都内で人気を集める蚤の市は、古道具やアンティーク、ヴィンテージファッション、手作りのクラフト品など、一つとして同じものがない“一期一会”の出会いがある場所です。
使い捨ての消費から少し離れ、すでに誰かが大切にしてきたモノを新たに迎えることは、サステナブルな暮らしに繋がる選択の一つ。
本記事では、蚤の市の魅力と、都内で実際に開催されている蚤の市の例をご紹介します。週末の散歩がてら、蚤の市で小さな宝探しを楽しんでみませんか?
蚤の市は一期一会の宝探し

最近、都内各地で開催される蚤の市(のみのいち)が、注目を集めています。
古道具やアンティーク雑貨、ハンドメイドアイテムなど、同じものには二度と出会えない“一期一会”の出会いの中には、まるで宝探しのような楽しさがあります。
新品を買うのではなく、すでに誰かが愛用してきたものに新たな命を吹き込む。それは、実はサステナブルな暮らしの一歩でもあります。
都内でも多く開催されている蚤の市は、そんなちょっと特別でサステナブルな体験を私たちに届けてくれます。休日の散歩がてら、ワクワクしながら小さな出会いを探すことができるのです。
なぜ今、蚤の市が注目されているの?

蚤の市(フリーマーケット)が改めて注目を集めている理由として、以下が挙げられます。
- 環境問題への意識の高まりからリユース・アップサイクルに光が当たっている
- 消費スタイルがファスト消費からスローライフへ移行しつつある
- 単なる商品の価値ではなく、作り手や物語といった背景を重視してモノを選ぶ人が増えている
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
1. 環境問題で高まるリユース・アップサイクルへの注目
気候変動や廃棄物の増加など環境問題への関心が高まる中、使えるものを捨てずに繰り返し使う「リユース」や、不要品に新たな価値を与える「アップサイクル」に注目が集まっています。
製品の寿命を延ばし、ごみの発生を減らせるのがリユースの大きな利点です。さらに、リユースは製品の製造や廃棄に伴うCO2排出削減にも繋がり、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)への貢献が期待できます。
こうした環境メリットから、近年は蚤の市のようなリユースの場にもスポットが当たっています。実際、環境省の「ゼロカーボンアクション30」でも、不要品を処分する際にはフリーマーケットで売るなど、再利用の選択肢を持つよう呼びかけられています。政府もリユース市場の拡大を図っており、ごみ削減や循環型社会の実現に向けた重要な政策と位置付けているのです。
2. ファスト消費からスローライフへのシフト
大量生産・大量消費による使い捨ての文化への反省から、モノを長く大切に使うスローライフ志向が広がっています。
ファストファッションに代表されるような安価で大量の消費スタイルでは、廃棄物や環境負荷の増大が問題となりました。その反動で、必要なものを必要な分だけ購入し、愛着を持って長く使うライフスタイルへの転換が進んでいます。
「使い捨て」文化から循環型のライフスタイルへ移行する中で、モノを長く使い続けることはSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも繋がる重要な変化だとされています。国の環境白書でも持続可能な生産と消費への移行が強調されており、リユースの推進は大量消費型社会から循環経済へ脱却するための柱と位置づけられているのです。
蚤の市でお気に入りの古着やアンティーク雑貨を時間をかけて探すことは、効率優先のショッピングとは対照的に、スローで豊かな消費体験として支持されているのでしょう。
3. 作り手や物語のあるモノが選ばれる背景
近頃は、モノそのものの性能やブランドだけでなく、その背後にあるストーリーや作り手の思いに価値を感じて商品を選ぶ消費者が増えています。特に若い世代(Z世代)は「モノ」よりも「物語」や「体験」を求める傾向が強まっており、商品の背景にある物語やブランドの由来まで含めて価値を判断している人が多いようです。
