サステナブル

  • サステナブル・エシカル通が選ぶ!2022年のBEST BUY ファッション編

    エシカル・サステナブルな界隈で様々な活動している筆者が、「エシカルな買い物」というテーマで2022年のBest Buyをご紹介。1年を通してたくさんの商品に触れた中で、購入して本当に良かったものだけをセレクトしました。雑貨編とファッション編に分け2回にわたりお送りします。今回はファッション編です! Heralbony×Kapok Knotのダウンストール 長年応援している「ヘラルボニー」が「カポックノット」とコラボレーションしたダウンストール。 ここ数年で急成長し露出も増しているのでご存知の方も多いと思いますが、ヘラルボニーは“異彩を放て”をスローガンに、福祉×アートという軸で幅広く活動し、“障害”のある人たちの可能性を切り拓いている企業です。筆者はローンチ間もない頃に出会い、以来ずっと応援しておりイベントやポップアップにも足を運んでいます。 一方、カポックノットは「カポック」という木の実から採れる繊維をダウンのように用いてプロダクトを作っているファッションブランド。従来のダウンに比べ軽く、さらに吸湿発熱機能があるという軽くて温かいアニマルフリーな新素材が特徴です。 その2ブランドがコラボレーションしたダウンストールが、昨年10月下旬に大阪の阪急うめだ本店で開催されたヘラルボニーの催事内でお披露目されました。3色展開されており、筆者が選んだのは「風のロンド」という作品が描かれたベージュのストールです。ちなみに、両社のコラボレーションは一昨年にも一度行われていました。 Heralbony公式HP https://www.heralbony.jp/ Kapok Knot公式HP https://kapok-knot.com/ amaitoのキャップ 鹿児島県、奄美大島の染め職人さんのブランド「あまいと」から購入したキャップ。藍染は有名ですが、泥染はご存じでしょうか? 着物の大島紬を作る際に用いる伝統的な染色技法なのですが、粒子や成分が他とは異なり、奄美の泥でないと出せない風合いがあるそうです。昨年の晩夏にボランティアで参加したチャリティーイベントで、あまいとを展開する一般社団法人Amamiしま作捌繰(あまみしまさばくり) と出会いました。 以前から染色に関心を持っていたので惹かれ、何にするか迷った結果、このキャップを購入。初めにテーチ木(車輪梅)と呼ばれる植物で媒染(ばいせん:染料を繊維に定着させる工程)し、ツバは藍、パネル(ハギ)は藍の部分と泥の部分をそれぞれ筆で色を付けていく。そんな手間がかかった、個性的なキャップがとても気に入っています。 amaito公式HP https://sabakuri.base.shop/ one novaのアンダーウェア 毎年一着買い足している「ワンノバ」のボクサーパンツ。手持ちの数を増やしたくなるほどに良いのです! このオリーブグリーンは昨年5月ころに数量限定で販売されたカラーでした(現在は販売終了)。 立ち上げ当初から「世界一“透明な”パンツ」と掲げ、素材や生産背景を透明化し、丁寧にユーザーに伝えていました。そういったストーリーの面だけではなく、最高の穿き心地もが気に入っていて、自分用に買い足したり、同性におすすめしたりしています。まるで穿いていないのではないかというくらい下着の存在を感じさせません。勝負パンツにしてくれている友人もいます。 昨年8月にリニューアルを行い、メンズのボクサーパンツのみだったラインナップが、ユニセックスのボクサーパンツとウィメンズのブラジャー、ビキニパンツの4種類に増えました。これを男性だけが味わっているのはもったいないと思っていたので、着用できる人の幅が広がったのはファンとして喜ばしい刷新でした。 onenova 公式HPhttps://onenova.jp/ children of the discordance × UGGのブーツ ファッションブランド「children of the discordance(以下、チルドレン)」がムートンブーツで有名な「UGG」とコラボレーションしたブーツ。こちらに関してはエシカルブランドというわけでも、エシカルな売り文句があるものでもありません。ただ、2つのブランドそれぞれに、エシカルなマインドが備わっています。UGGは原料調達やクラフツマンシップを大切にしており、LGBTQ+などのマイノリティの支援も積極的に行っています。チルドレンはアップサイクルやフェアトレードを積極的に取り入れています。大きく打ち出してはいないものの、デザイナーから、生産に携わるすべての人への感謝が伝わってきます。元はデザインが好きで購入していましたが、過去に読んだインタビュー記事でもそのような内容があり、想いと背景を知ってよりファンになりました。ライニング(靴の内側)にウールとリヨセルの2種類の繊維を使用したり、プラスチックフリーでゴミがほとんど出ないような梱包方法であったり、原料選定や包装 からもエシカルマインドを感じられます。 UGG公式HP https://www.ugg.com/jp/ children of the discordance公式HP https://www.childrenofthediscordance.com/ 【番外編】 最後に、番外編として昨年経験した、エシカルな購買体験をシェアします。エシカルファッションの幅を広げる選択肢としてぜひ参考にしてみてください。 RAGTAGのイベントで購入した、ステラマッカートニーのジャケット  昨年ワールド北青山ビルの1Fスペースで開催された、ユーズドセレクトショップ「RAG TAG」とクリエイターとユーザーをつなぐプロジェクト「246st.MARKET」のコラボイベント。そこで購入したのがウィメンズのテーラードジャケットです。(筆者は男性で、本来であればボタンのかけ方が反対ですが、あまり気にせず思い切って購入しました。)  イベントは“GOOD FOR FUTURE”をテーマに、RAGTAGの倉庫にクリエイターが足を運び、商品をセレクトして自身の商品とともに展示販売をするという催しでした。会場にはファッション好きが大勢来場。有名ブランドの新品同様の古着もあり、中には数十万円するものまで…! 古着を購入し、おしゃれを楽しむのも立派なエシカルファッションです。現役で活躍しているクリエイターたちのセンスに触れられる購買体験は、ファッションの楽しさを感じながらエシカルアクションができる面白いイベントだと感じました。 RAGTAG公式HP https://www.ragtag.jp/ 246st.MARKET公式HP https://246stmarket.com/ KEEPWEARINGのプロジェクトで購入したメリノウール100%Tシャツ  楽しく社会問題を解決しようと立ち上がった大学生によるプロジェクト「KEEPWEARING」から、メリノウール100%のTシャツを購入しました。KEEPWEARINGは、昨年の4月1日からの100日間、あるチャレンジを始動。この試みに賛同し、参加してみました。100日間のチャレンジ、それは名前のKEEPWEARING が示す通り、“着続ける”というものです。ウールマークカンパニーが「体温調整」「防臭性」「汚れにくい」「手入れが簡単」などの特徴を示しているように、ウール(羊毛)は、天然の機能性素材。 多くの人は夏も冬も機能性インナーに助けられていると思いますが、機能性インナーは基本的に石油由来の化学繊維を使用していて、洗濯をするとマイクロプラスチックが流れ出てしまうのが難点でした。無洗百人チャレンジと名付けられたプロジェクトでは、100日間洗わずに着続けることで、このウールの特性を再確認し、洗濯という行為について考え直すことができます。 メリノウールの生地は、REDA JAPANが提供。REDAはイタリアのスーツ生地メーカーで、Bコープ認証やグローバルリサイクルスタンダード、ウールマーク認証など数々のエシカルな認証を取得しています。 ファウンダーの宮沢さんに聞いたところ、確認できただけで100人中25人が達成したとのことでした。(筆者は達成しました!)ウールが高機能であっても、そのキャパを引き出してあげるのは、やはり着用者の仕事。脱いだらハンガーに掛ける、スチームをあてる、風通しの良いところに干すなどしていたのですが、100日間臭いは発生しませんでした。プロジェクトに参加してみて、知識として知ってはいたウールの特性を、身をもって体験できた機会になりました。 KEEPWEARING https://keep-wearing.stores.jp/ 2022年のエシカルファッションを振り返って エシカルマインドが根付く魅力的なファッションアイテムが目白押しだった2022年。企業同士のコラボも多く見かけました。 大量消費・大量廃棄を懸念し買うことを躊躇してしまったり、環境や人、動物を傷つけないよう慎重になりすぎてファッションを楽しめていない方もいるかもしれません。しかし、最近はサステナブルでエシカルなブランドがどんどん増えています。ぜひ楽しくエシカルに買い物をするための参考にしてみてください。

  • 不要コスメ、どうしてる?プラスコスメプロジェクトに参加してみた

    みなさんは、不要になったコスメはどうしていますか。まだ使うことができるコスメはなかなか捨てることができずに、ずっと取っておいてしまっている方も多いのではないでしょうか。 PLUS COSME PROJECT(プラスコスメプロジェクト)では不要となったコスメを回収し、画材やクレヨンへアップサイクルする活動を行っています。個人からも不要になったコスメを受け付け中で、不要コスメが実際にどのように生まれ変わるのかご自身で見てもらいたいとの思いから、回収対象のコスメを5点以上送るとお礼にミニクレヨンをもらうことができます。 関連記事:行き場のないコスメの救世主。プラスコスメプロジェクトが描く「クリエイティブな循環」 今回は、実際に不要となったコスメをプラスコスメプロジェクトに送ってみました。気を付けることや実際に送られてきたクレヨンについて詳しくレポートします。 今回送るコスメはアイシャドウなど計8点 今回筆者が送付した不要コスメは、パレットアイシャドウ2点、単色アイシャドウ1点、カラーリップ5点の計8点です。プレゼントで頂いてあまり使う機会がなかったり、使いきれずに使用期限が過ぎてしまったりして、コスメポーチの奥に長い間眠っていました。どれももう使うつもりがないのに、捨ててしまうには何だか罪悪感があり行き場を失ってしまったコスメばかりです。 回収の対象商品は? プラスコスメプロジェクトのコスメ回収に協力したい場合、「どんなコスメを受け付けてくれるの?」「気をつけた方が良いことは?」などの疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。ここでは、回収の対象になるコスメや、注意点など詳しく見ていきます。 回収の対象となるコスメ パウダーファンデーション、粉おしろい、パウダータイプアイシャドウ、パウダータイプチーク、パウダータイプフェイスカラー、ノーズシャドウ、アイライナー、リップライナー、アイブロウ、口紅 ※スキンケア商品、リクィッドやクッションファンデ、クリームタイプのファンデーション、リップグロス、ティント系リップ、透明リップ、透明口紅、マスカラは対象外 注意事項など ・不要コスメはそのままの状態または取り出して中身のみを送付してもOK ・配送費用は自己負担 ちなみに現在は回収対象外ですがリクエストの多いリキッドファンデーションについては、アップサイクル開発中とのことでした。どんな商品ができるのか楽しみですね! コスメを梱包して配送 回収に送りたいコスメを選定したら、送付へと進んでいきましょう。 主な流れは、以下になります。 1.公式サイトの申込フォームより必要事項を記入し、送付案内のメールを受け取る 2.コスメは容器に入ったままか中身を出して小分けにするか、いずれかの方法で梱包する 3. 送付方法に指定はないため送るコスメの量などに合わせて発送方法を決定する 筆者はジッパー付きの袋にコスメを入れ、A4サイズの封筒で、郵便局から発送しました。 約1か月後、ミニクレヨンが送られてきました! 不要コスメを送付してから約1か月後、自宅にピンク色のミニクレヨンが送られてきました。一見すると普通のクレヨンのようですが、ほんのり化粧品の香りが漂ってきました。 クレヨンを手に取ってみると、行き場を失っていたコスメがアップサイクルされたんだという実感がわいていきます。また、同時にこのようなプロジェクトに参加でき嬉しくなりました。 試し描きをしてみると、柔らかく、普通のクレヨンと遜色ないような書き心地。 そして写真では中々伝わりづらいのですが、太めの線や塗りつぶした部分にはコスメならではのラメが控えめにきらっと光ります。「本当にコスメメイドなんだ…!」と実際に使ってみたからこそそれを実感できる瞬間でした。 不要コスメのアップサイクルでワクワクする未来へ コスメの廃棄は、メイクをする人であれば誰しもが関係のある問題です。古くなってしまった、使い切ることができなかったという経験がある方がほとんどだと思います。今までは、「廃棄されるのは仕方ない」という風潮だった不要コスメですが、そんなコスメに新しい命を吹き込むプラスコスメプロジェクトは、まだ使えるものを循環させる新しい選択肢です。使わないコスメを見つけたら、ぜひプロジェクトに参加してみてはいかがでしょうか。 PLUS COSME PROJECT(プラスコスメプロジェクト)https://www.pluscosmeproject.com/

