捨てない選択肢。気軽に行ける循環型イベント「服の交換会」をレポート

いらなくなった洋服は捨てる、売る、寄付するなど手放す方法はいくつかありますが、「交換する」という選択もあるのをご存知でしょうか?
「どんなシステム?」「どんな洋服があるの?」そんな疑問を解消すべく、今回は実際に新宿御苑で開催された服の交換会イベントに参加してきました。

捨てるでもなく、売るでもない。服を交換するとは?

海外ではファッションスワップパーティーと呼ばれる服の交換会。
服の交換会は言葉の通り、不要になった洋服を交換会に持ち込んで、そこに集まった洋服を持ち帰るというイベントです。
基本的にはどんな洋服でも持ち込むことができ、持ち込んだ枚数の服を会場から持って帰ることができます。

最近は日本でも、丸井とアパレル企業のワンピースが展開する服の交換会が関東・関西エリアを中心に開催されており、盛り上がりを見せています。

アパレルの廃棄問題

アパレル商品は、原料調達から製品が出来上がるまでの製造から輸送に至るまで、多くの資源や水、エネルギーを消費するなど環境負荷が大きい産業です。
それは、国連貿易開発会議(UNCTAD)によって「世界2位の環境汚染産業」と言われるほど深刻です。
「不要な衣服」に焦点を当ててみると、一人あたり着用されていない衣服は年間25着あるとされ、1日あたり焼却・埋め立てされる服の総量はなんと1日に大型トラック130台分(1300トン)に上ります。[1]

日本でも大量生産されて、大量廃棄されていく服。「衣服を長く大切にして欲しい」服の交換会にはそんな願いが込められています。

服の交換会に行ってみた

2022年11月5日、6日の2日間の日程で「新宿御苑 グリーンフェス」のイベント内で開催された服の交換会。
少し秋めいてきた木々に囲まれた会場広場の一角に、服の交換会ブースはありました。

青空の会場の下には衣服がかかったラックが並び、家族連れや女性を中心に多くの人でにぎわいます。

まずは受付に向かいます。「持ち込んだ衣服と同数、会場にある衣服を持ち帰ることができます。持ち込んだ衣服は会場にあるハンガーにかけ、ご自身でここだ!と思うカテゴリーのラックにかけて下さい。」と案内されました。

今回参加するにあたり筆者が持ち込んだアイテムはこちらの4点。ニット2枚とスカート、パンプスです。これからの季節に活躍しそうな物を中心にセレクトしました。

靴はどのようにすれば良いか尋ねたところ、ハンガーラックの下にそのまま置けばOKとのことでした。
持ち込んだすべての衣服をハンガーにかけたところで、次は、持って帰る洋服を探しに行きます。

性別・年齢関わらず、オールジャンルの洋服が集まる

会場内は、フリーマーケットのような雰囲気で、好きな場所を自由に見て歩きます。

洋服のジャンルは、日常使いできそうなカジュアルなものから、シンプルなもの、かわいらしいものや、オフィスで使えそうなものまで何でもありました。

レディースに比べると子ども服は少なめ

子ども服とメンズ服の量が少なかったので、積極的に持ち込むと喜ばれそうです

冬の季節に重宝しそうなきれいなダウンも!

会場内ではこのようなデニムの山も置かれていて、来場者の目をひいていました。このデニムは、アパレル産業の衣類ロスを訴えて作られたものです。

筆者も会場をくまなく見て回り、たくさんの服の中から気に入ったアイテムに出会いました。

こちらの赤地のロングスカートとシンプルなデニムの2点です。

普段はあまり選ばないカラーの赤ですが、挑戦してみたいと思い、手にとりました。一方のデニムは、フレアタイプのデザインがちょうど欲しいと思っていたので即決しました。
会場で手に取って洋服を探すのは、お宝を探すようなワクワク感があります。一緒に参加した友人は家族の分も持ち帰っていました。

今回筆者が持ち帰った衣服の点数は、持ち込んだ点数よりも少なかったのですが、持ち込んだ点数分持ち帰る必要がないのは、とても助かります。本当に気に入ったものだけを家に連れて帰ることができました。

気になる衣服のラインナップや状態は?

服の交換会に参加したことがない方は、会場にある衣服のラインナップや状態が気になるところではないでしょうか。

一般的な古着屋と比較してみると、交換会では持ち込む衣類のシーズンの指定はないため、衣類の季節感がバラバラです。筆者は今回の秋と夏に参加したことがありますが、どちらの会場においても、すぐにでも使えそうなものありますが、シーズンが終わってしまったものもあります。

次にジャンルですが、こちらも持ち込む上で特に指定はないのでバラバラです。書いたように、メンズや子ども服、レディースでもカジュアルなものオフィスっぽいものまで様々です。

最後に衣類の状態です。
基本的には参加者のモラルに任せるシステムのため、大方きれいな状態ですが中には多少汚れが目立つものも…。
気になる方は、帰ってから洗うというだけでなく、例えばトップスであれば汚れや着用感が出やすい首回りや手首周りなどの状態をチェックするなど、きちんと確認してから持ち帰るのがおすすめです。

服の交換会に参加するメリット

今回服の交換会に参加してみて、洋服を交換するメリットを考えてみました。

  1. 衣類の廃棄を出さない
  2. 綺麗な状態で捨てるのはもったいない洋服を必要としている人に譲ることができる
  3. 洋服の買い方・捨て方について考えるきっかけになる
  4. 普段は挑戦しないジャンルや色味のファッションに出会える
  5. 一期一会の衣服に出会えるワクワク感がある
  6. 参加費0円(プレミアムコーナーを除く)でお財布にも優しい

イベント参加中に、自身が持ち込んだ衣服を持ち帰る参加者を見つけて声をかけた…なんて事例もあるそう。
人々が直接集う場だからこそ起きる、素敵な交流もあるかも知れません。

また、服の交換会でゲットしたアイテムを運営アカウントのメンションをつけてインスタグラムに投稿したところ紹介して頂きました。

参加後は、SNSを通じてコーディネートをシェアして楽しんでみてはいかがでしょうか。

イベントで楽しみながら循環型社会に貢献

服の交換会をひとことで表すと、「人も地球も社会もハッピーになれる洋服の循環型イベント」でした。

サスティナビリティが叫ばれる昨今、大切なこととはわかっていても具体的な行動を起こすことはハードルが高いと感じている方もいると思います。そんな方は、このような参加型のイベントに足を運んでみることからスタートすると、楽しく継続しやすいのでおすすめです。

公式SNSにイベント開催情報が随時更新されていますので、お近くで開催の際にはぜひクローゼットで眠っている洋服を持って、遊びに行ってみて下さいね。

【参考】
[1] 環境省_サステナブルファッション (env.go.jp)

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この記事を書いた人

フリーライター/エシカル・コンシェルジュ。学生時代、100本以上のドキュメンタリー映画を通して、世界各国の社会問題を知る。
個人SNSでも都会からはじめるエシカル・ゆるべジな暮らしを発信中!