サステナブル・エシカル通が選ぶ!2022年のBEST BUY プロダクト編

エシカル・サステナブルな界隈で様々な活動をしている筆者が、「エシカルな買い物」というテーマで2022年のBest Buyをご紹介。1年を通してたくさんの商品に触れた中で、購入して本当に良かったものをセレクトしました。
ファッション編とプロダクト編に分け2回にわたりお送りします。今回はプロダクト編です!

ファッション編はこちら

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HIKERの蚊取り線香ホルダー(Mosquito Coil Holder)とお香立て(Incense Holder)

友人の結婚祝の品として送ったアイテム。埼玉県草加市で誕生したLEATHER TOWN SOKA PROJECTという皮革職人集団とクリエイティブチームによるプロジェクトから生まれたブランドがHIKERです。草加の一般的なイメージといえば草加せんべいでしょう。正直、埼玉県民の筆者でも少し前までそれくらいしか知りませんでした。

実は草加市はレザータウンと自称できるほど、皮革製品を生産する環境が揃っています。
牛もいれば、皮(革)屋も、タンナーも、メーカーもいて、違う土地に移動せずともものづくりができるのです。目も手も届く範囲で生産しているので、物流による環境負荷が低く、地域で受け継がれてきたクラフツマンシップ、ローカルの魅力を感じる要素がつまっています。長く使えば使うほどに、味が出て使用する人の手に馴染んでいくのも革製品ならではです。

HIKER公式HP https://hiker.jp/

kiji aritaの皿と湯飲み

佐賀県の磁器、有田焼の食器です。あまり見かけない色合いをしていますよね。
kiji aritaは、デッドストックとして倉庫に保管されていた色や絵を施す前の素焼きの状態の“生地”に、新たに釉薬で色をつけることで再解釈し、世に出すプロジェクトです。

雑貨と同じく、お店に卸す際にはロット生産される焼き物。機械での生産であれば、決まった納品数を作れば良いかもしれませんが、焼き物はそうはいきません。生地に絵や色をつけ、いざ焼いてみたら失敗してしまうということが起こります。

そのため予備として生地が用意されますが、ミスなく完成したらそれらは余剰となってしまうのです。通常そのような余剰在庫は、溜まりすぎたら産業廃棄物として処分されてしまいます。洋服と同じく時代によってデザインが異なっていることも、それが活用されてこなかった要因のひとつです。

kiji aritaではその時代ごとのデザインも感じやすいようにあえて一色で統一。青のような緑のような色は、佐賀県にある湖畔の色からインスピレーションを受けたと言います。さらに食器の底や個装箱に生地が作られた年が記してあるのもロマンある素敵な演出です。
自分の生まれ年や思い入れのある年で選ぶも良し、デザインで選ぶも良し、人それぞれ選び方に個性が出そうです。

kiji arita公式インスタグラム https://www.instagram.com/kijiarita/

FERMENSTATIONの洗顔用固形石鹼「奥州サボンNatural」

昨年初めに「B Corp認証」を取得し、年末には「Japan Beauty and Fashion Tech Awards 2022」で、Beauty Tech 大賞を受賞したファーメンステーション。

ファーメンステーションは、オリジナル酵母や麹で発酵・蒸留させて作る「オーガニックライス・エタノール」や、その後に残る蒸留粕の「米もろみ粕」を使用した化粧品を販売する岩手発のブランドです。

最近筆者は洗顔に固形石鹼を使用しており、ファーメンステーションの洗顔用石鹸を買いたいとずっと思っていて、昨年ついに購入しました。泡立ちや洗い上がりも申し分なく、お米の成分だからなのか肌への刺激も少なかった印象です。
昨年は全体的に皮膚が不調だったので、このナチュラルで優しい洗い上がりの固形石鹸に助けられました。洗顔用ですが、身体にも使っています。

