ゼロ・ウェイストという言葉が浸透してきています。廃棄物をできる限り出さないことを目指す考え方やライフスタイルのことで、具体的には、リサイクルや再利用にとどまらず、「そもそもゴミを出さない」ことに重点を置いています。
今回は、そんなゼロ・ウェイストを実践するスーパーマーケットを日本で最初にオープンさせた「斗々屋(ととや)」をご紹介していきます。
ゼロ・ウェイストとは

ゼロ・ウェイストとは、「ごみを出さないことを目指すライフスタイル」や「廃棄物を限りなくゼロに近づける取り組み」を意味します。単なるリサイクルにとどまらず、そもそもごみを発生させない設計や選択を重視するのが特徴です。たとえば、マイバッグやマイボトルを持参して使い捨てを避ける、商品を選ぶ際に過剰包装を避ける、詰め替えや量り売りで購入するといった行動が挙げられます。
この概念は1996年にオーストラリアの首都キャンベラで世界初の「ゼロ・ウェイスト宣言」が出されたことをきっかけに広がり、現在では世界中で企業・自治体・個人がサステナブルな社会に向けてできる、重要なアクションです。日本でも、徳島県上勝町が「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い、注目を集めています。
ゼロ・ウェイストは、環境負荷の削減だけでなく、自分の暮らしや消費行動を見直すきっかけとしても注目されているのです。
関連記事:日本各地で進むゴミゼロに向けた政策、ゼロウェイストってなに?
ゼロ・ウェイストスーパー斗々屋とは

斗々屋(ととや)は、2021年7月に京都市上京区にオープンした、日本初のゼロ・ウェイストスーパーマーケットです。
店内の商品のほとんどは量り売りで提供され、個包装を排除。買い物する場合は自分の容器を持参する、またはデポジット制の容器をレンタルするなどして必要な量だけ購入することで、ごみの発生を最小限に抑えることができます。

斗々屋の特徴は、オーガニックやフェアトレード、アニマルウェルフェアに配慮した商品選定にあります。
生鮮食品から調味料、日用品まで約700品目を取り揃え、日常の買い物を通じて持続可能なライフスタイルを提案しています。また、最新の計量システムを導入し、容器の重さを自動で認識するなど、利便性も追求されています。

さらに、店内にはイートインスペースやレストランバーも併設され、季節の食材を活用したデリやディナーメニューを提供することで食品ロスも防いでいます。地域の農園と連携し、コーヒーかすを堆肥にするなど、循環型社会の実現に向けた取り組みも行っています。
量り売りの買い方

先述した通り、斗々屋での買い物では、容器を持参することが可能です。タッパーや空き瓶など家にある蓋付きの容器、マイバッグなど、大小さまざま用意していくといいでしょう。

まず秤で容器の重さをはかり、ラベルを発行します。

そのあと購入したい商品を購入したい分だけ容器に入れます。

そのあともう一度秤に乗せ、最初にはかったときに発行されたラベルの番号を選んで、商品を確定します。

すると商品の重さに応じたバーコードが発行されるので、そちらを貼ってレジで会計をするというシステムです。

容器が足りなくなったり、忘れてしまったりしても、デポジット制で容器を借りることができます。返却すると容器代を返してもらえるので、実質無料で使えるサービスです。
こんな商品も量り売りが…!