  • 夜パンB&Bカフェが新オープン。枝元なほみさんが目指す「繋がる社会」とは

    協力パン屋から売れ残りそうなパンを引き取って販売する「夜のパン屋さん」。今回、夜のパン屋さんが新しいプロジェクトとして、築150年の古民家「けやきの森の季楽堂」で「夜パンB&Bカフェ」をスタート。 運営を行う、THE BIG ISSUE JapanとMINI JAPANのスローガン「BIG LOVE」からBをとってB&Bと名付けられました。毎月第二土曜日に開催し、カフェに加えて、夜のパン屋さんやマルシェなども出店。「次に来る誰か」のためにランチ代などを先払いできる「お福分け券」の仕組みを整えるなど、金銭的に余裕がない人でも利用しやすいアイデアが取り入れられています。 今回は、夜のパン屋さんを立ち上げた枝元なほみさんに、夜のパン屋さんが目指す「人と人が繋がる社会」についてお話を伺いました。 枝元なほみさんProfile 横浜市生まれ。料理研究家としてテレビや雑誌などで活躍。農業支援活動団体「チームむかご」を立ち上げ、NPO法人「ビッグイシュー基金」の共同代表を務めながら、雑誌「ビッグイシュー日本版」では連載を持つ。2020年にはパン屋さんで廃棄になりそうなパンを救う「夜のパン屋さん」をオープンし話題に。これまで多数の執筆を手掛けており、近著として『捨てない未来 キッチンから、ゆるく、おいしくフードロスを打ち返す』(朝日新聞出版)がある。 枝元なほみさん 公式TwitterNPO法人ビッグイシュー基金公式ホームページ 循環させる大切さを届けたい思いで、夜のパン屋さんをオープン ――はじめに、今回のカフェの元となっている「夜のパン屋さん」をスタートしたいきさつを教えてください。 枝元さん:2019年に私が連載をしている『ビッグイシュー日本版』を発行する「有限会社ビッグイシュー日本」(ホームレスの人の仕事をつくり、生活再建を応援する社会的企業)に篤志家の方から寄付のお申し出があったのですが、「皆さんに配って終わりではなく、何らかの形で循環できるよう使っていただきたい」との要望でした。「新たな仕事の場づくりができないか?」とビッグイシューのスタッフから相談を受けて、夕方まで売り切れなかったパンを街のパン屋さんからお預かりし、それを夜の時間帯に販売することを思いついたのです。破棄になるかもしれなかったパンを、必要としている人に届けるのです。一見あまり関連のないように感じる夜のパン屋さんとビッグイシューですが、ふたつとも「最後のつなぎ役」という役割でリンクしています。 ――夜のパン屋さんの活動は、SDGsの考え方とも深くかかわっていますよね 枝元さん:最近は社会の流れも変わってきて、みなさんが「自分たちもやらなくては」という雰囲気になり、一緒にやりたいと声をかけて下さる方が増えてきました。テレビで夜のパン屋さんを観て協力してくださるパン屋さんもいます。賛同してくださる方が増え、同じ想いを持ってできるのが嬉しいですね。 みんなで環境問題や社会問題解決の意識を持っていけたらと思っています。食べ物が満足に行き渡らない人たちのことや、自然環境のことを、子どもたちと一緒に学び考えながら食べ物をいただくことが大事ではないでしょうか。 「夜パンB&Bカフェ」はお互いを受け入れ合い、交流する場所にしたい ――今回、夜のパン屋さんから発展して「夜パンB&Bカフェ」をオープンするに至った経緯を教えてください。 枝元さん:夜のパン屋さん(以下、夜パン)は東京で2020年10月に始まり、オープンから2年が経ちました。つい最近、札幌にもオープンしたところです。夜パンの運営が軌道に乗り始め、次のステップに進めると感じたときに、色々な人とゆっくり話ができ、交流し合うカフェが出来たらいいなと思いました。そこでできたのが、練馬のけやきの森の季楽堂での「夜パンB&Bカフェ」の構想です。 自動車のMINIが企画する「BIG LOVE ACTION powered by MINI.※1」で支援先に選んでいただいたことで、場所を1年間借りるサポートを受けることができ、実施が可能になりました。カフェの運営パートナーとして、その他のサポートもして下さっています。 (※1)BIG LOVE ACTION powered by MINI. 性別・年齢・国籍にかかわらず、誰もが個性を発揮できる未来の実現を目的としたソーシャル・アントレプレナー支援の企画。世の中を良くするアイデアの中から、サポーターの投票により支援プロジェクトを選定。選ばれた活動に対し、MINI Japanが継続的なサポートを行なう。 カフェは、開放的でありながら温かみのある空間 ――令和の時代とは思えないほど、「夜パンB&Bカフェ」は昭和の古き良き空気を感じます。懐かしい気分になりますね。 枝元さん:古民家だからというのもあると思いますが、誰でも受け入れる雰囲気がありますよね。このカフェは滞在時間に制限はなく、縁側でお茶を飲みながら何時間過ごしても大丈夫です。 イベントでは新鮮な野菜なども販売されている ビッグイシューも協力して年末年始に実施している、生活に困っている人が無料で食事ができる場「年越し大人食堂」では、生活相談を受けたり、炊き出しをしたりしていますが、元気のない男性が多く、女性や小さなお子さん連れの方は食料をもらったらすぐ帰ってしまうことも多いんですよ。でも私はそういう人たちともお話をしたいし、繋がりを持ちたいと思っています。 だからこそ夜パンB&Bカフェでは、誰でも居心地よく過ごせる場所でありたいと思っています。他の人を受け入れ、自分も受け入れてもらい、一緒に時間を共有できるコミュニティが欲しいのです。悩んでいることがあっても、「お茶を飲もうよ」「これを食べね」と声をかけあって繋がり合うことで、人は生きていけるのではないかと思っています。 女性がいきいきと働くことはコミュニティを生み出すきっかけになる ――夜パンではフードロスの問題に取り組まれていますが、女性の働く場所を作ることにも力を入れていらっしゃいますよね。 枝元さん: 夜パンの運営を通して、これからは男性だけでなく女性のできる仕事を増やすことに取り組みたいと思っています。私は幸いなことに仕事をやらせていただいていますが、コロナ禍で女性の貧困や格差の問題が浮き彫りとなり、仕事や住まいをなくした方もたくさんいらっしゃいます。そんななか、コミュニティがあり、その中で「いつでも話せる」関係性が大切だと思っています。例えばシングルマザーでも、コミュニティがあれば子どもの世話も含めて助け合えると思うんです。スタッフには、積極的に「子どもも連れてきてね」と伝えるようにしています。 子どもっているだけで、その場の雰囲気が和らぎますよね。カフェには不登校の男の子が来ていますが、彼はキッチンのサポートを積極的に行っています。アメリカのレモネードスタンド活動のように、子どもがレモネードみたいなものを売ってみても良いですよね。 女性はもちろん、子どもにとっても居場所になれたらいいですね。 「ロス=捨てる」のではなく、命をつなげていくもの 取材時のカフェのメニュー。写真右は里芋の皮を活用し、甘辛く炒めたもの ――カフェのメニューは本来捨てられるものも工夫して調理し、美味しい一皿になっていますよね。食品ロスについてはどうお考えですか? 枝元さん:なにを「ロス」とするかは、人の都合なんですよね。できるだけ「ロス」にするのではなく、命を繋いでいくものとして、どう美味しい料理を作れるかを考えるのはとても楽しいですよ。 料理すると気付くのですが、自分で作ったお弁当よりもコンビニで売っている弁当の方が安いんですよね。でも、自分が作ったものの方が残さず大事に食べられたりします。大量生産、大量廃棄の時代ですが、安さだけでなく、美味しく大事に食べられる方を選んでいくのも大切なのではないでしょうか。 今後も「繋がる」をキーワードに社会を循環させていきたい これからも「繋がり」を築いていきたいと語る枝元さん ――今後はどのようなことに力を入れていきたいですか。 枝元さん:夜のパン屋さんをやってみて思ったのは、「繋がり」が一方通行でなく循環する仕組みが必要だということです。人と人が相互に繋がり、みんなの輪が広がっていく活動をしていきたいです。具体的にはまだわかりませんが、もしかすると繋がりを求めて、食堂を作るということになるかもしれません。 働き方に関しても積極的に新しい取り組みを行っていきたいですね。例えば小さいお子さんがいると働く時間が限られてしまいますが、そのような方も働けるような場所を作っていきたいと思っています。 今回の取材を終えて 今回の取材を通し、不確実な世の中だからこそ悩んでいることを打ち明けるような場が必要であると実感しました。お茶を飲んで一息つける夜パンB&Bカフェは、お金には代えられない安心感が得られ、人と人との繋がりを再確認することができます。このような場所から、誰も取り残されない社会へのヒントが見つかる気がしました。 取材・文 / オダルミコ

