こんにちは。エシカルライターのかがりです。
私は映画鑑賞が好きで、中でもドキュメンタリーはこれまで100本以上観てきました。離れている国や地域からでも、人々や社会のリアルを知ることができるドキュメンタリー映画。今回は「本当の幸せとは?」をテーマに、世界でも話題を呼んだおすすめ映画をご紹介します。
豊かさ、幸せを世界中の人から学ぶ
豊かさには「物質的豊かさ」と「精神的豊かさ」があり、戦後~80年代までは前者が重視されてきたと言われています。
しかし現在は、経済成長のみを目的とした大量生産・大量廃棄の社会が見直されはじめ、人々の生活も物質的なものだけではなく、本当の幸せを求めるようになってきています。
みんなが“本当の幸せ”を探す時代。世界中の人々に会って話を聞くのは少し難しいことだけれど、ドキュメンタリー映画では人々の考え方や生活がまるで目の前で起こっているかのようにありありと伝わってきます。
今回は、モノを持つということや経済の発展と幸福度は関係あるのか、など様々な視点から豊かさの本質を見つめる作品をご紹介します。
本当に必要なモノって何だろう?「365日のシンプルライフ」
「モノをたくさん持つことは幸せにつながりますか?」と問いかけられたとしたら、あなたは何と答えるでしょうか。
作品の主人公はフィンランドのとある若い男性。
失恋をしたことをきっかけにモノに囲まれた自身の部屋を見直すことを思いつき、ユニークな実験にチャレンジしていくセルフドキュメンタリーです。
実験の内容は「持ち物をすべて倉庫に預け、1日1個だけ持ち帰ることを1年間継続する。この期間はモノを買わない」。
強制的にモノの無い生活と心の豊かさに向き合う状況を作り出した彼の周囲で起こる、人間関係の変化などが描かれます。
シンプルライフやミニマリストと言ったライフスタイルの火付け役ともなった本作。
映画を通してシンプルライフを疑似体験することで、見終わった後にはモノと幸せに対する価値観が少し変わっているかも?
経済至上主義に疑問を投げかける「幸せの経済学」
経済の成長やグローバル化を推進することで世界中の人々は幸せになる。
かつてはそう信じられてきましたが、快適で便利な世の中になった一方で、人々の関係性は希薄になり、自然と共存する生活とは程遠いものになってしまいました。
本作では、ヒマラヤの辺境ラダックを例に西洋の消費文化が彼らの社会にどのような影響を及ぼしたのかを考察。
自給自足に近い暮らしの中で、豊かな自然や人との繋がりを大切にして生きていたラダックの人々ですが、70年代に入ると「支援」という名目で、彼らの生活様式や伝統に欧米の文化が入ってきました。そこからラダックの人々は、「欧米に比べて自分たちは貧しいのだ」と考えるようになっていき、欧米に助けを求めるようになっていったのです。
環境を守り、人々が本当に幸せに生きるためにはグローバル化ではなく、「ローカル化」が必要であると監督は提唱。
具体的には地元のマーケットを利用することや、地域単位のコミュニティに参加することで、貧富の格差解消や人と人、人と自然の繋がりを取り戻すことができると語っています。
経済の歴史から「本当の幸せ」を紐解くきっかけをもらえる作品です。
ハッとさせられる名言が次々と「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」
ホセ・ムヒカは、南米ウルグアイの第40代大統領を2010年から5年間務めた人物です。
タイトルにもなっている“世界でいちばん貧しい大統領”というニックネームは、大統領でありながら質素な農場暮らしを送り、運転手をつけず古い車を自ら運転していたことなどから、敬愛の意を込めてそう呼ばれるようになりました。
ムヒカは農家として家計を助けながら、10代にはゲリラ活動に従事。当時の政権を批判する活動を行っていたことから逮捕され、長い獄中生活を送るなど、大統領としては珍しいバックグラウンドを持っています。
「君が何かを買うときお金で買っているのではない。お金を得るために費やした人生の時間で買ってるんだ」
核心を突いた名言の数々は、私たちに本当の豊かさとは何かを問いかけてきます。
日本人記者がアポなしの取材を通じてムヒカに出会ったことから始まった本作。ムヒカとの交流の中で、彼が日本人に贈る感動のメッセージが見どころです。
ムヒカの哲学や情熱は、すべての日本人に、豊かに幸せに生きるヒントを示してくれます。
幸せや豊かさはとてもシンプルなもの
今回は、「心の豊かさ」を異なった切り口から描いた作品をとり上げました。
豊かさや幸せとは複雑で難しいものではなく、実はシンプルなものだと気がつくのではないかと思います。
あなたにとっての豊かさを、映画を通じて見つめなおしてみてはいかがでしょうか。