このブランドは「循環」というワードがしっくりきます。未利用資源や、規格外食品、残渣なども積極的に有効活用しており、廃棄物が極力出ないような商品開発をしています。
また、他企業とコラボして、企業で出る廃棄物や未利用資源を活用。JRとはリンゴの搾りかすをアップサイクルしたウェットテッシュを、ニチレイとはごはんの残渣をアップサイクルしたウェットテッシュを開発しています。

Fermenstation公式HP https://www.fermenstation.jp/

Any O’clock の米糠×おからクッキー

「米ぬか」と「おから」という、「メイン」ではなく捨てられることも多い副産物の2つの食材を活用したクッキー。野菜や果物でもよく言いますが、捨てる部分にはたくさんの栄養素があります。それは米ぬかもおからも同じです。
Any O’clock の米糠×おからクッキーは、小麦粉を使用していないのでグルテンアレルギーの人にも安心。クッキーは、基本的に素材の味がそのまま感じられます。
一番初めに購入したローズマリー×チーズも風味豊かで、洋酒や紅茶といったドリンクとペアリングしたらより美味しく食べられそうです。

このクッキー、中身もエシカルですが、外身もとてもエシカル。パッケージは、食べ終わった後に再利用できるリサイクルPETを使ったプラコンテナと、おからをアップサイクルした「おからペーパー」。紙パッケージには障がい者アートを使用しています。さらに、売上の一部はNPO団体などに寄付されるようになっています。
1つの商品にいくつものエシカル要素が上手にミックスされている本商品。手土産に使うのもおすすめです。

Any O’clock公式HP https://any-oclock.com/

『NAKED FASHION:サフィア・ミニー』『YUIMA NAKAZATO  Behind the Design:中里唯馬』

少しテイストを変えて、書籍をご紹介します。別の出版社/著者ですが、敢えて一緒に紹介させていただきます。

個人的にこの2冊のセットがエシカルファッションの導入として良いのではないかと考えています。『NAKED FASHION』はフェアトレードショップとして有名なピープルツリーの創始者サフィア・ミニーさんが2012年に出版した書籍です。
一方、『YUIMA NAKAZATO Behind the Design』はオートクチュールファッションデザイナーとしてパリのオートクチュールファッションウィークでコレクション発表をしている中里唯馬さんが2022年に出版しました。

前者は、有名なドキュメンタリー映画「The True Cost」に比べると精神的なショックは少なく、希望も感じられる内容でありながら、エシカルファッションについて深く考えさせられます。

一方、後者はデザイナーがコレクションを製作する際に考えていることや、インスピレーション源など、美しい衣服が生まれる過程を記しています。面白いのが企画監修に日本教育財団という学校法人が入っているということです。サステナビリティや次世代教育に積極的な取り組みをしている彼らしさを感じます。この二冊は、学生や若い世代にとって、これからどうファッションを楽しんでいくかという道しるべになるのではないでしょうか。

『NAKED FASHION』は、筆者も大学生の時に何度も図書館で読み、エシカルファッションに関わる活動をスタートするきっかけになった本ですが、自宅に持っていなかったので『YUIMA NAKAZATO Behind the Design』と一緒に昨年購入しました。

「衣食住」の「衣」であり、興味のあるなしにかかわらず、誰でも必ず接点がある服。衣服のサステナビリティへの意識が高まることで、未来のファッションを取り巻く社会が健やかに、本当の意味で“楽しい”ものになると信じています。

Amazon商品ページ
NAKED FASHION ―ファッションで世界を変える― おしゃれなエコのハローワーク YUIMA NAKAZATO: Behind the Design

木村石鹸のSOMALIバスクリーナー

毎日使用しているSOMALIのお風呂洗い用洗剤。

ここ2~3年ほど愛用しており、昨年も数回詰め替えを取寄せました。これに定着するまでは、一般的なお風呂用洗剤ずっと使用していましたが、ある日お風呂洗いをしていると、突然身体が受け付けなくなってしまいました。
なにかとって替わるものはないかと、様々なナチュラル系のお風呂洗剤を試し、最終的に落ち着いたのがこれです。ほんのり香るオレンジに癒されます。

