Better life with upcycleが新商品を発売。パンのミミを使ったビールはこうやってできる

2024年3月、パンのミミからつくられるアップサイクルクラフトビール「Better life with upcycle」から自社ブルワリー初のクラフトビール2種が新発売されました。

Better life with upcycleは、神奈川にある創業100年を迎える老舗のベーカリーがスタートさせたプロジェクト。
サンドイッチ用などに加工される過程で大量に出るパンのミミを有効活用しようと、モルトの一部にパンのミミを置き換えてクラフトビールを製造しています。

出来立てのブルワリーに潜入!

今回の商品は初の自社ブルワリーでの生産ということで、実際に現場を見学させていただきました。

神奈川県海老名市にあるブルワリーは今年に入ってから完成し、2月8日に初の仕込みが行われたという、まさに出来立ての施設。中に入ると眩しく輝くタンクの大きさに圧倒されます。

ビール製造の最初に登場するのはモルト。モルトは、ビールの種類に合わせて選ばれ、配合されます。

現在は輸入モルトが中心だが、今後は国内産の使用も検討している

モルトを粉砕したら、ビールの元となる麦汁の醸造へと進みますが、パンのミミを入れるのはこのタイミングです。
ここにお湯を投入してモルトとパンのミミを糖化させることにより、ほんのりあまい麦汁が完成。そこから煮沸、ホップの投入などを経て、発酵に移ります。

麦汁をつくる醸造機。ここでパンのミミが投入される

発酵にかかるのはビールの種類によるものの、大体2週間以上。
出来上がったら容器に充填してビールが完成します。仕込みからここまでの工程で1ヶ月ほどだそうです。

約1か月かけてパンのミミを使用したアップサイクルビールが完成

Better life with upcycle代表の吉岡さんは、もともとパン職人。パンとクラフトビールには多くの共通点があると話します。

「パンもビールも基本的な原料は麦、水、酵母です。材料だけでなく製造の過程も似ていますね。どちらも丁寧な仕込みや、温度管理、素材を理解しているかなどが味や品質に大きく影響します。作り手のクリエイティビティが求められる点でシンパシーを感じますね。」

循環の中で社会にとって価値のあるものを作りだしていく

ブルワリーでは、ビール製造の過程で出たモルトやパンのミミの残渣も有効活用しようとする取り組みも行う徹底ぶり。
糖化され、食物繊維やタンパク質が残ったモルトやパンのミミの残渣が液体飼料としてさらに利用されているのです。
パンのミミはそのままだと豚しか食べませんが、この液体飼料は牛など他の動物の飼料としても使える点で、汎用性が高いそうです。

今は液体飼料にしている残渣ですが、驚くことに、この残渣を再びパンに使えないかというアイデアも生まれているそう。

Better life with upcycleでは、どこまでも循環し続け、価値を持ち続けるプロダクトを作り出しています。

「うわべだけのものでなく、社会にとって本当に価値のあるものを生み出していくことを目指しています。美味しいと思って選んでいたものが実はアップサイクルされたものだった、という流れになったら嬉しいですね。」と吉岡さんは話します。

自社ブルワリー初のクラフトビールは2種類

そんな想いが込められ、今回新発売となったのは、『American Wheat』『Extra Special Bitter』の2種類。

『American Wheat』はトロピカルやシトラスを思わせるジューシーなホップフレーバーの中に、穏やかに草やハーバルの風味。小麦とオーツ麦によるシルキーな口当たり、クリアな苦みが絶妙な飲み口です。

『Extra Special Bitter』はモルト由来のカラメルやパンの甘さが特徴。炭酸や苦味が控えめでスルスル飲める仕上がりです。

この2商品に続き、Better life with upcycleでは続々と新商品を発表予定。食の循環の中から生まれる、新しい価値を持ったクラフトビールに注目です。

Better life with upcycle
公式サイト:https://upcycle-beer.com/

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