今年、イギリス発のサステナブルファッションブランド、E.L.V. DENIMがロンドンファッションウィークに登場し、大きな話題を呼びました。
E.L.V. DENIMは2018年の設立以降、アップサイクルの素材のみを使った洋服を展開。世界的なラグジュアリーブランドや新進気鋭デザイナーらが集うロンドンファッションウィークに、古着を活用した洋服が登場するのは、異例と言えます。
世界から注目を集めるE.L.V. DENIMとは。その魅力に迫ります。
アップサイクルによって環境と企業が受ける恩恵は

アップサイクルとは、廃棄予定の素材に付加価値を付ける工夫を施すことで、新たな別の製品として生まれ変わらせること。ビニール傘を加工したバッグや、野菜の皮や茎を原料としたスナック菓子などがあります。
アップサイクルのメリットは、ごみの量や新たな資源の使用を抑えることです。環境汚染や資源の枯渇を防ぎ、サステナブルな産業の実現に繋がります。これに加え、企業側は原料調達コスト削減という恩恵を受けられます。
E.L.V. DENIMの設立者であるアナ・フォスターは、アップサイクル素材を活用することで、ファッション産業における過剰消費や廃棄物削減に取り組んできました。
古着から生まれる洗練されたデザイン
「The Journey(旅)」をテーマとした今回のロンドンファッションウィークでは、スチールラックに並べられた古着のデニムを背景に、ランウェイを開催。捨てられた生地がラグジュアリーブランドの一部として新たに生まれ変わる、自社の過程の記録を紹介しました。
披露したコレクションは、ベルベットのパンツ6本を使用したカクテルドレスや、ベッドシーツを再利用したイブニングドレスなど。汚れや傷みがある箇所はカットし、活用できる布地をあますことなくデザインに取り入れています。
古着や使用済みの布地を原材料とするからこそのカジュアルさと、洗練されたユニークなデザイン。これを強みに、ラグジュアリーブランドとしてのE.L.V. DENIMの立ち位置を明らかにしました。
アップサイクルを土台に世界最高を目指す

E.L.V. DENIMがアップサイクルを軸にラグジュアリーブランドと同じポジションを目指したのは、今回のロンドンファッションウィークが初めてではありません。E.L.V. DENIMは、これまでもサステナブルブランドとしての立ち位置と品質の良さが高く評価されてきました。
その背景にあるのは、原料の厳選と地元の職人による製造加工です。材料には、高級ホテルのシーツやイギリスの倉庫に眠っているヴィンテージ品を使用。洗濯や加工はロンドン内で行うことで高品質を保ってきました。
設立者のアナ氏は、ファッション産業を対象としたWebプラットフォーム「FashionUnited」のインタビューで、初期からサステナブルファッションに新たな基準を設けることを目的に事業を進めてきたことを明かしています。
今回のショーでは、「透明性」「職人技」「アップサイクル」というキーワードでラグジュアリーブランドを再定義しました。
アナ氏は、同インタビューで「世界最高のジーンズを作っている」と宣言すると共に、自社の製品について「アップサイクルと地元での製造、そして真のサステナビリティが私たちを際立たせる」と語っています。
参考:
https://wwd.com/fashion-news/fashion-scoops/e-l-v-denim-champions-upcycled-fashion-fall-2025-london-fashion-week-1236968172/
https://news.samsung.com/uk/samsung-hits-the-runway-with-e-l-v-denim-to-showcase-sustainable-fashion