石鹸洗剤ということもあり、本体の使用量や水の使用量は合成洗剤に比べると多くなります。また、すぐに泡立ち擦る必要のない合成洗剤とは異なり、きちんと擦って泡立ててあげる必要はありますが、天然由来の成分なので自然に還りやすいのです。

洗剤としてとても良いのですが、本体ボトルが少々使い勝手が不便という面はあるので、機能性重視の方には向かないかもしれません。しかし、中身の品質はそれを上回る素晴らしさがあり、何度もリピートしています。

SOMALIを手掛ける木村石鹸工業株式会社はもうすぐ創業100年を迎える大阪の会社。商品の良さはもちろん、時代にあった社風とそれを発信するSNSなども魅力的で、お客さんと丁寧に向き合う姿勢が垣間見え、ファンがたくさんいらっしゃいます。

SOMALI公式HP https://www.kimurasoap.co.jp/somali/

Peppersmith のナチュラルミントタブレット

ミンティアやフリスクなど、コンビニ等で購入できるミントタブレットをよく買うという方は多いと思います。そんなミントタブレットにもエシカルなものがあります。

プラスチックフリーの紙パッケージで、砂糖不使用で甘味料は100%植物由来のキシリトールのみ。そして動物性の材料を使わない、ヴィーガンフレンドリーなミントタブレットです。しっかりミントの味がしながらも、刺激は少なく優しく爽やかな味がします。

これに出会って以来気に入って、都度なくなったら購入し、昨年は何回も購入しました。

Peppersmith公式HP https://shop.peppersmith.jp/

WWD JAPAN10月発売号(衣料品回収について取り上げた号)

少し前から、様々なお店や商業施設に衣料品回収のBOXが設置され、その数も段々と増えてきたように思います。そんな回収に改めて焦点を当てて「その先(回収された後)」のことについて特集したファッション業界紙WWD JAPANのこの号。

洋服の大量生産や大量廃棄が大きな問題になっていますが、私たち消費者の手に渡ったあとは、服の処分方法を見直すことが一人ひとりにできる問題解決へのアクションです。“捨てる”以外の選択肢もたくさんあります。
自分の手元から離れたあとの洋服はどうなっているのだろう?そこにも目を向けるきっかけになるこの特集。オンライン上ではウェブ記事が購入できるので、バックナンバーが手に入らなくても読むことができます。

WWD vol.2256 https://www.wwdjapan.com/articles/1438692

2022年のエシカル雑貨を振り返って

様々なアイテムの新発売や、企業・ブランドの新たな取り組みのローンチで、エシカルなプロダクトに出会う機会が増えた2022年。あくまで筆者の肌感覚ですが、アップサイクル品や未利用資源の活用、ローカルの魅力の再発見のようなものに多く出会った気がします。

2023年に注目したいのは、昨年も多く見受けられた学生の取り組みです。ファッション編でも取り上げたKEEPWEARINGをはじめ、中川政七商店が大学生と運営するアナザー・ジャパンなど、Z世代と企業との協業なども盛り上がりを見せています。

小売業界で目立ったのは、ショールーミング型と呼ばれるお店が増えたこと。オンライン販売をメインにしたブランドの商品を店舗で展示し、購入はオンラインで行ってもらうという新業態です。
実物を確認できるので「思っていたのと違った」ということもなくなり、オンライン中心のブランドでも認知度を上げることが出来ます。サステナブル・エシカルブランドもこの販売方法を活用し始めており、これからの動きに期待したいところです。

たくさんのエシカルアイテムに触れる中で本当にいいと思ったものだけをご紹介した今回のBEST BUY。ぜひ2023年のエシカルな買い物の参考にしてみてください。

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