なぜ今、古着市場が拡大している?数字と事例から読み解くファッションの変化

近年、ファッションメディアやSNSを中心に古着への注目が高まっています。東京では原宿・渋谷・下北沢・高円寺といったエリアに古着店が集まり、イベント開催時には多くの来場者で賑わう光景も珍しくありません。

古着好きの芸能人がYouTubeで購入品を紹介する動画を公開したり、アパレルショップに衣料回収ボックスが設置されたりするなど、新品と古着を両方取り入れる楽しみ方も広がっています。

こうした動きは個人の趣味としての古着人気にとどまらず、行政や企業の取り組みにも波及しています。例えば環境省が2023年から推進している「デコ活」の補助金制度では、採択された事業の中にサステナブルファッションや衣料循環に関する取り組みが複数含まれています。
また、国際的なファッション運動であるFashion Revolution Japanでは2025年に「Waste to Wear」というテーマを掲げ、衣類廃棄後の行方に注目が集まりました。

こうした背景から、古着市場は現在、ファッション産業の中でも特に注目される分野の一つとなっています。

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近年、古着人気が再び高まっている理由

「古着」と一言でいっても、その内容は非常に幅広くなっています。ヴィンテージやアーカイブ、デッドストックのように歴史的価値や希少性を楽しむものから、日常的なおしゃれを手頃に楽しめるアイテムまで、多様な選択肢が存在しています。
近年ではリセールサイトやフリマアプリの普及によって購入方法も広がり、古着はより身近な存在になりました。

また、若年層向けのファッションブランドとして知られるWEGOやSPINNSが古着事業を強化していることも特徴的です。新品と古着を同じ売場で提案する店舗づくりが進み、従来は専門店中心だった古着店が、ショッピングセンターや商業施設にも出店しています。

さらに百貨店でも古着を扱う動きが広がっています。阪急メンズ東京では2019年の改装時に「VINTAGE & REVIVAL」というフロアを設け、ヴィンテージ衣料や雑貨を扱う売場を展開しました。
また阪急うめだ本店では2023年にサステナビリティをテーマにしたフロア「GREEN AGE」が誕生し、回収やリペアだけでなくリセールの仕組みも取り入れています。実は髙島屋の祖業が古着木綿商だったという歴史もあり、現在の循環型ファッションの取り組みと重ねると興味深い流れといえるでしょう。

古着文化は1970年代から広がった

日本における古着文化は1970年代頃から広がったとされています。その後1990年代から2000年代にかけて第一次古着ブームが起こり、現在のリユース市場を支える企業がこの時期に誕生しました。

RAGTAG、BOOKOFF、トレジャー・ファクトリー、セカンドストリートといった企業は全国に店舗網を広げることで、古着をより身近な存在にしました。現在はこれらの企業が国内市場を支えるだけでなく、アジアへの展開も進めています。

拡大が続く国内リユース市場

出典:unsplash.com

古着人気は感覚的な流行だけでなく、実際に市場規模の拡大という形でもその変化が現れています。。リユース経済新聞の推計によると、日本のリユース市場は2009年以降15年連続で拡大しており、2024年には市場規模が3兆2628億円(前年比でも4.5%増)となり、予測を上回るペースで成長しています。

その中でも衣料分野は安定した拡大が続いており、一次流通と呼ばれる新品アパレル企業の参入も増えていることから、今後も市場の拡大が続くと見られています。背景にはコロナ禍の行動制限緩和やフリマアプリの普及、そして古着人気の再燃があると分析されています。

財務省の統計でも中古衣料の輸入額や輸入量が増加していることが示されており、国内需要の高さがうかがえます。

こうした市場の広がりはイベントの集客にも表れています。パシフィコ横浜で開催されたVCM Vintage Marketや東京ビッグサイトで開催された古着フェスには、いずれも1万人以上が来場しました。オンラインサービス企業がイベントに関わるケースも増えており、古着市場への社会的関心の高さが感じられます。

世界の中古衣料市場も拡大が続く

出典:unsplash.com

古着市場の成長は日本だけではありません。米国のリセールEC企業スレッドアップが発表した「Resale Report 2026」によると、世界の中古衣料市場は2025年時点で約2,570億ドル規模に達し、前年から約13%成長しました。さらに今後5年間は年平均約10%の成長が予測されています。

特に注目されているのがアジア市場の拡大です。現在でもタイやパキスタンなどには世界各地から古着が集まる集積地があり、バイヤーが買い付けに訪れる様子がメディアで紹介されることもあります。こうした動きからも、アジア市場の存在感が高まっていることがうかがえます。

またアメリカでは中古衣料市場の成長率が新品衣料市場の約5倍とされており、このまま拡大が続けば2030年には約788億ドル規模に達すると予測されています。

なぜ今、古着市場が拡大しているのか

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古着市場の成長にはいくつかの背景があります。その一つがサステナブルファッションへの関心の高まりです。