  • 政府が目指す「2050年カーボンニュートラル」とは?わかりやすく解説

    カーボンニュートラルは、私たちの住む地球を持続可能なものにしていくためのキーワードの一つです。近年、テレビや新聞で取り上げられることも増え、国や企業を中心にカーボンニュートラルを意識した取り組みが広がっています。こちらの記事では、少し難しいように感じるカーボンニュートラルについて、かみ砕いてわかりやすく解説します。 カーボンニュートラルとは 出典:unsplash.com カーボンニュートラルとは、人の活動が起因となって発生する温室効果ガス(CO2など)の排出量から、植林などによる「吸収量」を差し引き、排出量の合計を実質的に「ゼロ」にすることを指します。 2015年のパリ協定では、世界共通の長期目標として、 ・世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標) ・今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること などが合意されました。 これに伴い、日本を含む120以上の国が2050年までにカーボンニュートラルを達成するために取り組みを始めています。 カーボンニュートラルが必要な理由 出典:unsplash.com 世界では海面上昇や砂漠化、大規模災害、深刻な水不足など、気候変動が人々や生態系に大きな影響を与えています。私たちの住む日本も例外ではなく、埼玉県や群馬県、岐阜県といった内陸の県の夏は異常な暑さとなり、全国的にゲリラ豪雨などによる被害も多く発生しています。 世界の国々が一丸となってカーボンニュートラルを目指す主な理由は、このような気候変動危機を回避することにあります。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、世界で工業化が進んでから、世界の平均気温は約1.1℃上昇しているとされており、人類や地球上の生態系に深刻な影響が出る境界値は工業化からプラス1.5℃と言われており、気温上昇はあと0.4℃に抑える必要があるのです。 持続可能な未来に向けて、今すぐ私たちが取り組まなければならない喫緊の課題である気候変動。気候変動を食い止める一つの策としてカーボンニュートラルの取り組みが求められています。 日本政府も目指す「2050年カーボンニュートラル」 日本では、2020年10月に開かれた臨時国会の所信表明演説において、当時の内閣総理大臣だった菅義偉氏が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指す」という宣言をしました。 日本は、CO2だけに限らず、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを温室効果ガスとして削減することを目指しています。現在国内の温室効果ガスの排出量は、年間12億トンを超えると言われています。「2050年カーボンニュートラル」を確実に進めるために、2030年には温室効果ガスを2013年度の46%削減することを目指し、段階を踏んで達成していくことを宣言しています。 国が進める具体的な取り組み 日本政府はカーボンニュートラルを現実のものとするために、多方面での取り組みを行っています。いくつか具体的な事例を見ていきましょう。 グリーン成長戦略 並大抵の努力では実現が難しい2050年カーボンニュートラル。目標を達成するためには、エネルギー・産業の構造の大きな転換や、投資によるイノベーションが必要となります。積極的に温暖化対策を行うことが成長のチャンスであるという考えのもと、「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策 がグリーン成長戦略です。国は、再生エネルギーの促進をはじめとし、農業やIT産業など14の分野でそれぞれの課題や目標を明記。税金の投入や、規制改革および標準化・国際連携などを通して全面的に企業をサポートします。 ゼロカーボンシティの実現 環境省は、地方公共団体の脱炭素化への取組に対し、情報基盤整備、計画等策定支援、設備等導入を支援しています。2050年カーボンニュートラルを宣言する地方公共団体は増加してきており、2022年12月時点では、800を超える地方公共団体が取り組みを始めています。 脱炭素社会の実現に向けて 国の動きに連動して、国内では脱炭素社会に向けた取り組みを行う大企業が増えてきています。国や企業が脱炭素社会に向けて取り組むインパクトは、社会にとって大変大きいもので、2050年カーボンニュートラルの実現のためには不可欠です。 私たちの生活に関わる企業も取り組みを始めています。そのような企業に注目することが私たち一人ひとりにできるカーボンニュートラルに向けたアクションになってくるでしょう。 【参考】令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)第1部 第2章|資源エネルギー庁国の取組 - 脱炭素ポータル|環境省

  • 【イベント】サステナブルブランドによるデッドストックマルシェが限定開催!

    2023年1月28日~29日、東京・蔵前のカフェでDead Stock Marcheが開催されます。 イベントは、「市場には流通させにくいデッドストック品」をテーマに、サステナブルなこだわりを持つSOLIT!・HIKARI underwear・CACTUS TOKYOの3ブランドが集結。 できる限り環境に負荷かけず、かつ在庫を持たないようにしているサステナブルブランドでも、やむをえず抱えている規格外の製品があります。そんな倉庫で眠っているデッドストック品を、大切に使ってくれる人に届けるための販売会です。 会場は、サーキュラーエコノミーをテーマとする蔵前のカフェ「élab」。ここでしか出会えないアイテムを探しに、ぜひ足を運んでみてくださいね。 【イベント関連ページ】 Keep them AWAKE - Dead Stock Marche (※Peatixリンク) 【イベント日程】 日時:2023年1月28日(土)・1月29日(日) 11時〜18時 場所:élab  所在地:〒111-0054 東京都台東区鳥越2丁目2−7 1階 【出店3ブランド紹介】 SOLIT!障害の有無を超えて自分の体型や好みに合わせて、部位ごとにサイズ・仕様・丈を選択でき、受注生産を行うインクルーシブファッションブランド HIKARI underwearオーガニックコットン100%に天然染料を使用し、締め付けない優しい着心地の下着ブランド CACTUS TOKYOサボテン由来のレザー素材を用いたカバンや財布などのオリジナルアイテムを展開するブランド 関連記事:CACTUS TOKYOの工房見学で触れる、サボテンレザーのポテンシャル

  • フラワーロスを900万本救済。老舗の花屋が私たちの未来に残したいもの

    私たちの人生の節目や日常を豊かに彩ってくれる花。しかし、花が私たちの手元に届くまでに、実はたくさんの花の廃棄「フラワーロス」が存在しているのをご存じでしょうか。今回は、“Leave no flower behind=一輪の花も取り残さない”というモットーで活動を行うスマイルフラワープロジェクトを取材。フラワーロスの問題や、プロジェクトが目指す花のある豊かな社会について話を伺いました。 コロナで明るみに。花の廃棄「フラワーロス」問題 2020年4月、コロナの急速な感染拡大により、緊急事態宣言が発令された。休業要請や行動制限の他、予定されていたイベントがすべて中止になり、社会では多くの「ロス(廃棄)」が発生。その中で大量の生花も行き場を失い、「フラワーロス」という言葉が世の中に広く知れ渡るようになった。 コロナは大きなきっかけだったが、実はそれ以前から農家や花屋の店頭では、たくさんの花が日の目を見ないまま廃棄される現状があった。野菜と同じで花には規格があり、茎の長さが足りない、傷がある、茎が曲がっている、葉っぱが足りないなど、規格に満たないと市場では買い取ってもらえない。さらに、店頭では品揃えを豊富にするため花を多めに仕入れる傾向にあり、すべて売り切れずに鮮度が落ち、廃棄になるものが多くある。 毎年どのくらいの花が廃棄されているかを示すはっきりとしたデータはないものの、規格外により農家で廃棄されてしまう花が6億本以上と総生産数の2~3割、店頭での廃棄は仕入れの3割にのぼり、少なく見積もっても一年に10億本ものフラワーロスがあるとされている。 長年花に携わってきた企業として花のある文化を未来に残したい スマイルフラワープロジェクトは、コロナをきっかけにフラワーロスを救済する活動を本格化。今まで900万本を超える花を救ってきただけでなく、フラワーロスについて知ってもらう活動を精力的に行っている。 このプロジェクトを先導しているのは、東京や富山、大阪を拠点に花屋を展開する業界有数のグループ会社だ。 「花の命を一本も無駄にしないために、農家とお客さんを繋ぐ花屋としてできることをしていきたいと思っています。」プロジェクトを立ち上げた株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーションの大槻さんは言う。「弊社では創業以来、一輪の花も無駄にしないよう、割引などをして売り切り、それでも残ってしまった場合は茎や葉を堆肥にするなどの工夫をしてきましたが、スマイルフラワープロジェクトではさらに踏み込んでフラワーロスの問題にアプローチしています。コロナで行き場を失ってしまった花を救うことを目標にスタートしたプロジェクトですが、今では農家さんの協力をいただきながら、これまで廃棄が当然とされてきた『規格外』の花も価値あるものとして世に送り出しています。」 花農家と一緒にフラワーロスゼロを目指す プロジェクトではロスのない生産流通を確立するために生産者とコミュニケーションを重ね、これまで廃棄されることが業界の通例であった「規格外」の花を買い取ってECサイトで販売をしている。これは業界初の試みだ。 また、花は適正価格で購入することで、農家をサポートできる仕組みになっている。スタート当初、農家では産地のブランドイメージを守るためにロスを公にしたがらないところも多かったが、今は賛同してくれる農家が増えてきているという。 品質、生産量ともに日本一の浜松PCガーベラ。スタート当初からプロジェクトに賛同している 実際にスマイルフラワープロジェクトで販売されている花は、小さな傷がある、少し曲がっている程度で、規格外と言っても自宅で楽しむ分には何の問題もない。購入者からも産地から届く新鮮な花は好評を得ている。 さらに、大槻さんはフラワーロスのアップサイクルを推進するため、花染花馥研究所(はなそめはなふくけんきゅうじょ)を設立。花を使った染色やインクの製造をはじめ、同グループのバラ専門店ROSE GALLERYの香り高いバラからはローズウォーターを抽出。それを配合したルームフレグランス「re:ROSE」を販売するなど、まさに、花一輪、一滴も無駄にしないためにできることを日々研究している。 フラワーロスを知らなかった人に花を届ける スマイルフラワープロジェクトでは、フラワーロスを知ってもらうイベントも積極的に実施している。 上智大学のキャンパスでは、フラワーロスの存在を若い世代に知ってもらいたいと、学生と一緒に規格外の花を配るイベントを開催。当日は用意していた500本の花をあっという間に配り終え、急遽フラワーカーの装飾として使用した500本もブーケとして配り大盛況に終わった。 また、航空会社JALとタッグを組んで、朝採れの「規格外」の花を羽田空港へ空輸し、空港利用者に配布。フラワーロスを知ってもらうのと同時に、日本各地の産地と都会を結び、地方創生につなげたい思いがあった。花を受け取った人からは、「フラワーロスのことを初めて知ったが、とても綺麗で嬉しい」と、多くの喜びの声が聞かれた。 上智大学でのイベントには長蛇の列ができた さらには「フラワーライフ振興協議会」を設立し、世界遺産や国宝を会場にフラワーイベントを実施したり、富山で球根を育てるために切り落とされてしまうチューリップ30万輪を使ってフラワーカーペットを作るなど、全国でフラワーロスや花の魅力を知ってもらう活動を行っている。 “花も人と同じ、一輪も取り残したくない” 「活動を通して、ひとの心に寄り添い笑顔にしてくれるお花の力は思う以上のものがあると何度も勇気づけられてきました。私たちが一人ひとり個性を持っているのと同じように、姿かたちの個性も含めて一輪の花も無駄にすることなく活かしてゆきたいと思っています。」と大槻さんは話す。 花農家は、後継者不足で存続が厳しいところが多く、コロナをはじめ社会の情勢によって花の価格が急落してしまうリスクを常に抱え、課題はフラワーロスの削減だけではない。 もし、世の中から花がなくなってしまったら、私たちの生活から彩りが失われてしまうのではないだろうか。 フラワースマイルプロジェクトはこれからも農家と一緒になって、花のある豊かな文化を未来に残していきたいと考えている。 取材を通して~花の命を無駄にしないために私たちにできること フラワーロスの話を聞いてまず驚いたのが1年に10億本と言われる廃棄される花の数だ。その数から、私たちの手元に届く花は厳しい基準をクリアした完璧な花であることに改めて気が付かされる。私たちにできることはまずフラワーロスという問題を知ること。それだけでも規格外の花をインターネットで探してみたり、数日前に作られ店頭で安くなっているブーケを購入したりするきっかけになるのではないかと思う。 スマイルフラワープロジェクトhttps://jfc.thebase.in/フラワーロスのサブスクリプションhttps://flover-s.jp/

