ファッションは、私たちの生活に彩りを添えてくれるかけがえのないものです。しかし近年、ファストファッション等の普及により、服選びの自由度が向上した一方で、低価格で大量生産が行われ、大量消費が生じています。その結果、低賃金労働による人権侵害や、環境への負荷が指摘されてきました。
私たちはどのようにファッションを楽しむべきなのでしょうか?
今回は、エシカルファッションの選び方とサステナブル、エシカルなブランドをピックアップしました。
エシカルファッションとは?

近年注目を集めているエシカルファッションとは、生産の段階から、着用、廃棄に至るまで持続可能であるファッションの在り方です。地球環境にとってや生産者に負担のかからない、ファッションの楽しみ方が求められています。
エシカルファッションを選択するという私たち一人ひとりの小さな行動の積み重ねによって、社会をより良い未来へと繋げていくことができるのです。
エシカルファッションの選び方
それでは、エシカルファッションを選ぶときには、どのようなことに注目すればよいのでしょうか。エシカルファッションには、以下のような要素が挙げられます。
地球環境に関すること
・製造から廃棄までのプロセスで、環境に対する影響が最小限に抑えられている
・環境にやさしいオーガニック素材や、リサイクル・アップサイクルされた素材を使用している
・動物を傷つけることなく製造されている
生産者や地域に関すること
・製造者の健全な労働環境が確保されている
・原材料の調達から生産、消費、廃棄まで追跡可能である
・伝統技術を用いている
・フェアトレード素材を使用している
・多様性を意識している
商品を購入する際には、その服がどのように作られているか、使われている素材や生産の背景、生産者の理念に注目することが大切です。
生産に関する情報を開示しているブランドを選択したり、情報が見つけられない場合は問い合わせたりするのも一つの方法です。
エシカルファッションブランド21選
ここからはレディース・メンズのエシカルファッションを展開している21ブランドをご紹介します。
【ユニセックス】アトリエふわり

「地球にも人にも優しい服は土に還る服」を掲げるブランド。色とりどりのリネンを中心に天然素材を使い洋服をつくっています。
天然素材の洋服を身に纏うことで心地良さを感じて、幸せになる手伝いをしています。
公式サイト:https://atelier-fuwari.com/
【メンズ・レディース】シサム工房

京都で創業したフェアトレードブランド。
「お買いものの力で思いやりに満ちた社会をつくる担い手となる」というビジョンのもと、現地の生産者と信頼関係を築き、2021年には本格的にメンズ服の販売を開始しました。
「アパレルストア ゼロ・ウェイスト認証」を取得し、ロングライフプロジェクト(1着の服を長く生かすための取り組み)など、さまざまな活動をおこなっています。
※アパレルストア ゼロ・ウェイスト認証:一般社団法人Zero Waste Japanがゼロ・ウェイストを実践している様々な業種の事業者向けに、その取り組みをブランド価値にするべく設けた認証。アパレルストア以外に飲食店やコワーキング・シェアオフィスに向けた認証項目もある。
公式サイト:https://sisam.jp/
【レディース】ピープルツリー

生産者との公正な取引を行う、フェアトレードファッションの先駆的ブランド。
世界フェアトレード連盟(WFTO)に加盟する生産者団体とものづくりをおこなう中で、オーガニックコットンを採用したり、環境へ配慮した排水処理をおこなったりするなど、人と環境に優しい生産を実現しています。衣料品をはじめ、雑貨や食品も販売しています。
公式サイト:https://peopletree.co.jp/
【メンズ・レディース】africl

アフリカの国、ベナンのバティック(ろうけつ染め)生地と日本の職人技を掛け合わせ、唯一無二のプロダクトを生み出すブランドです。
「海を越えた豊かさの循環」をビジョンに掲げ、世界各地の作り手にも、日本の使い手にも笑顔が増えることを目指したものづくりをおこなっています。代表的な商品である「はんぶんこシャツ」とスカートの他にも、雑貨やアート作品にも力を入れています。
月に一度アトリエオープンデーを実施。実際の商品の他、永く使え、世界の伝統布に触れられるアイテムもセレクトして扱っており、モノと永く寄り添う暮らしを提案しています。
公式サイト:https://www.africl.com/
【メンズ・レディース】armi

