今や、サステナブルを掲げるコーヒーブランドは珍しくありません。
その広がりとともに、取り組みのかたちも多様になっています。そんななか、imperfect(インパーフェクト)は、“完璧でなくてもいい”という姿勢を掲げてきました。
目指すのは、特別な人のためのサステナブルではなく、日常の延長線上にある選択肢。
2026年3月には、東京・丸の内に新店舗をオープンするなど、挑戦を重ねながら歩みを進めてきたブランドは、いまどこに立っているのでしょうか。
いま抱える課題とその先に描く未来について、佐伯美紗子さんにお話を聞きました。
環境も課題も異なる、生産地ごとのアプローチ
―最初にまず、ブランドの特徴を教えていただけますでしょうか。
imperfectは、コーヒーやチョコレートのお菓子をお客様にお届けしているブランドです。使っている原材料に特徴がありまして、コーヒーやカカオ、ナッツ類は世界中の農家の方々とサステナビリティに資する取り組みを推進しながら生産されたものを使用しています。原料の調達から商品化、販売までを主導し、加工は信頼できるパートナー企業と連携して行っています。

―原材料を調達する際の基準を教えていただけますでしょうか。
作物が育つ自然環境に一定の基準があり、さらに、そこで働く生産者の方の生活や労働環境の改善に貢献する形で栽培されているものを基準に調達しています。
作物の種類や生産されている場所によっても、地域が抱えている課題や生産者が持っている悩みというのは異なりますので、それぞれの農園に合わせてテーマを設けて、それに向けて活動しています。

―さまざまな国で活動されていると思いますが、代表的な取り組みを教えていただけますか。
分かりやすい事例ですと、カカオが育つ森の環境保全などを行っています。カカオの木はもともと森で育つ植物であり、大変繊細な植物です。過度に日光に当たってしまうと、十分な収穫量を採ることができません。しかし、世界で消費されているカカオの約6割が栽培されている西アフリカでは、経済発展とともに、森林の減少が大きな問題となっています。豊かな森の中でカカオを育てていくために、私たちとしては、植林の活動でしたり、森を維持するための適切な方法を現地の方と一緒に推進しています。
私たちは、環境保全と現地の方の収入が上がることが大切だと考えています。森を保全することによって、収穫量も増えて、生産者の収入も増える取り組みは、私たちの想いとも深くつながっています。
「日常の中で、無理なく」届けるための工夫
―話を日本に移すと、imperfectは店舗を構えたり、オンラインストアで展開したり…最近では著名人とのコラボレーションなども行っていますよね。自然環境や生産者のことを考えた原料を使用した商品はさまざまな形や方法で私たち消費者に届けられていると感じます。どのような想いをもって国内で販売されているのでしょうか。
私たちは、日常の中で無理せずサステナビリティを取り入れてもらうために、どのような形で商品を提供していくのが適切なのかをずっと考えてきました。
表参道に店舗を構えていましたが、サステナビリティを前面に押し出すわけではなく、お買い物の途中やお仕事帰りの中でふらっと立ち寄っていただき、手に取っていただいたときに、「普段飲んでいるコーヒーはこんな課題を抱えているんだな」など、少しでも関心を持ってもらえるきっかけを増やしたいと考えていました。
コンビニでも展開していましたが、コンビニもまた、全国の方の生活導線上にあります。芸能人の方とのコラボレーションも、生産地の課題を知っていただくためのきっかけになってもらえればと思っています。

―現在は、SDGsの広まりもあり、社会全体で生産地の課題なども知っている方が増えてきましたよね。創業されたときとはまた時代が変化しているように思いますが、その中で現在見えている課題はありますか。
多くの方がサステナビリティに関してご存知ですし、理解も徐々に深まっているのですが、実際にご自身が行動するとなると何をしたらよいのかわからない、何を選んだらよいのかわからないというお声をたくさんいただきます。認知は広がったとはいえ、まだ日常に根付いているものではないと感じています。
その中でどうやって、サステナブルな商品を手に取っていただけるようにしていくか、これからチャレンジしていきたいと考えている部分です。
また、みなさんが社会に良いと思って行っているアクションが、どう結果に結びついているのかが見えにくいのが現状だと思います。その部分が見えないと継続していくことが難しいと思うんです。私たちは「投票」という仕組みを設けさせていただいて、現地で行った活動を可視化してお客様にお見せするということも大切にしてきました。

「理想はまだ遠いと感じています」
―今お答えいただいた内容とも深く関係するのですが、imperfectのコーヒーを選ぶと、どんな影響があるのか、消費者が分かりやすいよう、数字などで示せるものはありますか。
一杯のコーヒーが与える影響を数字にしていくのは慎重な検討が必要だと感じています。ただ、売上の一部を現地に還元させていただいているのですが、その使い道を明確に説明するということはずっと大切にしてきました。動画や写真で現地での活動をお見せできるようにしています。
このような活動の結果は中長期的に見えてくるものだと思っています。いつか消費者の方にめぐりめぐって「あのときの行動がここに結び付いているのかもしれない」と思う時が来るのではないかと思っています。それをどれだけの早さで、どれだけの実感をもって、日本の消費につなげられるかというのが私たちの務めだと思います。

―サステナブルな社会の実現を目指して活動されていますが、思い描く目標に対して、現在どのあたりにいますか。
理想は、すべての原料が環境や生産者に負荷をかけずに生産されることですが、現状はまだ遠いと感じます。その中でまだまだそのような原材料の使用は割合が少ないと感じています。私たち一つのブランドで変えていくというよりも、そのようなサステナブルな取り組みの中で生産された私たちの原材料を他の企業にどのように使ってもらえるかというのも考えていきたいところです。
「きっかけを、さまざまな場所でつくっていきたい」

―チョコレートやコーヒーを選ぶうえで、私たち消費者ができることは何だと思いますか。
私は、いきなり全ての購買行動をサステナブルなものに変えることは難しいと思いますので、もしコーヒーが好きな方であればコーヒーから始めていくということで十分だと思います。「どういう農園で育てられているんだろう」「自然環境に悪影響がある形で育てられていないだろうか」というように、少しだけ生産に思いを馳せていただいて、人や環境に配慮されているものを選んでみようかなと思っていただくことが良いのかなと思っています。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

きっかけをさまざまな場所で作っていくということを今後も進めていきたいと思っています。商品、チャネル、または芸能人の方とのコラボレーションなど、その方によってきっかけは違うと思います。
例えば、今、さまざまな会社様にむけて、オフィススペース向けのコーヒーのご提案をさせていただいています。コーヒーを中心に、同僚とのちょっとしたコミュニケーションをとれる場所になりますし、サステナブルなコーヒー豆を使用していることで、会社としての姿勢を見せる場所にもなります。
これはほんの一例ですが、これからもきっかけ作りを行っていくことが自分たちにできることだと思っています。
その先に、サステナビリティって当たり前だよね、特別なことではないよねという世界が広がっていくことを目指してこれからも活動していきたいです。
サステナビリティを、日常の選択肢に
サステナビリティを、特別なものではなく、日常の選択肢にしていくこと。その挑戦はまだ途上にあります。しかし、“不完全”のまま歩み続ける姿勢こそが、imperfectの現在地なのかもしれません。
imperfect公式HP: https://www.imperfect-store.com/







