリにまたがるパタゴニア地方のペリト・モレノ氷河です。南アメリカ大陸の最南端、パタゴニア地方にあるロス・グラシアレス国立公園は、南極大陸、グリーンランドに続く世界で3番目に大きい氷河地帯です。その中で最も有名な氷河が、ペリト・モレノ氷河。展望台から見える氷の壁は、どこまでも果てしなく続き、圧巻のひと言! 総面積は250km2に及ぶというから驚きです。 氷河は、展望台だけでなく船で湖上から見ることができ、高い頻度で崩落の瞬間に立ち会うことができます。崩落が始まると、そこにいる誰もが、儚くも迫力ある一瞬に釘付けに。毎日2mも前進し続けているペリト・モレノ氷河は、壮大な代謝を繰り返し、まさに呼吸をしているかのような氷河なのです。地球温暖化の影響から氷河が溶けているというニュースは耳にしますが、ペリト・モレノ氷河は、成長を続けています。その理由は解明されていないものの、世界中の氷河が縮小していく中で貴重な氷河といえるのかもしれません。 力強い地球の生命力を間近で感じられるこの氷河もまた、未来に繋いでいきたい景色の一つです。 photos by rootus編集部

  • 大自然の中でサステナビリティを体感するHEROCAMP。今週末は長野・蓼科に行こう!

    2023年6月23日(金)~25日(日)の日程で大自然の中で美味しいものを食べながらサステナビリティに触れられるアウトドアイベント、HEROCAMPが開催されます。 初日となる23日は、宿泊をして参加する方を対象に前夜祭を開催。余った食材や賞味期限が近い食材を持ち寄り、みんなでアイデアを出し合いながら調理するサルベージ・パーティーやサステナビリティと食についてのトークセッションやワークショップが行われます。 イベントのメインとなる24日は、日帰りの参加も大歓迎! 朝ヨガやレイクランといった自然を体感できるアクティビティから始まり、防災の視点で学ぶブッシュクラフトや竹を使ったワークショップ、夜はドキュメンタリー映画上映会など、イベントが盛りだくさんの一日。“青空キッチンスタジアム”では、シェフと一緒に未利用魚や地元のジビエを使った料理を作ります。 自然豊かな会場で、子どもも大人も、一人でも家族でも、誰もが人との出会いとサステナブルなアクティビティを楽しめるHEROCAMP。今週末はぜひ蓼科に足を運んでみては? HEROCAMP日程:2023年6月23日(金)、24日(土)、25日(日)場所:TINY GARDEN 蓼科   長野県茅野市北山8606-1HP:https://herocamp.studio.site/チケット(6月24日)※:ALL DAY PASS ¥7,000(学生¥5,000、小学生¥1,500)・DAYTIME PASS ¥3,000(学生¥2,000) チケットの購入はこちら https://herocamp2023.peatix.com/ ※宿泊に関してやイベント詳細については公式HPをご確認ください。

  • 端材に命を吹き込む。ANIMA FORMAが生み出す一点モノのアートから大量生産社会を考える

    本物の動物を想起させるANIMA FORMA(アニマフォルマ)の作品。ANIMA FORMAは、作品の材料にウール生地の生産過程で廃棄される端材を使ったアップサイクルアートプロジェクトです。作品を通して動物たちが私たちに語り掛けてくることとは? ANIMA FORMAのデザイナー村松恵さんに作品の背景にある想いを伺いました。 不要になったウール生地の端材に新たに命を吹き込んだアート“ANIMA FORMA” ANIMA FORMAの展示会に訪れるなり、目に飛び込んでくるのは壁に掛けられた様々な動物たち。牛のような大きなものから、ムササビのような小さなものまで、本物にはない配色でありながら、どこかリアルで、まるで生きているかのような躍動感を感じます。それもそのはず、作品はウールなどの生地の端材を使用し、形はカット前の剥いだ状態の動物の毛皮からインスピレーションを得たもの。ANIMA FORMAは、コートやジャケットなどの衣服やブランケットなどに使われるウール生地の生産段階で出てしまう端材に命を吹き込み、壁に飾るアート、ウォールハンギングとして生まれ変わらせるアップサイクルのアートプロジェクトです。 きっかけは大量に生産される中で不要になる「端材」 プロジェクトを始動させたデザイナーの村松恵さんは、美術大学を卒業し、生活雑貨のデザイナーとして働くなど、長年テキスタイルデザインに関わってきました。そこでいつも目にしてきたのが、織物工場の端っこに積み上げられていたウール生地などの端材です。衣服や雑貨の生産過程でどうしても発生してしまう端材の山を見て、いつも違和感があったと村松さんは言います。「織物工場で不要になった端材を見るたびに、何かに使えないだろうかと考えていました。それと同時に、大量生産され使い捨てが当たり前になってしまった現代のモノの在り方にも疑問を持っていたんです。その思いが形となったのが、端材となった獣毛を使った作品です。獣毛を再び動物の形に“戻す”ことで、獣毛の端材にまだ残存している生命の痕跡が見える化され、この世で唯一無二の価値を持つ毛物(獣)が生まれると感じました。」 量産されたものを唯一無二のアートに作り替えていく 本物の動物のようでありながら、インテリアにも溶け込むデザインのANIMA FORMAの作品は、製作段階からひとつひとつこだわりを持ってデザインされています。「リアルすぎないようにしつつも、どんな動物かを想像できるようなフォルムにしています。革をとるために開いた状態にされた動物の毛皮を参考にはしていますが、全くその通りではなく、そこにデザインを加えて架空の動物を作り上げています。」動物の色や柄を決めていく工程では、村松さんがひとつひとつをデザインし、二つとして同じ作品ができることはありません。「工場から送られてくる端材は素材もカラーも様々です。季節やトレンドによって出回るカラーや柄が変わってくるので、その時々で違った表情に仕上がります。偶然的に集まった生地の端材を組み合わせて、思いもよらない配色の毛物(獣)が生まれる瞬間が、制作する中で一番面白いところだと思っています。」レイアウトされた端材は、素材の繊維同士を絡ませフェルト化する“ニードルパンチ”という工程を経て、一枚の作品になります。 二つとして同じものがない作品からは、コピーされ大量に生産されたモノにはない、私たち人間や動物たちが持つ個性や多様性のようなものを感じます。その時にしかない出会いを楽しめるのも、ANIMA FORMAの大きな魅力のひとつです。 モノとの出会いから“本当のサステナブル”を考える 私生活では、アンティークの雑貨に出会える蚤の市によく足を運ぶという村松さん。ひとつひとつのモノとの出会いを大切にし、その時に“ビビッ!”とくる感覚も大切にしていると言います。「私が着ている洋服はほとんどが古着なんです。アンティークの雑貨にも目がありません。洋服や雑貨が、どのように作られてどのように使われてきたのか、教えてもらったり、想像したりするのが好きなんです。そんな風にANIMA FORMAの作品も見てもらえたらという思いで制作しています。」 ここ数年で一気に持続可能な社会の在り方が考えられるようになってきましたが、“エコ”などのワードが書かれた商品を購入することだけではなく、もとからあるものを長く使うことや、モノとの出会いを大切にすることこそ、本当のサステナブルなのではないかと改めて気付かされます。 最後に、今後のアート活動について、村松さんにお聞きしました。「ANIMA FORMAは私の活動の中のひとつのプロジェクトです。今後も新しいプロジェクトを立ち上げていきたいと思っていますが、どんなプロジェクトをするにしても、すでにあるものや不要なものを作り替えて価値を付けていくということは一貫してテーマにしていきたいです。」 今年、初の海外での展示会を控えているANIMA FORMA。強くもしなやかなメッセージを発信するアートプロジェクトはどのような広がりを見せるのか。これからも目が離せません。 プロフィール 村松恵さん 1983年東京生まれ。多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻卒。株式会社良品計画の生活雑貨部企画デザイン室を経て独立。2021年、布地の生産過程において廃棄される端材を一点モノの毛物(獣)として蘇らせるアートプロジェクト「ANIMA FORMA」を始動。これまでの展示に「Life in Art Exhibition」MUJI GINZA(2021)「MEGUMI MURAMATSU EXHIBITION」世界遺産富岡製糸場(2022)「ANIMA FORMA×FEEL SEEN」FEEL SEEN GINZA (2023)などがある。 【ANIMA FORMA最新展示情報】ANIMA FORMAがフィンランド フォルッサ市で行われるテキスタイルの展示会「Forssa textile week 2023」に出展予定。デザイン大国であり、サステナビリティへの意識・関心が高いフィンランドで、日本発・端材から作られる一点モノのANIMA FORMAの作品が披露されます。https://www.forssatextileweek.fi/ ANIMA FORMA公式HP https://animaforma.com/公式インスタグラム @animaforma

  • 服との向き合い方を考える「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」が開催中

    2013年にバングラデシュで多くの縫製工場が入ったビルが崩壊し、1000人以上の方が命を落としたラナ・プラザ崩壊事故。事故から10年となる今年、ファッションレボリューションジャパンは、2023年6月4日(日)から29日(木)まで、服と自然環境、服と作り手、服と着る人との関係を見つめる展示「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」を表参道のGYRE GALLERYにて開催しています。 様々な角度から知ることができるファッションの今 展示は、衣服の製造工程を知ることができるTシャツや、素材の原型、ファッション産業や消費者の意識の変化をグラフで可視化したインフォグラフィック、ファッション産業に関わる人の声を聞くことのできる動画や音声など、5つのセクションに分かれており、異なる角度からファッションについて知ることができます。 ファッションレボリューションがこの10年問い続けてきた“#whomademyclothes?(誰が私の洋服を作ったの?)”というテーマが、普段私たちが見ることのない現場の人々の“声”を軸に表現されています。 長いタグから知る、1枚の洋服ができるまで 普段何気なく着ている私たちの洋服は、素材の生産から縫製に至るまで、膨大な工程を経て出来上がっているという事実は、意外と知らないもの。会場に入り、まず目に飛び込んでくるTシャツの長いタグには、一般的なコットンTシャツができるまでの全工程とそれを担う人の名前が記載されています。洋服は実にたくさんの人の手を渡って、私たち消費者のもとに届けられるのです。 予想外の数字に驚きも。ファッションの今が見えてくるインフォグラフィック これまでの約10年のファッション産業の変化を知ることができるインフォグラフィックのセクションは、今回の展示でメインとなるもの。「繊維の生産量は約10年でどう変わってきたか」「サステナビリティが叫ばれる今、実際はどのくらい生産が透明化されてきているのか」など様々なデータがグラフによって可視化されています。 グラフにより、この10年で変わったこと、変わっていないことが明確に。グラフには、本来は捨てられるはずの糸を利用しているそう。 2021年から現在に至るまでの繊維工場などで起きた事故を記したもの。私たちの知らないところで、繊維・ファッション産業では今も事故が起き続けている 他にも興味深い展示が並ぶ 他にも会場には、素材の原型を展示したセクション、ファッション産業に関わる人たちの声を収めた動画や音声のセクションなど、現代のファッションについての理解が深まる展示が並びます。 繊維になる前の綿と麻。素材名は知っていても、元の姿は目にする機会が少ない人も多いのでは なかなか聞く機会のない生産者やデザイナーなどのリアルな声を集めた動画や音声 最後は、小さなアクションを起こしてみる 会場の最後には、アパレルブランドに聞きたいことをはがきに記入し投函するという行動を起こせるセクションがあります。学ぶことに加えて実際にアクションを起こしてみることが、持続可能なファッション業界への実現の小さな一歩になるのです。 ポストが鏡になっていることにより、身に着けている服を改めて見つめ直すことができる 自分の持つ洋服がどのように作られているのか、自らの手で一から辿ることは難しいことですが、消費者である私たちがファッション産業の今を知り、小さくても行動を起こすことで、少しずつ業界の透明性は高まっていくはずです。ファッションが、誰かを傷つけ、環境を汚染するようなものでなく、持続可能なものであるために。洋服を着る私たち一人ひとりが知っておきたい真実が展示会にはあります。 このファッションレボリューションジャパンによる展示会「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」は6月末まで開催中です。 「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」開催期間:2023年6月4日(日)~29日(木)会場:GYRE GALLERY / ジャイル・ギャラリー住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3Fオープン時間:11時~20時入場料:無料URL:https://www.fashionrevolution.org/asia/japan/