国産の白Tシャツブランド。「“考える服” identi-T」をテーマに掲げ、作り手・使い手・環境の三方良しの物作りを目指しています。
人気アイテム「残布TEE」は、生産過程で生じてしまう残布を再利用したもの。
2023年からは原綿の栽培もスタート。役目を終えた自社商品を回収し、土に還す取り組みも行っています。
公式サイト:https://armi.tokyo/
【メンズ・レディース】ARCH&LINE

Bコープ認証を取得した、大人から子どもまでユニセックスで楽しめるアパレルブランド。子ども用のアイテムでは、サイト上で「男児用」や「女児用」という表記を設けずに提案しています。また、大人と子どもで一緒のデザインの洋服を提案しているのも特徴です。
2012年のブランド創業当初から、使用する原材料の選定もこだわっており、これまでオーガニックコットンやリネン、リサイクル素材、カポックなどを採用してきました。2030年までに環境負荷の少ない素材への移行を完了することを目標に掲げています。
ブランドの情報以外にエシカル・サステナブルな活動や情報を発信しているSNSにも注目です。
公式サイト:https://www.arch-and-line.com/
【メンズ・レディース】CLOUDY

アフリカの社会課題をファッションの力で解決することを目指すアパレルブランドです。
アフリカ・ガーナに自社工場を設立・運営し、自社のクリエイターによるオリジナルテキスタイルを使用したアパレルや雑貨を展開。収益の一部は、教育・雇用・健康を軸とした現地支援活動に寄付されます。
持続可能なソーシャルビジネスモデルの構築を目指しています。
公式サイト:https://cloudy-tokyo.com/
【レディース】coxco

一部の商品を購入すると、そのアイテムがどういった素材からつくられているかなどの背景にあるストーリーが記された新聞が同封されます。
また、フィリピンで服飾技能訓練校兼工場「coxco Lab」を運営し、現地の若者や母親に教育と雇用機会を創出。一部の商品はcoxco Labで作られたものです。
公式サイト:https://coxco-official.com/
【メンズ・レディース】Enter the E
「地球と人が洋服を楽しめる社会の両立」を実現するため、日本未上陸のエシカルファッションブランドをセレクトして直輸入し、販売しています。
廃棄予定の生地を活用したワンピースや、ユーザーから回収したデニムをリメイクしたオリジナルアイテムも展開。
バングラデシュで起こったラナ・プラザ崩落事故から10年が経った2023年には、オリジナルブランドとしてベーシックなアイテムを提案する「TEN」をローンチしました。
着心地や耐久性、シルエット、着古した後の循環スキームまで10年先の未来を考えて作られています。
公式サイト:https://store.enterthee.jp
【メンズ・レディース】ITONAMI

人・モノ・人のあわい(間)を育むデニムブランド。「Live with will.」をコンセプトに、工場と直接連携したオリジナル製品を企画販売しています。
また、コットンを育てたり、不要なデニムを集めて再生したりと、みんなが服作りに関われるプロジェクトを実施しています。
公式サイト:https://ito-nami.com/
【メンズ・レディース】KAPOK KNOT

インドネシアで自生する植物の木の実由来のダウン素材「カポック」を使用したアイテムを展開。
カポックは、木の実であるため木を伐採する必要がなく、環境に優しいのが特徴です。また、吸湿発熱機能を持っていることから「木に実るダウン」とも呼ばれ、軽くて温かいのが魅力。
ブランドでは、消費者、生産者、環境の3つの視点に立ったものづくりを行っています。
公式サイト:https://kapok-knot.com/
【メンズ・レディース】land down under

岡山県倉敷市を拠点とするデニムブランドです。
回収したデニムを再繊維化した商品開発、リサイクルのしやすい設計と素材選びなど、長く使い続けられるデザインとクオリティを提供しています。
地球環境に配慮したデニムブランドとして注目度の高い当ブランドは現在、パターンオーダーのラインをものづくりの中心に据えています。
公式サイト:https://landdownunder.jp/
【メンズ・レディース】NEUTRALWORKS.