Pinterestが発表した2025年秋のトレンドレポートでは、「thrift(古着)」関連の検索数が日本では前年から55%増加し、世界では550%増加したキーワードも確認されています。学校教育やメディアを通じてファッションと環境問題を結びつけて考える機会が増えたことも影響していると考えられます。

さらにコロナ禍をきっかけにフリマアプリの利用が広がったことも市場拡大の要因です。AIによる商品分類や検索機能の高度化によって出品や購入のハードルが下がり、家庭内で不要になった衣類が流通する機会が増えました。

アパレル企業もリセール事業に参入

近年は新品衣料を扱うブランドもリセールや回収事業に取り組むようになっています。

BEAMSやUNITED ARROWSでは衣料回収ボックスの設置が進み、ユニクロは「RE.UNIQLO」、無印良品は「ReMUJI」といった取り組みを展開しています。また三陽商会は回収した衣料を再販する仕組みを整備し、再販が難しい衣料については資源循環の仕組みへ回す取り組みを行っています。

海外ではブランドの公式リセールを支援するRaaS(Resale-as-a-Service)という仕組みも広がっています。THE NORTH FACEやLevi’s、Patagoniaなど多くのブランドが導入しており、二次流通はブランド価値を高める施策としても注目されています。

また、セカンドストリートを運営するゲオがブランドのリセールをサポートする事業を開始しました。

マッキンゼーの調査でも、約46%の消費者がブランドのリセール事業への参入に肯定的であるという結果が報告されています。

古着はどこから来るのか

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古着として流通する衣料の多くは、行政回収や店頭回収、集団回収などを通じて集められています。その後、再販できるものは国内外で販売され、難しいものは工業用ウエス(主に製造現場や自動車工場などで機械の清掃やメンテナンスを行う際に使用される、業務用の拭き取り布のこと)として再利用されたりリサイクルに回されたりします。

近年はアパレル店舗に設置される回収ボックスも増えており、生活者が循環に関わる機会も広がっています。

古着市場の課題とこれからの展望

市場が拡大する一方で課題も存在しています。その一つがコピー品の問題です。特にオンラインの個人間取引では真贋確認が難しいケースもあり、信頼性の確保が重要なテーマになっています。

また回収された衣料が海外で十分に活用されず、結果として廃棄されてしまうケースも指摘されています。そのため近年はトレーサビリティや透明性の確保が重要視されています。

消費者庁の調査では古着に抵抗がないと回答した人は約3割でしたが、「どちらとも言えない」と回答した層を含めると半数近くが古着に対して強い抵抗を持っていないとも読み取れます。特に若年層ほど抵抗が少ない傾向があり、今後市場はさらに広がる可能性があります。

古着は一部の愛好家だけの文化ではなく、日常的な選択肢の一つとして広がりつつあります。循環型ファッションへの転換が求められる現在、古着市場はこれからのファッション産業においてますます重要な役割を担っていくと考えられます。

参考:
古着市場、2026年までに8兆円を超える予測 2030年にはファストファッションの約2倍に|サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan
令和3年度サステナブルファッション消費者調査結果報告
「リユース業界の市場規模推計2025(2024年版)」 :: リユース経済新聞
「リユース企業 古着(洋服・服飾雑貨)売上ランキング2024(2023年度)」 :: リユース経済新聞
5年で2倍に急成長「古着市場」を考える:記者談話室vol.5 – WWDJAPAN
まだまだ続くか古着ブーム 24年の古着輸入、金額は過去最高に | 繊研新聞
高島屋の歴史|高島屋史料館
環境省説明資料
materialflow_reiwa6.pdf
米大手コンサル会社マッキンゼー、「消費者はリセールを求めている」 – WWDJAPAN
No.01 RAGTAG 創業者 高橋直樹が語る40年 – ブランド古着の通販 ユーズドセレクトショップ【RAGTAG Online】
Pinterest、2025 年秋トレンドレポートを発表、「スリフト(古着・中古品)」の人気が再熱 | ピンタレスト・ジャパン合同会社のプレスリリース
AIと二次流通市場
Vol.102 Resale-as-a-Service(RaaS)がつくる循環型経済|MAD MAN MONTHLY REPORT|ベストインクラスプロデューサーズ |デジタル時代のマーケティングプロデューサー集団
ThredUp_Resale_Report_2026.pdf

この記事を書いた人

ファッション大好き人間。学生時代に卒業論文でファッションについて研究テーマとして扱い、以来ライフワークとしてエシカル/サステナブルファッション界隈で活動している。
普段は某ライフスタイル雑貨チェーンで販売員として従事。
趣味は、商業施設の催事を巡ってSNSでレポートすることと、ハンドメイドアクセサリー製作。

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