ローカリゼーションのメリットは?どうやったら進む?

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グローバル化が進展する中、その流れとは逆を行く「ローカリゼーション」というワードが世界中で注目を集めています。ローカリゼーションとはなにか、なぜ今注目されるのかを解説しています。

ローカリゼーションとは

元々、ローカリゼーションとは、自分たちの手がけた製品もしくはサービスを特定のマーケットに適応させる取り組みのことでした。

最近では、ローカリゼーションは、地域社会に紐づくワードでも使われるようになっています。この場合の意味合いは、地域内の資源やお金を回すことで、生産に携わった人と消費者が距離を縮めながら、自分たちで地域を活性化するということを指します。
グローバル化が進み、安価な輸入品が手に入り、便利になった一方で、地域の文化が失われることが危ぶまれ、地元産のものを購入し、地域の活動を盛り上げようとするローカリゼーションのムーブメントが世界中で起こっています。

グローバリゼーションとローカリゼーション

ローカリゼーションは、グローバリゼーションの対極にあるといってもいい言葉です。様々な国から調達した原料を使い、労働力のある国の工場で大量生産し、それを輸送して別の場所で売る、といった仕組みを持つのがグローバリゼーションです。私たちが普段購入する洋服や雑貨などあらゆるものが、複雑なサプライチェーンを持っています。

一方、ローカリゼーションでは、地元で採れたものや生産されたものを地元で売るというようなことが進みます。「地方創生」「地産地消」などもローカリゼーションの一環です。

関連記事:実はこんなにたくさん!地産地消のメリットとは

ローカリゼーションが注目される背景

出典:unsplash.com

近年、ローカリゼーションが注目さる主な背景として以下のようなものが挙げられます。

人とのつながりが希薄となった

少子高齢化や核家族の増加、そして新型コロナウイルス感染拡大によって、家族以外の人と触れる機会が減っています。なかには近所付き合いが全くないという人も一定数います。このような人が地域の中で取り残されないよう、地元の人通しで繋がれるローカリゼーションが必要とされています。

地域文化の継承が難しくなった

日本では地方の過疎化が加速し、働き盛り世代で地域を担う人が少なくなっています。そのため地域の文化や伝統、技術の継承が大変難しい状況です。その解決のひとつとして、ローカリゼーションを加速させ、地域の魅力を再発見することが挙げられます。

ローカリゼーションのメリット

ローカリゼーションのメリットは、地域の人と人との繋がりが密になることで、「絆」が強くなることです。例えば、地域全体で地域に住む子どもの面倒を見ることで、自分の居場所を確保しやすくなり、世代を超えてコミュニティが構築されます。
地域のコミュニティは有事の際にも重要で、例えば災害があった場合でも安否の確認がしやすくなり、避難するのが困難な高齢者や障がい者に声を掛け合うなど、お互いに助け合うことができます。

また、地域で経済が回ることで、地域の活性化が見込めます。新しい取り組みや場所、商品などが地域から生まれることにより、新たな雇用の創出や、若い世代が地域に残って生活することに繋がるかもしれません。活性化することで地域外の人からも目に留まりやすくなり、地域文化の継承や後継者不足の問題解決にも繋がる可能性があります。

最後に、環境にもたらす影響も少なからずあります。遠くの国から輸入してくるモノや食品と比べて、地域でできたものは「フードマイレージ」が低く、輸送にかかる環境負荷が抑えられます。

関連記事:フードマイレージとは?買い物するときに注目したいポイントを解説

ローカリゼーションのデメリット

ローカリゼーションが進むことで私たちの生活にマイナスの影響はあるのでしょうか。

今私たちの身の回りには、安価で生産数も安定しているものが多くあり、豊富な種類が手に入ります。これはグローバリゼーションの賜物です。
一方、ローカルで作られるものは、大量生産でないことも多く、供給は安定しないかもしれません。また、生産者との公正な取引から、価格も多少高めに設定されることもあります。
しかし、ローカリゼーションが進み、地域の経済が潤うようになれば、このような問題も少なくなってくるでしょう。

ローカリゼーションの国内具体例

ローカリゼーションの取り組みとして、各地で施策が始まっています。

JAあいち三河

JAあいち三河では、ローカリゼーションの一環として中山間地域を中心に金融機関の移動車と移動購買店舗車の運転をしており、地域に住む方の生活インフラを整えています。ほかにもいちご農家の減少を食い止めるための「いちご塾」を開校し、次世代を担う農家の育成にも注力しています。

参考:JA あいち三河 × SDGs

兵庫県豊岡市

兵庫県豊岡市では、若者の人口減少にフォーカスした取り組みを積極的に行っています。ほかにもジェンダーギャップの解消と外国人定住者の受け入れなど、誰もが暮らしやすい地域を目指すため、今の時代背景を考えた施策を提案し、実行しています。

参考:豊岡市の地方創生戦略 (人口減少対策)

豊かな地域を育むために

出典:unsplash.com

地域過疎化・後継者不足といった深刻な地域の問題を解決していくためには、ローカリゼーションは必要な要素です。最近は、若い世代や移住した人たちが地方を盛り上げる取り組みも多く見られます。

経済やコミュニティを豊かなものにして、地域が力をつけていくために、私たち個人ができることはたくさんあります。生産者に会えるマーケットに出かけて地元の野菜を買う、地域の産業や伝統文化を知ることも、そのひとつです。世界でも注目されるローカリゼーションは、日本でもますます大切な取り組みとして広まっていくことでしょう。

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この記事を書いた人

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元専業主婦の編集ライター兼校正者。子育てや教育、美容、ライフスタイルを中心とした複数のジャンルで記事企画や執筆、インタビューに携わり、キャリアを重ねる。近年は、持続可能な社会環境づくりに関心を抱く。成人した娘と息子を持つ母。

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