近年、世界中で増加傾向にあるヴィーガン人口。国内でも最近レストランやカフェでヴィーガンやベジタリアン向けの料理を選べるところが増えてきています。
今回はヴィ―ガンについて、そしてベジタリアンやペスカタリアンとの違いについて解説していきます。
今なぜヴィ―ガンが増えているのか、ヴィ―ガンはどんなものを食べているのか詳しく知りたい方におすすめの記事です。
ヴィーガンとは?
ヴィーガンとは動物由来の食品や製品を一切摂取しない菜食主義者です。
肉や魚、卵や乳製品、はちみつなどの動物性食品はもちろん、動物性原料を含む加工食品や、製造工程に動物性原料が使われたものも避けます。
ヴィーガンになる理由
実際、ヴィーガンになると、食事の選択肢が大きく制限されてしまいます。ではなぜ、ヴィーガンという選択をするのでしょうか。
主な理由を3つご紹介します。
・環境保護的な理由
・倫理的な理由
・健康上の理由
順番に解説していきます。
環境保護的な理由
ヴィーガンの食生活は肉や魚の消費をしないことにより、地球環境に優しく、環境保護に繋がります。
畜産業は、地球温暖化や森林破壊などの一つの原因であるためです。例えば牛肉は、牛のゲップには、二酸化炭素の25倍もの温室効果があるメタンガスが含まれているとされ、温暖化に繋がると言われています。また牛一匹を飼育するのに実にたくさんの餌となる穀物が必要となり、資源の大量消費が問題になっています。
魚もサステナブルとは言い切れません。魚の乱獲が海洋生態系に影響を与える場合があるからです。
海洋生態系の破壊や、気候変動の原因の一つが魚の乱獲です。
魚の乱獲は特定の魚種の絶滅だけでなく、海の生態系全体のバランスを崩す可能性があります。環境問題の解決に貢献したいと考える方がヴィーガンになることも珍しくありません。
倫理的な理由
動物の権利を尊重したいと考えるヴィーガンも多く存在します。
畜産業で飼育される動物は、身動きが取れないほどの狭いケージで育てられるなど、劣悪な環境で飼育された上で命を奪われることも少なくないため、動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点から改善が叫ばれるようになっています。
動物は人間と同じように痛みや苦しみを感じると考えられており、動物を人間と同等の存在として尊重するべきとヴィーガンは考えているのです。
健康上の理由
ヴィーガンは肉や魚などの動物性食品を摂らないため、コレステロール値や血圧値を下げ、生活習慣病などのリスクの減少が期待できます。
また、肉は消化に負担がかかるため、胃腸が弱い方には適さない場合もあります。
これらの理由からヴィーガンという選択をする方も増えているのです。
ヴィーガンはどんなものを中心に食べている?
ヴィーガンの食事には、以下のようなものが挙げられます。
・野菜:野菜は、ヴィーガンの食事の基本です。さまざまな種類の野菜をバランスよく摂ることが大切になってきます。
・果物:果物は、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。
・豆腐や納豆などの大豆製品:ヴィーガンにとって貴重なタンパク源となります。
・ナッツ類や種子類:ヴィーガンに不足しがちな鉄分などを補います。
ヴィーガンはこれらの食材を組み合わせて、バランスのよい食事を心がけています。
ヴィーガンは動物性の食品を摂取しないため、タンパク質やカルシウム、鉄分などの栄養素が不足しがちです。そのため大豆製品や、海藻類、アーモンドやカシューナッツ、ひまわりの種などのナッツ類を積極的に摂っています。
ヴィーガンはどうやってタンパク質を摂るの?
タンパク質は、筋肉や骨、臓器などの構成成分となる重要な栄養素です。
植物性食品に含まれるタンパク質は、動物性食品に比べて吸収率が低いため、意識的に摂取する必要があります。
ヴィーガンは、肉や魚を食べないため、動物性食品から摂るタンパク質を植物性食品から摂取する必要があります。
中にはサプリメントなどで補っている方もいますが、基本の食事から摂ることも可能です。
ヴィーガンがタンパク質を摂るには、以下の食材を積極的に摂取することが大切です。
・大豆製品:豆腐、納豆、エンドウ豆、ひよこ豆
・穀物:全粒穀物、玄米、オートミール
・ナッツ類と種子:アーモンド、クルミ、ピーナッツ、ひまわりの種、カシューナッツ
これらの食材には、植物性タンパク質が豊富に含まれています。
ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含まれているため、健康的な食事にもつながります。
また、植物性プロテインパウダーや、ヴィーガン向けの加工食品などを活用するのもおすすめです。
大豆で作られたから揚げや、豆腐で作られたハンバーグなど、プラントベースでありながら動物性素材を使ったかのような見た目と味の商品も続々と登場しています。
ヴィーガンはこれらの代替品で食卓にバリエーションを出しています。
ヴィーガンやベジタリアン、ペスカタリアンの違いは?
ヴィーガン、ベジタリアン、ペスカタリアンは、いずれも菜食主義です。
しかし、それぞれに食事に関する考え方に違いがあります。
ベジタリアンやペスカタリアンは、ヴィーガンに比べて動物性食品を摂取する範囲が広がります。
ベジタリアンとは?ヴィーガンとの違い
ベジタリアンとヴィーガンは、どちらも動物性食品を制限する菜食主義者です。
大きな違いは、その動物性食品の摂取範囲にあります。ヴィーガンは動物性食品を一切摂取しませんが、ベジタリアンは肉や魚は食べずとも卵や乳製品は食べます。
つまり、ベジタリアンとヴィーガンの違いは、卵や乳製品の摂取の有無です。
ペスカタリアンとは?ヴィーガンとの違い
ペスカタリアンは肉を摂取しませんが、ヴィーガンと異なり魚は食べる菜食主義者です。
ペスカタリアンは厳格なヴィーガンとは違い、魚類だけでなく貝や甲殻類も食べます。
魚を食べられるということで、外食での制限が少ないこともペスカタリアンを選択する理由の一つです。
ヴィーガンはコスメやファッションにも
ヴィーガンは食だけではありません。コスメやファッションにおいてヴィーガンの選択肢も増えてきています。
ヴィーガンコスメやヴィーガンファッションは、動物性原料や動物由来の素材を一切使用していないのが特徴です。
食事と同様、動物愛護や環境保護の観点からヴィーガンコスメやヴィーガンファッションが注目されているのです。
また、アレルギーなどの理由で動物性の原料や動物由来の素材を避けたい方にも適しているでしょう。
菜食主義には色々なスタイルがある
今回は、ヴィーガンの概要やヴィーガンとベジタリアンやペスカタリアンとの違いについて解説しました。
ヴィーガンやベジタリアン、ペスカタリアンは、近年ますます注目を集めている食生活です。
肉を食べず植物由来の食事にシフトすることは、環境保護や動物福祉など、さまざまなメリットがあります。
例えば、月曜日だけお肉を食べない「ミートフリーマンデー」や、自身の生活に合わせてできる範囲でベジタリアンになる「フレキシタリアン」「ゆるべジ」などのスタイルも広がりつつあります。
ぜひ自分に合った食生活を見つけてみてはいかがでしょうか。