忙しい生活の中で、緊張やストレスを抱えている方は多いのではないでしょうか。
その心の揺らぎを文字にして可視化することで、負担が少し軽減されるかもしれません。
近年、ストレスフルな生活へのセルフケア方法として、「書く瞑想」としても知られるジャーナリングが注目を集めています。
日々の感情や考えを書き出していくジャーナリングは、心の中を整え、自分自身を見つめ直す時間をもたらしてくれます。
慌ただしい毎日の中で、ほんの15分でも気持ちを書き出して、自分が何を考え、感じているのか向き合ってみませんか。
日記とは違う?ジャーナリングとは
ジャーナリングは「書く瞑想」と呼ばれるメソッドのひとつ。
語源は「日記」を意味する「journal」から来ているものの、本来の日記の書き方とは異なります。
日記がその日にあった出来事や、事実など「記録」としての側面が強いことに対し、ジャーナリングでは「今この瞬間」に感じていることに焦点を当てます。
形式や時系列に関係なく、頭に浮かんだ言葉をそのまま書き出していきます。
ジャーナリングとマインドフルネスの共通点

ジャーナリングは「今、ここ」に意識を集中し、体験を受け止め、そして手放すという認知行動療法“マインドフルネス”と非常に近い効果があります。
感情が揺さぶられたとき、自分自身を客観的にモニタリングできるのです。
ジャーナリングを最初に実践したのが誰なのかはっきりとはわかっていないものの、ユングと共同研究を行った心理学者イラ・プラゴフ(1921-1998)が,Intensive Journal Program という自己理解を深めるための自己記述法を発案し、ジャーナル(Journal)を活用していたことがわかっています。
『PR TIMES』の独自調査によれば、「コクヨ株式会社」の社員52名を対象に約4週間ジャーナリングを実施してもらったところ、85%がジャーナリングを継続したいと回答したという結果が出ています。
今この瞬間からできる!ジャーナリングを実践してみよう
ジャーナリングの方法はとてもシンプルで、かつ簡単です。
それは、今頭の中に浮かんでいる言葉を、何も考えずに書き出してみるだけ。
「何を書けばいいかわからない」と思った方は、その気持ちをそのまま書いてみてください。
書いているうちに自然に考えがまとまったり、自分が本当に考えていたことがわかるようになったりします。
何を書けばいいか悩む方は、その都度テーマを決め、それに沿って書き進めていくのもいいでしょう。
深く考えるのではなく、とにかく頭のなかに浮かんだ言葉をそのまま書き出すのが重要です。
実体験:3ヶ月間のジャーナリングでわかった4つの効果

ここからは、筆者が3ヶ月間ジャーナリングを続けたことで感じた効果を紹介します。
自己観察によって「思考のパターン」を発見
筆者は元々考え事が多く、頭のなかが常に思考でいっぱいになってしまってストレスを抱え込みやすいタイプでした。
他者との会話や環境の変化などに敏感なところがあり、くよくよと思い悩むところもありました。
しかし、毎日のジャーナリングで「今この瞬間」に感じていることを書き出すことによって、自分の思考のクセやパターンを発見し、冷静に可視化することができるようになりました。
自分の気持ちを溜めこみやすい方は、ジャーナリングを続けることで楽になるかもしれません。
悩みや不安などを書き出してみると、冷静な視点で見られるようになり、「そこまで思い悩むことではない」と割り切れるようになったと感じています。
毎日の積み重ねで「自己成長」を実感
思考のクセやパターンを発見することで、「じゃあこうしてみよう」と違った方向に舵を切れるようになりました。
過去のジャーナリングでの文章を読んでいると、成長を感じられることもあります。
また、以前よりもストレスの耐性がついてきたことがわかりました。
これは先述のように不安を可視化することでストレスが軽減されたこと、不安やストレスが悪化する前に、ジャーナリングによってその感情を手放せるようになったからかもしれません。
さらに「自分が頑張っていること」や「前向きな気持ち」も言葉にできるので、自分の長所や頑張りが目に見えやすくなるのも良い点です。
「停滞」の感覚もマインドフルネスの一部に
ジャーナリングを毎日続けていると、時に「昨日も同じことを考えていたな」「全然成長できていないな」と停滞を感じることもあります。
しかし、この感覚を否定する必要はありません。
「停滞している」「効果を得られていない」と感じていることも、今この瞬間に集中するマインドフルネスの一環です。
「スキマ時間」の活用にも。スマホで手軽にジャーナリング
毎日ジャーナリングを続けるのはハードルが高い、と感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方にぜひ試して頂きたいのが、紙とペンのほかに「スマートフォンのメモ機能」を使うことです。
筆者は、出先でのすきま時間や、紙とペンがすぐに取り出せないときなどは、スマートフォンのメモ機能を使ってジャーナリングを行っていました。
ベッドのなかで5分だけ、移動中の隙間時間に10分だけなど、たとえ短い時間でも、ジャーナリングを行うことで気持ちがすっきりします。
達成感にも繋がるので、継続が不安な方はぜひ試してみてください。
ジャーナリングを無理なく続けるには?

