古いものを、カッコよく。ミラノのエコ蚤の市「EAST MARKET」に潜入!【現地レポート】

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行政や企業、市民が主体となり、世界の中でも持続可能な社会づくりが進むヨーロッパ。
近年は特に環境問題への関心が高く、環境に負荷をかけない選択肢が増えてきています。
rootusでは、現地に長年住むレポーターが、住んでいるからこそ見えてくるリアルな情報を発信。サステナブルな社会はどのように実現可能なのか、最前線から学べることを考えます。

フリーマーケットがエコに進化中

昔からヨーロッパ各地で開催されているフリーマーケットや青空市場。
ヨーロッパにはもともと古いものを大切に使い続ける文化があり、最近はそこにアップサイクルアイテムなどのエコな要素も入ってきています。
今回は、そんなヨーロッパ市民の生活になくてはならないマーケットに潜入。実際にどのようなものが売られているのか、どこまでエコ意識は浸透しているのか、見てきました。

訪れたのは、イタリアの首都ミラノで有名な蚤の市「EAST MARKET」。近年オシャレに敏感なミラネーゼたちの間で話題のフリーマーケットです。
単なるヴィンテージの売買が目的ではなく、リユース、リサイクル、アップサイクルをもっと根付かせよう、という目的のもとに2014年にスタートしました。

イベントは不定期に開催され、SNSやホームページで開催日が告知されます。

ミラノのEAST MARKETは、19世紀から続くロンドンのリベラルな蚤の市「EAST STREET MARKET」の影響を受けており、21世紀仕様にアップデートされています。会場は広大な飛行機工場の跡地です。

出展者同士の物々交換もOK

約300店が出店する屋内スペースでは、「EVERYTHING OLD IS NEW AGAIN(=すべての古いものに価値を)」をコンセプトに、ヴィンテージ、リサイクル、アップサイクル、アート作品などが展示されています。

得意分野を活かしたアマチュアやプロが、来場客との売り買いを行っているだけでなく、出展者同士の物々交換が自由に繰り広げられています。

センスあふれるヴィンテージ雑貨がずらり

出店していたお店の一部を覗いてみましょう。

リキュールの空き瓶をアップサイクルしたソープボトル。空き缶を容器として再利用したキャンドルもありました。確かに捨てるのにはもったいないデザインの瓶や缶。一工夫でおしゃれなインテリアに変身です。

ヴィンテージのカラフルなスウォッチ。今はもう販売されていないレトロなデザインは、眺めているだけで楽しい!

こちらは、ハイブランドのヴィンテージボタンをペンダントや指輪にアップサイクルしています。

他にも、古いおもちゃやポスターにライトニングを施して新たなアート作品を生み出したり、古着に新たなデザインやロゴを加えたり、様々なアイデアとクリエティビティを駆使したショップが軒を連ねます。もちろんどれもハイセンス。さすがイタリアです。

プラスチックフリーを徹底したフードコート

屋外のフードコートでは、多種多様なファストフードを楽しめます。

気心の知れた友達やカップルで来ていて、みんなアルコールを片手にお喋りしたり音楽に身を任せたり。思い思いに週末の夕べを過ごしています。
ケバブやブリトー、フリットなど、お酒に合うインターナショナルなジャンクフードのお店が多いですが、プラスチックフリーというルールは徹底されていて、紙や植物性の透明容器を使っています。

スタートから9年目を迎えた現在の賑わいを見ると、EAST MARKETがエコロジカルなライフスタイルを若者に浸透させることに成功したことがわかります。ピースフルでクリエイティブな空間に、また足を運びたくなる、そんな素敵な場所でした。

EAST MARKET
Via Mecenate, 88/A, Milan, Italy
https://www.eastmarketmilano.com

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この記事を書いた人

writer

東京で大学卒業後、映像ディレクター職を経て、ヨーロッパやアジアなどを転々と旅する20代を送る。NYへ留学し、その後ミラノに移住。 出産や料理の仕事、ヨガを通して、オーガニック食材や日用品にこだわるようになり、地球環境への意識が高まるきっかけに。

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