今年も梅雨の時期が近づいてきました。八百屋やスーパーには梅が並び始め、手にとってみようかなと考える方もいるのではないでしょうか。
本記事では、梅仕事の概要や時期、レシピなどをご紹介します。意外と手軽にできるものもあるので、今年はぜひ梅仕事を取り入れてみませんか。
梅仕事とは

梅が旬を迎える時期に、梅酒や梅干しなどの保存食を作ることを梅仕事といいます。
初夏になる頃に青い実の収穫が始まり、黄色い完熟梅になるまでの約2カ月だけが、梅仕事ができる期間です。
日本に梅が渡来したのは8世紀の頃。中国で薬用として用いられていた燻製にした青梅の輸入をきっかけに栽培が始まりました。
梅仕事に使う梅には、青梅、完熟梅、超完熟梅があり、それぞれの用途と梅仕事を始める時期、おいしく食べられるようになる期間が異なります。
いつから始めて、どのくらいかかる?

伝統的な保存食でもある梅干しは、6月の上旬頃に始めて、食べられるようになるまで早くても1カ月ほどかかります。梅酒だと、3カ月ほどであっさりしたおいしさを楽しめるようになりますが、コクのある味わいになるには、1年ほどかかります。
梅シロップは10日、梅の甘酢漬は5日くらいで食べられるようになります。梅ジャムや梅の甘露煮のように、その日に食べられるものもありますが、翌日以降の方が、味が馴染んでさらにおいしくなります。
その他に、調味料としても重宝する梅の醤油漬けや梅みそ、爽やかな香りの梅サワーなどがあり、どの梅を使うかによって、始める時期、かかる時間が異なります。
時期ごとの梅の選び方と、その用途

5月の中旬あたりから始まる梅の収穫。5月中旬から下旬に収穫期を迎える小梅は、緑の小粒で硬い時期に収穫し、カリカリした食感の小梅漬けなどに使われます。
6月の初旬くらいから、スーパーや道の駅などに粒の大きな青梅が並ぶようになります。硬くて扱いやすく、梅酒、醤油漬け、梅シロップ、砂糖漬けなど多くの梅仕事に使われます。
6月下旬から7月にかけて、少し黄色く色づいた完熟梅、さらに熟してオレンジ色に近い黄色の超完熟梅が出回るようになり、梅干し作りが始まります。青梅よりも酸味が少なく、甘い香りがするので、梅ジャムや梅酒を作るのにも向いています。
どの時期の梅も、選ぶ際に一つ気をつけた方が良い事があります。
ジャムや甘露煮のような加熱するものは別ですが、割れや傷の部分に雑菌が繁殖し、まれに製造途中で腐ってしまうことがあるのです。そうならないためには、なるべくきれいな状態の梅を選ぶことが大切です。
おすすめレシピ3選

梅ジャムにもなる梅シロップ
甘くてさっぱりしたおいしさ。炭酸水や水で割って飲む、ヨーグルトに混ぜる、かき氷にかける、製菓の材料に使うなど、楽しみ方のバリエーションが豊富です。
<材料>
・青梅 1kg
・砂糖 梅と同量(きび砂糖、氷砂糖などお好みのもの)
<用意するもの>
・保存容器(煮沸するなどして殺菌しておく)
・竹串、フォークなど
<作り方>
- 梅を丁寧に洗い、2~4時間たっぷりの水につけてアクを抜く
- 水気を十分切ったら、なり口のホシを竹串などで取り除く
- フォークなどを使い、梅の表面に何カ所か穴をあける
- 保存容器に青梅と砂糖を交互に入れ、蓋をして冷暗所で保管する
※梅の表面が出ないよう、一番上を砂糖で覆う
※一日に1~2回、保存容器を揺すり梅と砂糖が混ざりやすくする
※気温が高いと発酵するので、なるべく涼しい場所で保管
※発酵させたくない場合は、リンゴ酢200mlを加えて保管
- 砂糖が溶け、梅がしわしわになったら梅を取りだす(約10日前後)
- 果汁を弱火でゆっくり煮ながら、白くあがってくるアクをとる
- アクが少なくなったら火を止め、一晩冷ます
- ガーゼでこし、保存容器に入れて保存する
取り出した梅はそのまま食べてもおいしいですが、刻んでアイスクリームやヨーグルトのトッピングにも。砂糖と水を加えて煮詰めれば梅ジャムになります。
レシピ引用元:月光農園
https://minabe.net/pages/umelife
梅みそ

シンプルな材料で手間をかけずに作れる、甘じょっぱくておいしい梅味噌。ドレッシングやタレ、ご飯のお供など、活躍の幅が広いので、あるととても便利な梅仕事の一つです。
<材料>
・青梅 1㎏
・味噌 1㎏
・砂糖 700g~1㎏
<用意するもの>
・保存容器(煮沸するなどして殺菌しておく)
・竹串、フォークなど
<作り方>
1~3は、梅シロップと同じ
4. 保存容器に、味噌、梅、砂糖の順に2~3回重ね入れて蓋をする
※一番上は味噌で覆う
5. 冷蔵庫で保管しながら、時々混ぜて様子を見る(約7日前後)
6. 梅にしわが寄り、味噌がトロッとしてきたら完成
レシピ引用元:月光農園
https://minabe.net/pages/umelife
ストックバッグで作る梅干し

梅干しは、梅仕事と聞いて思いだす代表的な保存食ではないでしょうか。途中で干すなど少し手間がかかりますが、覚えておきたいものの一つです。ストックバッグを使って、気負わず作れるレシピを紹介します。
<材料>
・完熟梅 1㎏
・粗塩 200g
※梅1㎏に対し、塩は180~200g
<用意するもの>
・厚手のストックバッグ 2枚重ねておく
・1㎏の重石、又は1㎏の未開封の塩や砂糖
・天日干し用のザル、干し網など風が通りやすいもの
<作り方>
- 梅を丁寧に洗い、しっかりと水気を拭き取る
- なり口のホシを、竹串などで取り除く
- ストックバッグの内側を焼酎(35度以上)やお酢で消毒した後、梅と粗塩を入れまんべんなくなじませる
- なじんだら空気を抜いて口を閉じ、バットや大きめのボウルに入れる
- その上に重石、または未開封の塩や砂糖などをのせる
※じわじわと梅酢が出てきます
- 梅雨明けまで、冷暗所で保管(目安としては約1カ月)
- 梅雨が明けたら、くっつかないようザルなどに並べ天日に干す
※日射しが強いようなら、半日陰で干す
※大粒は2日、中粒は1日半を目安に裏返し、まんべんなく干す
※塩漬けする前の半分くらいの重さになったら干しあがり
- 干しあがった梅は、保存容器に入れ冷蔵庫で保存する
梅を取り出した後に残った梅酢は、ドレッシングやドリンクとして使えます。クエン酸やビタミンを多く含む梅のエキスが凝縮されており、免疫を高めるなど成人病予防の効果が高いといわれているので、捨てずに活用することをお勧めします。
レシピ引用元:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/umeboshi_wakayama.html
季節を感じる梅仕事を始めよう
梅、特に青梅には生食すると中毒症状を引き起こす成分がありますが、豊富な栄養素も多く含んでいます。その栄養素だけを取る工夫の積み重ねが、応用範囲が広く、長く保存ができる梅仕事には詰まっています。初夏から夏への季節を感じられるのも魅力の一つかもしれません。
この時期にしかできない「梅仕事」。お手軽レシピからぜひ試してみてはいかがでしょうか。