  • 未来に残したい世界の絶景「オーロラ/イエローナイフ」

    今回が二回目の連載となる「未来に残したい世界の絶景写真」。 この連載では世界各国を回る旅人やツアーコンダクターが旅先で出会った景色をお届けします。世界から届く絶景写真から、人と自然が共存する豊かな社会の在り方を考えてみませんか。今回は、カナダのイエローナイフに出現するオーロラです。イエローナイフは、カナダ北西部ノースウェスト準州の州都。オーロラベルト上にあり、晴天率が高いことから、オーロラを鑑賞できる確率が高いことで有名です。“オーロラのメッカ”との呼び声も高く、その神秘的な光景を求めて、世界中から観光客が集まります。 オーロラ鑑賞に適している冬はマイナス30度まで下がる極寒の世界で、気が付けばまつ毛が凍っていることもしばしば。しかし、ひとたび空いっぱいに光のカーテンが出現すると、その美しさから、寒さを忘れるほどの感動が押し寄せます。秋には湖に写る逆さオーロラを望めるチャンスもあります。太陽と地球が見せてくれる光の天体ショー。私たちは奇跡的な条件の上に生かされているということを感じずにはいられません。未来に向けて守っていきたい地球の絶景の一つです。 photos by @tsugraphy_319

  • rootus編集部が選んだ、2023年のエシカルトレンド

    コロナ前の活気を戻しつつある2023年。エシカルな観点から社会を見たときには、どのような傾向があったのでしょうか。この1年、rootus編集部が注目したエシカルなニュースをピックアップします。 rootus編集部が選んだ2023年エシカルのトレンド 2023年は、コロナ禍の自粛が完全に明け、社会の動きが活発化。持続可能な未来に向けて環境や人に配慮する傾向が加速し、「エシカル」ということばは、数年前よりも浸透している印象です。一方で、世界では大規模な戦争が勃発。報道などを通じて現地の状況を知り、平和と戦争について考える機会が多かったのではないでしょうか。2023年は、どう自然と向き合い、平和を持続していけるのかを考える1年となりました。 イベントの復活とエシカル消費の拡大 2023年の春、コロナ禍の自粛が緩和され、各地ではリアルなイベントが開催されるようになりました。各業界の第一線で活躍するゲストによるクロストークイベントや、エシカルなマインドを持つブランドを全国から集めたマーケットが頻繁に開かれました。経済成長を求められる現在の社会で、自然や人を第一に考えるイベントやそのような想いで生まれたプロダクトは、今後どのように広がりを見せていくのか。来年以降も注目したい分野です。 円安と物価高における日本の課題 2023年を象徴する出来事と言えば、原油の高騰や円安に伴う物価高です。これまで日常的に購入していたモノが値上がりし、消費者だけでなく業者も頭を抱えることとなりました。このような現状になり改めて気が付かされるのが、日本の食料自給率の低さです。また日本は、食品以外の多くの製品も海外生産に頼ってきました。物価高への対応策としても、改めて地産地消の推進や、ものづくりや文化の継承が、今の日本にとって重要な課題となるでしょう。 大量生産・大量消費から「サステナビリティ重視」へのシフト これまでサステナビリティを打ち出してこなかった業界も、持続可能な社会に向けての取り組みを始めています。例えば、使い捨ての量産品が並ぶイメージの強い100円均一ショップでも、環境や生産背景こだわった製品が見られるようになりました。ダイソーでおなじみの株式会社大創産業では「Standard Products」という店舗名で、サステナビリティを軸としたショップを展開しており、全国各地に店舗を増やしています。Standard Productsの環境に配慮した2アイテムは、「2023年度グッドデザイン賞」を受賞。100円均一の事業を継続しながら、サステナビリティ事業も展開するハイブリッドな取り組みが、注目を集めています。 EUのグリーンウォッシュ規制の加速化 2023年3月22日、EUは「環境訴求指令案(Green Claims Directive)」を発表。いわゆる「グリーンウォッシュ」(環境に配慮しているように打ち出しているものの、実体がともなっていないこと)の広がりを懸念して発表され、企業が環境配慮をアピールする際には裏付けが必要となります。これをきっかけに多くの国において、グリーンウォッシュ規制に対する意識が高まっています。 関連記事:https://rootus.net/article/3049関連記事:https://rootus.net/article/3725 G7広島サミットをきっかけに注目された「グローバルサウス」 「グローバルサウス」とは、端的にまとめると、新興国および途上国のことです。先進国と比べてGDPが低い国や貧困率が高い国などが、グローバルサウスの国に該当します。もともと、グローバル化によってその被害を受ける地域や住民のことを指しています。グローバルサウスが注目されたきっかけは、2023年5月に行われたG7広島サミットです。緊迫が続くロシアとウクライナのことだけでなく、グローバルサウスとG7の国々をはじめとした先進国の関係性について話し合いが行われました。この際にG20と連携して食糧とエネルギー支援を行うことで課題解決を進めていくことを表明しています。 関連記事:https://rootus.net/article/1195 世界各地での紛争 2023年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルへの攻撃を開始したことから、イスラエルが報復。イスラエルとハマスの武力衝突が激化しました。世界では核廃絶が叫ばれる中、イスラエルは核の使用をちらつかせるなど、予断を許さない状況になっています。そして現地では、日々たくさんの民間人や子どもたちが犠牲となり、十分な支援を受けられない現状があります。また、2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻も終わりが見えず、ミャンマーなどの情勢もいまだ不安定です。 人権に配慮したクリーンな運営体制の見直し 2023年は企業やメディアなどで、これまでの運営の見直しをせざるえないニュースが取り上げられました。ブラックボックス化された企業体制によって何かの被害にあっても泣き寝入りせざるを得ない人や、メディアやSNSのコメントによる真偽の不明な情報によって傷ついた人もクローズアップされ、人権を考えさせられる出来事も多くありました。これ以上、悲劇を生まないために、企業やメディアでクリーンな運営をすることが求められています。 2024年は、よりエシカルな社会に 2023年は世界的に、エシカルな未来に向けて、今までの体制の見直しを軸とした動きが見られました。取引先や購入先を選ぶ際に「エシカルであるかどうか」がより意識されつつあります。エシカルであることが「社会的な信用を得られる」指標にもなっているようです。また、終わることのない紛争は、世界に暗い影を落とし、平和の在り方を改めて考えた方も少ないはずです。 2024年は、2023年に挙がった課題点をどう解決していくかが注目すべき点であるとともに、誰一人取り残さないようにするためには各自はなにができるのか、考えていくことが求められることでしょう。

  • 砂漠に動物が増える?CACTUS TOKYOに聞く、サボテンレザーの知られざる可能性

    日本でも有数のサボテンレザーブランドCACTUS TOKYO。2023年9月に新たなコレクションを発表し、カーボンフットプリントの公開もスタートさせました。そして、今回から新たにコンセプトとして掲げられたのが「生物多様性」というキーワードです。サボテンレザーと生物多様性にはどのような関係があるのでしょうか?製品に込めた想いを代表の熊谷渓司さんにお聞きしました。 サボテンレザーの専門ブランド、CACTUS TOKYO 作り手の技が光る、洗練されたデザインのバッグやウォレット。CACTUS TOKYOは、本革にも引けをとらない滑らかな風合いを持つサボテンレザーアイテムを展開するブランドです。国内サボテンレザー専門ブランドの先駆けとして2021年にスタートしたCACTUS TOKYO。 ここ数年サボテンレザーは、ファッションブランドをはじめとする各業界から熱い視線を集めていますが、いち早くそのサステナブルで機能的な素材に着目し、様々なプロダクトを世に送り出してきました。 都市と自然を結ぶプロダクトデザイン 2023年秋のコレクションであるビッグトート / サワロ(SAGUARO) 都会的なアイテムであるCACTUS TOKYOの製品の裏側には、プロダクトを通して、自然の豊かさを伝えたいという深い想いがあります。そこには、常に自然の中に身を置いてきた熊谷さんならではの感性が息づいています。 「私は北海道で育ち、幼い頃から自然が身近にありました。学生の頃はスキー部に所属し、山で過ごす時間がほとんどだったと思います。その頃からこの自然を守りたいという気持ちはずっとありました。」 CACTUS TOKYO代表の熊谷さん 「今は都市に住んでいますが、都市部に住んでいても、自然を感じられる機会や場所は重要です。CACTUS TOKYOは、都市に馴染むデザインでありながら、持つことで自然と繋がれるものでありたいと思っています。」 熊谷さんは、これまでの経験から環境問題に興味をいだき、ブランドを立ち上げる前は、ブログなどで環境問題に関する情報を発信してきました。 機能性が高く、環境負荷の低い素材として注目されるサボテンレザー 環境問題についての発信を行う活動の中で出会ったのが植物性レザーという新たな可能性です。数ある植物性レザーの中からサボテンレザーを選んだのには大きな理由があります。 「様々な植物性レザーのサンプルを取り寄せたのですが、サボテンレザーを触った時にその滑らかさに驚きました。本革に劣らない手触りだったのです。また、水や汚れに強く、軽いのも魅力的でした。」 未使用のサボテンレザー(写真左)と熊谷さんがブランド立ち上げ当初から使用している名刺入れ(右)。ほとんどメンテナンスをしなくても綺麗な白をキープしている サボテンレザーは、軽く濡れてしまった程度であれば撥水し、メンテナンスもほとんど必要としません。ハンドバッグ一つでおおよそリンゴ1個分の重さという、美しさと機能性を持ち合わせた素材です。 サボテンレザーを語るうえで、サステナブルであるという点も非常に重要です。サボテンは、砂漠の過酷な環境下でも、水や肥料を必要とせず自生することのできる植物であるため、生育にかかる環境負荷が圧倒的に低く済むのです。製造段階で排出されるCO2が他の素材と比べて格段に少ないことも、サボテンレザーがサステナブルである理由の一つです。 CACTUS TOKYOは今年からカーボンフットプリントを明示し、CACTUS TOKYOの長財布と他素材の長財布を比較したとき、動物由来の製品と比べて約7430g、石油由来の製品と比べて約410gのCO2を削減できることが分かっています。 CACTUS TOKYOの製品は、一般的なブランドと比べてCO2の排出が少ないことがわかる サステナブルなだけではなく、リジェネラティブな製品へ サボテンは、環境負荷が低いだけでなく、植えることで緑が増え、生物多様性に寄与することもわかってきています。 「サボテンを植えることで、微生物が増え、それを餌とする虫が寄ってくることによって、多様な鳥や動物が集まってくることがわかっています。サボテンが増えることによって、そこに小さな生態系が生まれるのです。直接サボテンレザーの生産地であるメキシコの生産者からも、実際に鳥類が増えたという話を聞いています。」 「失われつつある生物多様性を回復させ、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする30by30(サーティ・バイ・サーティ)という動きがありますが、CACTUS TOKYOは、30by30の取り組みに賛同し、私たちのプロダクトを使うことで緑を増やし、生態系を取り戻していく循環ができればと思っています。」 環境省によると、森林の減少、外来種による生態系の喪失やかく乱、生物資源の過剰な利用などの人間活動によって、既知の哺乳類、鳥類、両生類の種のおよそ10~30%に絶滅のおそれがあるとされています。 地球上の生物多様性が失われつつある中、私たちの生活の中でどう多様性を守っていけるのかは喫緊の課題です。“今の状態を維持する”というサステナブルな取り組みだけでは、もはや自然は守れないと言われています。緑を増やし生物の棲みかを積極的に増やしていくリジェネラティブな考え方は、私たちの消費にとって大切な選択肢かもしれません。 「素材にも多様性を持たせ、バランスの良い社会にしていきたい」 サボテンレザー専門ブランドである点に加えて、CACTUS TOKYOは製品づくりのなかでこだわっている点があります。それは、日本の技術や伝統を残していきたいという思いのもと、製品はすべて、国内の熟練した職人の手によってひとつひとつ丁寧に作られているという点です。 一方で、サボテンレザーならではの課題にも直面してきました。「当たり前ですが、革製品を作る工房の機械や技術は、本革に合わせています。サボテンレザーとなると扱い方に工夫が必要になってくるんです。はじめはそこに苦労しました。今では、職人さんたちがサボテンレザーの特性を理解してくださり、以前のような問題は起きなくなりましたね。」 熊谷さんは、今抱える課題について他にもこう話します。「サボテンレザーは今、世界中で取り扱われ始めています。現にサボテンレザーの価格は値上がりしています。サボテンレザーの知名度が上がっていくのは喜ばしい一方で、一つの素材ばかりに需要が集中してしまうと、環境負荷は高くなってしまうと思うんです。どんなものでもそうですが、一つの素材をみんなが集中して使うのではなく、適度なバランスと“多様性”が必要だと思っています。」 熊谷さんは今、サボテンレザーだけでなく、近年登場し始めた他の植物性レザーにも注目。それぞれの素材が持つ特徴などを細かく調査しています。 CACTUS TOKYOが今見つめるもの 最後に、熊谷さんに今後の展望をお聞きしました。 「海外の方に知ってもらう機会を増やしたいですね。日本では、分業ではなく、一人の職人さんがすべての工程を担うことができます。みなさん世界に誇れる技術を持っているのです。立体的な造形や細かい縫製など、今後はより一層、ものづくりの技術があるからこそ実現できるような製品をリリースし、ぜひ海外のみなさんに手に取って見ていただきたいと思っています。また、生物多様性を打ち出し始めたいま、今後は、ビジュアルも“生物多様性”を体現したものを生み出していけたらと思っていますので、楽しみにしていただければと思います。」 都市と自然を“生物多様性”というキーワードでつなぐ、CACTUS TOKYO。従来のものと比べて環境負荷が低い製品や資源を有効活用した製品は多く存在するものの、持つことで緑や生物を増やせるというプロダクトは、私たちの消費に新たな流れを作り出していくことでしょう。 お話を聞いた方 熊谷渓司さん CACTUS TOKYO代表。年間100日を山で過ごす学生時代を過ごし、その後大手機械メーカーで経営企画に携わる。自然との触れ合いの中で環境問題に関心を持ち、自ら情報発信をする中でサボテンレザーに出会い、ファッションを通じて環境問題を解決することを目的とするCACTUS TOKYOを2021年に立ち上げた。 CACTUS TOKYO公式HPhttps://cactus-tokyo.com/

