女性が生きていく上で多くの人が経験する生理や更年期。それに加え、妊娠・出産などにともない、女性には様々な体の変化が訪れます。
この記事では、女性の間だけでなく、経済界でも話題を集めるフェムテックとはなにか、実際の例を交えてご紹介していきます。
フェムテックとは?
近年女性の社会進出が目覚ましい一方で、女性の特有の生理や更年期などの体調不良により、仕事を休まなければなくなったり、仕事の生産性が落ちてしまうことが多々あります。18歳から49歳までの働く女性の94%は月経に関連した症状によって仕事のパフォーマンスに影響がある、45%はパフォーマンスが半分以下になると回答したとする結果も経済産業省が発表しています[1]。
社会や企業もそのような体調不良に対してケアする動きが高まり、商品やサービスもたくさん誕生しています。
Femtech(フェムテック)は2013年にドイツで生まれた言葉で、Female(女性)とTechnology(技術)をかけ合わせたもの。
テクノロジーの力で、現代女性のヘルスケアをサポートするフェムテックの代表例には、吸水ショーツなどの商品から生理周期の管理アプリなどのサービスが挙げられ、幅広く発展してきています。
フェムテック6つのジャンル
フェムテックは悩みなどに応じて大きく6つのジャンルに分けることができます。
具体的な内容を見ていきましょう。
月経
生理痛や月経前症候群(PMS)により多くの女性が不調を感じています。
ネガティブになりやすい期間を快適に過ごせるよう、低用量ピル、給水ショーツなどの商品や生理周期が管理できるアプリなどが例として挙げられます。
不妊・妊活
妊娠・出産を希望している場合にもフェムテックが役立つことも。代表的なものとして、寝ている間に基礎体温が図れる体温計、卵巣年齢のわかるキット、受精を促すグッズなどがあります。
ウェルネス(女性特有疾患)
女性特有疾患とは、子宮がん、乳がん、子宮内膜症、卵巣腫瘍などを指します。乳がん患者用の下着などが販売されています。
セクシャルウェルネス
セクシャルウェルネスとは、WHO (世界保健機構)が「セクシュアリティに関連する身体的、感情的、精神的、社会的幸福の状態」と定義します。主に、デリケートゾーンのケア商品などが挙げられます。
妊娠・産後
出産前後は母体に大きな負担や変化が現れやすい期間です。母親向けにオンラインでのカウンセリングサポートの他、海外では陣痛などをモニタリングできる商品が登場しています。
更年期
40代~50代にかけて女性ホルモンが減少することによって起きる更年期。当事者とパートナー両方がオンライン上でカウンセリングを受け、良好な関係を保っていこうというオンラインプログラムが話題になっています。
フェムテックのサービスや商品例
フェムテックを活用した取り組みをいくつか紹介します。
TRULY チャット相談
更年期をはじめとし、生理に関する悩みから、出産・妊娠の悩みに至るまで、あらゆる悩みに専門家が答えてくれるオンラインチャットサービス。
個人向けの相談の他、企業の福利厚生としても導入が可能です。
カラダの症状以外にも、パートナーシップやメンタルヘルス分野なども取り扱っています。
チャット相談 | TRULY (truly-japan.com)
スマルナ オンラインピル処方
自宅から医師に相談・ピルの処方までのサービスを提供しています。診察してもらう医師を選べるなど、個人に合わせた処方をしてくれます。
婦人科にかかるのはハードルが高い、病院の待ち時間をなくしたいという人におすすめ。
スマルナ|自宅からスマホで、ピルの相談・診察・処方まで。 (smaluna.com)
経済界でも注目されるフェムテック
女性特有の悩みをテクノロジーで解決していこうというフェムテックは、経済界でも話題を呼んでいます。
世界のフェムテック市場は急成長しており、2025年に500億ドル(5兆5000億)に達すると予想されています。日本国内でもフェムテックによる経済効果は、2025年には年間2兆円市場に成長する見込み[1]で、注目が集まっている分野です。
経済産業省も、女性の就業支援のため、フェムテック分野の補助事業を開始しています。
女性が輝き、自分らしい人生を送るためのフェムテックが脚光を浴びているのです。
フェムテックで女性であることを楽しもう
これまで、女性特有の身体の悩みを大きな声で話すことはタブーとする風潮がありました。
悩みや症状には個人差があり、女性同士であっても相談しにくいことなどから、大きな問題として取り上げられてこなかったのです。
しかし、最近はSNSで誰しもが声を上げやすいような時代になってきたこともあり、盛り上がりを見せるフェムテック業界。
これからどんどんフェムテックが進化することで、女性の生活の質が上がり、身体に起こる変化をポジティブに受け止められるようになっていくことでしょう。
【参考】
令和2年度産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査 報告書(概要版pdf) https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf