今こそローカル!新潟・佐渡から学びたい、地域を大切に受け継ぐということ

地球規模で社会問題が頻出し、持続可能な社会づくりが急ピッチで進められる今。
カタカナで“サステナブル”と聞くと、新しいことばのように感じますが、実は自然との共存や、歴史・文化の継承、人との関わりを大切にする考え方は、古くから日本の地方に根差しています。今回は、新潟県・佐渡市にフィーチャー。先人が守ってきた里山と海、文化を受け継ぐ佐渡の魅力を深掘りします!

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SDGsがはじまる前から自然・歴史・文化を尊重してきた島、佐渡

日本海に浮かぶ、人口約5万人の島、佐渡市。
佐渡と聞くと、まず思い浮かぶのは“トキ”と、“佐渡金山”という方は少なくないでしょう。
佐渡では、サステナブルやSDGsといったワードが広がる前から、独自の方法で、トキの保護とそれに伴う環境保全や、佐渡金山の歴史遺産の保護、まつりや伝統文化などの継承に、地域一丸となって取り組んできており、国から2022年に「SDGs未来都市」の選定を受け、2023年にはSDGs未来都市の中で特に優れた先導的な取組として「自治体SDGsモデル事業」に選定されています。

佐渡ではSDGs 17の目標に、「佐渡独自の自然・歴史・文化の継承」という独自の目標を加えた18の目標を設定。
経済活動と環境保護の両立を礎とした豊かな社会づくりに向けて、新たな挑戦が始まっています。

今回は、今こそ知りたい“これまでの佐渡”と、“新しい佐渡”を5つの視点からお届します!

佐渡を知る5つのコト

トキと人が安心して暮らせる空気と土

佐渡のシンボルといえば天然記念物のトキ。一度は絶滅したトキですが、人工繁殖と飼育に取組み、今日では自然界に500羽を超えるトキが生息するまでに至っています。
佐渡では「トキの森公園」などの施設でトキの生態を見ることができる他、大空を舞う野生のトキに出会えるチャンスも…!

トキの野生復帰の大きなカギとなったのは、島全体で推し進めた環境の再生でした。農薬や化学肥料をできるだけ使わないなど、生きものを育む農法に取組み、2011年には世界農業遺産(GIAHS)に認定され、今、世界に誇れる自然共生のモデルを築き上げています。

先人たちが残してきた歴史ロマンあふれる佐渡金銀山

広大な自然に溶け込むように形を残し、訪れる人を圧倒させる佐渡金銀山。
江戸時代初期に鉱山開発がはじまり、平成元年に休山するまでの約400年以上もの長い歴史を持ち、日本の経済発展に大きく貢献してきた世界に誇る金銀山です。

坑道や採掘場所など、遺跡の良好な保存状態は、世界を見ても大変貴重であることから、世界遺産への登録を目指しています。

持続可能な観光を実現する、宿根木(しゅくねぎ)

島内には明治時代にタイムスリップしたような街並みが残る地区があります。佐渡の最南端にある宿根木は、江戸から明治にかけて廻船業で栄えた集落。佐渡観光には欠かせない街でありながら、新たな開発・整備を行っていないため、ありのままの趣ある雰囲気を楽しめます。

過剰な観光開発をしないことは、オーバーツーリズムを回避し、現在も地区に住む住民や景観を保護することにも繋がります。さらに移動手段には、バスや車ではなく、自転車で回ることを推奨し、観光と自然、地元住民の三方にとって、持続可能である旅行の在り方を示しています。

佐渡の豊かな食を伝える地産地消の飲食店

佐渡の魅力は、歴史や景色にとどまりません。海に囲まれ、山もある佐渡は、お米、魚、野菜、フルーツなど、何を食べても本当に美味しい、豊かな食材の宝庫!

島内には、地産地消や海洋保護、規格外農産物の使用など、「エシカルな消費」を意識した以下のような飲食店が増えています。

生産者の顔が見えるジェラート専門店 Mattelato(マッテラート)

Mattelatoは、観光客だけでなく、地元の子どもたちからも支持を集めるジェラート専門店。島内のイチゴ農園で収穫されたイチゴや、新潟のブランド柿である“おけさ柿”、ネクタリンなどその時期の旬なフルーツを使ったジェラートは、農園で食べるフルーツに負けないほどのフレッシュさ! 佐渡産の牛乳やハチミツなどのフレーバーも人気で、ジェラートを通して、佐渡の多様な食文化を体験することができます。

「良質な土壌で作られる、生産者のこだわりが詰まった佐渡の食材をもっと知ってほしい」との思いが込められたジェラートは、佐渡に行ったら必ず食べたい逸品です。

公式HP:https://mattelato.com/

サステナブルな食に挑戦する絶景レストラン しまふうみ

真野湾を一望できる海沿いの高台に位置し、佐渡の自然をダイレクトに感じることのできるレストラン、しまふうみ。シーズンによって内容が変わる、名物の“佐渡ジオパークプレート”は、地元で採れる旬の農産物や水産物をふんだんに使い、佐渡の豊かな食を一皿に表現しています。

しまふうみは、新潟県で初めて「ブルーシーフードパートナー」の認証を取得。サステナブルなシーフードを優先的に調達し、海洋保護に積極的な飲食店として水産物の提供を行っています。また、地域の恵みを最大限に生かすため、地元農家の規格外野菜や果物を積極的に取り入れ、ジャムや出汁として余すことなく使うなどの工夫も。

最近では、地元の高校で収穫された金時芋をメニューとして採用。佐渡の食の持続可能性を高めるため、地元の人たちとの関わりを大切に、日々新しいアイデアを生み出しています。

公式HP:https://www.primosado.jp/shimafumi/

次世代を担う子どもたちへの食育

食育が注目される中、佐渡では、学校や保育園の給食に無農薬・無化学肥料で栽培された地元産のお米を提供する取り組みが始まっています。

地域で採れた食材を口にすることは、次世代を担う子どもたちが自分の住む地域について深く知りたいと思うきっかけに。
また、地元の農家が給食を通して子どもたちの成長を支えることで、地域の繋がりがより強くなることが期待されます。

本当の豊かさを求めて佐渡へ

SDGs未来都市として、さらに持続可能な社会へと歩みを加速させる佐渡。
海や山、文化をゆっくり堪能できる旅行先として選ばれているのに加え、移住に伴う支援制度を設けるなど、移住者を受け入れる体制も充実しています。
先人が守ってきた豊かな自然・歴史・文化を礎に、新しい動きを見せる佐渡へ、豊かさのヒントを探しに訪れてみては。

取材協力:佐渡市

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