  • ファッションブランドのエシカルスコアが検索可能に!「ShiftC」がローンチ

    12月13日、ファッションブランドのエシカルスコアが検索できるサイト「Shift C(シフトシー)powered by Good On You」(以下、Shift C)がサービスを開始しました。 Shift Cとは Shift C は、ファッションブランドのエシカルスコアが検索できるサイトです。サイトでは、商品の価格を知るのと同じくらい簡単に、その商品が社会や環境に与える本当の影響を知ることができるのが特徴です。 環境負荷の低いものを選びたい、働いている人に過度な負荷を強いてほしくない、動物を傷つけるものは使いたくない…など、自分の価値観に合った、納得のいく選択や買い物ができるよう、ファッションブランドのエシカルスコアを5 段階のシンプルな結果で見ることが可能です。 世界最大級のエシカル評価機関である「Good On You」と連携 世界最大級のエシカル評価機関であるGood On You はファッションブランドの公開情報に基づき、900 以上の詳細な評価項目を用いて、専門的な知識を持つリサーチャーがファッションブランドの取り組みを評価。 Shift C ではこのレーティングシステムにより、グローバルブランドを含めた総数約5800ブランド(うち日本ブランド170以上)の「人間」「地球」「動物」の3つのカテゴリーにおける評価を参照することができます。グリーンウォッシュなどが懸念される中、企業の開示情報から、その企業の取り組みの良し悪しを判断することは非常にハードルの高いことですが、Good On You 及びShift Cでは、プロのリサーチャーが調査した結果に基づく、ファッションブランドのエシカルスコアを一律の評価軸で比較することができます。 サイトでは、おすすめのブランドを紹介していたり、欲しいアイテムから関連するブランドを探したりすることも可能。 人や環境のためにどのブランドを選んでいいのかわからない、そんな方はぜひサイトを訪れてみては? ShiftC公式サイト:https://shiftc.jp/

  • 子ども食堂の新たな選択肢。「こどもごちめし」がつくる助け合いの循環

    厚生労働省の調査によると、日本の子どもの7人に一人が相対的貧困であることがわかっています。そのような現状の中、子どもたちに食事を無償または低価格で提供しようと各地で開かれているのが子ども食堂です。認定NPO法人全国こども食堂支援センター むすびえによると、2023年2月時点で全国にある子ども食堂は7,363箇所。その数は年々増加傾向にあり、子ども食堂を必要としている家庭が多いことを示していますが、ボランティアで行われていることが多いことから、継続的な運営が課題になっています。 今回は、2023年にスタートした「こどもごちめし」を運営するKids Future Passportを取材。継続的な子ども食堂を全国に広めるための新たな仕組み、こどもごちめしの背景にある想いを、代表の今井了介さんに伺いました。 子どもの成長を社会や地域全体で支える新たな仕組み 2023年にスタートしたこどもごちめしは、地域の飲食店を起点にこどもの居場所をつくり、食事を提供するウェブ上のサービスです。こどもごちめしのサイトに飲食店が登録し、子ども食堂としての役目を担います。中学生以下の子どもたちは提携しているお店から好きな場所を選んで食事をとることができ、その食事代は、企業や自治体、個人の寄付で賄われる仕組みです。 今井さんは、こどもごちめしの特徴を以下のように説明します。 「現在、日本に住むこどもの7人に一人が相対的貧困で、ひとり親家庭の相対的貧困は、48%以上と言われています。見た目だけではわからないケースも多いため「隠れ貧困」とも言われ、困窮する家庭が多いという現実が、まだまだ知られていないのです。そのような子どもたちを支援しようと、子ども食堂が各地にありますが、みなさんボランティアでやられていることがほとんどなので、資金面や運用面から、毎日の食事を提供することは難しいことを隣で見て感じていました。そこで、社会全体で、継続的に子どもの食をサポートしていけないかと考えたのが、こどもごちめしです。 こどもごちめしは、飲食店を利用した継続性の高い子ども食堂です。こどもたちは、行きたい日に行きたいレストランを選んでいくことができます。また、家庭の状況というのは大変繊細なものです。子ども食堂というと、周りの目が気になって利用できない方もいます。こどもごちめしはご飯を食べ終わったら、スマホ内のデジタルチケットを見せます。電子マネーで支払うのと動作が似ており、他の人から見ると、子ども食堂を利用したということがわかりにくいため、本人や家族は周りの目を気にせずに利用できるのも特徴です。」 サービスの使い方。わかりやすさを大切にしている こどもごちめしは、子どもが食事を無料(1,000円まで)でとれるだけでなく、子どもを持つ家庭や飲食店がサービスを使うハードルがとても低いことも特筆すべき点です。 「飲食店は登録料を必要とせず、既存のメニューを子どもたちに提供するので、コストがかかることはありません。利用したいご家庭は、ユーザー登録をすれば、誰でも1週間に3回利用することができ、生活保護を受給している家庭の子どもは毎日利用することができます。」 家庭と飲食店と寄付する団体や個人、三方が関わり合って、子どもたちの食を社会全体で支えていく。それをウェブのシステムで展開しているのがこどもごちめしなのです。 全国の子ども食堂と連携して広く深い支援を 子ども食堂の役割は、食事を提供することだけではありません。食の場を通して、地域の大人と子どもとの接点ができ、コミュニティが作られるという大きな意義も持ち合わせています。 「本人や親御さんからありがたいと言ってもらえるこどもごちめしのサービスですが、飲食店様からも、“地元の子どもと関われるきっかけができて嬉しい”という声をいただきます。」と今井さんは話します。 こどもごちめしに登録するTACO RICOのスタッフと今井さん(右下) また、今井さんは、全国の子ども食堂にもこどもごちめしのシステムを利用してもらい、連携していくことを大切にしていきたいと言います。 「相対的貧困に当てはまると言われている子どもたちが国内に200万人以上もいる中、こどもごちめしのサービスは、より多くの子どもたちに食を届けることができます。そして、各地の子ども食堂の役割は、地域コミュニティにとって大変重要です。多くの子どもの成長を見守っていくためには、地域の子ども食堂と伴走し、広く深く支援していくことが重要だと考えています。ふるさと納税の使途として“子どもを支援する”という選択肢を増やし、子ども食堂の食事代に充てていくという取り組みも少しずつ始まっています。例えば茨城県境町はその取り組みで、3年間で6万食以上を子どもたちに届けています。 最近は、子ども家庭庁の子どもの未来応援基金という補助金も新たに新設されました。そのような補助金とこどもごちめしのシステムを利用して、自治体や商店街ぐるみでの子ども食堂を開催いただけたら嬉しいです。」 相対的貧困の家庭の子どもたちに、毎日の食を提供するためには、現状の地域の子ども食堂に任せておくには負担が大きすぎます。こどもごちめしのようなサービスが、自治体や企業を巻き込んで社会全体で子どもたちを支えていくこと、そして地域の子ども食堂が子どもたちの居場所を作っていくことの、2つの方向からのアプローチが必要なのです。 食と一緒に子どもたちの夢を応援していきたい こどもごちめしでは、子どもたちが楽しめるイベントも企画しています。 「まだスタートして間もないですが、イベントも積極的に開催しています。例えば、先日はプロバスケットボールであるBリーグに所属するサンロッカーズ渋谷の選手をゲストに呼び、子どもたちとシュート体験を楽しみました。キッチンカーを呼び、そこで実際にこどもごちめしのサービスを体験できるような場所にしました。子どもたちにとって、プロのバスケットボール選手と間近で会えるのは、きっと思い出に残りますよね。スポーツや音楽に関連したアクティビティや、こどもごちめしのアンバサダーの方々に協力していただくイベントも開催していく予定です。子どもの食事だけでなく、夢を応援するサービスにしていきたいと思っています。」 スーパーマーケットの前で行われたイベントには多くの親子が訪れた©️ SUNROCKERS SHIBUYA 助け合いの循環ができる社会を目指して 子どもが毎日当たり前に食事をとれるよう、社会全体で見守ることを目指す、こどもごちめし。今井さんは最後にこう話してくださいました。 「こどもごちめしは、食事が終わってレジで画面を見せると、協賛する企業の名前が出てくるようになっています。それを見て“自分たちはこういう大人に支えられているんだ”ということを頭のどこかにでも置いておいてもらえたら、その子たちが大人になったときに誰かを支えよう、困っている人を助けよう、という循環が生まれてくれるのではないかと期待しています。子どもが大人に期待していないという話も聞いたりしますが、“絶対に君たちのことを見限ってないよ”“取り残されていないよ”というメッセージを強く伝えていきたいと思っています。」 自分が受けた善意を他の誰かに渡すことで、善意をその先につないでいくというPay it forwardのマインドを持つこどもごちめし。日本の子どもの未来を社会全体で支えていこうというエシカルな取り組みの今後に注目です。 お話を聞いた方 今井了介さん NPO法人Kids Future Passport 代表理事。Gigi株式会社 代表取締役。作曲家・音楽プロデューサー。2018年にGigi株式会社を立ち上げ、人とお店と地域にやさしいビジネスモデルを提案し、フードテックを使用した「ごちめし」などのサービスを展開。未来の子どもたちを支える支援の輪を広げていきたいと、2023年7月にNPO法人Kids Future Passportを設立、「こどもごちめし」をローンチした。 こどもごちめし公式HP:https://kodomo-gochimeshi.org/