例えば「この製品を作った職人さんが魅力的だ」「かつてこんな人に愛用されていた品だ」といったエピソードがあれば、商品自体の魅力が何倍にも膨らむと指摘されています。大量生産された画一的な新品にはない一点物の味わいこそ、蚤の市で手に入る古道具やヴィンテージ品の醍醐味です。
蚤の市では出店者から直接品物の来歴を聞いたり、作り手のこだわりを感じたりできるため、そうした物語性を重視する人々にとって大きな魅力となっています。実用品であると同時に物語を持ったアイテムを取り入れることで、自分の生活にも豊かな意味づけが生まれるのです。
蚤の市で出会える“サステナブル”なモノは?
蚤の市では、さまざまな「サステナブル」なモノとの出会いが待っています。古いモノを捨てずに次の持ち主へ受け渡す蚤の市の文化は、まさに循環型社会の実践の場です。
実際、ヨーロッパではアンティークマーケットや蚤の市で、使わなくなった物を次の人に譲る文化が根付いています。モノを再利用すれば、新たに製品を製造・廃棄する際の資源消費やCO₂排出を削減できるため、環境にも優しいのです。
ここでは、実際に蚤の市で出会うことのできるサステナブルなモノの例を見ていきましょう。
1. 古道具・アンティーク家具
丈夫で長く使える昔の家具や道具は、使い捨てにしない“持続可能”な暮らしの代表格です。環境省の調査によると、不用になった家具の61%が自宅に眠ったままで、リユース(再使用)されたのは16%に過ぎないとのこと。
蚤の市で古家具が次の持ち主に渡れば、廃棄物を減らし、その分新品の製造による環境負荷も減らせます。アンティーク家具は修理を重ねながら何百年にもわたって使用でき、長寿命化を実現するサステナブルな家具の象徴とも言われます。
2. 古着・ヴィンテージファッション
蚤の市で見つけるヴィンテージ古着は、単に「リユース」というだけでなく、ファッションの楽しみ方そのものを変える存在です。ヴィンテージ古着は「すでに存在する資源を再利用する」という意味で、製造時の環境負荷を新たに生じさせません。また、流行に左右されないデザインや長持ちする素材が多く、一着を長く愛用するというサステナブルな価値観を体現しています。
さらに、蚤の市では出店者や前の持ち主から服のストーリーを聞けることも多く、「服そのものの背景や思い出」まで楽しむことができるのが魅力。こうした一期一会の出会いは、画一的な大量生産の服では得られない、特別な愛着や個性を育んでくれます。人と被らないファッションを楽しむことにも繋がるアクションですね。
3. クラフト・手仕事品
手作りのクラフト作品や伝統の手仕事品も蚤の市の魅力です。大量生産品とは異なり、自然素材を活かした手工芸品や、廃材をアップサイクルした雑貨など環境に配慮したアイテムも少なくありません。
丁寧に作られた一点もののクラフトを選ぶことは、「長く大切に使える良い物を買う」というサステナブルな消費に繋がります。
4. レコードや紙もの
レトロなアナログレコードや、古本・古雑誌、ポスター、ポストカードといった紙ものとの出会いも蚤の市ならではです。デジタル全盛の時代にあえて中古のレコードで音楽を楽しんだり、昭和レトロな紙ものを集めたりすることは、モノを大切に循環させる豊かなライフスタイルと言えるでしょう。
蚤の市は、そうした眠っている本やレコードに新たな価値を与え、再び人々に楽しまれる場にもなっています。
また最近では、蚤の市自体が地域のお祭りのように進化しつつあります。会場にキッチンカー(移動販売車)が集結して地元グルメやスイーツが楽しめたり、音楽ライブやワークショップなど体験型のイベントが同時開催されたりする蚤の市も登場しています。
都内のおすすめ蚤の市
東京では、四季を通じて大小様々な蚤の市が開催されています。由緒ある伝統市から、大規模なアンティークフェス、毎週通える定期市まで、その種類は実に多彩です。
ここでは都内で開催されている注目の蚤の市をいくつかご紹介します。開催日やアクセス情報をチェックして、掘り出し物探しに出かけてみましょう。
東京シティ・フリーマーケット(大井競馬場)