斗々屋で扱っている商品は多種多様。ナッツ(生のものが多い)から、乾物、粉類など、どれも少量から買えるので、ちょっと試したいときなどにありがたいのではないでしょうか。

なんと、醤油や油、酢などの液体調味料も量り売りで買えます。オーガニックのものが中心なので、体にも環境にもやさしく、かつゴミを出さないという良いことづくしのお買い物です。

野菜もパッケージフリーで売られています。しかも好きなサイズにカットしてくれるので、キャベツや大根など大きい野菜も、使いたい分だけ購入することが出来ます。

お惣菜コーナーも充実。店頭で販売している野菜などを利用することで売れ残りや食品ロスも減らしており、とてもエシカルな循環システムと言えます。

最近では賞味期限切れでもまだ使える商品を販売する店が増えてきましたが、斗々屋でも販売するコーナーがありました。食品ロスの削減に貢献できるお得感たっぷりの取り組みです。

生ゴミを堆肥化するコンポストをマンションなどでも手軽に始められるキットも販売。家庭の生ゴミを減らすことはゴミ問題を解決するための大きな一歩です。生鮮食品を売っている斗々屋ならではの素敵な提案といえます。
野菜たっぷり、ヘルシーで満足感のある食事も充実!

奥のイートインスペースでは、店頭で売っているお惣菜を食べることや、メニューから注文することができるようになっています。

お惣菜プレートは日替わりのお惣菜とミニスープに、お惣菜人気No.1というお稲荷さんがついています。

こちらは店内メニュー人気No.1というヴィーガンブッタボウル。野菜に大豆ミート南蛮、海藻など色々入っていてビタミンもミネラルもたっぷりです。
斗々屋創業のきっかけは?
ゼロ・ウェイストという言葉が日本でも少しずつ広がるなかで、その実践を徹底しているのが「斗々屋」です。現在では日本初のゼロ・ウェイストスーパーマーケットとして知られていますが、その背景には強い環境問題意識と経験がありました。

斗々屋の原点は、2005年に始めたヨーロッパ産のオーガニック食品やワインの輸入事業にあります。代表の梅田温子さんは、自然と調和して作られた高品質な食品が、大量の使い捨て包装に詰められて消費されていく状況に疑問を感じていました。
フランスでの生活経験から、量り売りによる買い物がもたらすゴミの少なさに感銘を受けていた梅田さんは、「大量生産・大量廃棄」の日本の仕組みを根本から変える必要があると感じたのです。
2019年には、東京・代々木公園近くに30品目の食品を揃えた小さな量り売り店を実験的に開店。このモデルショップでは、「量り売りのニーズが本当にあるのか」「どのように運営すればスムーズか」といった検証が行われました。
その成果を受けて、2021年には東京・国分寺に200品目の本格ゼロ・ウェイストショップを開業し、同年7月には京都で日本初のゼロ・ウェイストスーパーマーケットをオープン。ゼロ・ウェイストの実現に向けた歩みを大きく進めました。

現在斗々屋は直営店の運営に加え、誰でもゼロ・ウェイストショップを始められる仕組みづくりにも注力。オンライン講座や店舗研修、企業向けコンサルティングを通じてノウハウを共有し、フランチャイズ展開も視野に入れています。こうした活動を通じて、循環型社会の実現に向けて着実に歩みを進めています。
「量り売り」からはじまる、ゼロ・ウェイストな暮らし

「限りある地球の環境資源」と「限りない経済発展」の両立を目指し、日々の暮らしの中にゼロ・ウェイストという選択肢を届ける斗々屋。
必要な分だけを買う量り売りは、ごみを出さず、資源を循環させ、「自然・ひと・経済」が調和する持続可能な社会へとつながります。
斗々屋は、大量消費ではなく、自然・人・経済が調和するゼロ・ウェイストの実践を通して、新しい「豊かさ」の価値観を提案しています。
未来を変えるのは、今の小さな選択から。あなたも暮らしの中にゼロ・ウェイストショッピングを取り入れてみませんか。
斗々屋 京都本店
京都市上京区出水町252 大澤事務所本社ビル
営業時間:11:00〜19:00
ランチ:11:30〜14:00
イートイン:11:30〜18:00
レストランバー Pas mal 18:00〜21:00(火~土)
定休日:なし
※月1、不定休あり。情報は公式Instagramで発信
※情勢により営業時間の変更がある可能性があるため、最新情報は公式Instagramをご確認ください。
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