朝晩の冷え込みが増して、冬の気配を感じる季節になりました。寒い日が続くと、お風呂にゆっくり浸かって温まりたい気持ちになりますよね。
そんな時に手軽に楽しめるのが、みかんの皮のお風呂です。つい捨ててしまいがちなみかんの皮ですが、お風呂に入れると入浴剤のように楽しめるアイテムです。
この記事では、みかんの皮をお風呂に入れる効果や、気を付けたい注意点を紹介します。今日からできるエコな選択肢を、ぜひ試してみませんか?
みかんの皮のお風呂とは?
みかんの皮のお風呂は、湯船にみかんの皮を浮かべて香りや成分を楽しむ、昔から親しまれている入浴法です。みかんの収穫が始まる11月の「季節湯」としても親しまれています。
季節湯とは? 旬を迎える植物や果実を湯船に浮かべて楽しむ入浴法。 月ごとに以下のような季節の湯が取り入れられています。 1月 松湯 2月 大根湯 3月 よもぎ湯 4月 さくら湯 5月 菖蒲湯 6月 どくだみ湯 7月 もも湯 8月 はっか湯 9月 菊湯 10月 生姜湯 11月 みかん湯 12月 ゆず湯 |
季節湯は、古くから「健康を保つ」目的で取り入れられてきました。
11月のみかん湯には、血行を促進し、冷えた体を内側からじんわりと温めてくれる効果もあり、冷え性が気になる方にもおすすめです。
みかんの皮がもたらす効果
みかんを食べた後の皮は、ついゴミとして捨ててしまいがちですが、実は美容や健康に役立つさまざまな効果があります。漢方の知恵や「リモネン」によるリラクゼーション効果をみていきましょう。
漢方薬としての陳皮
みかんの皮を乾燥させたものは「陳皮(ちんぴ)」と言います。名前にある「陳」は「古い」を意味しており、中国では時間が経つほど薬効が高まると考えられています。
陳皮は漢方で古くから重宝されてきた自然素材で、胃の調子を整えるのに加え、咳や吐き気を和らげ、風邪予防にも役立つとされています。
また、「理気作用」と呼ばれる気の巡りを良くする働きにより、血流が改善され、ストレスの緩和や体の調子を整えるサポートも期待できるのが特徴です。今回紹介するお風呂での使い方のほかに、飲み物や料理に加えるとアクセントになります。
リモネンによる爽やかな香り
みかんの皮に含まれる「リモネン」は、柑橘系特有の爽やかな香りを引き出す成分です。湯船にみかんの皮を浮かべると、リモネンが湯気とともに広がり、心を穏やかにするリラックス効果が期待できます。
さらに、リモネンには気分をリフレッシュさせる覚醒効果も期待されており、頭をクリアにしたい時や、集中力を高めたいシーンにもぴったり。ストレスを感じやすいダイエット中でも、心を落ち着かせて穏やかな気持ちを取り戻してくれると言われています。
みかんの皮をお風呂で楽しむ2つの方法
みかんの皮をお風呂で楽しむ方法は、大きく分けて2つあります。まずは、「フレッシュなみかんの皮」を使う方法、さらに「乾燥させたみかんの皮」を使う方法です。
それぞれの特徴と楽しみ方を紹介します。
生のみかんの皮を使った簡単「みかん風呂」
忙しい人やあまり手間をかけたくない人におすすめなのが、フレッシュなみかんの皮を使った「みかん風呂」です。
【手順】
- みかんの皮をむき、しっかりと洗う
…塩水やお酢を混ぜた水、または重曹に1分ほど漬けてからしっかり洗い流すと、表面の汚れが取れて安心です。 - みかんの皮をガーゼやネットに包む
…皮が湯船に散らばるのを防ぎ、後片付けも楽になります。皮をむいたそのまま入れるか、さらに細かくちぎっても問題ありません。 - ガーゼごと湯船に浮かべる
…軽く絞ると香りが一層広がります。
家庭用のお風呂なら、みかん2~3個分の皮が適量です。香りをさらに楽しみたい時は、もう少し量を増やしてみてください。
また、みかんの品種は「温州みかん」が一般的ですが、せとか、はるか、清見などほかの品種でも活用できます。
乾燥させたみかんの皮を使う「陳皮風呂」
時間に余裕があれば、みかんの皮を乾燥させて作る「陳皮風呂」に挑戦してみるのも良いでしょう。乾燥させた陳皮は保存がきき、まとめて作れば必要な時にすぐ使えるので便利です。
作り方は、みかんの皮をそのまま使う場合と同様に、しっかり洗うことからスタートします。乾燥させる方法は「自然乾燥」と「電子レンジを使う方法」の2種類があるので、ライフスタイルや好みに合わせて選んでみてください。
自然乾燥
【手順】
- みかんの皮を適度な大きさにちぎり、ざるやネットに広げる。
- 日当たりと風通しの良い場所で天日干しにする。
- みかんの皮を湿った状態のまま千切りにする。
(乾燥後だと固くて切りにくい) - 乾燥中は夜間に取り込み、再び日光に当てる作業を繰り返す。
- 一週間ほどでカラカラになったら完成。