ライフスタイルの中心にスポーツがある人たちのココロとカラダをニュートラルな状態に整える、コンディショニングブランド。運動や仕事、休息など、さまざまなシーンで活躍するウェアを展開しています。
シンプルかつ洗練されたデザインで、機能性にも優れているのが特徴です。
環境に配慮したエコ素材の使用や、無駄のない製造工程の推進など、サステナビリティに積極的に取り組んでいます。
公式サイト:https://www.goldwin.co.jp/neutralworks/brand/
【メンズ・レディース】Patagonia
高品質のアウトドアウェアやアイテムを展開し、世界中で支持されるPatagonia。
創業当時から環境保護団体への寄付を続け、コットン製品を100%オーガニックコットンに切り替え、WORN WEAR(中古のパタゴニア製品の修理・再販を促進する事業)を立ち上げるなど、環境に配慮した取り組みをおこなってきました。
2012年にはカリフォルニア州初のBcorp企業に認定されました。
公式サイト:https://www.patagonia.jp/home/
【レディース】PETIT BATEAU

プチバトーはベビーから大人まで幅広い年代に向けた商品を展開するフランス発のブランドです。
老若男女問わず愛される、シンプルで上品なデザインが特徴。品質にもこだわっており、丈夫で長く着られる服作りをしています。
2025年春夏コレクションでは92%の商品にサステナブルな素材を使用しています。
公式サイト:https://www.petit-bateau.co.jp/
【レディース】renacnatta

renacnattaは「文化を纏う」をコンセプトにイタリアと日本の素材を組み合わせたアイテムを展開。
「使われなくなった」や「作られなくなった」など、「○○れなくなった」という言葉がブランド名の由来になっています。
メインアイテムは北イタリアで作られデッドストックになっている高級シルクと日本の着物の反物を使用した巻きスカート。日本の伝統技術を活かした商品もプロデュースしています。
公式サイト:https://www.renacnatta.com/
【メンズ・レディース】SOLIT!

あらゆる個性を持つ人々が、ファッションを楽しめるように福祉の観点から立ち上げたブランド。
誰もが自分らしく生きられる世界を目指し、サステナビリティやダイバーシティーにも力を入れています。
ボタンの代わりにマグネットを採用したシャツや、腕や肩の動きに制限がある人でも簡単に袖を通せる設計のジャケットなど、みんなに優しいデザインが特徴です。
公式サイト: https://solit-japan.com/
【メンズ・レディース】SON UJI

沖縄を拠点とするSON UJIは、天然繊維のみを使用した服のみを生産しています。
藍染や墨染の染料での表現方法を用いた、シンプルで洗練されたデザインが特徴です。メンズ、レディース、ベビー服を販売しており、仕立てやお直しもおこなっています。
公式サイト:https://www.sonuji.co/
【レディース】Syncs. Earth

ファッションデザイナー澤柳直志氏が立ち上げたSyncs.earthは、服を土に還すまでがデザインされたブランド。
「循環購入」と「通常購入」の2つの購入方法があり、「循環購入」は役目を終えた後に返送すると、ブランド側でその服を小さく切り、畑に埋めて土へ還します。
100%土に還る天然繊維(オーガニックコットンや和紙繊維)を使用した服作りをしています。
公式サイト:https://syncs-earth.com/
【メンズ・レディース】Tamakiniine

兵庫県西脇市を拠点に西脇伝統の播州織で、ものづくりをするブランドです。
拠点となる「tamaki niime mura」には、ものづくりを一貫して行うLabを設けており、Labの一般公開もおこなっています。
2024年にオープンした鎌倉のショップでは、綿花から自社で育てた「純粋な国産作品」が手に入ります。
公式サイト:https://www.niime.jp/
【メンズ・レディース】UpcycleLino BASIC

「SLOW MADE IN JAPAN」をコンセプトに、リネンをメインにした天然素材でトラッドなテイストの服を展開するnest Robeから誕生したブランドです。
自社工場で発生する裁断くずで新たな糸を作り、生地へと生まれ変わらせる、循環するモノづくりに取り組んでいます。
公式サイト:https://upcyclelino.com/
生産背景を知って、エシカルファッションを選ぼう
多様なデザイン、価格、素材の選択肢がある衣服。私たちの選択によって、自然環境や、服作りに関わる人への影響が変わってきます。
購入時にはまず、本当に必要かどうかを考え、製品の素材や製造方法、取り組みなど、服がつくられるまでの情報を得ることが大切です。