  • GOOD VIBES ONLY。最新技術で目指す、“衣類廃棄ゼロ”への道

    環境省によると、一年間でごみに出される衣類は約50.8万トン。消費者が廃棄する衣類が膨大であるのに加え、売り切ることができずに在庫として残り、結果として消費者のもとに届く前に廃棄される衣類も多く存在します。 今回は、“衣類廃棄ゼロ”を目標に掲げ、最新のデジタル技術を取り入れたアパレル企業向けのプラットフォームを展開する、GOOD VIBES ONLYを取材。代表の野田貴司さんに、今のアパレル産業が抱える課題についてお聞きしました。 在庫ロスは生産量の30%以上が当たり前。多くのアパレル企業が抱える課題 出典:unsplash.com 本当に欲しいと思った洋服しか買わない、長持ちする素材を選ぶ、など消費者が衣服に関わる環境負荷を低減するためにできることは、大方想像がつくものです。しかし、企業がどのような問題を抱えているかは、なかなか知る機会がないもの。長年アパレル業界に携わる野田さんは、企業における衣類廃棄問題を以下のように話します。 「時代の流れもあり、現在は少しずつ在庫を減らしている企業さんは多いものの、生産量の30%以上は在庫として常に倉庫で保管しているというのが一般的です。機会損失を避けるため、売り切れを出さないよう、はじめから売れ残りを想定して、発注なども行っているところが多いですね。プロパーの在庫消化率70%だと、かなりいい方という印象です。在庫の処分方法はもちろん、倉庫の維持費もかさみ、実は課題があったのにもかかわらず、そのモデルが出来上がっている中で、なかなか改善されてきませんでした。」 GOOD VIBES ONLY代表の野田貴司さん そのようにして売れ残った在庫がたどる経路は様々です。 「企業として、在庫の処分を行う際は、サンプルセールなどを行う、焼却、バイヤーに買ってもらって海外に売る、バッタ屋(商品を格安で販売する店)に買ってもらって安く売るという選択肢があります。最終的には、海外に送られて埋め立てられるケースも多く、アパレルは生産だけでなく、廃棄の方法も問題になっています。」 なぜそんなに在庫をかかえているのかという質問に答えることができなかった 野田さんが初めて衣類廃棄について問題意識を持ったのは、他業界の人の何気ない一言でした。 「以前携わっていたアパレルブランドを売却するときに、今までアパレルには全く携わってこなかった業種の企業からの、デューデリジェンス(事前調査)がありました。当時20~30億円ほどの売上がある会社で4億円分の衣類が過剰在庫になっていることをお伝えしたのですが、そのときに“なぜ在庫が4億円分もあるのですか?”と驚かれて、そのときにはっとしました。」 アパレル企業では、その量の在庫を抱えることは極めて一般的であり、疑問に思うことがなかったため、その質問に答えられなかったと言います。 その出来事をきっかけに、野田さんは“衣類廃棄ゼロ”をミッションに掲げたGOOD VIBES ONLYを設立。アパレル企業が抱える課題を解決しながら衣類廃棄をなくすためのプラットフォーム“Prock(プロック)”の開発に着手しました。現場や企業の声を反映し、自社ブランドでのテストを繰り返しながら、およそ3年の歳月をかけて実用化にこぎつけたのです。 廃棄衣類ゼロを目指して開発、現場の課題解決にも繋がるツールの開発 Prockが提案する新しい洋服のサプライチェーン 「Prockでは、アパレル企業が行う企画・デザイン~販売までの管理をDX化し、業務の効率化を測りながら、余剰在庫問題をワンストップで解決することができるサービスです。大きな特徴の一つは、3Dデジタルサンプル技術です。試作品であるサンプルを実際に作らなくとも、特徴や質感など細かく数値化された生地を画面上で選び、リアルに限りなく近い質感の立体的なサンプルを確認することが可能になっています。洋服のサンプルはもちろん、生地屋さんから送られてくる生地のサンプルの廃棄も減らすことにも寄与しています。品質の高い日本の生地をデジタルサンプルとして海外に展開することも考えています。」 実際のデジタルサンプル。すでに大手のアパレルブランドでも取り入れられている Prockの二つ目の特徴として、AIによる需要予測があります。これまで現場の人の経験と勘で行ってきた発注作業を、AIを使用してどのくらいの需要が見込めるのかを判断することにより、正確で、売れ残りのない数の発注が可能になったのです。 「AIによる需要予測では、SNSに3Dサンプルを掲載した際の反応から、発注の段階で、販売数の見込みがわかります。必要以上の生産をしないことにより、無駄になってしまう衣服を生まないことに繋がります。Prockは、アパレル産業で長い間慣習化されてきたやり方を見なおし、課題を一つずつ解決しながら辿り着いた結果です。デジタルサンプルに置き換えるだけで、国内だけでも1600万着と言われるサンプルを削減することができます。また、アパレル業界全体の余剰在庫を10%削減すると、国内で2億着近くの在庫ロスをなくすことができると試算しています。」 課題解決と売上アップの両立を目指す 衣類廃棄ゼロを掲げProckを各アパレルメーカーに提案する中で、課題も見えてきています。 「現場の作業をより効率化し、同時に在庫管理を行えるツールとしてProckの導入をお勧めする中で、企業さんからは、課題解決も嬉しいけれど売上も伸ばしたい、という声が聞かれるようになりました。業務を効率化するだけでは、今のアパレル業界にアジャストできないと感じています。そんな中、私たちは、不特定多数の人にアプローチする販売方法ではなく、SNSの分析結果を利用したPRを行っています。その洋服を必要としている人に効率的に情報を届けることで、売上に繋げながらも、無駄になる衣服を減らしていくことを目指しています。」 結果、サンプルコストは80%削減し、プロパーでの利益率がアップした事例が出てきています。 また、NFTとしてデジタルサンプルを販売し、ゲームの中のキャラクターにリアルなアパレルメーカーの衣装を着させることができるような、新たな挑戦も。デジタルで洋服を売るという、アパレル企業にとって新しいビジネスモデルを提案しています。 そして、すべてがオンライン上のサービスであるからこそ、人の顔が見える機会を大切にしたいと、野田さんは言います。 「オンライン上で完結してしまう時代ですが、人との繋がりは、サステナブルな社会にリンクしていると思います。私たちがやっていることはデジタルだからこそ、リアルイベントなども行っていきたいと思っています。デジタルファッションを通じて、買う過程を楽しめるようなエンターテインメント性のあるものが良いですね。」 消費者の私たちにできることは? 出典:pexels.com メーカーでも細部まで把握しきれないほど、複雑になっている洋服のサプライチェーン。その中で販売される前に捨てられ、日の目を見ることのない洋服が大量にあるという現実。私たち消費者が洋服を購入するとき、どのようにブランドを選ぶのがよりエシカルなのでしょうか。 最後に、サステナブルな生産に配慮したブランドかどうか見極めるための方法をお聞きしました。 「サステナビリティを打ち出しているブランドさんは増えてきていますが、洋服を購入する際は、生産情報を開示しているかどうか、確認してみるのが良いと思います。販売員さんに、どのように生産されているのか直接聞いてみるのも良いと思います。売り場の販売員さんが生産の背景まで知っているブランドなら、信頼も高まります。オンラインのショップであればぜひ問い合わせしてみてください。消費者が変われば、その需要に応じて生産者も変わります。どちらか一方ではなく、両方の意識が、透明性の高いアパレル産業の実現には欠かせません。」 「アパレルが汚染産業であることから目を背けず、目を向けることが大切だと思っています。アパレル産業を含む社会全体もそうであってほしい。」と話す野田さんからは、アパレル産業を変革していくという強い意志を感じました。持続可能な社会へ大きく舵を切るためには、新しい技術を取り入れ、時代や社会のニーズに合った取り組みが不可欠なのではないでしょうか。 お話を聞いた方 野田貴司さん  株式会社グッドバイブスオンリー代表取締役。1992年、福岡県出身。大学を経て上京し、22歳からソーシャルメディアマーケティングに携わる。その後、D2Cの先駆けであるD2Cファッションブランド「eimyistoire」の立ち上げに貢献。2017年に同社を退社し、「廃棄衣類ゼロ」をミッションに掲げるGOOD VIBES ONLYの立ち上げに参画。これまでの経験を活かし、従来の洋服のサプライチェーンをより効率的かつサステナブルにするシステム「Prock」を開発。3DデジタルサンプルをはじめとするProckは、現在大手アパレルメーカーにも取り入れられている。

