ここ数年、旅行先に自然豊かなところが選ばれる傾向にあるそう。さらに、コロナをきっかけに山や川、海といった場所が人気を集めています。
そこで今注目したいのが、エコツーリズムという考え方。いつもの旅とは一味違った体験をしたい方におすすめのエコツーリズムについてご紹介します。
エコツーリズムとは
環境省によると、エコツーリズムとは、「自然の営みや人と自然との関わりを対象とし、それらを楽しむとともに、その対象となる地域の自然環境や文化の保全に責任を持つ観光のありかた」とされています。
訪れる先の自然や文化を満喫しながら、同時に環境や人に過度な負担をかけない持続可能な旅行、それがエコツーリズムの考え方です。
オーバーツーリズムがもたらす問題
第二次世界大戦後、それまで富裕層だけに許されていた観光が、広く一般の人々の中で急速に広まりました。これをマスツーリズムといいます。
そんなマスツーリズムの流れの中、観光客が過度に増えすぎてしまっている地域が増えてきています。
観光地にたくさんの人が押し寄せた結果、自然環境の破壊や、遺跡や建築物の破損、混雑や渋滞による地域住民への悪影響などが問題になっているのです。
このオーバーツーリズムは世界中の多くの地域で問題となっていますが、日本でも京都や鎌倉などの人気の観光地は混雑や交通渋滞が常態化し、観光客の数は住民の数の何十倍になっています。
残念ながらそのような旅行の傾向は、自然や地域住民に負担がかかってしまい、未来に向けて持続可能なものとは言えません。
国内で広まるエコツーリズム
そこで注目されているのがエコツーリズムです。
エコツアーには、山でのトレッキングをはじめ、海や川でのカヤッキング、動物や野鳥ウォッチングなどのアクティビティなどがあり、その種類も豊富です。
日本では1990年代から活動が活発になり、中でも沖縄県の西表島、鹿児島県の屋久島、長野県の軽井沢町、北海道の知床半島がエコツアーの先駆けとなりました。
エコツアーでは、ガイドが土地の自然や文化を熟知しているなど、自然や文化に対して十分配慮されたものになっているので、必要以上に環境に負荷をかけません。
山や川、その土地ならではの文化を満喫し、さらに一歩進んで、知識も深める。大切な自然や文化を未来へ残していこうというきっかけにもなり、いつもと少し違った思い出に残る旅が楽しめます。
エコツアーに参加する方法
エコツーリズムの考えに沿ったプログラムのことをエコツアーといいます。ガイド付きのエコツアーなどは、大手旅行会社でもパッケージで販売しています。
また、各地でエコツーリズムの協会が活動しているので、協会のサイトをチェックするのもおすすめです。 他にも、最近ではエコホテルが増えてきています。「エシカルホテル」や「サステナブルホテル」とも呼ばれますが、宿泊先にそのようなホテルを選択するのもひとつです。
エコツアーにおすすめの旅先3選
北海道 知床半島
北海道の東端、オホーツク海に面した知床半島は、斜里郡斜里町と目梨郡羅臼町にまたがる半島で、2005年には世界自然遺産に登録されました。
地域をあげてエコツーリズムを推進しており、ガイド付きのエコツアーが充実しています。野生動物ウォッチングや流氷ウォーキング、トレッキングなど大自然を全身で感じられるツアーが満載です。
知床斜里町観光協 https://www.shiretoko.asia/list_guide.html
知床ガイド協議会 https://www.shiretoko.guide/
徳島 上勝町
徳島市内から車でおよそ1時間のところにある、人口約1500人の上勝町。日本の原風景が残る自然豊かな町で、里山歩きなどの自然体験ができます。
また町は、日本で初めてゼロ・ウェイスト(=廃棄物ゼロ)を宣言。現在ではごみの80%がリサイクルされており、町をあげて持続可能な社会に向けた取り組みがなされています。
「HOTEL WHY」は、町のウェイストゼロアクションが学べる新しいかたちの宿泊施設。廃材を利用した画期的な建築のホテルに宿泊しながら、暮らすようにサステナブルな町を体験できます。
上勝町ウェブサイト http://www.kamikatsu.jp/
HOTEL WHY https://why-kamikatsu.jp/6
青森県・秋田県 白神山地
「神々の住む森」と呼ばれる白神山地。1993年に屋久島と並び、日本で初めて世界遺産に登録されました。
人の影響を受けていないブナの原生林に、多種多様な動植物が生息・生育しており、貴重な生態系が保たれています。
白神山地では、ガイドと巡るエコツアーが充実。ウォーキングをはじめ、季節に合わせた山地ならではのアクティビティが楽しめます。
秋田白神ガイド協会 https://akita-shirakami-guide.jimdofree.com/
エコツアーでこれからの旅をもっと豊かに
ここ数年見つめなおされている自然との付き合い方、そして旅行の在り方。エコツーリズムの考え方を少しでも旅行にプラスすることで、今までにない感動的な出会いが待っているはずです。ぜひ次の旅行のキーワードにしてみてはいかがでしょうか。