  • 人のための社会づくり。日本と世界の都市のソーシャルデザイン事例

    みんなが住みやすい社会を作っていくためのソーシャルデザイン。近年国内外で、人にフォーカスした社会づくりや街づくりが活発になっています。今回は、国内・海外から注目のソーシャルデザイン事例をピックアップ。もともとあった場所をどんな世代の人でも使えるようにバリアフリーにすることでみんなが集まれる場所へとリニューアルしたり、人と自然が共存できる場所を作ったりと、アイデアに溢れた場所がどんどん増えてきています。各地でどんな取り組みが進んでいるのか見ていきましょう。 関連記事:https://rootus.net/article/1490 日本のソーシャルデザイン事例3選 アーティストが提案する憩いの場「HIROPPA」(長崎県波佐見町) この投稿をInstagramで見る 有限会社マルヒロ(@maruhiro.hasami)がシェアした投稿 「HIROPPA(ヒロッパ)」は、磁器づくりの歴史がある波佐見町に拠点を構え、波佐見焼の食器や雑貨を販売する企業、マルヒロが2021年10月にオープンした複合施設です。敷地内には国内外のアーティストが手がける作品が点在しているのが特徴です。芝生をメインとした公園を中心とした施設には、コーヒーショップやマルヒロの直営店、キオスクを併設。ベビーカーや車椅子でも回れるよう、バリアフリーの通路を完備するなど、老若男女どんな人でも楽しめるコミュニティースペースとなっています。また、子どもたちに自由に遊びを楽しんで欲しいとい願いから、公園には一般的な遊具はあえて設置していません。廃棄予定の波佐見焼を利用した白い「砂浜」など、気軽に地域の伝統に触れられる工夫が随所に施されています。 マルヒロ公式サイト https://www.hasamiyaki.jp/ HIROPPA公式サイト https://hiroppa.hasamiyaki.jp/ 子どもも大歓迎のくつろげる空間にリニューアル(滋賀県立美術館) この投稿をInstagramで見る 滋賀県立美術館SMoA(@shigamuseum)がシェアした投稿 1984年に開館した滋賀県立近代美術館。時代の変化に合わせて、敷居の高いイメージだった美術館から、どんな人も広く受け入れる「くつろげる美術館」を目指し、大幅な改修を経て、2021年6月に滋賀県立美術館としてリニューアルオープンしました。ガラス張りの大きな窓から光が降り注ぐ、明るいキッズスペースには様々な空間設計がされています。琵琶湖をイメージしたという柔らかなフォルムのプレイマットの傍に本棚を設置し、遊びながら自然にアートと触れ合うことのできる仕掛けを施したり、椅子と机は低めにすることで乳児~小学生までの使用を可能にしています。また、授乳室のあるファミリールームやファミリートイレも完備。大人の楽しむ場所のイメージが強い美術館が、幅広い年代の集う空間へと生まれ変わりました。 公式サイト https://www.shigamuseum.jp/ 企業と警察が一緒に課題を解決(広島県尾道市) おのみちサイクルポリス隊員が,サイクルイベント「グラン・ツール・せとうち2022」で,参加者に法令遵守と交通事故防止を呼びかけました。5月は「自転車マナーアップ強化月間」です。交通ルールの遵守とマナーの向上を目指しましょう。「自転車も ルールを守る ドライバー」【#尾道警察署】 pic.twitter.com/dsQpTLojkh— 広島県警察(公式) (@HP_maplekun) April 27, 2022 広島県尾道市は、しまなみ海道のサイクリングの拠点となっており、レンタサイクルやサイクリストのための施設などが充実する「サイクリストの聖地」。コロナ以前は年間30万超のサイクリストが訪れていましたが、来訪者の一部にはマナーやモラルに欠ける行為もあり、地元住民を悩ませていました。尾道サイクリング協会は、2017年10月、事故防止とマナー啓発に役立てて欲しいとの願いを込めて、尾道署へポリス特別仕様の自転車5台を寄贈。フラットバーを採用したハンドルや、誘導灯、サイドミラーを装備するなど警察官が使いやすいデザインとなっていて、坂道の多い尾道でも乗りやすいよう設計されています。高い機能性を備えた自転車でパトロールする「サイクルポリス隊」は、尾道のまちづくりを支えるシンボル的存在です。 海外のソーシャルデザイン事例3選 使われなくなった街の電話ボックスを現代風にアップグレード(中国・上海) スマートフォンの普及により現代人には馴染みの薄い存在になりつつある公衆電話。上海では、使われずに街の中でスペースを取っていた公衆電話ボックスを、誰もが使えるスペースに改修する取り組みが行われています。目に飛び込んでくるのはビビッドなオレンジに塗りつくされた内装。かつての電話ボックスは個室タイプですが、再生後は歩道側の壁をなくし、誰でも座れるパブリックスペースに生まれ変わりました。イス、テーブルにフリーWi-Fiと充実の設備で、カフェさながらのつくりに。公衆電話の機能を残しながらも、現代にマッチしたスペースは街の人たちに有効利用されています。 公式サイト https://100architects.com/project/orange-phonebooths/ 人々が気軽に集まれる都市型デザインの移動式空間(チェコ) この投稿をInstagramで見る KOGAA(@kogaa_studio)がシェアした投稿 都市は華やかで活気がある一方、人々の孤立も生む一面も合わせ持っています。チェコのデザイン事務所が提案するのは、都市空間の活用されていないスペースに「移動式」のパブリックスペースを作り、街を活気づけるアイデアです。屋根のない円形型の移動式建築「AIR SQUARE」にはベンチが備え付けてあり、人々の憩いの場として活用され、イベントやファーマーズマーケットとしても使用可能。上部リングにはヒートアイランド対策として熱を和らげる効果がある他、夜間には照明の役割を担い、街の安全性に貢献します。どんな人も気兼ねなく使えるようにバリアフリーに設計されています。 公式サイト https://www.kogaa.eu/projects/air-square 野鳥とサステナブルを体験する宿泊施設(スウェーデン・ハラッズ) この投稿をInstagramで見る Treehotel(@treehotel)がシェアした投稿 Biosphereは野鳥保護を目的としてスウェーデンの宿泊施設「Treehotel」内に作られた客室です。ホテルのコンセプトはサステナビリティと自然環境を楽しむこと。総数340個の鳥の巣箱が、木の上に建てられた客室を360度ぐるっと囲むように設置され、客が鳥たちの住まいにお邪魔させてもらっているかのようなユニークなデザインに。鳥たちの生息地で暮らす体験を通して、サステナビリティへの新たな知見を得ることができ、人々の癒しにも繋がります。 公式サイト https://treehotel.se/en/rooms/the-biosphere 世界的に広がりをみせるソーシャルデザイン 国内外のソーシャルデザイン事例を紹介しました。世界的にも人が暮らしやすい街づくりは注目されており、さらには自然保護も掛け合わせて、新たなアイデアが次々と誕生しています。より良い社会を作るのに欠かせないソーシャルデザイン。みなさんもぜひ身の回りのソーシャルデザインを探してみませんか。

  • フードマイレージとは?買い物するときに注目したいポイントを解説

    皆さんは食材を買う際にどのような点チェックしますか。持続可能な食の未来を考えるとき、まず確認しておきたいのが、食材の原産地です。本記事では、買い物をするときに取り入れたいアイデア、「フードマイレージ」について解説します。 フードマイレージとは 出典:unsplash.com フードマイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標のことです。地産地消を進めて環境負荷を減らそうとイギリスで広がった「フードマイルズ運動」を参考に、20年前に日本の農林水産省農林水産政策研究所が提唱しました。 フードマイレージの計算方法 出典:pexels.com フードマイレージの計算式は簡単で、以下の方法で算出できます。 フードマイレージ=「食料の輸送量(t)」×「輸送距離(km)」 ※単位はt・km(トン・キロメートル) フードマイレージは、数値が大きければ大きいほど、購入者と生産地が離れていることを表します。食品が私たちの食卓に並ぶまでには、輸送のプロセスを経ていて、移動や品質保持のため、石油などのエネルギーが使われ、CO2が排出されているのです。つまり生産地と食卓の距離が長ければ長いほど、環境に負荷をかけているということになります。 フードマイレージが小さい食材のメリット フードマイレージが小さい食材のメリットは、運送コストがほとんどかからず、地球環境に与える負荷が少ない点です。生産地から食卓までの輸送距離が短いと、CO2の排出を最小限に抑えることができます。同じ食材を選ぶのであれば、地元や近くの生産地で収穫された食材の方が、環境に優しいのです。また、国内で生産されたものを選ぶことは食料自給率の向上にも繋がり、これは持続可能な食の在り方に欠かせません。 日本のフードマイレージ 農林水産省が公開した「令和3年度食料需給表」の資料によると、近年の日本の食料自給率は4割に満たない数値が続いており、欧米と比べても明らかに低いということがわかります。 出典:農林水産省大臣官房政策課 食料安全保障室 令和3年度食料需給表(pdf) また、農林水産省では、主要国のフードマイレージに関するデータも公開しています。 グラフを見てもわかるとおり、食料自給率が低い日本は食料を海外に依存しているということもあり、フードマイレージの数値が極めて高いという結果となっています。 出典:「フード・マイレージ」について - 農林水産省(pdf) この2つのデータやグラフから見てもわかるとおり、私たちが普段食べている食材の多くは輸入に頼っており、食卓に並ぶまでには大きな環境負荷がかかっていることが見て取れるでしょう。 フードマイレージのデメリット 出典:pexels.com 食材が生産地から食卓に並ぶまでの環境負荷などがわかるフードマイレージですが、留意しなければならない点もあります。まず、フードマイレージの指標は、食品の輸送に限定されているという点です。例えば生産段階でどのくらいCO2が排出されているかなどは考慮されていません。そのため、単純に海外で作られたものの方が国産に比べて環境負荷が高いとは言い切れないのです。どのくらい環境に負荷がかかっているのかは、生産から総合的に見なければなりません。また、輸送手段によってCO2の排出量は異なるという点も留意したいところです。トラックよりも船の方がCO2排出量は格段に少ないですが、これはフードマイレージには反映されていません。 以上のように、簡単に算出できるフードマイレージだけでは総合的な環境負荷は判断しきれません。しかし簡単だからこそイメージがしやすく、私たち消費者が買い物をする上でアクションに結び付けやすいのではないでしょうか。フードマイレージも含め、食材がどのように作られて、どのように私たちの元にやってきたのか、生産や輸送の背景を知ることが大切なのです。 フードマイレージの小さいものを選ぶには 出典:unsplash.com フードマイレージが小さいものを選ぶポイントは以下のとおりです。 ・生産地をチェックする ・住んでいる地域の特産品をリサーチする ・食材を選ぶときは外国産ではなく、なるべく国産を選ぶ 他にも近くで開催されているファーマーズマーケットなどに足を運んでみるのもおすすめです。直接生産者から地元野菜を購入できるメリットがあり、生産の背景を知ることができます。 関連記事:【都内近郊18選】生産者に会えるファーマーズマーケットに行こう 私たちが普段触れている食料になかには、コーヒーやアボカドなど国内で生産していない食料があり、すべての食料を環境負荷の少ないものに切り替えることは難しいのが現状です。 しかし、一人ひとりが地元や国内で手に入る食料を知り、フードマイレージを小さくしようとする意識の積み重ねで、環境への影響が変わってきます。食料の選び方のひとつにフードマイレージを取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • 世界中が注目。豊かな社会へ導くチェンジメーカー7人

    各国が抱える経済格差や貧困、環境汚染などの解決すべき課題。世界にはそんな時代に一石を投じるチェンジメーカーがいます。今回は私たちの社会にインパクトを与え、新たな波を起こしたチェンジメーカーをご紹介します。 チェンジメーカーとは 出典:unsplash.com チェンジメーカーとは、ビジネスや活動を通して社会の課題解決にチャレンジし、新しい風を吹き込むような人を指します。時代によって社会の課題は異なるので、チェンジメーカーと呼ばれる人の定義も社会の状況によって変化するものですが、今日の社会では、チェンジメーカー=社会起業家のようなイメージもあり、物質的な豊かさではなく精神的な豊かさを求め、貧困や環境問題などに取り組む人が支持を得ています。 世界のチェンジメーカー7人 社会にソーシャルグッドなインパクトを与えるだけでなく、私たち個人にも新しい発想をもたらしてくれるチェンジメーカー。 今回は、世界的に大きな影響を与える現代のチェンジメーカー7人をピックアップしました。 ホセ・ムヒカ氏 ホセ・ムヒカ氏は、ウルグアイの元大統領です。2012年にブラジル・リオデジャネイロでの国連会議で大量消費社会を痛烈に批判し、人類にとって本当の「幸せ」とは何かを訴えたスピーチで一躍有名になりました。貧困をなくす政策を推し進めた大統領時代には、自身の給料の9割を寄付。大統領公邸には住まず、郊外の質素な家で妻と生活していたことから、敬愛の念を込めて「世界でいちばん貧しい大統領」とも呼ばれ、過去には日本でもドキュメンタリー映画が上映されました。ウルグアイだけでなく世界中にファンの多い元大統領です。 ムハマド・ユヌス氏 ムハマド・ユヌス氏は、バングラデシュ出身の経済学者であり、実業家です。貧困の根絶を目指し、1983年に無担保小口貸付を行うグラミン銀行を創設。生活に困難な人たちの自立支援に尽力しました。2006年にはグラミン銀行とともに、ノーベル平和賞を受賞。無担保小口貸付の仕組みはマイクロ・クレジットと呼ばれ、それを取り入れたマイクロ・クレジット・バンクが、60カ国以上の国で設立されています。日本でも、ユヌス氏のビジネスモデルをベースに「一般社団法人グラミン日本」が、シングルマザーを中心とした支援を行っています。ユヌス氏はそれまで難しいとされてきた貧困の根本的解決に挑み、その仕組みが世界に大きな影響を与えているのです。 ケイト・ラワース氏 ケイト・ラワース氏は、イギリス出身の経済学者です。自身の著書『ドーナツ経済学が地球を救う』では、地球を気候変動から守りつつ、貧困や格差を解消していく経済活動のモデルを「ドーナツ」型の図にしたことで多くの人たちから注目を集めました。これまで社会が当たり前に追い求めてきた成長ではなく、持続可能な繁栄の社会を作ることを提案しています。その持続可能なモデルは、各国の自治体からも支持を受け、オランダのアムステルダムでは市をあげてドーナツ型の経済のかたちを目指しています。 セリーナ・ユール氏  セリーナ・ユール氏は、ロシア出身で現在はデンマークで活動する食品ロス問題の専門家であり、NGO団体「Stop Wasting Food movement Denmark」の設立者です。デンマークで目の当たりにした大量の食品廃棄に疑問を持ち、2008年にフェイスブックページでグループを作ってロスをなくす運動を開始。スーパーなどに声をかけ、無駄が出やすい食品のまとめ売りをなくすところから始めました。政府も彼女の活動に賛同し、メディアが取り上げ始め、協力者はまたたくまに増加。2013年までの5年間でデンマーク国内の食品廃棄量を25%削減するのに大きく貢献しました。 マララ・ユスフザイ氏 マララ・ユスフザイ氏は、史上最年少でノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の人道活動家です。女性教育弾圧に反対活動をしたことでタリバンから銃撃を受けながらも、女性が教育を受ける権利を全世界に訴え続けました。その努力が認められ、パキスタンでは初めて無償で義務教育を受けられる権利を盛り込んだ法案を可決。また、「マララ基金」を設立し、すべての女子が平等に教育を受けられるよう活動をしています。著書には『武器より一冊の本をください:少女マララ・ユスフザイの祈り』があり、彼女の半生を綴ったドキュメンタリー映画も制作されています。 斎藤幸平氏 斎藤幸平氏は、日本の哲学者であり、経済思想家(マルクス主義者)です。歴代最年少でマルクス研究者の最高権威『ドイッチャー記念賞』を受賞した自身の著書『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』では、温暖化、異常気象などの問題を抱える資本主義の構造を批判し、私たちはどうあるべきかを説いています。新書大賞を獲得した2021年の著書『人新世の「資本論」』も、今地球上で起きている問題を自分事としてとらえながら読み進めることができる、おすすめの一冊です。NHKの番組などメディアでも活躍する斎藤氏。持続可能な未来に向けて真剣に取り組む姿勢と、わかりやすい説明にファンが増え続けています。 小林りん氏 小林りん氏は、学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(以下、UWC ISAK Japan)の代表理事であり、2013年に日経ビジネスが選ぶ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した方です。留学中に経験したメキシコでの貧困問題や、国際児童基金(ユニセフ)でフィリピンのストリートチルドレンの教育支援に携わったことから、この社会の仕組みを変えていくリーダーシップ教育の必要性を実感。2014年に軽井沢に全寮制インターナショナルスクールUWC ISAK Japanを開校しました。国籍も育ってきた環境も異なる生徒は、チェンジメーカーを育てるための実践的な授業を受けるだけでなく、ダイバーシティの中で生きるということを、身を持って経験しています。 チェンジメーカーからインスピレーションを 出典:unsplash.com 世界や社会を大きく動かしているチェンジメーカー。たとえ自分が直接その影響を受けることがなくても、彼らの思想を学ぶだけで大きな刺激になります。今私たちが直面するたくさんの課題。チェンジメーカーを手本に、一人ひとりが真剣に地球の未来について考えなくてはいけないフェーズにきているのかも知れません。今回ご紹介した7人については、書籍や映画もあり、インターネットなどでも情報を集められるので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