  • 夢のアフリカ渡航が目前に。アーティストSUDA YUMAと家族の知られざるストーリー

    今年の9月、東京・世田谷の落ち着いた住宅街に佇むギャラリーで行われたのが、SUDA YUMAの展示会です。中に入るなり、色鮮やかに躍動する動物を描いた作品が目に飛び込んできます。発達障がいのあるアーティスト、YUMA。彼の目を通して見える動物の世界は、優しく平和で、愛に溢れ、人々の心を魅了し続けています。 動物を描き続けてきたYUMAはこの秋、自身初となるアフリカ渡航プロジェクトを実施予定。ケニアのサファリを訪れ野生の動物を見に行くという大きな挑戦には、クラウドファンディングで多くの支援者が集まっています。 今回は新進気鋭のアーティストYUMAをマネジメントする母の須田裕子さんとご家族を取材。作品のこと、これまでの道のり、そしてアフリカへの挑戦についてお聞きしました。 各界が注目。YUMAが表現する、ポップでユニークな動物たちの世界 YUMAのアートはすべて、動物が主役です。ゾウやキリン、フラミンゴや、クマ、ペンギン、海の生き物たち…それ以外にも多種多様な動物が、ジャングルや森、湖、雪山を背景に登場します。動物たちはみな、生命力に満ち溢れ、個性豊か。ポップな色彩が、唯一無二の世界観を作り出しています。 彼の描く作品には、純粋でユニークな動物の魅力を思い出させてくれる力が宿っているのです。 YUMAはこれまで、個展や合同の展示会を開催しているほか、アパレルメーカーとのコラボレーションを実現。 今年は、富岡八幡宮から「アートパラ干支大絵馬」のアーティストとして選ばれ、2023年の年末から2024年まで、本殿にYUMAの作品が飾られます。 幼い頃からずっと続けてきた、描くということ 幼い頃からクレヨンなどを使って文字や絵を描くことに夢中だったYUMA。裕子さんはその頃のことをこう振り返ります。 「最初はずっとアルファベットを書いていました。そのうち、動物を描くようになっていくのですが、集中力があり、毎日何時間も絵を描いているということが多かったですね。中学生になるころには、小さいサイズの紙から、だんだん大きな紙に描くようになっていました。」 YUMAが現在のスタイルにたどり着いたのは、約3年前。幼い頃から動物を描き続けてきた彼は、初めは色鉛筆など細いタッチの画材を使用していましたが、知人からのすすめもあり、アクリル絵の具を使うように。大胆に色を塗ることができるこのスタイルが自身とマッチし、もともとあった才能をさらに開花させるきっかけとなりました。 自宅にあるアトリエ。100近い色の種類の絵具を全て記憶している 「絵を描き始めると彼の中で迷いはありません。色を選ぶ際も、迷っているのを見たことがないですね。最初から頭の中で色の配色が決まっているようで、バランスを見て色を決めたり、足したりするスタイルではありません。例えばピンクをとったら、先にピンクに塗りたい場所を埋めていくことがほとんどです。」 現在は、図鑑や写真集、実際に動物園に行ったときに見た動物からインスピレーションを受けて創作を行っています。中でも上野動物園には100回以上足を運んでいて、名古屋市の東山動物園もお気に入りだそう。 実物だけでなく、本からも多くの着想を得ている 作品からは見えてこない障がいの現実 才能に溢れた若きアーティスト。YUMAのことを知ろうとするとき、そのような単純な言葉では語れない歴史が、本人と家族にはあります。 裕子さんの言葉の端々からは、朗らかな家族の雰囲気や明るい作品からは想像のつかない、障がいと共に生きることの苦労が垣間見えます。 「YUMAは、思考や感情を口に出して伝えることが得意ではありません。また、記憶力が人並以上であることから、私たちが考えている以上に、これまでの思い出や情報が頭の中に残っています。それをうまく吐き出し、考えをまとめられる方法が、YUMAにとっては描くということです。絵はもちろん、文字をノートに書くことも同じです。常にフル回転している頭を休ませるために、彼にとってそれがとても大切な時間なのです。」 YUMAには欠かせないノート。絵の構想や学んだことなどが書いてある 「アーティストとして活動する前、YUMAは5年ほど働いていました。毎日一生懸命働いていましたが、同じ作業の繰り返しで成長を感じられず、本人は働く目的や目標を失っていました。私も、彼が職場にいることでみなさんに迷惑をかけているんじゃないかと思ってしまい、いつも“すみません、すみません”と謝ってばかりいて、疲弊していたと思います。本人が家でイライラすることも増えてきて、限界だなと思うことが多くなり、じっくり話し合って卒業する決断をしたんです。今は毎日穏やかに過ごしていますが、季節の変わり目などは、バランスを崩しやすいです。日常生活での小さな出来事がストレスになってしまうこともあります。“才能があっていいですね”と言われることもありますが、家族にとっては毎日が戦いです。子育てはみんな大変ですが、自立がなくサポートをずっと続けていかなくてはならないというのは、精神的にも負担です。次も障がいのある子を産みたいかと聞かれたら、二つ返事で“はい”とは言えないですね。」 「ひとつの個性という人もいるけれど、障がいはそのような言葉で説明できるほどいいものではない」とYUMAの兄である将太郎さんも言います。 本人が生まれたときからずっと障がいと向き合ってきた家族からは、借りてきた言葉ではなく、リアルで率直な感情が言葉になって出てきます。 誰の目に映る動物とも違う、YUMAの描く生命力にあふれた優しい動物たち。彼にしか生み出せないアートの背景には、本人と家族しかわからない、日々の物語があるのです。 YUMAの活動が、みんなが生きやすい社会へ繋がるように ピアノは楽譜ではなく、音と指の動きから曲を覚える。記憶している曲数は20曲以上にのぼる 「YUMAは絵を描いて生活しているので、とても恵まれていると思いますが、障がいのある子どもを育てるということは、本人と家族にたくさんの困難があります。例えば学生時代は親の送り迎えが必要で、休まる時間はありませんでした。特別支援学校は駅から離れている場合が多く、一人で通学するのは難しいところが多いんです。周りの親御さんも自分のことは後回しで、働くこともままならない方が多かったですね。中には夜中に働いている親御さんもいました。」 ここ数年、多様性を受け入れる社会の構築は進みつつありますが、その家族まで、必要とされる理解や支援は行き届いていないのが現実です。 学校を卒業する年齢が近づくと他の課題にも直面します。障がいのある子は、社会に出ること自体を目標に設定されがちで、本人の個性や希望などは二の次になってしまうのです。 「障がい者にとって、就労というのはひとつの大きな目標になっています。就労するためにみんな同じような訓練を重ねるんですが、本当は一人ひとり個性豊かで、得意・不得意だってあります。しかし障がいがある人のほとんどは、そのように決められたコースしか選べない現状があるんです。 YUMAの活動を通して、社会に当事者とその家族の状況が伝わり、障がい者の教育や働き方の選択肢が少しでも広がってくれると嬉しいと思っています。」 まだまだ知らない人も多い、障がいを取り巻く現実。YUMAの活動が、障がいのある人と周りの人に対する理解へと繋がり、誰もが生きやすい社会になっていくことを裕子さんは願っています。 YUMAの作品は、たくさんの動物が集まり、まるで話をしているような作品が多い 「いつか行きたいね」が現実に。夢のアフリカへの挑戦 YUMAと母の裕子さん。直接アートを描いたリビングのドアの前で 今、Yumaは長年家族で話していた“アフリカで野生の動物が見たい”という夢を叶えようとしています。 アフリカ渡航プロジェクトは、兄の将太郎さんとその友人の稲川雅也さんが中心となってスタート。何度もアフリカの地に足を運んだ経験や、現地の人との繋がりもあることから、プロジェクトのアイデアが生まれました。 今回訪れるのは、豊かな大自然に多くの生き物が暮らすケニア。ライオン、アフリカゾウ、サイ、ヒョウをはじめとした多様な生物が共生するマサイマラ国立保護区でのサファリ体験をメインに、ナイバシャ湖では水辺に生息する鳥などを観察予定。さらに、現地のアートセンターを訪問し、地元のアーティストとコラボレーションを行います。 渡航に先立ち始まったクラウドファンディングでは、目標額を大きく超え、650万円を達成。リターンの選択肢の一つである、彼がアフリカ帰国後に制作するアートが人気であることから、彼の活躍に期待し、応援したいと考える支援者の多いことが伺い知れます。 アフリカの大地に立つ彼はどんな表情をしているのか。初めて出会う人や文化、自然や動物は彼の目にどのように映るのか。そして帰国したとき、彼が描くものとは・・・? rootusでは、帰国後のYUMAも取材予定。アフリカ渡航という大きなチャレンジを成し遂げようとする若きアーティストYUMAから、今後も目が離せません。 プロフィール SUDAYUMA 1998年、東京都生まれ。発達障がいがあり、夢中になって動物の絵を描く子ども時代を過ごす。現在はアクリル絵の具を使用し、ポップなカラーで彩られた多様な動物が登場する作品の数々を発表。彼の目線で描かれたユニークな生き物の世界観に、アパレルメーカーやクリエイター、芸能人などからの熱い視線が送られている。2023年10月には長年の夢であったアフリカ渡航を予定。クラウドファンディングを中心に、彼の挑戦を支持し、今後の活躍に期待する声が高まっている。 公式HP:https://www.sudayuma.com/公式インスタグラム:https://www.instagram.com/sudayuma/?hl=jaクラウドファンディングサイトページ:https://rescuex.jp/project/76450

  • 未来に残したいプロダクトに出会える「文化商店」ってこんなところ!

    今、ブランドストーリーや商品の裏側にある想いに共感して買い物をする人が増えてきていると言われています。そんな時代にぴったりのイベントが2023年9月に東京・原宿で初開催。「未来の文化を売り買いする体験イベント、文化商店」とは?どんなイベントなのか詳しくレポートします! 商店街をイメージした空間デザインに高まる期待! 今回、文化商店が開催されたのは原宿駅すぐの施設。受付を済ませるとすぐ出迎えてくれる大きな暖簾をくぐり、こだわりのブランドが待つ会場へ。早くも、素敵なモノと人との出会いを予感させる、心地よいテンポの音楽が耳に入ってきます。 会場の中でもひと際目立つ、大きな暖簾! 今回の出展は全26ブランド。将来文化となっていくであろうブランドのみが揃い、お店の人とじっくり話しながら商品について知ることができるのが、この文化商店の大きな特徴です。世に出たばかりの商品や、こだわり抜かれた商品、ユニークなコンセプトを持つ商品やエシカルでサステナブルな商品などが並びます。 商店街の賑わいが表現された、明るく楽しい雰囲気の空間 素敵なストーリーを持つブランドが勢ぞろい まず目に止まったのが、緑と白を基調とした統一感のあるブース。ALL GREENは、日本全国から選び抜いた一番茶を、定期便で届けるサービスです。会場では、3種類のお茶を試飲して、気に入ったお茶に投票。顆粒タイプになっていてお水でも簡単に溶かすことができますが、その手軽さに相反し、どのお茶も上品で香り高く、奥深い味わい。改めて日本茶の魅力に気付かされます。 どれも本格的なのに手軽。どのお茶も同じくらい人気でした お酒好きなら見逃せないのが、Better life with upcycleのクラフトビール。こちらのクラフトビールは、なんとサンドイッチを作る際に切り落とすパンのミミを使用。老舗のパン屋さんが新たに立ち上げたブランドです。さらに、パンのミミを使用したラベンダー香るジンも発売。どのお酒も同ブランドから出ているラスクと相性抜群です! パンのミミをアップサイクルして作られたクラフトビールとラスク 色とりどりのお花が並ぶのは、アプローズ。アレンジメントや作品はすべて港区にある福祉事業所で手作りされているそう。お花の組み合わせが絶妙で可愛く、自宅用やプレゼント用に気軽に購入できる大きさが嬉しい!シーズンに合わせた商品も取り揃えていました。 センスの良いブーケなどが並ぶ FERMENSTATIONは、未利用資源と独自の発酵技術を組み合わせた製品を開発しているブランドです。中でも、オーガニック玄米からできたエタノールを使用したアウトドアスプレーとピロースプレー、栄養がたっぷり含まれた発酵由来の「米もろみ」を使用した洗顔石鹸は、品質の高さから愛用者が多い商品。他にも様々な企業と未利用資源を使ったコラボレーション商品を生み出しています。 大きな可能性を秘めた「発酵」を取り入れたプロダクトたち ・・・と、ここまでたくさんのブランドを見てきましたが、他にも魅力的なショップが目白押し。自分に合うお味噌汁をその場で栄養士さんが選んでくれるMISOVATION、サステナブルなファッションを提案するO0uやKAPOK KNOT、重くて焦げやすく扱いにくいという鉄のフライパンの概念を覆す岩鉄鉄器など、心惹かれるお店が立ち並びます。 一軒一軒じっくり見ていたら時間が足りないほど、どこも生産者とお店の人のこだわりと愛がこもった商品で溢れていました。 ”文化”を体験できる新感覚イベント 会場では、スタンプラリーも実施。気に入ったブランドのブースでお店のスタンプを4つ押すと、最後に大きなガラポンを一回引くことができます。出展しているブランドの商品など、内容も豪華! 回すだけで、つい笑顔になる巨大なガラポン! 会期中は、出展するブランドによるワークショップも開かれました。 次々と心ときめくプロダクトに出会えた今回の文化商店は、まだまだ見たかった…!というのが正直な感想。次回の開催は未定ということですが、こんなに盛況なら次回も開催されるはず、と期待しています。 「私たちの未来に残したい商品や文化、取り組みは?」そんなことを改めて考えさせられる魅力満載のイベントでした。

