自然と自分に耳を澄ます。京都の「まんまる」で過ごす、コーヒーと音の整う時間

効率や生産性が暮らしの豊かさを支える一方で、近年は、自分自身や自然との関係を見つめ直すことにも新たな価値が見出されています。

京都・清水寺の近くに2026年1月にオープンした「まんまる」はそうした感覚に触れることのできる場所のひとつです。

1階は日替わり亭主によるカフェが営まれ、2階はリラクゼーションサロンを設けています。コーヒー、食、音を用いたセルフケアなど、それぞれ異なる活動を持つ人々がこの場所に集い、訪れる人との新たな接点を生み出しています。

その根底にある考え方をたどると、「まんまる」という場所が目指す、人と人の関係性が見えてきます。

人と人がゆるやかにつながる場

「まんまる」という名前はもともとイベント活動のなかから生まれたものだといいます。

そこに込められているのは、「循環」や「縁」という考え方。

誰か一人が中心になるのではなく、人と人とのつながりが、新たな出会いや活動へ広がっていく。そんな場の在り方が、この名前に重ねられているのです。

その考え方は、お店の運営にも表れています。

お店は、それぞれの想いや活動を持つ人たちが日替わりで店主を務めます。自分の店を持つことには、資金や場所、運営など、さまざまなハードルがあるからこそ、こうした形で営業の機会を持てることは、新たな挑戦や可能性を広げるひとつの選択肢になります。

まんまるカフェは、単なる間借り営業の場所ではありません。完成された一つの店というよりも、関わる人によって少しずつ形を変えながら育って行く場所として機能してきました。

土曜日に1階のカフェを担当するsquirrel nest coffeeの澤田さんは、「ここをきっかけに人と人がつながっていってほしい」と話します。

日々の営業を通して、店主と訪れる人、そして訪れた人同士の新たな接点が生まれています。

自然と共にある豊かさを、一杯のコーヒーから

コーヒーの淹れ方はプアオーバー(ハンドドリップ)にこだわっている

この日いただいたのは、squirrel nest coffeeの澤田さんが提供するコーヒー。産地や品種だけではなく、栽培方法、精製、流通、生産者との関係性まで目を向けながら、豆を選んでいるといいます。

「自然」や「オーガニック」といった言葉を、イメージだけで終わらせないこと。どのような背景を経て一杯のコーヒーになるのか、その過程を知ることもコーヒーを選ぶうえで大切にしてきました。

認証やラベルだけでは語りきれないからこそ、「化学肥料に頼らない栽培」や「どのような背景でつくられているかを知ること」を大切にしているといいます。

この日提供されていた、メキシコとミャンマーの豆も、そうした背景を大切にしながら届けられているものでした。

学生時代、喫茶店でのアルバイトをきっかけに食への興味が深まり、精進料理や農との関わりにも目を向けるようになったという澤田さん。

そうした流れのなかで、コーヒーについても「どのようにつくられているか」を意識するようになったそうです。

農薬や大量生産を否定したいわけではない、と津田さんはいいます。

大切なのは、環境や自然との関係性を考えながら自分なりの選択すること。そうした考えから、澤田さんはコーヒーと向き合っています。

実際にいただいたコーヒーは、香ばしさがありながら軽やかで、やわらかな甘みが余韻に残る味わい。苦みが主張することなく、スッキリとした飲み口が印象的でした。

誰が、どんな土地で育て、どんな想いで届けられたのか。背景にある物語を知ることで、コーヒーは単なる飲み物ではなく、自然や人とのつながりを感じる体験へと変わります。

音を通して、自分の状態に気づく

やわらかな光と落ち着いた香りが広がる2階のリラクゼーションスペースでは、シンギングボウルと音叉を用いたセッションが行われています。

大切にされているのは、日々を心地よく過ごすために、自分自身の状態に気づき、その時々の身体や心に目を向けることです。

実際に音が鳴ると、耳で「聞く」というより体全体で「感じる」感覚が伝わってきます。

空気の振動が静かに身体へ伝わり、首や肩の力みや、浅くなっていた呼吸、頭のなかで考え続けてきたことなど、普段は意識していなかった自分の状態に気が付くことができます。

音叉の響きも同様に、音が鳴るたびに、意識が少しずつ外側から内側へ向いていきます。

何かを変えようとするのではなく、今の自分の状態を受け入れていく時間です。

セッションを終えると、呼吸が少し深くなっていることに気が付きます。音に耳を澄ます時間は、自分の身体や呼吸に意識を向ける時間でもありました。

自分を整えること、社会とのつながりを育てること

コーヒーとシンギングボウル。方法は違っても、どちらも自分や周囲に目を向ける時間です。

自然環境や社会への配慮とともに、自分自身を大切にすることもまた、持続可能な暮らしの一部なのかもしれません。

人が集まり、交わり、それぞれの時間を過ごして、また日常へ戻っていく。

まんまるカフェで触れたのは、自然に目を向けること、そして自分の身体や感覚に意識を向けることでした。「循環」と「縁」を大切に、人や自然、自分自身とのつながりに目を向けるきっかけをつくる場所です。

公式Instagram: https://www.instagram.com/manmaru.kyoto/

この記事を書いた人

幼少期に途上国の貧困問題の現状を知り何とかしたいと思うようになる。2022年からエシカル・コンシェルジュとして、地球がより美しく平和ですべての生き物が幸せであり続けるためにさまざまな情報発信・活動をしている。プライベートではスイミングが趣味の一男一女の母。

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