  • 行き場のないコスメの救世主。プラスコスメプロジェクトが描く「クリエイティブな循環」

    洋服の大量廃棄問題は耳にすることも多くなりましたが、実は同じく深刻なのがコスメの廃棄です。洋服と同じく、流行などに左右されやすいコスメは、使いきれずに捨てられてしまうケースも珍しくありません。 今回は、“コスメを通じてクリエイティブな循環を実現させたい”そんな想いのもと、不要になった化粧品を回収し画材として新たに生まれ変わらせる取り組みを行う、PLUS COSME PROJECT(プラスコスメプロジェクト)を取材しました。 コスメのアップサイクルとは? 子どもたちによる自由で想像力豊かなアート。これは、コスメから作られた画材を使って描かれた作品です。コスメが元から持っている色味や質感を生かすことで、画材として魅力あるものに生まれ変わります。捨てられるはずだったものが新たな価値を持ち、生まれ変わるというコスメのアップサイクルは、まだ使えるものを再利用することで廃棄を減らすことはもちろん、コスメの廃棄問題を広く知ってもらうという大きな役割を担っています。 プラスコスメプロジェクトのアンケート調査によると、女性80名のうち6割が化粧品を使いきれずに捨てた経験があると回答。コスメの廃棄問題は、私たちにとって身近な問題なのです。 始まりは化粧品の大量廃棄に疑問を持ったこと 「化粧品の廃棄問題を知ったのは、以前化粧品会社に勤務していた時でした。中身が残ったままの化粧品が大量に廃棄されていくのを見て、化粧品業界のサステナビリティを考えるようになりました。自分自身もコスメのテスターやサンプルをどのように処分したらよいか困っていたんです。」そう話すのは、プラスコスメプロジェクト代表の坂口翠さん。当時、スキンケア化粧品のボトルをリサイクルする動きはあったものの、コスメそのものをリサイクルするという選択肢はなく、不要になったたくさんのコスメが行き場を失い、廃棄になっていたのです。 坂口さんは、化粧品業界の環境問題やサステナビリティを学ぶために、大学院へ入学。化粧品リサイクルなどの研究をスタート。2012年には、メイクアップコスメを画材へアップサイクルするプラスコスメプロジェクトの活動を開始しました。 プラスコスメプロジェクト代表の坂口翠さん 活動を行っていてよく聞くようになったのが「余ったコスメを廃棄することができず、とても困っていた。このように再活用してもらえると嬉しい」という人々の声です。協力企業からも「廃棄するものなので是非とも活用してもらいたい」と賛同の声が上がっています。 コスメならではのカラー。アップサイクルクレヨンができるまで プラスコスメプロジェクトのアップサイクルはメイクアップコスメを集めることから始まります。個人で不要になったコスメの他に、化粧品メーカーや商業施設、団体からも不要コスメを回収。回収したコスメはまず、容器から残っている化粧品を取り出します。それを色ごとに分別し、蜜蝋などの材料と混ぜ合わせ、クレヨンが出来上がります。メイクアップコスメが持っているラメなどの質感もそのままクレヨンに引き継がれるので、これまでのクレヨンとは違った色味を楽しむことができるのが特徴です。また、アップサイクルクレヨンは安全認証機関でも安全テストを受けているので、安心して使用することができます。 アートを楽しむことがコスメの廃棄問題を知ることに繋がる プロジェクトでは、アートイベントやアーティストへの画材提供を行い、アート活動をサポートする取り組みも行っています。他にも地域密着型の化粧品店で、不要コスメから絵具を作るワークショップなども開催。クリエイティブな時間を楽しんでもらいながら、コスメの廃棄問題についても知ってもらいたいという思いがあります。プラスコスメプロジェクトは、不要になってしまったコスメとアートを楽しむ人々をつなぎ、コスメのサステナビリティ意識を広める役割も果たしているのです。 プラスコスメプロジェクトの見つめる未来 これまで受注制作がメインでしたが、今プラスコスメプロジェクトでは、クレヨンを販売する計画が進んでいます。坂口さんが2012年にプロジェクトを開始したときに思い描いていたものが現実のものになっているそうです。コスメを回収してからクレヨンが完成するまで全てを手作業で行っているため、回収量が多いときは製作が追い付かないという苦労もありながら、坂口さんは活動に確かな手ごたえを感じています。「コスメを廃棄することに悩んだり、罪悪感を抱く人も少なくありません。そんな中でプロジェクトに取り組んでいると、行き場のないコスメを再活用してもらえることに感謝され、想いに賛同してくれる方も多くいらっしゃいます。国内外のアートイベントで活用されている報告や、応援の声が大きな原動力となっています。」また、コスメを捨てるのに罪悪感を持っている人のためにもなりたいと話します。 「ご縁があって手元にはやってきたものの、どうしても使うことができず、不要になってしまった残ったままの化粧品。その化粧品が新たな形で再利用されれば、手放す際の“小さなわだかまり(ストレス)”も少し軽くなるのではないでしょうか。それは心の中の健やかさや美しさにもつながっていくのではないかと思っています。」 プラスコスメプロジェクトは、誰でも簡単に参加することができます。「現在は郵送でも不要コスメ回収を受け付けておりますので、是非ともご一報ください! 皆様の代わりにアップサイクルさせて頂きます。また画材提供先として不要コスメで作品を描いてくださるアーティストさんも随時募集しております。今後この活動が必要なくなった時は、本当の意味で化粧品のサステナブルな仕組みが実現したときだと思っております。」 ポップアートアーティストへ画材を提供した際、廃棄されるはずだったコスメが画材として絵画に変化していく様子を見て、感動を覚えたという坂口さん。アーティストへの提供を通じて日本のサスティナブルアート文化を盛り上げていきたいこと、絵本作家と協力し子どもたちと一緒に地球環境を考える絵本を製作したいことなど、坂口さんは色彩豊かな未来を描いています。 <編集後記> コスメを使いきることができず廃棄した経験や、ポーチで眠ったままにしている方は多いのではないでしょうか。筆者にもそんな経験があり、不要になったコスメの活用方法があることを多くの方に知ってもらいたいという思いから今回プラスコスメプロジェクトさんを取材させて頂きました。コスメを使う人々や企業、アーティスト、子どもたちを巻き込みながら、不要コスメから始まる循環の輪はますます広がりを見せてゆくでしょう。10年目を迎えたプラスコスメプロジェクト。今後の活動にも期待したいと思います! 【PLUS COSME PROJECT】公式サイト https://www.pluscosmeproject.com/Instagram公式アカウント https://www.instagram.com/pluscosmeproject/

  • サステナブル・エシカル通が選ぶ!2022年のBEST BUY ファッション編

    エシカル・サステナブルな界隈で様々な活動している筆者が、「エシカルな買い物」というテーマで2022年のBest Buyをご紹介。1年を通してたくさんの商品に触れた中で、購入して本当に良かったものだけをセレクトしました。雑貨編とファッション編に分け2回にわたりお送りします。今回はファッション編です! Heralbony×Kapok Knotのダウンストール 長年応援している「ヘラルボニー」が「カポックノット」とコラボレーションしたダウンストール。 ここ数年で急成長し露出も増しているのでご存知の方も多いと思いますが、ヘラルボニーは“異彩を放て”をスローガンに、福祉×アートという軸で幅広く活動し、“障害”のある人たちの可能性を切り拓いている企業です。筆者はローンチ間もない頃に出会い、以来ずっと応援しておりイベントやポップアップにも足を運んでいます。 一方、カポックノットは「カポック」という木の実から採れる繊維をダウンのように用いてプロダクトを作っているファッションブランド。従来のダウンに比べ軽く、さらに吸湿発熱機能があるという軽くて温かいアニマルフリーな新素材が特徴です。 その2ブランドがコラボレーションしたダウンストールが、昨年10月下旬に大阪の阪急うめだ本店で開催されたヘラルボニーの催事内でお披露目されました。3色展開されており、筆者が選んだのは「風のロンド」という作品が描かれたベージュのストールです。ちなみに、両社のコラボレーションは一昨年にも一度行われていました。 Heralbony公式HP https://www.heralbony.jp/ Kapok Knot公式HP https://kapok-knot.com/ amaitoのキャップ 鹿児島県、奄美大島の染め職人さんのブランド「あまいと」から購入したキャップ。藍染は有名ですが、泥染はご存じでしょうか? 着物の大島紬を作る際に用いる伝統的な染色技法なのですが、粒子や成分が他とは異なり、奄美の泥でないと出せない風合いがあるそうです。昨年の晩夏にボランティアで参加したチャリティーイベントで、あまいとを展開する一般社団法人Amamiしま作捌繰(あまみしまさばくり) と出会いました。 以前から染色に関心を持っていたので惹かれ、何にするか迷った結果、このキャップを購入。初めにテーチ木(車輪梅)と呼ばれる植物で媒染(ばいせん:染料を繊維に定着させる工程)し、ツバは藍、パネル(ハギ)は藍の部分と泥の部分をそれぞれ筆で色を付けていく。そんな手間がかかった、個性的なキャップがとても気に入っています。 amaito公式HP https://sabakuri.base.shop/ one novaのアンダーウェア 毎年一着買い足している「ワンノバ」のボクサーパンツ。手持ちの数を増やしたくなるほどに良いのです! このオリーブグリーンは昨年5月ころに数量限定で販売されたカラーでした(現在は販売終了)。 立ち上げ当初から「世界一“透明な”パンツ」と掲げ、素材や生産背景を透明化し、丁寧にユーザーに伝えていました。そういったストーリーの面だけではなく、最高の穿き心地もが気に入っていて、自分用に買い足したり、同性におすすめしたりしています。まるで穿いていないのではないかというくらい下着の存在を感じさせません。勝負パンツにしてくれている友人もいます。 昨年8月にリニューアルを行い、メンズのボクサーパンツのみだったラインナップが、ユニセックスのボクサーパンツとウィメンズのブラジャー、ビキニパンツの4種類に増えました。これを男性だけが味わっているのはもったいないと思っていたので、着用できる人の幅が広がったのはファンとして喜ばしい刷新でした。 onenova 公式HPhttps://onenova.jp/ children of the discordance × UGGのブーツ ファッションブランド「children of the discordance(以下、チルドレン)」がムートンブーツで有名な「UGG」とコラボレーションしたブーツ。こちらに関してはエシカルブランドというわけでも、エシカルな売り文句があるものでもありません。ただ、2つのブランドそれぞれに、エシカルなマインドが備わっています。UGGは原料調達やクラフツマンシップを大切にしており、LGBTQ+などのマイノリティの支援も積極的に行っています。チルドレンはアップサイクルやフェアトレードを積極的に取り入れています。大きく打ち出してはいないものの、デザイナーから、生産に携わるすべての人への感謝が伝わってきます。元はデザインが好きで購入していましたが、過去に読んだインタビュー記事でもそのような内容があり、想いと背景を知ってよりファンになりました。ライニング(靴の内側)にウールとリヨセルの2種類の繊維を使用したり、プラスチックフリーでゴミがほとんど出ないような梱包方法であったり、原料選定や包装 からもエシカルマインドを感じられます。 UGG公式HP https://www.ugg.com/jp/ children of the discordance公式HP https://www.childrenofthediscordance.com/ 【番外編】 最後に、番外編として昨年経験した、エシカルな購買体験をシェアします。エシカルファッションの幅を広げる選択肢としてぜひ参考にしてみてください。 RAGTAGのイベントで購入した、ステラマッカートニーのジャケット  昨年ワールド北青山ビルの1Fスペースで開催された、ユーズドセレクトショップ「RAG TAG」とクリエイターとユーザーをつなぐプロジェクト「246st.MARKET」のコラボイベント。そこで購入したのがウィメンズのテーラードジャケットです。(筆者は男性で、本来であればボタンのかけ方が反対ですが、あまり気にせず思い切って購入しました。)  イベントは“GOOD FOR FUTURE”をテーマに、RAGTAGの倉庫にクリエイターが足を運び、商品をセレクトして自身の商品とともに展示販売をするという催しでした。会場にはファッション好きが大勢来場。有名ブランドの新品同様の古着もあり、中には数十万円するものまで…! 古着を購入し、おしゃれを楽しむのも立派なエシカルファッションです。現役で活躍しているクリエイターたちのセンスに触れられる購買体験は、ファッションの楽しさを感じながらエシカルアクションができる面白いイベントだと感じました。 RAGTAG公式HP https://www.ragtag.jp/ 246st.MARKET公式HP https://246stmarket.com/ KEEPWEARINGのプロジェクトで購入したメリノウール100%Tシャツ  楽しく社会問題を解決しようと立ち上がった大学生によるプロジェクト「KEEPWEARING」から、メリノウール100%のTシャツを購入しました。KEEPWEARINGは、昨年の4月1日からの100日間、あるチャレンジを始動。この試みに賛同し、参加してみました。100日間のチャレンジ、それは名前のKEEPWEARING が示す通り、“着続ける”というものです。ウールマークカンパニーが「体温調整」「防臭性」「汚れにくい」「手入れが簡単」などの特徴を示しているように、ウール(羊毛)は、天然の機能性素材。 多くの人は夏も冬も機能性インナーに助けられていると思いますが、機能性インナーは基本的に石油由来の化学繊維を使用していて、洗濯をするとマイクロプラスチックが流れ出てしまうのが難点でした。無洗百人チャレンジと名付けられたプロジェクトでは、100日間洗わずに着続けることで、このウールの特性を再確認し、洗濯という行為について考え直すことができます。 メリノウールの生地は、REDA JAPANが提供。REDAはイタリアのスーツ生地メーカーで、Bコープ認証やグローバルリサイクルスタンダード、ウールマーク認証など数々のエシカルな認証を取得しています。 ファウンダーの宮沢さんに聞いたところ、確認できただけで100人中25人が達成したとのことでした。(筆者は達成しました!)ウールが高機能であっても、そのキャパを引き出してあげるのは、やはり着用者の仕事。脱いだらハンガーに掛ける、スチームをあてる、風通しの良いところに干すなどしていたのですが、100日間臭いは発生しませんでした。プロジェクトに参加してみて、知識として知ってはいたウールの特性を、身をもって体験できた機会になりました。 KEEPWEARING https://keep-wearing.stores.jp/ 2022年のエシカルファッションを振り返って エシカルマインドが根付く魅力的なファッションアイテムが目白押しだった2022年。企業同士のコラボも多く見かけました。 大量消費・大量廃棄を懸念し買うことを躊躇してしまったり、環境や人、動物を傷つけないよう慎重になりすぎてファッションを楽しめていない方もいるかもしれません。しかし、最近はサステナブルでエシカルなブランドがどんどん増えています。ぜひ楽しくエシカルに買い物をするための参考にしてみてください。

