近年、新年のあいさつは従来のスタイルから変化を遂げています。紙の年賀状からデジタルのあいさつへと移行する人が増え、年賀状じまいを選択する人も増加傾向です。
この記事では、年賀状の現状や歴史、そして現代に合った新しいあいさつ方法を紹介しつつ、適切な年賀状じまいの例文もご紹介します。
年賀状の現状
年賀状は正月の風物詩の一つですが、時代の変化とともに、その風習は薄れつつあります。
総務省の調査によると、年賀状の発行枚数はピークの2003年には約44億枚に達しましたが、2020年代に入ると半分以下に減少。さらに2024年10月に郵便はがきの料金が63円から85円に引き上げられたことから、年賀状じまいがさらに加速することが予想されます。
また、ビジネスでも年賀状文化は徐々に衰退しています。配送コストや環境面を考慮し、電子メールでの新年のあいさつを推奨する傾向が強くなっており、代わりにデジタルメッセージや会社の公式サイトを使ったあいさつが主流になりつつあります。
年賀状の歴史
年賀状の歴史は長く、古くは奈良時代や平安時代の「年始のあいさつ」にさかのぼります(※諸説あり)。当時は直接訪問してあいさつを交わすのが一般的でしたが、江戸時代に交通手段が発展すると、遠方の知人に手紙を通じて新年のあいさつを送る習慣が広がりました。
明治時代に郵便制度が確立されると、現代に近い形の年賀状が普及し始め、昭和時代には「お年玉付き年賀はがき」が登場し、年賀状文化はさらに広まります。これにより家族や友人、ビジネスパートナーにも年賀状を送ることが一般的となり、日本全体で年賀状が一大行事となりました。
しかし21世紀に入り、インターネットが普及し、SNSといった新しいコミュニケーション手段が登場すると、年賀状の需要は減少傾向に。
個人情報保護法の導入により、住所を極力教え合わないという傾向が強くなりたことも減少に拍車をかけています。企業においては、年賀状を通じて顧客情報が流出することを避ける意味合いもあるようです。
現代のライフスタイルに合わせた新年のあいさつ
現代の新年のあいさつは、年賀状に限らずさまざまな方法があります。ここからは、現代風の新年のあいさつの方法をご紹介します。
1. SNSやメール
デジタル時代においては、SNSやメールでの新年のあいさつが一般的です。LINEやFacebook、Instagramなどのプラットフォームを使えば、一斉に友人や家族、ビジネスパートナーにメッセージを送ることができます。手間を大幅に削減しながら、相手にスピーディーにメッセージを届けられるのです。
2. 動画メッセージ
動画メッセージを送るのもユニークな方法です。スマートフォンやパソコンを使ってオリジナリティのある動画を作成し、個人的なメッセージを伝えることができます。特に家族や親しい友人には、文字だけよりも温かみのあるあいさつとして喜ばれることでしょう。
3. 公式サイトやブログ
企業の新年あいさつとしては、公式サイトやブログでのあいさつが増えています。年始に特別なメッセージやビジョンを掲載することで、関係者に向けたフォーマルな新年のあいさつとして機能します。
4. GIFやアニメーション付きのデジタルカード
画像やアニメーションを活用したデジタルカードは、より動きや華やかさが加わり、メッセージが魅力的に伝わります。専用のアプリやWebサービスで簡単に作成でき、LINEやSNS、メールで送れるため、手軽に気持ちを届けられます。特に、アニメーションのあるGIFは、短いメッセージやお祝いの気持ちを明るく表現するのに適しています。
5.ビデオ通話
家族や友人と年始にオンラインで集まる方法も人気です。離れている人とも直接顔を見ながら新年のあいさつができるビデオ通話。ビジネスの場でも、新年の始業日にオンラインミーティングでのあいさつを行うと、メンバー同士の連帯感が高まり、気持ち良く1年のスタートを切れます。
年賀状じまいの例文
年賀状じまいを行う際には、相手に不快感を与えずに伝えることが大切です。ここでは、いくつかの年賀状じまいの例文を紹介します。
例文1:シンプルな文体
長い間、年賀状のやり取りをさせていただき、ありがとうございました。誠に勝手ながら、今年をもちまして年賀状の送付を控えさせていただきます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
例文2:感謝の気持ちを込めた文体
これまで毎年、温かい年賀状をいただき、心より感謝しております。勝手ながら、来年以降は年賀状でのごあいさつを控えさせていただきたく存じます。引き続き、変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。
例文3:メールやSNSに移行する旨を伝える文体
長い間、年賀状でのごあいさつを続けさせていただきましたが、来年以降はメールやSNSでごあいさつさせていただきたく存じます。どうぞご理解のほどよろしくお願いいたします。
例文4:近年の社会背景の要素を入れた文体
この度、時代の変化や日常のデジタル化を踏まえ、誠に勝手ながら本年をもって年賀状でのごあいさつに一区切りさせていただきたく存じます。これまでのご厚情に心から感謝申し上げます。今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げ、メールやSNSでのごあいさつをさせていただければ幸いです。
年賀状じまいのポイント
年賀状じまいの文面を作成する際は、これまでの厚情に対する感謝の気持ちを丁寧に伝えることが大切です。長年にわたり続けてきた年賀状のやり取りに感謝しつつ、今後は「新しい形でごあいさつさせていただく」という前向きなメッセージを添えましょう。
「控えさせていただく」「一区切りとさせていただく」といった柔らかな表現を使うことを意識すること、そして相手への気遣いを忘れず、突然のお知らせに対するお詫びや配慮の言葉を加えると、気持ちが伝わりやすくなります。
メールやSNSなど新しいあいさつ方法に触れ、「これからも繋がりたい」という思いを表現するのもおすすめです。問題なければ、SNSのアカウントや二次元バーコードを伝えると、よりスムーズに関係を続けられます。
年賀状じまいは、ただ「繋がりの終了」を伝えるものではありません。今後の関係を大切にするための一歩として、相手に失礼のない言葉を選ぶことが大切です。
相手への気遣いを忘れず、新年のあいさつの方法を検討しよう
日本の正月の風物詩である年賀状文化は、デジタルツールの発展やエコ意識の高まりを背景に、取り入れない選択する人が増えています。年賀状を出し続けるかやめるかは個人の選択ですが、年賀状じまいをする際には、必ずその旨を適切な言葉で伝えたいものです。
本記事の内容を参考に、相手への気遣いを忘れずに、自身にとって最適な新年のあいさつを考えてみてはいかがでしょうか。