知って応援しよう!今再注目したい、石川の伝統文化

国や地域で今日に至るまで大切に受け継がれてきた日本の伝統文化。2024年1月の地震により大きな被害を受けた石川県にも、次の世代に伝えていきたい多くの伝統文化があります。

陶磁器・漆器・織物など、その文化は私たちの暮らしを豊かに彩り、未来に残していきたいものばかりです。今回は伝統文化を通して、今再注目したい石川県の魅力に迫ります。

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伝統文化が根づく、石川       

現代においても細部に文化的美意識が深く根づく石川県。かつてこの地を領地とした加賀藩は、文化育成に力を入れており、多様な美術や文化、芸能の発展を支えました。これらの文化は、日々の暮らしに伴う衣食住から伝統芸能にいたるまで、「本物」を追求したきらびやかで贅沢なものであることで知られています。

さらに石川県は豊富な自然資源に恵まれ、輪島塗や九谷焼などの工芸品に欠かせない原料を調達できたという点も、文化の発展に少なからず寄与しているでしょう。

石川県の伝統文化は地域の人々によって守られ、世代を超えて受け継がれてきました。地域社会の強い結束と伝統への誇りが、これらの文化を今日まで継続させています。

石川を代表する伝統文化

輪島塗

出典:photo-ac.com

日本を代表する漆器である輪島塗。輪島塗の技術は数百年にわたり受け継がれ、その強度と繊細な美しさが大きな魅力です。

輪島塗は、数十回と繰り返される塗りと研ぎの工程があり、深みのある光沢と耐久性が生みだされます。これは、日常使いからハレの日まで、幅広く用いられる理由のひとつといえるでしょう。
輪島塗には品質を保つために、技法に加えて、天然の漆や木地にも指定があるなど、細かい基準が設けられています。
さらに輪島塗は、蒔絵や沈金などの装飾面でも優れています。湿気の表面に絵柄を彫り込み、溝の部分に金粉や色の粉を鎮めることで模様を描き出す沈金技法は輪島で完成したともいわれており、継承していきたい技術のひとつです。

地元の職人による手作業で一つひとつ丁寧に作られる輪島塗は、日本の伝統文化を今に伝える貴重な芸術品として、国内外で高く評価されています。

加賀宝生

©金沢市

宝生流の能楽である加賀宝生は、江戸時代に発展し、現在は金沢市が指定する無形文化財になるなど今もなお大切に守られている伝統芸能です。武士に親しまれてきた歴史から、質実剛健が特徴。無駄のない動きの中に力強さを感じさせるのが特徴です。
江戸時代には加賀藩によって保護されており、藩は領民にも能が演じられる時の歌である謡(うたい)を奨励しました。「空から謡が降ってくる」という表現がありますが、これは武家だけでなく、庶民も謡を楽しんでいた様子を表しています。

東京・水道橋の宝生能楽堂には、和の伝統美を盛り込んだ檜造りの舞台があり、金沢以外の場所でも伝統芸能の素晴らしさに触れることができます。

九谷焼

©金沢市

色鮮やかな上絵付けが特徴の九谷焼は、石川県南部で生産される日本を代表する色絵陶磁器です。
色彩豊かで繊細な絵付けで知られ、金箔を使った装飾や、山水、花鳥などをモチーフにした美しいデザインが特徴です。「上絵付けを語らずして九谷はない」との言葉があるほど、色絵の美しさは見事なもの。「呉須」と呼ばれる藍青色で線描きし、「九谷五彩」と呼ばれる五色の絵の具を厚く盛り上げるように装飾されます。

作家や窯元により、様々な作品が生み出されており、窯元巡りも人気です。

加賀とびはしご登り

©金沢市

加賀地方に古くから伝わる伝統的な民族芸能、加賀とびはしご登り。現在は、消防団員が約6メートルの竹製のはしごの上で、迫力ある様々な技を披露します。
加賀とびはしご登りの始まりは、八代将軍・徳川吉宗により命じられた江戸藩邸を守る大名火消の設置を受け、加賀藩が江戸上屋敷の防備のために置いていた自衛消防隊を強化したこととされています。

加賀藩の火消しは、勇猛な活動と華やかな装備で知られており、浮世絵や歌舞伎の題材になっているほど。その「加賀鳶」が移り住み、現在の加賀とびはしご登りの技術伝承につながりました。
はしご登りは、火災現場において頂上から火事の状況や風向き、建物の状況を確かめるためにおこなわれるものです。高所での作業・度胸をつけるための訓練ですが、人前で演技を披露することで、消防の大切さを訴える役割も担っています。

現在は妙技を次世代に伝えるため、子ども向けの教室などの活動もおこなわれています。

加賀友禅

©金沢市

日本の伝統的な染め工芸のひとつ、友禅染め。京都で生まれた京友禅の技法が加賀藩に持ち込まれて、独自の発展を遂げたのが加賀友禅です。

きらびやかな装飾がほどこされる京友禅に対し、加賀友禅は落ち着いた色調で、「加賀五彩」といわれる5つの深い色を基調として、絵画のように仕上げられます。柄に立体感を生む「虫食い」や「ぼかし」などの技法を使い、草・花・鳥などのモチーフを写実的に表現するのが特徴です。

石川の伝統文化を改めて知って応援に繋げよう

石川県は、豊かな自然と歴史を背景に多様な伝統文化を育んできました。これらの文化は、地域の職人の技術と創造性のたまものであると同時に、ここまで継承されてきたのは大切に受け継いできた人々の存在があるからでしょう。

今回の震災を経験しながらも、次世代へと受け継がれていくべき日本の大切な石川の文化。今こそ、石川県の伝統文化を知ることで、現地の応援に繋げてみてはいかがでしょうか。

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