「都内最大級のフリマ」の名にふさわしい規模を誇る青空フリーマーケット。大井競馬場の広大な駐車場に毎回約500ブース、最大600店もの出店者が集まり、新品から中古品、手作り品まで幅広い商品が並びます。基本的に毎週開催されており、掘り出し物探しや不用品の売買を気軽に楽しめる場として人気です。
「Tokyo City Flea Market」の公式SNSも運用されており、開催有無の最新情報は公式サイトやSNSで確認できます。入場料は無料で、キッチンカーによるフードコーナーも充実しているため、家族連れや観光客も含め多くの人で賑わいます。
- 住所:東京都品川区勝島2-1-2 大井競馬場 第一駐車場
- アクセス:京急線「立会川」駅より徒歩10分、東京モノレール「大井競馬場前」駅より徒歩3分
- 開催日:基本的に毎週土曜日・日曜日に定期開催(荒天時や競馬開催日等は中止あり)
- 開催時間:9:00~14:30
- 公式サイト:https://trx.jp
赤坂蚤の市 in ARK HILLS

アンティーク家具・雑貨、古着、ジュエリー、クラフト作品、フードなど多彩なジャンルが揃うマーケットです。ヨーロッパの蚤の市を彷彿とさせるお洒落な雰囲気で、音楽ライブやキッチンカーのグルメも楽しめ、都会にいながら宝探し気分を満喫できます。
2014年に始まってから、現在は月1回開催の人気イベントとして定着しており、特別回では120店以上の出店者が集まる規模の大きさも特徴です。
- 会場住所:東京都港区赤坂1-12-32 東京・赤坂にあるアークヒルズ内「アーク・カラヤン広場」
- アクセス:東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」(3番出口)および銀座線「溜池山王駅」(13番出口)から徒歩約1分、日比谷線「神谷町駅」から徒歩約8分、千代田線「赤坂駅」から徒歩約9分
- 開催日:基本的に毎月第4日曜日(※12月のみ第2日曜日)に定期開催
- 公式サイト:https://www.arkhills.com/akasaka-nominoichi/
Vintage & Artisan Market

名前の通り、Vintage(古着や古雑貨)とArtisan(芸術家、職人)が一堂に会するマーケット。国内外から集められたこだわりの古着や、小物、インテリア、ヴィンテージアクセサリー、映画系ポスターが集まります。また、作家によるハンドメイドアイテムにも注目です。
公園の開放的な雰囲気の中、ここでしか出会えない素敵な出会いを求めに訪れてみては。
- 会場住所:東京都渋谷区神南1-7-3 渋谷区立北谷公園
- アクセス:各線「渋谷駅」から徒歩約8分
- 開催日:不定期(月1〜2回開催/Instagram等で告知)
- 公式サイト:https://vintage-artisan-market.com/
渋谷蚤の市

和洋骨董から古道具、家具、アクセサリーまで、個性豊かな約100店舗が出店。外国からのお客さんも多く、本場の蚤の市の雰囲気に近い雰囲気を味わいながら、ショッピングを楽しめます。
活気があるなかでぜひ、心ときめく一品を探してみませんか。
- 会場住所:東京都渋谷区南平台町16-17 住友不動産渋谷ガーデンタワー(ベルサール渋谷ガーデン)屋外広場
- アクセス:「渋谷駅」から徒歩10分、京王井の頭線「神泉」駅から徒歩5分、東急バス「道玄坂上バス停」からすぐ
- 開催日:毎月第2日曜、第4日曜に定期開催
- 公式サイト:https://tokyo-romantic.com/
蚤の市からサステナブルな暮らしを始めよう

使い捨てではなく、長く愛されてきたモノを選ぶことは、サステナブルな暮らしへの小さな一歩です。蚤の市には、ただ古いだけではない、時を経てこそ輝くストーリーや個性が詰まっています。
週末の予定が空いたら、気軽な宝探し感覚で蚤の市に出かけてみませんか?きっと、日常に新しい彩りと豊かさをくれる素敵な出会いが待っています。