  • 不要コスメ、どうしてる?プラスコスメプロジェクトに参加してみた

    みなさんは、不要になったコスメはどうしていますか。まだ使うことができるコスメはなかなか捨てることができずに、ずっと取っておいてしまっている方も多いのではないでしょうか。 PLUS COSME PROJECT(プラスコスメプロジェクト)では不要となったコスメを回収し、画材やクレヨンへアップサイクルする活動を行っています。個人からも不要になったコスメを受け付け中で、不要コスメが実際にどのように生まれ変わるのかご自身で見てもらいたいとの思いから、回収対象のコスメを5点以上送るとお礼にミニクレヨンをもらうことができます。 関連記事:行き場のないコスメの救世主。プラスコスメプロジェクトが描く「クリエイティブな循環」 今回は、実際に不要となったコスメをプラスコスメプロジェクトに送ってみました。気を付けることや実際に送られてきたクレヨンについて詳しくレポートします。 今回送るコスメはアイシャドウなど計8点 今回筆者が送付した不要コスメは、パレットアイシャドウ2点、単色アイシャドウ1点、カラーリップ5点の計8点です。プレゼントで頂いてあまり使う機会がなかったり、使いきれずに使用期限が過ぎてしまったりして、コスメポーチの奥に長い間眠っていました。どれももう使うつもりがないのに、捨ててしまうには何だか罪悪感があり行き場を失ってしまったコスメばかりです。 回収の対象商品は? プラスコスメプロジェクトのコスメ回収に協力したい場合、「どんなコスメを受け付けてくれるの?」「気をつけた方が良いことは?」などの疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。ここでは、回収の対象になるコスメや、注意点など詳しく見ていきます。 回収の対象となるコスメ パウダーファンデーション、粉おしろい、パウダータイプアイシャドウ、パウダータイプチーク、パウダータイプフェイスカラー、ノーズシャドウ、アイライナー、リップライナー、アイブロウ、口紅 ※スキンケア商品、リクィッドやクッションファンデ、クリームタイプのファンデーション、リップグロス、ティント系リップ、透明リップ、透明口紅、マスカラは対象外 注意事項など ・不要コスメはそのままの状態または取り出して中身のみを送付してもOK ・配送費用は自己負担 ちなみに現在は回収対象外ですがリクエストの多いリキッドファンデーションについては、アップサイクル開発中とのことでした。どんな商品ができるのか楽しみですね! コスメを梱包して配送 回収に送りたいコスメを選定したら、送付へと進んでいきましょう。 主な流れは、以下になります。 1.公式サイトの申込フォームより必要事項を記入し、送付案内のメールを受け取る 2.コスメは容器に入ったままか中身を出して小分けにするか、いずれかの方法で梱包する 3. 送付方法に指定はないため送るコスメの量などに合わせて発送方法を決定する 筆者はジッパー付きの袋にコスメを入れ、A4サイズの封筒で、郵便局から発送しました。 約1か月後、ミニクレヨンが送られてきました! 不要コスメを送付してから約1か月後、自宅にピンク色のミニクレヨンが送られてきました。一見すると普通のクレヨンのようですが、ほんのり化粧品の香りが漂ってきました。 クレヨンを手に取ってみると、行き場を失っていたコスメがアップサイクルされたんだという実感がわいていきます。また、同時にこのようなプロジェクトに参加でき嬉しくなりました。 試し描きをしてみると、柔らかく、普通のクレヨンと遜色ないような書き心地。 そして写真では中々伝わりづらいのですが、太めの線や塗りつぶした部分にはコスメならではのラメが控えめにきらっと光ります。「本当にコスメメイドなんだ…!」と実際に使ってみたからこそそれを実感できる瞬間でした。 不要コスメのアップサイクルでワクワクする未来へ コスメの廃棄は、メイクをする人であれば誰しもが関係のある問題です。古くなってしまった、使い切ることができなかったという経験がある方がほとんどだと思います。今までは、「廃棄されるのは仕方ない」という風潮だった不要コスメですが、そんなコスメに新しい命を吹き込むプラスコスメプロジェクトは、まだ使えるものを循環させる新しい選択肢です。使わないコスメを見つけたら、ぜひプロジェクトに参加してみてはいかがでしょうか。 PLUS COSME PROJECT(プラスコスメプロジェクト)https://www.pluscosmeproject.com/