  • 第20回フェアトレード学生サミットが開催。真剣に向き合う3日間に

    Fair Trade Student Network(以下、FTSN)は、フェアトレードに関心のある全国の学生を繋ぐ学生団体です。FTSNは、2004年に設立され、サステナブル業界で活躍しているOB・OGを多く輩出。定期的にイベントを開催しており、その中で最大のイベントがフェアトレード学生サミットです。 今年もフェアトレード学生サミットが開催 2023年8月29日の東京・代々木。国立オリンピック記念青少年総合センターには、フェアトレード学生サミットに参加するため、中学生から大学生まで、全国から学生が集いました。 開催20回目となる今回のテーマは「Discover & Communicate」。参加者一人ひとりがフェアトレードの“いちばんイイところ”を発見し、他者に伝えられるようになることを目標に、業界の第一線で活躍するゲストによる講演やワークショップを通して、3日間にわたり、フェアトレードに関する理解を深めました。 さらに、一般参加者を交えた交流パーティも組み込まれており、盛りだくさんのプログラムとなりました。 フェアトレードに対する理解を深める充実のプログラム 日本語で直訳すると「公正取引」となるフェアトレード。定義が難しく、他者に伝えるときにどうしても抽象的になりがちです。 サミットの初日には、フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長の潮崎真惟子さんなど、フェアトレードの最前線で活躍するゲストによる講演を実施。フェアトレードの概念の伝え方についてイメージを膨らませました。 フェアトレード・ラベル・ジャパン潮崎さんによる講演 2日目には、これまでに数々のCMを手がけ、国内外で多数の受賞歴のある映像監督の高島太士さんを講師に招いて、フェアトレードの魅力の「伝え方」に関するワークショップを開催。 グループに分かれた参加者は、高島さんが用意したフレームワークに基づいて、それぞれが設定したターゲットの心を動かす方法を議論し、キャッチコピーの形へと落とし込んでいきます。 学生たちは高島さんの助言を受けながらキャッチコピーを作成した 最終日にはサミットの締めくくりとして、グループごとに作成したキャッチコピーのプレゼンテーションを行いました。 学生たちの未来につながる3日間に キャッチコピーを学ぶワークショップでは、プログラムの時間だけでは飽き足りず、夜遅くまで白熱した議論を重ねる学生が多く見られました。また、プレゼンテーション本番では思うように発表することができずに悔し涙を流す姿も。フェアトレードと真剣に向き合う熱い姿勢が伝わる3日間となりました。 参加した学生からは「これまでになかった視点から、伝える上で必要な考え方を学べた」という声が。普段関わる機会のないゲストとの交流や、同じ志を持つ全国の学生との出会いは、参加した学生たちにとって大きな財産になるでしょう。 より良い社会のために踏み出す学生の活躍に期待 これまで、フェアトレードの活動に関わったことがないという学生の参加もあった今回のサミット。そのことからも、社会を良くするために一歩踏み出そうとする若い人が増えてきていることがわかります。 「ここで得た経験をそれぞれ持ち帰り、周りの人へ広めていくことで良い循環が生まれることを期待したいです。」と広報担当で自身も学生の村瀬さんは話します。 FTSNは今後もオンラインの定期的な団体交流企画などを予定。今後ますます盛り上がりを見せることが期待されます。 【第20回フェアトレード学生サミット】主催:第20回フェアトレード学生サミット実行委員会公式サイト:https://20th-ftsn-summit.studio.site/

  • AIのメリットと問題点。テクノロジーで人は幸せになる?

    車の自動運転や、人間のような会話ができるChatGPTなど、様々なAIの登場によって、私たちの生活は日々便利になり続けています。一方で、AIが人間の仕事を奪ったり、人間社会を支配したりするのではないかと不安を抱える人もいるでしょう。果たして、AIは人間を幸せにするのでしょうか…?AIのメリットやデメリット、その活用事例を見ながら、新しいテクノロジーとの付き合い方について考えていきます。 AI(人工知能)とは 出典:pexels.com AI(人工知能)はArtificial Intelligenceの略で、人間の知的能力を人工的に再現するものです。AIが登場する以前のコンピューターはプログラムされた通りの処理しか行うことができませんでしが、AIは蓄積されたデータを基に自ら学習し、状況に応じて柔軟に判断することができます。しかし現在、どこまでできたらAIとするかについては、実は明確には定義されていません。 AIにできること、できないこと https://www.pexels.com/ja-jp/photo/8386422/ AIは以下のようなことが得意とされています。 画像・音声認識:音声に字幕をつける、顔認証をするなど 自然言語処理:chatGPTのように言語を理解し、文章をつくるなど 検知・予測:過去のデータと現在の状況を比較、これから起こることを予測するなど 機械制御:自動車の自動運転のように、状況をみて機械を適切にコントロールするなど これらは全て蓄積されたデータから学習し行われます。 したがって、データが存在しないものをゼロから作り出したり、全く不規則なデータを扱うことはできないとされています。また、人間のような汎用性はないため、決められた役割以外のことはできません。例えば、音声認識のために開発されたAIが自動運転をすることはありません。 AIがもたらす5つのメリット 出典:pexels.com 生活が便利になる AIは日常生活だけではなく、企業・医療・教育の現場など、様々な場面で使用されています。あらゆるサービスに搭載されたAIが様々な課題を解決することで、私たちの生活はこれからも日々便利になっていくことは間違いないでしょう。 生産性が向上する 多くの仕事はAIで代用できると言われています。労働不足の解消・業務の効率化・人件費の削減・ヒューマンエラーの排除などのように、多くの問題がAIで解消され、生産性が向上すると考えられています。 事故の減少と安全性の向上 自動運転の導入によって、交通事故が減少すると考えられています。また、機械の劣化を自動で検知できればインフラの安全性の向上にもつながるでしょう。正確な作業を繰り返し、異常を検知することに優れるAIを用いることで、社会の安全性が高まります。 高精度なデータ分析・予測が可能になる AIは膨大な量のデータを処理し、分析したり予測したりすることができます。市場のあらゆるデータから社会や個々の人に必要なことを効率的に予測することで、マーケティングや医療、教育などの質を向上することが期待されています。 やりたいことに時間を使えるようになる AIの活用方法はアイデア次第です。これまで人間が行なっていた様々な作業をAIに任せることで、人間はより重要なことに集中することができます。例えば、AIを搭載した家電に家事を任せれば、家族と過ごす時間を増やすことができるようになるかもしれません。 AIの活用に伴う4つのリスク 出典:pexels.com 雇用が減少する可能性がある 多くの作業がAIに置き換わるため、これまで人が担っていた仕事は減っていきます。新たな仕事も生まれていきますが、必要なスキルを身に付けるなど、社会全体のシフトが必要です。 責任が曖昧になる 例えば、自動運転の自動車で事故を起こした場合、責任の所在がとても分かりづらいという点が懸念されています。AIが十分に社会に浸透し、法律が整備されるまでは、責任が曖昧にならないように注意が必要です。 思考のプロセスが見えない 実はAIの出す答えには、「どういうプロセスで導き出したかわからない」という問題があります。これは、ブラックボックス問題と呼ばれ、解決とともに信頼性の向上が求められています。また、AIを使用する人間側にも、思考することなくAIの導いた答えを受け入れてしまうリスクがあり、こちらも問題視されています。 不適切に活用される恐れがある 画像や文章などのコンテンツを生成できるAIが開発されたことで、フェイクニュースや誹謗中傷の量産といった悪用が危惧されています。 他にも、悪用とは異なりますがデータが独占されるリスクがあります。前述したようにAIはデータに基づいて学習します。実は現状ではこのデータの所有者はあいまいになっています。一部の事業者にデータが集中すると市場が正常に機能しなくなる恐れがあるため、注意が必要です。 AIは人を幸せにするのか 出典:pexels.com AIが人を幸せにするかについて、多くの人が気になっていることでしょう。しかし、AIはツールに過ぎないため、AI自体は人を幸せにも不幸にもしません。全てはそれを使用する人間次第なのです。その中で最も重要となるのが、ガイドラインや法律です。道路交通法がないと安心して運転ができないのと同じように、ルールなくしてAIの幸せな活用方法はありえません。 どのように活用すればAIが人の暮らしを豊かにするかについては、現在多くの議論がされています。例えば、国連のグテレス事務総長は加盟各国への勧告をまとめた提言書を公表し、2026年までにAIを搭載した兵器を法的に禁止する枠組みを設けるように求めています。また、AIの安全保障リスク軽減に向けた新たな国際機関の設置を検討するよう促しました。 AIの存在しない時代に戻ることはない 出典:pexels.com これまで、様々なテクノロジーが社会に変革をもたらしてきました。例えば自動車はより多くのものをより遠くへより速く移動させることを可能にした反面、環境汚染や交通事故を引き起こしました。インターネットやSNSの登場は、誰でも膨大な情報にアクセスできる便利な社会を作った一方で、信憑性のない情報も増えるなど問題もたくさん存在します。 どんなテクノロジーにも良い面と悪い面があり、その全てが人々の生活を豊かにしたと一概に評価することはできません。一つ間違いなく言えることは、一度テクノロジーが社会に浸透すると、それがない時代に戻ることはないということです。それだけ多くの可能性をテクノロジーが切り開いてきたのです。 AIがない時代には戻れない以上、AIを豊かな社会づくりに活用する方法を考えていくことが大切です。全ては使い方次第。無限の可能性を秘めたAIと共存する豊かな未来を思い描いてみては?

  • 【INCLUSIVE TOKYO】多様性はあたりまえ。どんな人でも楽しめるパーティーが渋谷にやってきた!

