クリスマスやお正月など、年の瀬から新年にかけて楽しみなイベントが続きます。
街もにぎわいを見せ、華やかなシーズンの年末年始ですが裏で発生している多くの食品ロスを見過ごす訳にはいきません。食べきれる量を買うことやつくることなど、個人ができる行動の他にも企業も年末年始の食品ロスにアクションを起こしています。
本記事では、年末年始の食品ロス問題に取り組む企業や団体の事例を紹介します。
年末年始の食品ロスとは?
日本で発生している食品ロスは、令和3年で約523万トンにのぼります。このうち家庭から発生したものは約244万トン、残りの約279万トンが事業者から発生したものです。
近年は個人が取り組むことのできる「てまえどり」や「食品ロスを出さないための調理法」などがスーパーマーケットやメディアで紹介されることも増えてきましたが、事業者から出る食品ロスを減らすために企業の対応も求められています。
そもそも、食品ロス発生の過程は製造・卸売・小売・外食・家庭の5つがあり、今回注目する企業が関わる過程は「製造・卸売・小売」に該当します。
需要と供給に見合った生産量のコントロール、適切な在庫を売り切ることなどが重要になってきますが、従来まではサプライチェーンの構造上の理由などで食品ロスを防ぐことが難しいとされてきました。
食品ロスの焼却処分による公費負担は年間約2兆円にも及び、環境負荷も深刻です。一方で、日本では7人に1人の子どもが貧困で食事にも困っているという現状も。
そのような食品ロスの現状がある中、企業の利益追求のために過剰な生産と廃棄のサイクルを続けることはサステナブルとはほど遠く、これからのあり方を模索し舵を切ることが企業にも求められています。
企業の食品ロス対策事例3選
賞味期限が短い食品や、季節のイベントにまつわる食品は売れ残ってしまったあと買い手がつかずそのまま廃棄…となりがちです。
特に、イベントが多い年末年始は、同時に食品ロスが増える時期でもあり対策に乗り出す企業が登場しています。
LINEヤフー株式会社|Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングでは、食品ロス対策ページを開設しており、加工食品、海産物、パン、お菓子など多種多様なカテゴリーから2023年12月23日現在、約12,010件の出品があります。
その中でクリスマスケーキやおせちをシーズン後も販売を継続する取り組みを行っています。
例えば冷凍おせち商品を半額の特価とし、クリスマスケーキの在庫を年明けの1月も出品を続けています。近年では、クリスマス後からクリスマスケーキ200台を販売した実績を上げています。
食品ロス対策であることを明確に打ち出すことにより、「シーズン後の食品は売るべきでない・売れない」といった今までの固定概念をくつがえし消費者を巻き込みながら、食品ロス削減に貢献しています。
株式会社ロスゼロ|ロスゼロ
株式会社ロスゼロは、規格外品や製造余剰品を生活者とつなげるプラットフォーム「ロスゼロ」の運営やアップサイクル食品の開発を通じて食品ロス問題に取り組んでいます。
そのひとつがおせちです。毎年おせちの需要が激減する三が日を過ぎたころ、ロスゼロは「おそち」と題して余剰在庫を販売。
冷凍販売されているおせちの賞味期限は1月末、もしくはそれ以降の場合が多いことから、お正月を過ぎてもオードブルのように美味しく食べられることを謳い、おせち=お正月だけのものという従来のイメージをくつがえす画期的なアイデアでロス問題の解消に貢献しています。
株式会社クラダシ|Kuradashi
株式会社クラダシは、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を通じて余剰食品や生活雑貨などの販売を行っています。
2022年には年末年始のごちそうにぴったりのお惣菜、ワイン、フルーツ、お肉などまだまだ美味しく食べることができる食品を「福袋」として販売。
物価上昇が続く中、年末年始の食卓をおトクに彩る福袋はまさに三方よしを実現しています。
食品ロスを解消できるだけではなく、売り上げの一部は社会貢献団体などへの寄付として活用される点もクラダシを利用する上でのうれしいポイントです。
年末年始は食品ロスを見直すきっかけにしよう
企業が取り組む年末年始の食品ロス事例を紹介しました。
ごちそうが並ぶ裏側で、必要以上の食品が処分されていることは目を覆いたくなるような事実です。
近年は消費者庁などの行政機関も、年末年始の食品ロス削減に向けた啓発を行うなど、日本でも意識が変わりつつあります。
楽しみが多い年末年始こそ、一度立ち止まって食品ロスについて考える機会にしてみませんか。