世界食料デー2025“より良い食と未来”へ向けて私たちにもできる取り組みとは?

毎年10月16日は国連が定めた「世界食料デー」。食に関するイベントやキャンペーン、フォーラムなどが国内外で開催され、食料問題を考えるきっかけとなる国際的な日です。

この記事では、世界食料デーとは何か、イベント情報、取り組みへの参加方法についてご紹介します。

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私たちの食べ物を見直す日

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スーパーマーケットにはあらゆる食べ物が並び、SNSを開けば、彩り豊かでおいしそうな料理が目に飛び込んでくる現代。それが“あたりまえ”にある世界の裏側で、深刻な食料問題が存在していることを知っていますか。

その代表的なものが、栄養不足による飢餓。

2023年時点の報告によると、世界と各地域の栄養不足人口と蔓延率は以下のように報告されています。

  • 世界の栄養不足人口:7億1,300万人~7億5,700万人 / 蔓延率:8.9~9.4%
  • アジアの栄養不足人口:3億8,450万人 / 蔓延率:8.1%
  • アフリカの栄養不足人口:2億9,840万人 / 蔓延率:20.4%
  • オセアニアの栄養不足人口:330万人 / 蔓延率:7.3%
  • ラテンアメリカ・カリブの栄養不足人口:4,100万人 / 蔓延率:6.2%

長期にわたり、十分に食べることができない状態が続くと栄養不足に陥り、生活と生命の維持が困難になります。そのような状態を「飢餓」といい、世界人口80.65億人(2023年)の9%前後、つまり約100人に1人が栄養不足や飢餓に直面していることになります。

飢餓は、限られた食材しか入手できない、食料そのものが不足している、経済的な理由で健康的な食事を摂ることができない、など複合的な要因で起こります。開発途上国だけの問題と思われがちですが、FAOの報告によれば、決してそうではありません。

特に近年、気候変動による穀物収穫量の不安定さ、畜産業や養殖業の疾病増加、海水温の変化による漁獲量の変化などが強く懸念され、私たちの食生活にも大きな影響を及ぼしています。

また、経済的な理由から、必要最低限の食事さえアクセスできない人が日本でも増加。一方で、2023年には464万トンもの食品が廃棄されたというフードロス問題も世界的な課題です。

各国各地でさまざまなイベントが開催される「世界食料デー」は、これらの食の課題を知り、私たち一人ひとりが命の源である食のあり方や食べ物を見直す大事な日なのです。

世界食料デーとは?

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世界食料デーは毎年10月16日。世界の一人ひとりが協力し合い、栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決し、基本的人権である食料に、すべての人がアクセスできる世界を実現することを目的とした、世界の食料問題を考える日です。

そして同時に、国際連合食料農業機関(FAO)が設立された日でもあります。

FAOは、世界の人々の栄養水準と生活水準の向上、食料や農作物の生産と流通の改善による世界経済の発展、飢餓からの解放を目的として、1945年に設立されました。

世界食料デーは、1979年の第20回国際連合食料農業機関(FAO)総会の決議に基づき、1981年から世界共通の日(国際デー)として国連により制定されました。

それ以来、この日を中心として、食料問題を考える啓発イベントや取り組みが、毎年各国で行われています。

今年は、FAO創立80周年の節目

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国連の飢餓撲滅に向けた国際的な取り組みを主導する専門機関であるFAOは、2025年10月16日で創立80周年を迎えます。

これまでの活動を称えると同時に、世界の連帯をさらに強める重要な鍵になる年として、加盟国195カ国のネットワークを活かした記念イベントが、世界各地で開催されています。

今年のテーマは下記です。

「Hand in Hand for Better Foods and a Better Future」
ハンド・イン・ハンド、より良い食と未来へ

誰もが健康的な食生活にアクセスでき、地球と調和した生活を送れるよう、政府や組織、セクターなどの垣根を越え、平和的・持続可能・発展的で食の安全が保障された未来の食料システムを築くための協力を呼びかけています。

2025年の主なイベントと取り組み

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国外

数ある中から、特におすすめのものをピックアップしました。

WFF Flagship Event

  • 2025年10月10日~17日
  • イタリア・ローマ FAO本部
  • 16日の記念式典、講演会、食と農の博物館・ネットワークのオープン、17日のジュニア世界食料デークラスなど、さまざまなイベントが開催されます

食と農の博物館は、食と農の歴史を学び、持続可能な未来ビジョンに向かう常設の教育体験施設です。世界のどこにいても体験でき、世界の人々と繋がり、交流できるネットワークハブとしてもオープンします。興味のある方はチェックしてみてください。

https://www.fao.org/world-food-day/events/global-events/en

Cook&Share Community Kitchen

  • 2025年10月16日
  • ガーナ・アクラ
  • 路上で暮らす子どもたちが、企業や個人の協力のもと、パーティースタイルの楽しい雰囲気の中で、健康診断やセッション、食事会、地元食材を使った料理教室などを体験。生活スキルと自信を身につけることを目的としたイベントです。

国際協力に興味のある方や、子ども食堂に関わる方には特におすすめです。

https://www.fao.org/world-food-day/events/detail/cook-share-community-kitchen-empowering-street-children-through-food1f3b0612-08ba-4fe1-9526-f4cb02f810ff/en