    “すべてを含む”という意味を持つインクルーシブ。ここ最近は、「年齢や性別、人種、障がいのあるなしに関わらず、多様性を認め合い、共生していこう」という意味合いを持つ言葉として、広く使われるようになりました。 今回、どんな人でも楽しめるパーティー、その名も“INCLUSIVE”が多様性の街、東京・渋谷で初開催! 一体どんなイベントなのか?大盛り上がりの一夜をレポートします! INCLUSIVEとは? 介護福祉士のRyosuke Genmaさんが主宰する、インクルーシブなクラブイベント。年齢、性別、職業、障がいの有無に関係なく、どんな人でも音楽やお酒、出会いを楽しめるパーティーです。 過去には、DJに元RIP SLYMEのSUさん、ゲストにカリスマ美容師の奈良裕也さんやタレントの加藤綾菜さんなどを迎えて、静岡を中心に開催されてきました。 東京・渋谷での初開催に潜入! 満を持して渋谷で開かれたINCLUSIVE TOKYOは、宮下パークのイベントスペースORが会場に。今回も超豪華なDJ陣とゲストを招いての開催です。 オープンするなり、会場にはぞくぞくとお客さんが。もちろんバリアフリーなので、車いすの方も多数。年齢も様々で小さいお子さんもちらほら。そんな中ゆるやかにパーティースタートです。 DJによる音楽が始まると、空気は一気に“渋谷の夜”に! みんなお酒を片手に、音楽や会話を楽しんでいる様子。 パーティーを盛り上げるブースも充実 会場のところどころには企業などによるブースも設けられています。 山梨の福祉施設で作られたクッキーやアートが売られていたり、電動で立ち上がることのできる車いすが体験できたり。まつげエクステやヘアスタイリングをしてくれるコーナーも人が途切れることなく大盛況でした。 今回のパーティーのテーマは“障がい者×性”。障がいのない人もある人も、性別も関係なく使えるセルフプレジャーグッズなどを販売するTENGAも出展。 なかなか切り込みにくいテーマであるものの、オープンで誰にでも開かれたINCLUSIVEの空間では、違和感ゼロ。むしろみんな興味津々です! イベントの後半にはクロストークも 中盤にはミュージシャンのWolfy Sanoさんによるパフォーマンスも行われました。 後半のトークイベントでは、ゲストを招いてのクロストークを開催。障がい者専門風俗嬢の小西理恵さん、車いすで世界一周を成し遂げた三代達也さん、長年介護の現場に携わる中浜崇之さんが、今回のテーマである“障がい者×性”について赤裸々に語ります。 どんな人でも必ずかかわりのある“性”。表立って話しにくい風潮がまだまだありますが、悩みを抱えている人も多く、もっとポジティブに受け入れられるべきトピックです。 包み隠さず話してくれる三人のトークに、障がいがない人も含めて、会場全員が聞き入っていました。 新しいスタンダードを作るINCLUSIVE からこれからも目が離せない! 興奮冷めやらぬまま、イベントは終了。コロナ禍でイベントが長らく開催されてきませんでしたが、理屈抜きで、やはりパーティーは楽しい!そして日常ではなかなか交わらない人たちがごちゃまぜになって盛り上がる夜は、もっともっと楽しい! INCLUSIVEは、お酒と音楽を楽しみながら、自身の視野をぐっと広げてくれるこれからの時代のパーティーでした。今後も開催予定のINCLUSIVE。ぜひ一度足を運んでみては? 最新情報はこちら @gen1106Photo by イシヅカマコト

  • 今こそローカル!新潟・佐渡から学びたい、地域を大切に受け継ぐということ

    地球規模で社会問題が頻出し、持続可能な社会づくりが急ピッチで進められる今。カタカナで“サステナブル”と聞くと、新しいことばのように感じますが、実は自然との共存や、歴史・文化の継承、人との関わりを大切にする考え方は、古くから日本の地方に根差しています。今回は、新潟県・佐渡市にフィーチャー。先人が守ってきた里山と海、文化を受け継ぐ佐渡の魅力を深掘りします! SDGsがはじまる前から自然・歴史・文化を尊重してきた島、佐渡 日本海に浮かぶ、人口約5万人の島、佐渡市。佐渡と聞くと、まず思い浮かぶのは“トキ”と、“佐渡金山”という方は少なくないでしょう。佐渡では、サステナブルやSDGsといったワードが広がる前から、独自の方法で、トキの保護とそれに伴う環境保全や、佐渡金山の歴史遺産の保護、まつりや伝統文化などの継承に、地域一丸となって取り組んできており、国から2022年に「SDGs未来都市」の選定を受け、2023年にはSDGs未来都市の中で特に優れた先導的な取組として「自治体SDGsモデル事業」に選定されています。 佐渡ではSDGs 17の目標に、「佐渡独自の自然・歴史・文化の継承」という独自の目標を加えた18の目標を設定。経済活動と環境保護の両立を礎とした豊かな社会づくりに向けて、新たな挑戦が始まっています。 今回は、今こそ知りたい“これまでの佐渡”と、“新しい佐渡”を5つの視点からお届します! 佐渡を知る5つのコト トキと人が安心して暮らせる空気と土 佐渡のシンボルといえば天然記念物のトキ。一度は絶滅したトキですが、人工繁殖と飼育に取組み、今日では自然界に500羽を超えるトキが生息するまでに至っています。佐渡では「トキの森公園」などの施設でトキの生態を見ることができる他、大空を舞う野生のトキに出会えるチャンスも…! トキの野生復帰の大きなカギとなったのは、島全体で推し進めた環境の再生でした。農薬や化学肥料をできるだけ使わないなど、生きものを育む農法に取組み、2011年には世界農業遺産(GIAHS)に認定され、今、世界に誇れる自然共生のモデルを築き上げています。 先人たちが残してきた歴史ロマンあふれる佐渡金銀山 広大な自然に溶け込むように形を残し、訪れる人を圧倒させる佐渡金銀山。江戸時代初期に鉱山開発がはじまり、平成元年に休山するまでの約400年以上もの長い歴史を持ち、日本の経済発展に大きく貢献してきた世界に誇る金銀山です。 坑道や採掘場所など、遺跡の良好な保存状態は、世界を見ても大変貴重であることから、世界遺産への登録を目指しています。 持続可能な観光を実現する、宿根木(しゅくねぎ) 島内には明治時代にタイムスリップしたような街並みが残る地区があります。佐渡の最南端にある宿根木は、江戸から明治にかけて廻船業で栄えた集落。佐渡観光には欠かせない街でありながら、新たな開発・整備を行っていないため、ありのままの趣ある雰囲気を楽しめます。 過剰な観光開発をしないことは、オーバーツーリズムを回避し、現在も地区に住む住民や景観を保護することにも繋がります。さらに移動手段には、バスや車ではなく、自転車で回ることを推奨し、観光と自然、地元住民の三方にとって、持続可能である旅行の在り方を示しています。 佐渡の豊かな食を伝える地産地消の飲食店 佐渡の魅力は、歴史や景色にとどまりません。海に囲まれ、山もある佐渡は、お米、魚、野菜、フルーツなど、何を食べても本当に美味しい、豊かな食材の宝庫! 島内には、地産地消や海洋保護、規格外農産物の使用など、「エシカルな消費」を意識した以下のような飲食店が増えています。 生産者の顔が見えるジェラート専門店 Mattelato(マッテラート) Mattelatoは、観光客だけでなく、地元の子どもたちからも支持を集めるジェラート専門店。島内のイチゴ農園で収穫されたイチゴや、新潟のブランド柿である“おけさ柿”、ネクタリンなどその時期の旬なフルーツを使ったジェラートは、農園で食べるフルーツに負けないほどのフレッシュさ! 佐渡産の牛乳やハチミツなどのフレーバーも人気で、ジェラートを通して、佐渡の多様な食文化を体験することができます。 「良質な土壌で作られる、生産者のこだわりが詰まった佐渡の食材をもっと知ってほしい」との思いが込められたジェラートは、佐渡に行ったら必ず食べたい逸品です。 公式HP:https://mattelato.com/ サステナブルな食に挑戦する絶景レストラン しまふうみ 真野湾を一望できる海沿いの高台に位置し、佐渡の自然をダイレクトに感じることのできるレストラン、しまふうみ。シーズンによって内容が変わる、名物の“佐渡ジオパークプレート”は、地元で採れる旬の農産物や水産物をふんだんに使い、佐渡の豊かな食を一皿に表現しています。 しまふうみは、新潟県で初めて「ブルーシーフードパートナー」の認証を取得。サステナブルなシーフードを優先的に調達し、海洋保護に積極的な飲食店として水産物の提供を行っています。また、地域の恵みを最大限に生かすため、地元農家の規格外野菜や果物を積極的に取り入れ、ジャムや出汁として余すことなく使うなどの工夫も。 最近では、地元の高校で収穫された金時芋をメニューとして採用。佐渡の食の持続可能性を高めるため、地元の人たちとの関わりを大切に、日々新しいアイデアを生み出しています。 公式HP:https://www.primosado.jp/shimafumi/ 次世代を担う子どもたちへの食育 食育が注目される中、佐渡では、学校や保育園の給食に無農薬・無化学肥料で栽培された地元産のお米を提供する取り組みが始まっています。 地域で採れた食材を口にすることは、次世代を担う子どもたちが自分の住む地域について深く知りたいと思うきっかけに。また、地元の農家が給食を通して子どもたちの成長を支えることで、地域の繋がりがより強くなることが期待されます。 本当の豊かさを求めて佐渡へ SDGs未来都市として、さらに持続可能な社会へと歩みを加速させる佐渡。海や山、文化をゆっくり堪能できる旅行先として選ばれているのに加え、移住に伴う支援制度を設けるなど、移住者を受け入れる体制も充実しています。先人が守ってきた豊かな自然・歴史・文化を礎に、新しい動きを見せる佐渡へ、豊かさのヒントを探しに訪れてみては。 取材協力:佐渡市

  • 未来に残したい世界の絶景「ペリト・モレノ氷河/南米パタゴニア地方」

    この連載では、世界各国を回る旅人やツアーコンダクターが旅先で出会った景色をお届けします。世界から届く絶景写真から、人と自然が共存する豊かな社会の在り方を考えてみませんか? 第三回目となる今回は、アルゼンチンとチリにまたがるパタゴニア地方のペリト・モレノ氷河です。南アメリカ大陸の最南端、パタゴニア地方にあるロス・グラシアレス国立公園は、南極大陸、グリーンランドに続く世界で3番目に大きい氷河地帯です。その中で最も有名な氷河が、ペリト・モレノ氷河。展望台から見える氷の壁は、どこまでも果てしなく続き、圧巻のひと言! 総面積は250km2に及ぶというから驚きです。 氷河は、展望台だけでなく船で湖上から見ることができ、高い頻度で崩落の瞬間に立ち会うことができます。崩落が始まると、そこにいる誰もが、儚くも迫力ある一瞬に釘付けに。毎日2mも前進し続けているペリト・モレノ氷河は、壮大な代謝を繰り返し、まさに呼吸をしているかのような氷河なのです。地球温暖化の影響から氷河が溶けているというニュースは耳にしますが、ペリト・モレノ氷河は、成長を続けています。その理由は解明されていないものの、世界中の氷河が縮小していく中で貴重な氷河といえるのかもしれません。 力強い地球の生命力を間近で感じられるこの氷河もまた、未来に繋いでいきたい景色の一つです。 photos by rootus編集部

  • 大自然の中でサステナビリティを体感するHEROCAMP。今週末は長野・蓼科に行こう!

