思わず「かわいい!」と声をあげてしまうほど美しくキラキラとしたアクセサリー。でも実はこれ、かわいいだけじゃないんです! sobolon は、海岸から拾ってきた海洋プラスチックを使いネックレスやピアス、イヤリングなどを制作・販売するアクセサリーブランド。今回は、その魅力に迫るべく、sobolon代表の山崎姫菜子さんにお話を伺いました。
厄介者ではなく、大切な地球の一部として扱いたい
「海洋プラスチック」とは、海を漂うプラスチックごみのこと。便利な生活になった一方で、私たち人間は大量のプラスチックを海に放出してきました。自然に還るまで何百年、何千年もかかると言われるプラスチックは、一度海に流れ出てしまうと漂い続け、劣化して小さな破片になったものは魚や鳥が間違えて食べてしまうことも珍しくありません。
そんな「厄介者」とされる海洋プラスチックですが、その海洋プラスチックを材料としてオリジナルアクセサリーを制作しているジュエリーブランドがあります。それがsobolonです。
心ときめく世界にひとつしかないジュエリー
指輪、ネックレス、ピアス、イヤリングなど、sobolonのアクセサリーはすべてクリエイターによる手作り作品です。海洋プラスチックの特徴を知り尽くしたクリエイターが、異なるカラーや形を組み合わせながら世界に一つしかないアクセサリーを作り上げています。カラフルで個性的なもの、シンプルで普段使いしやすいものなど、デザインが豊富なのも特徴。オンラインショップではセミオーダーも受け付けています。
sobolonの原点は“我慢”と“制約”
ブランドの原点は、代表の山崎さんが子どもの時に学校で環境問題のことを学び、大きなショックを受けたことにあります。
「私たちの住む地球で大変なことが起きていると知り、アクションを起こしたいと思いました。でも“我慢”“制約”と言ったネガティブな方法しか思いつかず結局挫折。その後は学業の忙しさなどもあって、具体的な活動を起こすことができないまま、モヤモヤを抱えて大人になりました。」
そんな山崎さんが行動を起こしたのは、社会人になってからのことです。
「やはり、環境問題の解決のために何か活動がしたいと、諦められない気持ちがありました。そんなとき大きなきっかけになったのが、仲間の存在です。進学や就職で一度はバラバラになった同級生3人が、再び地元の岐阜に戻ってくることになったのです。みんなに想いを打ち明けると、“やってみよう!”という話になり、4人で創業しました。
今は結婚や出産などライフスタイルが大きく変化してメンバーは変わっていますが、彼女たちの存在が大きな支えとなりました。」
母親が手芸好きで、自身も元々モノづくりが好きだったという山崎さん。手先を動かすことに加えてファッションやデザインにも興味があったことから、海洋プラスチックをアクセサリーにするというアイデアが生まれたそうです。
海洋プラスチックがジュエリーにアップサイクルされるまで
ひとつひとつニュアンスの異なるジュエリーができるまでには、海洋プラスチックを使ったアクセサリーならではの工程があります。
まずは砂浜に打ち上げられた海洋プラスチックの回収から始まります。主な回収場所は、活動の拠点となっている岐阜県から近い愛知県常滑市の海岸です。
次に選別を行います。手で簡単に砕くことができるか、もしくはハサミを使って細かくできるかどうかを基準に、厚さ約1~2mm程度のものを選んでいきます。
選別され洗浄されたプラスチックは、全国にいるsobolonのクリエイターへと送られます。クリエイターの元に届いたら、そこからデザインと製作作業がスタート。海洋プラスチックはひとつひとつサイズや色が異なるので、先にデザインを決めるわけではなく、パーツを組み合わせながらプラスチックの色や形を生かしたデザインに仕上げていきます。
山崎さんは、海洋プラスチックの素材の特徴が生かされていることに加え、クリエイターによる多彩なデザインもsobolonのアクセサリーの面白さだと言います。
「クリエイターさん同士でコミュニケーションを取り、アイデアをシェアし合うので、デザインがどんどんブラッシュアップされていくんです。クリエイターさんの個性が光るのもハンドメイドならではの味わいです。そこも楽しみながらご自身のお気に入りの一点を見つけて欲しいです。」
アクセサリーに使えなかったプラスチックも価値あるものに
大量に漂着する海洋プラスチックのなかには、アクセサリーには適さない大きさや硬さのものもあります。sobolonではそのような海洋プラスチックを、アクセサリー以外の方法で活用しています。各地で行っているのは、子どもたちと一緒に海洋プラスチックのモザイクアートを作る活動。分割された用紙に指定の色のプラスチックを貼り、それを組み合わせることで、全員で大きな一枚の絵を作り上げます。他にも万華鏡作りのワークショップを開催するなど、ものづくりやアートを純粋に楽しみながら、材料の海洋プラスチックを通して環境問題を身近に感じてもらうことができればと考えています。
環境問題に興味を持つ入り口に「かわいい!」を
まじめに取り組もうと思えば思うほど“我慢しなければならない”という思考に陥りがちな環境問題。しかし、本当の意味で持続可能なものにしていくには、前向きな姿勢が必要だと、山崎さんは考えます。
「環境問題の解決に向けて様々なアプローチがある中で、かわいい!というところから海洋プラスチックや環境問題に興味を持ってもらうことが私たちの目的です。私たちが回収・アップサイクルする海洋プラスチックは全体から見れば微々たる量で、直接問題の解決に繋がるものではありません。しかし、一見遠回りに思えても、ポジティブに楽しむことが、環境問題を考える“入口”になるのではないかと考えています。」
最後に山崎さんは豊かさについてこう話してくれました。
「大量生産・大量消費の現代、環境問題をはじめとした社会問題がたくさんありますが、それは私たちの心の豊かさが失われていることからきているように感じます。“自然の恵みにより私たち人間は生かされている”という感謝の気持ちや、物を長く大切にする気持ちを持つことこそが、心が豊かであることだと思うんです。“自分自身の心がハッピーになることが環境や社会の豊かさにも繋がっていく”そんな想いをsobolonのアクセサリーにのせて広げていきたいです。」
一見不格好で必要とされていない「そぼろ」なものでも、見方を変えればかわいいものになるという意味が込められているsobolon。かわいいアクセサリーとして私たちの元に帰ってきた海洋プラスチックは、私たちに物を大切に使い続けることの大切さを教えてくれます。
sobolon
オンラインショップ https://sobolon3695.thebase.in/
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