他にも、各国でさまざまなイベントや取り組みが行われています。

啓発広告や看板設置から、団体・個人を巻き込んだアクションまで多種多様。国外でどのようなムーブメントが起きているかを知ることができます。

国内

おにぎりアクション2025

  • 2025年10月7日~11月15日
  • Instagram・X・Facebook(世界中から参加可能)
  • 必要なものは「おにぎり」だけ。おにぎりの写真を、#OnigiriAction のタグと共にSNSに投稿するだけで、アフリカ・アジアの子どもたちに給食が届きます。2015年に始まったこの活動は、特定非営利法人TABLE FOR TWO Internationalが主催

https://onigiri-action.com

「全ての人に食べ物を」私ができることエッセイコンテスト

  • 2025年7月7日~10月20日(募集期間)
  • 世界中から参加可能
  • 学習シートや動画で世界の飢餓について学び、考えをエッセイにして応募すると、子ども2人分の給食が主にアフリカに届きます。審査結果は11月25日に発表予定。主催は国連世界食糧計画(WFP)

https://www.wfpessay.jp/2025

その他、月間・プレイベントなど

埋立処分場と食品ロスを考える見学会

  • 2025年12月まで定期的に開催
  • 東京都江東区
  • 中央防波堤埋立処分場・廃棄物処理施設の見学と環境学習を通じて、食品廃棄の現実を知り、日常の食のあり方を見直す学習型イベントです。
  • https://www.tokyokankyo.jp/learn/chubo-shokuhinrosu/

その他、さまざまなプレイベントや月間イベントが開催されています。

イベント詳細と併せて、チェックしてみてください。

https://worldfoodday-japan.net/join/event/

団体・企業・行政・大学などもさまざまな企画を実施

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ご紹介したイベントの他、大学や企業なども趣向を凝らした企画を展開しています。

イオン九州株式会社

期間中、対象商品の売上の一部がWFPの「レッドカップキャンペーン」に寄付され、途上国の子どもたちの給食支援に繋がります。イオングループでは、2022年から国際デーに合わせた企画を継続的に実施しています。

https://www.aeon-kyushu.info/files/optionallink/00000453_file.pdf

「食べる」をサステナブルにするヒント展

明治学院大学との「世界食料デー」月間2025共催企画展。2025年10月3日〜16日までの期間中、明治学院大学横浜キャンパス 5号館クララ・ラウンジで、食の問題をテーマにしたパネルが展示されます。

その他にも、さまざまな団体・大学・企業などが、国連関連団体への寄付・協賛・賛同を通じて、フードロス削減、環境保護、食料支援。自立支援をサポートしています。

世界食料デーに、私たちができること

私たちにできることは実はとてもたくさんあります。

例えば、おにぎりアクションに参加する、なるべく賛同・協賛企業の商品を選ぶ、などです。その他にも、なるべく食品ロスを出さない、地域の食材を選ぶ、廃棄物処理の現場を知る、といった行動も、身近にできる取り組みです。

「#世界食料デー」のタグと共に、地元食材を使った料理や親子教室などの様子をSNSに投稿するのも、個人ができるアクションのひとつ。また、FAOのデジタルメディアハブでは、バーチャル背景やバナー、壁紙などのビジュアルコンテンツが提供されており、ダウンロードして啓発に協力することもできます。

80周年記念ビジュアルコンテンツURL:

https://www.fao.org/world-food-day/80th-anniversary/en

さらに食の問題を知り知識を深めたいなら、オンラインもしくはハイブリッド開催の国際イベントに参加してみてはいかがでしょう。視野が広がり、私たちの食と世界がどう繋がっているかを実感できる、とてもいい機会になるかもしれません。

世界食料デーに食の未来を考える

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世界食料デーは、1981年から始まった国際デーのひとつ。

国際デーは、世界全体で取り組むべき課題やテーマについて、人々の関心を高めると共に、解決への行動を促すことを目的として定められた世界共通の記念日です。

世界食料デーは、日頃忘れがちな食料問題を思い起こさせてくれる大切な日。

誰もが、健康的で栄養価の高い食事にアクセスでき、豊かで安心して暮らせる未来に向けて、私たちは今、何を選択し、どのような行動をするべきか、立ち止まって考えてみませんか。

参考:
https://www.fao.org/japan/highlights/sofi/jp
https://www.fao.org/japan/highlights/world-food-day/jp
https://www.fao.org/about/about-fao/en/
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sosyutu/attach/pdf/itaku-5.pdf
https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kanren_sesaku/FAO/attach/pdf/FAO-22.pdf
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000124816.html
https://worldfoodday-japan.net/
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/36552/
https://www.env.go.jp/content/000324503.pdf

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この記事を書いた人

誰もが心豊かに生きられる未来を創造する経営コンサルタント。
建築設計⇒HR広告営業⇒障害者支援事業運営⇒行政事業執行⇒経営コンサルへ。
これまでの経験を通して知った日本文化の奥深さを、衣食住にまつわるストーリーにのせ海外に向けて発信中。

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