自然乾燥は、特別な機材を使わずに簡単にできる方法です。晴れた日にはベランダや庭に干すと香りも心地よく、干している間の過程も楽しめます。
寒い季節は夜間の湿気で戻ってしまうことがあるので、夜は室内に取り込むのがおすすめです。
電子レンジ
【手順】
- キッチンペーパーを敷いた皿の上に、ちぎったみかんの皮を並べる。
- 500Wで2分加熱する。
- みかんの皮を裏返し、さらに1分半加熱する。
- 完全に乾燥してパリパリになるまで、様子を見ながら数秒ずつ加熱する。
電子レンジを使うと短時間でみかんの皮を乾燥できます。忙しい方や天候に左右されたくない場合におすすめです。
ただし、焦げやすいため加熱時間はこまめに調整してみてください。もし大量に作りたい場合は、何度かに分けて温めてください。
ピリピリする?みかんの皮お風呂の注意点
みかんの皮に含まれる「リモネン」の影響で、入浴時にピリピリとした刺激を感じる場合があります。こちらでは、安心して楽しむための工夫を3つ紹介しますので、参考にしてください。
敏感肌や小さなお子さんは慎重に
みかんの皮に含まれる「リモネン」は、肌に膜を張る作用があり、その影響でピリピリとした刺激を感じることがあります。
特に敏感肌の方や小さなお子さんは刺激を受けやすいことがありますので、みかんの皮を入れた袋を強く揉むのは避けましょう。また、お湯の温度が高いと刺激を感じやすいため気を付けましょう。
農薬やワックスの除去
みかんの皮には農薬やワックスが付着している場合があります。安心して活用するために、塩水やお酢を加えた水、または重曹を使って丁寧に洗浄するようにしてください。有機栽培や無農薬のみかんを選べば、さらに安心です。
入浴後は、肌に残った成分をシャワーで軽く洗い流してから上がりましょう。
あと片づけの工夫
みかんの皮をお風呂で使う際は、ガーゼやお茶パック、洗濯ネットに包むと片付けが簡単になります。これにより、皮が湯船に散らばるのを防ぎ、使用後もスムーズに取り出せます。ただし、タオルで包むと香りが十分に広がらないことがあるため、避けた方が良いでしょう。
また、みかんの皮に含まれるリモネン、ペクチン、クエン酸といった成分は、お風呂掃除にも活用可能です。例えば、使い終わったみかんの皮を軽くつぶして鏡や蛇口を磨けば、リモネンが油汚れを分解し、クエン酸が水垢を落としてくれます。
みかんの皮だけじゃない!エコな入浴アレンジ
身近な素材を使ったエコな入浴アレンジは、みかんの皮以外にもさまざまな選択肢があります。お家にある果物や野菜を使って、自然の香りや成分を楽しみながら、リラックスできる入浴時間を作りましょう。
りんご
りんごにはポリフェノールが含まれ、肌をしっとりと整える効果が期待されています。家庭でりんご風呂を楽しむなら、りんごを丸ごと湯船に浮かべるだけでも十分。ほのかに香る甘さが、リラックスさせてくれるでしょう。
皮を活用する場合は、散らばらないようガーゼやネットに包むのがおすすめです。香りをさらに楽しみたい時は、スライスした果肉を一緒に加えると、フルーティーな香りが一層引き立ちます。
ゆず
ゆず湯は、冬至の日に柚子を浮かべた湯に入る、日本の伝統的な風習です。ゆずの爽やかな香りは心を癒し、リラックス効果をもたらしてくれるだけでなく、冬の寒さで冷えた体をじんわり温めてくれます。
ゆず湯を楽しむ際は、柚子を軽く水洗いし、そのまま湯船に浮かべるのがおすすめです。丸ごと浮かべるなら2~3個ほどがちょうど良い量で、湯船が華やかな見た目になります。
カットした場合は、より多くの有効成分が湯に溶け出し、香りや効果を強く楽しめますが、その分刺激成分も多く出るため、肌が弱い方はご注意ください。
しょうが
しょうがは、体を芯から温めてくれる素材として人気があります。特に冷えやすい季節や、リラックスしたい日にはぴったりです。
しょうが湯の作り方はシンプルで、しょうがをすりおろしてお茶パックやガーゼに包み、そのまま湯船に入れるだけ。すりおろすと香りが立ちやすくなりますが、刺激が強いので、マイルドにしたい場合は薄くスライスしたしょうがを使うのがおすすめです。
もし、家にチューブタイプのしょうがしかない場合、チューブのしょうがを小さじ2杯ほどお茶パックに入れ、湯船に浮かべれば、手軽にしょうが風呂を楽しめます。
湯船の中で細菌や微生物が繁殖しやすくなることがありますので、入浴後は追いだきや保温は控え、入浴後はお湯をすぐに排水しましょう。
みかんの皮を無駄なく活用しよう
これまでみかんの皮を捨ててしまっていたことを「もったいないことをした」と感じた方も多いのではないでしょうか。エコで役立つみかんの皮を活用して、心も体も温まる時間を楽しみたいものです。
自然の恵みを取り入れた暮らしで、より豊かな毎日を過ごしてみてください。