ガザ地域におけるイスラエル軍の侵攻が始まってまもなく1年が経とうとしています。ウクライナ、ミャンマーでの紛争などはいまだ終わりが見えず、アフリカなどの地域で鉱物や資源を巡る戦いも起こっているなど、世界中で勃発する紛争により多くの人々が傷つき、難民となっています。
平和への道筋が見えない中、今年も9月21日の国際平和デーに合わせて、各国では様々なイベントが開催されます。
鎌倉では国際平和デーに合わせて、多様な文化を持つ服をエシカルモデル達がまとうファッションショーが開催されました。差別を乗り越えて他人を受け入れることで平和に繋げようという試みです。
国際平和デーとは?
国際平和デーは、非暴力と停戦の日として、国際連合で定められた日のこと。毎年9月21日とされており、世界中で平和に向けた様々な催しが行われます。世界平和の日やピースデー、世界平和の日とも呼ばれています。
インターセクショナリティをテーマに多様な服が登場したファッションショー
9月16日に鎌倉の古民家で開催されたのは、紛争・貧困問題・文化継承など、様々なバックグラウンドを持った大陸・地域の服をまとってのファッションショーとトークショーです。
テーマは、「インターセクショナリティ」。インターセクショナリティとは、人種、性別、階級、性的指向、性自認など、複数の個人のアイデンティティの組み合わせから受ける様々な差別の現状に目を向け、差別を受けがちなマイノリティの中でもさらに焦点が当たりづらく、差別を受けている人たちを可視化するための概念です。
ファッションショーでは、戦争と平和を表現したシエラレオネ(内戦終結後も、貧困や疫病などで世界でも平均寿命が短い国のひとつ)の服、フェアトレードや動物との共生を訴えるペルーとグアテマラの服、サーキュラーエコノミーを訴える欧州の服、格差問題を訴えるアジアの服、文化継承をテーマとしている「みほとけ作務衣店」の鎌倉の服、アフリカの難民の方が作った服などが登場しました。
「平和は目の前の課題を解決することから始まる」
イベントを主催したえしかる屋の稲葉哲治さんは、世界が一向に平和に向かわないことから、国際平和デーは失敗しているのではないかと語った上で、今回の開催の目的として、漠然と平和を謳うのではなく、目の前の課題を一つずつ解決し、前に進むことと話します。
その解決方法のひとつとして、マイノリティの中でも差別の対象になりやすい人々にスポットを当てたインターセクショナリティを伝え、足元の課題から解決していくことの重要性を語りました。
国際平和デーに私たちが考えなくてはいけないことは
歴史的背景や政治的な問題、宗教などが複雑に絡み合う中で、世界中の平和を実現することは困難に感じることもあるかもしれません。
しかし、平和を抽象的にとらえるのではなく、私たちの身の回りに存在するマイノリティへの差別や偏見をひとつずつ解消し、他人を受け入れようとする気持ちを持つことが平和への第一歩となるでしょう。今回のインターセクショナリティをテーマとしたファッションショーは、そのような身近な平和をつくっていくことが世界の平和へ繋がっていくことを体感できるイベントとなりました。