とても簡単なジャーナリングですが、続けるのにはちょっとしたポイントがあります。無理なく続けるために知っておきたいことをまとめました。
いつ、どれくらい書く?ジャーナリングの時間設定
ジャーナリングを行うのに決まった時間はありません。
たとえば、朝ジャーナリングを行えば、1日をすっきりとした気分で始められるでしょう。
昼休みに行えば気持ちの切り替えに役立つかもしれません。
夜寝る前に行えば、ストレスを手放してから眠りにつける安心感があります。
その日のスケジュールや心身の必要に応じて、最適な時間帯を選ぶのもいいかもしれません。
また、どのくらい机に向かえばいいのか、という決まりも、ジャーナリングにはありません。
筆者の場合は、朝に5分、スキマ時間に2、3分などを行っています。時間帯、書く時間ともに、ストレスなく続けていける時間設定が大切です。
お気に入りの文房具でモチベーションをアップさせる
どんなノートやペンでも気軽にできるのがジャーナリングのいいところですが、毎日の取り組みを楽しむため、お気に入りの文房具を見つけるのも方法のひとつです。
筆者の場合は、
・書きやすいノート
・お気に入りの色のペン
・飽きがこないデザインのもの
などを重視しています。
凝ったデザインの文房具だとモチベーションがアップする、という方もいるでしょうし、毎日継続のプレッシャーを感じないよう、最初は安価な文房具でトライする方もいるでしょう。トライアンドエラーを繰り返し、自分にとって最適な環境を見つけてみてください。
ジャーナリングの注意点
ジャーナリングによって感じられる効果は個人差があり、必ずいい効果を得られるというわけではありません。自分に合っていない、辛いと感じたら、無理して続けないことも大切です。
また、重篤なトラウマを抱えている方、精神的な疾患をお持ちの方も注意が必要です。
必要以上に精神に負担がかかり、場合によっては症状を悪化させることもあります。
医療機関にかかっている方は、主治医と相談の上、ジャーナリングを始めるのか検討してもいいかもしれません。
ジャーナリングで健やかな心を育もう

ジャーナリングは、自分自身との対話を通じて心の豊かさをもたらしてくれます。
そんな穏やかな時間の積み重ねが、あなたらしい豊かな暮らしへの第一歩となるかもしれません。
セルフケアのひとつとして、今日からジャーナリングを始めてみませんか。
参考:
『日常臨床で使える認知行動療法ハンドブック』工藤喬(著)中外医学社(2023/3)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000070478.html
https://yasabito.com/9588
https://www.rairairakuraku.com/2024/04/10/merideme/
https://www.felissimo.co.jp/jisedai/tips/tips-3437/