毎年9月21日は国連が定めた国際平和デー。
世界では平和な世界を目指すため、敵対行為停止の呼びかけや記念行事が行われています。
今回は、国際平和デーに観たい、ドキュメンタリー作品をご紹介。リアルな映像を通して平和と戦争に関して考える機会を作ってみませんか。
平和って何だろう?
私たちは「戦争」をどのくらい身近に感じるでしょうか。
日本に住んでいると戦争と関わることのない生活を送っており、報道で目にする戦争は自身とは別の世界の出来事と思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、戦争や紛争は現実に今この時も起きており、現在戦争が起こっていない地域もその可能性はゼロではありません。
例えばRECNAによると2023年6月現在、地球上に存在する核弾頭の総数は推定12,520発にのぼります。
80年代のピーク時と比較すると、核弾頭の総数は減少しているものの、ロシアがウクライナ侵攻で核兵器使用をちらつかせるなど、核兵器廃絶への目処は一向に立っておらず、平和への道のりはまだまだ遠いと言えます。
21世紀の今、なぜ人々は争うことを止めないのでしょうか。そして、SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」にも掲げられているような平和な世界は実現可能なのでしょうか。
今年の9月は、映像から戦争と平和を考えてみましょう。
平和・戦争を考える映画3選
コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方~
ラテンアメリカ国家であるコスタリカは、軍隊を廃止した平和国家として有名なことを知っていますか?
1948年軍隊の廃止を宣言したコスタリカは、大国アメリカや周囲の独裁国家の圧力にさらされながら今日までどのように歩みを進めてきたのでしょうか。
本作は、軍隊廃止を宣言したホセ・フィゲーレス・フェレールや、ノーベル平和賞を受賞したオスカル・アリアス・サンチェス、その他専門家のインタビューや、軍隊廃止によりゼロとなった軍事予算を教育、医療、環境保護などに当てて国民の幸福度を最大化する道を歩んだ軌跡が映し出されています。
「地球幸福度指数(HPI)」の世界ランキングで1位を獲得しているコスタリカが、「積極的平和国家」と評される理由を知ることができる作品です。
憲法9条改正や、隣国との関係など、日本の平和について、コスタリカの事例を知ることで今までとは違う視点を養ってみませんか。
“敵”の子どもたち
イスラム武装勢力ISIS(イスラム国)は、日本や欧米の報道では外国人ジャーナリストの処刑場面など、その残虐非道な面で知られ「完全悪で撲滅すべき組織」と定義され報道されています。
作品では、ISISに引き裂かれたスウェーデンのある家族を中心に彼らのストーリーを映し出します。
スウェーデンのミュージシャン、パトリシオ・ガルヴェスの娘アマンダはスウェーデンの悪名高きISISメンバーと結婚し、シリアへ渡りますが2019年のISIS掃討作戦によりアマンダ夫婦はあの世の人となりました。
パトリシオは、アマンダの子ども、自信の孫にあたる1歳から8歳の7人の子どもたちが生き延びていることを知り、彼は単独でシリアへ渡航を決意しますが、救出は難航を極めます。
親がISIS参加者でEU圏をルーツとする子どもたちは、難民キャンプでも、親族が待つ国でも、市民の反感を買う、切り捨てられた存在です。
今もなお難民キャンプには、紛争の中で、複雑な状況下に生まれた無実の子どもたちが行き場をなくしているのです。
シャドー・ディール 武器ビジネスの闇
ストックホルム国際平和研究所によると、2021年の世界の軍事関連企業大手100社による武器および軍事サービスの売上高は前年比1.9%増の5,920億ドル(約80兆円)にのぼります。
武器ビジネスは巨額の金銭が動く「儲かるビジネス」であり、今日もなお戦争がなくなることのない理由の一つと言えます。
作中では、軍事会社、武器商人など関係者のコメントを通じ、政府の最高幹部を巻き込み、外交政策を動かすカギとなっている闇のビジネスに迫っていきます。
戦争があるから武器業界もなくならない、武器があるから争いもなくならない。
主要メディアでは多く語られることのない、矛盾に満ちた国際武器ビジネスの現場を知ってみませんか。
出典:
国際連合広報センター https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/1815/
NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230721/k10014137841000.html