廃棄を出さない仕組みづくり。サーキュラーデザインとは?

利便性や低コストを最重要視する社会から、環境へ配慮する社会へシフトする中、「廃棄」という概念をなくすことを目標としたサーキュラーデザインが注目されています。

今回は、サーキュラーデザインの基本的な意味はもちろん、具体的な実例・学び方を紹介し、その概念を深く掘り下げます。サステナブルな未来への鍵となる、廃棄物を出さない仕組みとはどのようなものでしょうか。

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サーキュラーデザインとは?

出典:unsplash.com

資源を有効活用し、自然環境に必要以上の負荷をかけないサーキュラーエコノミー(循環型経済)を目指すためには、廃棄物を出さずに資源を循環させる仕組みづくりが必要となります。この考え方が、製品やサービスの設計段階から組み込まれているのがサーキュラーデザインです。

従来の「作る→使う→捨てる」という消費ではなく、土に戻る資源を使用する、再利用できるような工夫がなされている、さらにはCO2や汚染物質を発生させないシステムを構築している設計などを指します。

名前の通り、まるで円を描くように資源が循環する仕組みが、サーキュラーデザインのもつ特徴です。

サーキュラーデザインにはどのようなものがある?

出典:pexels.com

サーキュラーデザインの主な手法として、以下のものが挙げられます。

原料等をリサイクル素材に置き換えるなど生産を見直すだけでなく、モジュール化する、製品を共有するなど、システムとして取り入れるアプローチも重要です。

環境にやさしい素材を使用する

リサイクル可能な資源の採用により、資源の循環が促進されます。生分解性のある材料も環境に配慮した素材の一つといえます。

資源投入量・生産量・消費量の抑制

・長期利用可能な製品づくり
消費者に製品をできるだけ長期間利用してもらうことで、廃棄物の削減が可能です。

・受注生産
受注後に製品を製造することで、在庫を抱えることがなくなり処分による廃棄物を減らすことができます。不必要な製造に伴うCO2排出の削減にも繋がります。

・資源の節約
生産段階を見直し、無駄を省くことにより、軽量化や原料費の削減が可能です。

・技術の活用
デジタル化によって物理的資材が不要になります。例えば、電子書籍による読書やFAXをPDF化してメールで送信することで、紙の使用を抑えることができます。

サービス化

・部品のモジュール化
製品の部品をモジュール化することで、製品の修理や改良をユニット単位でおこなえるようになります。必要な部分のみの交換で済み、廃棄せずに長い間ひとつの製品を使い続けることができます。

・製品の共有
所有から共有への移行により、メンテナンス性が向上し、製品の長期利用が実現可能になります。
例えば、無印良品が提供する家具の月額定額サービスでは、返却された家具をメンテナンスし再利用することで、資源の循環と廃棄物の削減に貢献しています。

サーキュラーデザインの事例

出典:unsplash.com

サーキュラーデザインに関する企業の取り組み事例を紹介します。

育てて作る梱包材 ―エコベイティブ―

化学物質を一切使わずに容器を作った企業、エコベイティブ。
そば殻や麦のさやなどの農業廃棄物にキノコの菌糸を混ぜ、型に入れて暗室で培養することで容器が完成します。
キノコから作られる梱包材は、乾燥した清潔な場所に置いておけば形状を維持し続けてくれます。さらに一定の環境化で分解し土に還すことが可能です。
廃棄物を生みださないサーキュラーデザインの典型的な製品といえます。すぐに捨てられてしまう梱包材において、環境負荷の少ないことは大きな魅力です。

製品のサービス化 ―ミシュラン―

タイヤメーカーのミシュランは、タイヤの販売ではなく、車の走行距離に応じて課金するシステムを導入しています。磨り減ったタイヤは100%回収し、リトレッドタイヤとして再生品化して提供されます。欧州では同サービスによる廃タイヤの再利用率は90%以上を実現しました。
従来の売り切りモデルではなく、製品の所有権をユーザーから企業に移し、製品が持つサービス自体を提供する。リースやレンタル、サブスクリプションなどのモデルとサーキュラーデザインが組み合わさった事例です。

メンテナンスによる長期使用 ―バンドルズ―

オランダの企業、バンドルズでは、洗濯機を販売するのではなく使用回数ごとの料金制サービスを提供しています。利用から得たデータより、環境に優しい洗濯機の使い方をアドバイスすることで製品の寿命を伸ばしているメンテナンス型のモデルです。

今後は、以上のような事例からエッセンスを取り入れることで、より良いサーキュラーデザインを構築していくことが望まれます。サステナブルな未来に向けた重要な一歩として、サーキュラーデザインは非常に重要な概念になっていくでしょう。

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