    2023年6月23日(金)~25日(日)の日程で大自然の中で美味しいものを食べながらサステナビリティに触れられるアウトドアイベント、HEROCAMPが開催されます。 初日となる23日は、宿泊をして参加する方を対象に前夜祭を開催。余った食材や賞味期限が近い食材を持ち寄り、みんなでアイデアを出し合いながら調理するサルベージ・パーティーやサステナビリティと食についてのトークセッションやワークショップが行われます。 イベントのメインとなる24日は、日帰りの参加も大歓迎! 朝ヨガやレイクランといった自然を体感できるアクティビティから始まり、防災の視点で学ぶブッシュクラフトや竹を使ったワークショップ、夜はドキュメンタリー映画上映会など、イベントが盛りだくさんの一日。“青空キッチンスタジアム”では、シェフと一緒に未利用魚や地元のジビエを使った料理を作ります。 自然豊かな会場で、子どもも大人も、一人でも家族でも、誰もが人との出会いとサステナブルなアクティビティを楽しめるHEROCAMP。今週末はぜひ蓼科に足を運んでみては? HEROCAMP日程:2023年6月23日(金)、24日(土)、25日(日)場所:TINY GARDEN 蓼科   長野県茅野市北山8606-1HP:https://herocamp.studio.site/チケット(6月24日)※:ALL DAY PASS ¥7,000(学生¥5,000、小学生¥1,500)・DAYTIME PASS ¥3,000(学生¥2,000) チケットの購入はこちら https://herocamp2023.peatix.com/ ※宿泊に関してやイベント詳細については公式HPをご確認ください。

  • 端材に命を吹き込む。ANIMA FORMAが生み出す一点モノのアートから大量生産社会を考える

    本物の動物を想起させるANIMA FORMA(アニマフォルマ)の作品。ANIMA FORMAは、作品の材料にウール生地の生産過程で廃棄される端材を使ったアップサイクルアートプロジェクトです。作品を通して動物たちが私たちに語り掛けてくることとは? ANIMA FORMAのデザイナー村松恵さんに作品の背景にある想いを伺いました。 不要になったウール生地の端材に新たに命を吹き込んだアート“ANIMA FORMA” ANIMA FORMAの展示会に訪れるなり、目に飛び込んでくるのは壁に掛けられた様々な動物たち。牛のような大きなものから、ムササビのような小さなものまで、本物にはない配色でありながら、どこかリアルで、まるで生きているかのような躍動感を感じます。それもそのはず、作品はウールなどの生地の端材を使用し、形はカット前の剥いだ状態の動物の毛皮からインスピレーションを得たもの。ANIMA FORMAは、コートやジャケットなどの衣服やブランケットなどに使われるウール生地の生産段階で出てしまう端材に命を吹き込み、壁に飾るアート、ウォールハンギングとして生まれ変わらせるアップサイクルのアートプロジェクトです。 きっかけは大量に生産される中で不要になる「端材」 プロジェクトを始動させたデザイナーの村松恵さんは、美術大学を卒業し、生活雑貨のデザイナーとして働くなど、長年テキスタイルデザインに関わってきました。そこでいつも目にしてきたのが、織物工場の端っこに積み上げられていたウール生地などの端材です。衣服や雑貨の生産過程でどうしても発生してしまう端材の山を見て、いつも違和感があったと村松さんは言います。「織物工場で不要になった端材を見るたびに、何かに使えないだろうかと考えていました。それと同時に、大量生産され使い捨てが当たり前になってしまった現代のモノの在り方にも疑問を持っていたんです。その思いが形となったのが、端材となった獣毛を使った作品です。獣毛を再び動物の形に“戻す”ことで、獣毛の端材にまだ残存している生命の痕跡が見える化され、この世で唯一無二の価値を持つ毛物(獣)が生まれると感じました。」 量産されたものを唯一無二のアートに作り替えていく 本物の動物のようでありながら、インテリアにも溶け込むデザインのANIMA FORMAの作品は、製作段階からひとつひとつこだわりを持ってデザインされています。「リアルすぎないようにしつつも、どんな動物かを想像できるようなフォルムにしています。革をとるために開いた状態にされた動物の毛皮を参考にはしていますが、全くその通りではなく、そこにデザインを加えて架空の動物を作り上げています。」動物の色や柄を決めていく工程では、村松さんがひとつひとつをデザインし、二つとして同じ作品ができることはありません。「工場から送られてくる端材は素材もカラーも様々です。季節やトレンドによって出回るカラーや柄が変わってくるので、その時々で違った表情に仕上がります。偶然的に集まった生地の端材を組み合わせて、思いもよらない配色の毛物(獣)が生まれる瞬間が、制作する中で一番面白いところだと思っています。」レイアウトされた端材は、素材の繊維同士を絡ませフェルト化する“ニードルパンチ”という工程を経て、一枚の作品になります。 二つとして同じものがない作品からは、コピーされ大量に生産されたモノにはない、私たち人間や動物たちが持つ個性や多様性のようなものを感じます。その時にしかない出会いを楽しめるのも、ANIMA FORMAの大きな魅力のひとつです。 モノとの出会いから“本当のサステナブル”を考える 私生活では、アンティークの雑貨に出会える蚤の市によく足を運ぶという村松さん。ひとつひとつのモノとの出会いを大切にし、その時に“ビビッ!”とくる感覚も大切にしていると言います。「私が着ている洋服はほとんどが古着なんです。アンティークの雑貨にも目がありません。洋服や雑貨が、どのように作られてどのように使われてきたのか、教えてもらったり、想像したりするのが好きなんです。そんな風にANIMA FORMAの作品も見てもらえたらという思いで制作しています。」 ここ数年で一気に持続可能な社会の在り方が考えられるようになってきましたが、“エコ”などのワードが書かれた商品を購入することだけではなく、もとからあるものを長く使うことや、モノとの出会いを大切にすることこそ、本当のサステナブルなのではないかと改めて気付かされます。 最後に、今後のアート活動について、村松さんにお聞きしました。「ANIMA FORMAは私の活動の中のひとつのプロジェクトです。今後も新しいプロジェクトを立ち上げていきたいと思っていますが、どんなプロジェクトをするにしても、すでにあるものや不要なものを作り替えて価値を付けていくということは一貫してテーマにしていきたいです。」 今年、初の海外での展示会を控えているANIMA FORMA。強くもしなやかなメッセージを発信するアートプロジェクトはどのような広がりを見せるのか。これからも目が離せません。 プロフィール 村松恵さん 1983年東京生まれ。多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻卒。株式会社良品計画の生活雑貨部企画デザイン室を経て独立。2021年、布地の生産過程において廃棄される端材を一点モノの毛物(獣)として蘇らせるアートプロジェクト「ANIMA FORMA」を始動。これまでの展示に「Life in Art Exhibition」MUJI GINZA(2021)「MEGUMI MURAMATSU EXHIBITION」世界遺産富岡製糸場(2022)「ANIMA FORMA×FEEL SEEN」FEEL SEEN GINZA (2023)などがある。 【ANIMA FORMA最新展示情報】ANIMA FORMAがフィンランド フォルッサ市で行われるテキスタイルの展示会「Forssa textile week 2023」に出展予定。デザイン大国であり、サステナビリティへの意識・関心が高いフィンランドで、日本発・端材から作られる一点モノのANIMA FORMAの作品が披露されます。https://www.forssatextileweek.fi/ ANIMA FORMA公式HP https://animaforma.com/公式インスタグラム @animaforma

  • 服との向き合い方を考える「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」が開催中

    2013年にバングラデシュで多くの縫製工場が入ったビルが崩壊し、1000人以上の方が命を落としたラナ・プラザ崩壊事故。事故から10年となる今年、ファッションレボリューションジャパンは、2023年6月4日(日)から29日(木)まで、服と自然環境、服と作り手、服と着る人との関係を見つめる展示「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」を表参道のGYRE GALLERYにて開催しています。 様々な角度から知ることができるファッションの今 展示は、衣服の製造工程を知ることができるTシャツや、素材の原型、ファッション産業や消費者の意識の変化をグラフで可視化したインフォグラフィック、ファッション産業に関わる人の声を聞くことのできる動画や音声など、5つのセクションに分かれており、異なる角度からファッションについて知ることができます。 ファッションレボリューションがこの10年問い続けてきた“#whomademyclothes?(誰が私の洋服を作ったの?)”というテーマが、普段私たちが見ることのない現場の人々の“声”を軸に表現されています。 長いタグから知る、1枚の洋服ができるまで 普段何気なく着ている私たちの洋服は、素材の生産から縫製に至るまで、膨大な工程を経て出来上がっているという事実は、意外と知らないもの。会場に入り、まず目に飛び込んでくるTシャツの長いタグには、一般的なコットンTシャツができるまでの全工程とそれを担う人の名前が記載されています。洋服は実にたくさんの人の手を渡って、私たち消費者のもとに届けられるのです。 予想外の数字に驚きも。ファッションの今が見えてくるインフォグラフィック これまでの約10年のファッション産業の変化を知ることができるインフォグラフィックのセクションは、今回の展示でメインとなるもの。「繊維の生産量は約10年でどう変わってきたか」「サステナビリティが叫ばれる今、実際はどのくらい生産が透明化されてきているのか」など様々なデータがグラフによって可視化されています。 グラフにより、この10年で変わったこと、変わっていないことが明確に。グラフには、本来は捨てられるはずの糸を利用しているそう。 2021年から現在に至るまでの繊維工場などで起きた事故を記したもの。私たちの知らないところで、繊維・ファッション産業では今も事故が起き続けている 他にも興味深い展示が並ぶ 他にも会場には、素材の原型を展示したセクション、ファッション産業に関わる人たちの声を収めた動画や音声のセクションなど、現代のファッションについての理解が深まる展示が並びます。 繊維になる前の綿と麻。素材名は知っていても、元の姿は目にする機会が少ない人も多いのでは なかなか聞く機会のない生産者やデザイナーなどのリアルな声を集めた動画や音声 最後は、小さなアクションを起こしてみる 会場の最後には、アパレルブランドに聞きたいことをはがきに記入し投函するという行動を起こせるセクションがあります。学ぶことに加えて実際にアクションを起こしてみることが、持続可能なファッション業界への実現の小さな一歩になるのです。 ポストが鏡になっていることにより、身に着けている服を改めて見つめ直すことができる 自分の持つ洋服がどのように作られているのか、自らの手で一から辿ることは難しいことですが、消費者である私たちがファッション産業の今を知り、小さくても行動を起こすことで、少しずつ業界の透明性は高まっていくはずです。ファッションが、誰かを傷つけ、環境を汚染するようなものでなく、持続可能なものであるために。洋服を着る私たち一人ひとりが知っておきたい真実が展示会にはあります。 このファッションレボリューションジャパンによる展示会「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」は6月末まで開催中です。 「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」開催期間:2023年6月4日(日)~29日(木)会場:GYRE GALLERY / ジャイル・ギャラリー住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3Fオープン時間:11時~20時入場料:無料URL:https://www.fashionrevolution.org/asia/japan/

  • 未来に残したい世界の絶景「オーロラ/イエローナイフ」

    今回が二回目の連載となる「未来に残したい世界の絶景写真」。 この連載では世界各国を回る旅人やツアーコンダクターが旅先で出会った景色をお届けします。世界から届く絶景写真から、人と自然が共存する豊かな社会の在り方を考えてみませんか。今回は、カナダのイエローナイフに出現するオーロラです。イエローナイフは、カナダ北西部ノースウェスト準州の州都。オーロラベルト上にあり、晴天率が高いことから、オーロラを鑑賞できる確率が高いことで有名です。“オーロラのメッカ”との呼び声も高く、その神秘的な光景を求めて、世界中から観光客が集まります。 オーロラ鑑賞に適している冬はマイナス30度まで下がる極寒の世界で、気が付けばまつ毛が凍っていることもしばしば。しかし、ひとたび空いっぱいに光のカーテンが出現すると、その美しさから、寒さを忘れるほどの感動が押し寄せます。秋には湖に写る逆さオーロラを望めるチャンスもあります。太陽と地球が見せてくれる光の天体ショー。私たちは奇跡的な条件の上に生かされているということを感じずにはいられません。未来に向けて守っていきたい地球の絶景の一つです。 photos by @tsugraphy_319