  • 夜パンB&Bカフェが新オープン。枝元なほみさんが目指す「繋がる社会」とは

    協力パン屋から売れ残りそうなパンを引き取って販売する「夜のパン屋さん」。今回、夜のパン屋さんが新しいプロジェクトとして、築150年の古民家「けやきの森の季楽堂」で「夜パンB&Bカフェ」をスタート。 運営を行う、THE BIG ISSUE JapanとMINI JAPANのスローガン「BIG LOVE」からBをとってB&Bと名付けられました。毎月第二土曜日に開催し、カフェに加えて、夜のパン屋さんやマルシェなども出店。「次に来る誰か」のためにランチ代などを先払いできる「お福分け券」の仕組みを整えるなど、金銭的に余裕がない人でも利用しやすいアイデアが取り入れられています。 今回は、夜のパン屋さんを立ち上げた枝元なほみさんに、夜のパン屋さんが目指す「人と人が繋がる社会」についてお話を伺いました。 枝元なほみさんProfile 横浜市生まれ。料理研究家としてテレビや雑誌などで活躍。農業支援活動団体「チームむかご」を立ち上げ、NPO法人「ビッグイシュー基金」の共同代表を務めながら、雑誌「ビッグイシュー日本版」では連載を持つ。2020年にはパン屋さんで廃棄になりそうなパンを救う「夜のパン屋さん」をオープンし話題に。これまで多数の執筆を手掛けており、近著として『捨てない未来 キッチンから、ゆるく、おいしくフードロスを打ち返す』(朝日新聞出版)がある。 枝元なほみさん 公式TwitterNPO法人ビッグイシュー基金公式ホームページ 循環させる大切さを届けたい思いで、夜のパン屋さんをオープン ――はじめに、今回のカフェの元となっている「夜のパン屋さん」をスタートしたいきさつを教えてください。 枝元さん:2019年に私が連載をしている『ビッグイシュー日本版』を発行する「有限会社ビッグイシュー日本」(ホームレスの人の仕事をつくり、生活再建を応援する社会的企業)に篤志家の方から寄付のお申し出があったのですが、「皆さんに配って終わりではなく、何らかの形で循環できるよう使っていただきたい」との要望でした。「新たな仕事の場づくりができないか?」とビッグイシューのスタッフから相談を受けて、夕方まで売り切れなかったパンを街のパン屋さんからお預かりし、それを夜の時間帯に販売することを思いついたのです。破棄になるかもしれなかったパンを、必要としている人に届けるのです。一見あまり関連のないように感じる夜のパン屋さんとビッグイシューですが、ふたつとも「最後のつなぎ役」という役割でリンクしています。 ――夜のパン屋さんの活動は、SDGsの考え方とも深くかかわっていますよね 枝元さん:最近は社会の流れも変わってきて、みなさんが「自分たちもやらなくては」という雰囲気になり、一緒にやりたいと声をかけて下さる方が増えてきました。テレビで夜のパン屋さんを観て協力してくださるパン屋さんもいます。賛同してくださる方が増え、同じ想いを持ってできるのが嬉しいですね。 みんなで環境問題や社会問題解決の意識を持っていけたらと思っています。食べ物が満足に行き渡らない人たちのことや、自然環境のことを、子どもたちと一緒に学び考えながら食べ物をいただくことが大事ではないでしょうか。 「夜パンB&Bカフェ」はお互いを受け入れ合い、交流する場所にしたい ――今回、夜のパン屋さんから発展して「夜パンB&Bカフェ」をオープンするに至った経緯を教えてください。 枝元さん:夜のパン屋さん(以下、夜パン)は東京で2020年10月に始まり、オープンから2年が経ちました。つい最近、札幌にもオープンしたところです。夜パンの運営が軌道に乗り始め、次のステップに進めると感じたときに、色々な人とゆっくり話ができ、交流し合うカフェが出来たらいいなと思いました。そこでできたのが、練馬のけやきの森の季楽堂での「夜パンB&Bカフェ」の構想です。 自動車のMINIが企画する「BIG LOVE ACTION powered by MINI.※1」で支援先に選んでいただいたことで、場所を1年間借りるサポートを受けることができ、実施が可能になりました。カフェの運営パートナーとして、その他のサポートもして下さっています。 (※1)BIG LOVE ACTION powered by MINI. 性別・年齢・国籍にかかわらず、誰もが個性を発揮できる未来の実現を目的としたソーシャル・アントレプレナー支援の企画。世の中を良くするアイデアの中から、サポーターの投票により支援プロジェクトを選定。選ばれた活動に対し、MINI Japanが継続的なサポートを行なう。 カフェは、開放的でありながら温かみのある空間 ――令和の時代とは思えないほど、「夜パンB&Bカフェ」は昭和の古き良き空気を感じます。懐かしい気分になりますね。 枝元さん:古民家だからというのもあると思いますが、誰でも受け入れる雰囲気がありますよね。このカフェは滞在時間に制限はなく、縁側でお茶を飲みながら何時間過ごしても大丈夫です。 イベントでは新鮮な野菜なども販売されている ビッグイシューも協力して年末年始に実施している、生活に困っている人が無料で食事ができる場「年越し大人食堂」では、生活相談を受けたり、炊き出しをしたりしていますが、元気のない男性が多く、女性や小さなお子さん連れの方は食料をもらったらすぐ帰ってしまうことも多いんですよ。でも私はそういう人たちともお話をしたいし、繋がりを持ちたいと思っています。 だからこそ夜パンB&Bカフェでは、誰でも居心地よく過ごせる場所でありたいと思っています。他の人を受け入れ、自分も受け入れてもらい、一緒に時間を共有できるコミュニティが欲しいのです。悩んでいることがあっても、「お茶を飲もうよ」「これを食べね」と声をかけあって繋がり合うことで、人は生きていけるのではないかと思っています。 女性がいきいきと働くことはコミュニティを生み出すきっかけになる ――夜パンではフードロスの問題に取り組まれていますが、女性の働く場所を作ることにも力を入れていらっしゃいますよね。 枝元さん: 夜パンの運営を通して、これからは男性だけでなく女性のできる仕事を増やすことに取り組みたいと思っています。私は幸いなことに仕事をやらせていただいていますが、コロナ禍で女性の貧困や格差の問題が浮き彫りとなり、仕事や住まいをなくした方もたくさんいらっしゃいます。そんななか、コミュニティがあり、その中で「いつでも話せる」関係性が大切だと思っています。例えばシングルマザーでも、コミュニティがあれば子どもの世話も含めて助け合えると思うんです。スタッフには、積極的に「子どもも連れてきてね」と伝えるようにしています。 子どもっているだけで、その場の雰囲気が和らぎますよね。カフェには不登校の男の子が来ていますが、彼はキッチンのサポートを積極的に行っています。アメリカのレモネードスタンド活動のように、子どもがレモネードみたいなものを売ってみても良いですよね。 女性はもちろん、子どもにとっても居場所になれたらいいですね。 「ロス=捨てる」のではなく、命をつなげていくもの 取材時のカフェのメニュー。写真右は里芋の皮を活用し、甘辛く炒めたもの ――カフェのメニューは本来捨てられるものも工夫して調理し、美味しい一皿になっていますよね。食品ロスについてはどうお考えですか? 枝元さん:なにを「ロス」とするかは、人の都合なんですよね。できるだけ「ロス」にするのではなく、命を繋いでいくものとして、どう美味しい料理を作れるかを考えるのはとても楽しいですよ。 料理すると気付くのですが、自分で作ったお弁当よりもコンビニで売っている弁当の方が安いんですよね。でも、自分が作ったものの方が残さず大事に食べられたりします。大量生産、大量廃棄の時代ですが、安さだけでなく、美味しく大事に食べられる方を選んでいくのも大切なのではないでしょうか。 今後も「繋がる」をキーワードに社会を循環させていきたい これからも「繋がり」を築いていきたいと語る枝元さん ――今後はどのようなことに力を入れていきたいですか。 枝元さん:夜のパン屋さんをやってみて思ったのは、「繋がり」が一方通行でなく循環する仕組みが必要だということです。人と人が相互に繋がり、みんなの輪が広がっていく活動をしていきたいです。具体的にはまだわかりませんが、もしかすると繋がりを求めて、食堂を作るということになるかもしれません。 働き方に関しても積極的に新しい取り組みを行っていきたいですね。例えば小さいお子さんがいると働く時間が限られてしまいますが、そのような方も働けるような場所を作っていきたいと思っています。 今回の取材を終えて 今回の取材を通し、不確実な世の中だからこそ悩んでいることを打ち明けるような場が必要であると実感しました。お茶を飲んで一息つける夜パンB&Bカフェは、お金には代えられない安心感が得られ、人と人との繋がりを再確認することができます。このような場所から、誰も取り残されない社会へのヒントが見つかる気がしました。 取材・文 / オダルミコ

  • 政府が目指す「2050年カーボンニュートラル」とは?わかりやすく解説

    カーボンニュートラルは、私たちの住む地球を持続可能なものにしていくためのキーワードの一つです。近年、テレビや新聞で取り上げられることも増え、国や企業を中心にカーボンニュートラルを意識した取り組みが広がっています。こちらの記事では、少し難しいように感じるカーボンニュートラルについて、かみ砕いてわかりやすく解説します。 カーボンニュートラルとは 出典:unsplash.com カーボンニュートラルとは、人の活動が起因となって発生する温室効果ガス(CO2など)の排出量から、植林などによる「吸収量」を差し引き、排出量の合計を実質的に「ゼロ」にすることを指します。 2015年のパリ協定では、世界共通の長期目標として、 ・世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標) ・今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること などが合意されました。 これに伴い、日本を含む120以上の国が2050年までにカーボンニュートラルを達成するために取り組みを始めています。 カーボンニュートラルが必要な理由 出典:unsplash.com 世界では海面上昇や砂漠化、大規模災害、深刻な水不足など、気候変動が人々や生態系に大きな影響を与えています。私たちの住む日本も例外ではなく、埼玉県や群馬県、岐阜県といった内陸の県の夏は異常な暑さとなり、全国的にゲリラ豪雨などによる被害も多く発生しています。 世界の国々が一丸となってカーボンニュートラルを目指す主な理由は、このような気候変動危機を回避することにあります。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、世界で工業化が進んでから、世界の平均気温は約1.1℃上昇しているとされており、人類や地球上の生態系に深刻な影響が出る境界値は工業化からプラス1.5℃と言われており、気温上昇はあと0.4℃に抑える必要があるのです。 持続可能な未来に向けて、今すぐ私たちが取り組まなければならない喫緊の課題である気候変動。気候変動を食い止める一つの策としてカーボンニュートラルの取り組みが求められています。 日本政府も目指す「2050年カーボンニュートラル」 日本では、2020年10月に開かれた臨時国会の所信表明演説において、当時の内閣総理大臣だった菅義偉氏が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指す」という宣言をしました。 日本は、CO2だけに限らず、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを温室効果ガスとして削減することを目指しています。現在国内の温室効果ガスの排出量は、年間12億トンを超えると言われています。「2050年カーボンニュートラル」を確実に進めるために、2030年には温室効果ガスを2013年度の46%削減することを目指し、段階を踏んで達成していくことを宣言しています。 国が進める具体的な取り組み 日本政府はカーボンニュートラルを現実のものとするために、多方面での取り組みを行っています。いくつか具体的な事例を見ていきましょう。 グリーン成長戦略 並大抵の努力では実現が難しい2050年カーボンニュートラル。目標を達成するためには、エネルギー・産業の構造の大きな転換や、投資によるイノベーションが必要となります。積極的に温暖化対策を行うことが成長のチャンスであるという考えのもと、「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策 がグリーン成長戦略です。国は、再生エネルギーの促進をはじめとし、農業やIT産業など14の分野でそれぞれの課題や目標を明記。税金の投入や、規制改革および標準化・国際連携などを通して全面的に企業をサポートします。 ゼロカーボンシティの実現 環境省は、地方公共団体の脱炭素化への取組に対し、情報基盤整備、計画等策定支援、設備等導入を支援しています。2050年カーボンニュートラルを宣言する地方公共団体は増加してきており、2022年12月時点では、800を超える地方公共団体が取り組みを始めています。 脱炭素社会の実現に向けて 国の動きに連動して、国内では脱炭素社会に向けた取り組みを行う大企業が増えてきています。国や企業が脱炭素社会に向けて取り組むインパクトは、社会にとって大変大きいもので、2050年カーボンニュートラルの実現のためには不可欠です。 私たちの生活に関わる企業も取り組みを始めています。そのような企業に注目することが私たち一人ひとりにできるカーボンニュートラルに向けたアクションになってくるでしょう。 【参考】令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)第1部 第2章|資源エネルギー庁国の取組 - 脱炭素ポータル|環境省

  • 【イベント】サステナブルブランドによるデッドストックマルシェが限定開催!

    2023年1月28日~29日、東京・蔵前のカフェでDead Stock Marcheが開催されます。 イベントは、「市場には流通させにくいデッドストック品」をテーマに、サステナブルなこだわりを持つSOLIT!・HIKARI underwear・CACTUS TOKYOの3ブランドが集結。 できる限り環境に負荷かけず、かつ在庫を持たないようにしているサステナブルブランドでも、やむをえず抱えている規格外の製品があります。そんな倉庫で眠っているデッドストック品を、大切に使ってくれる人に届けるための販売会です。 会場は、サーキュラーエコノミーをテーマとする蔵前のカフェ「élab」。ここでしか出会えないアイテムを探しに、ぜひ足を運んでみてくださいね。 【イベント関連ページ】 Keep them AWAKE - Dead Stock Marche (※Peatixリンク) 【イベント日程】 日時:2023年1月28日(土)・1月29日(日) 11時〜18時 場所:élab  所在地:〒111-0054 東京都台東区鳥越2丁目2−7 1階 【出店3ブランド紹介】 SOLIT!障害の有無を超えて自分の体型や好みに合わせて、部位ごとにサイズ・仕様・丈を選択でき、受注生産を行うインクルーシブファッションブランド HIKARI underwearオーガニックコットン100%に天然染料を使用し、締め付けない優しい着心地の下着ブランド CACTUS TOKYOサボテン由来のレザー素材を用いたカバンや財布などのオリジナルアイテムを展開するブランド 関連記事:CACTUS TOKYOの工房見学で触れる、サボテンレザーのポテンシャル

  • フラワーロスを900万本救済。老舗の花屋が私たちの未来に残したいもの

    私たちの人生の節目や日常を豊かに彩ってくれる花。しかし、花が私たちの手元に届くまでに、実はたくさんの花の廃棄「フラワーロス」が存在しているのをご存じでしょうか。今回は、“Leave no flower behind=一輪の花も取り残さない”というモットーで活動を行うスマイルフラワープロジェクトを取材。フラワーロスの問題や、プロジェクトが目指す花のある豊かな社会について話を伺いました。 コロナで明るみに。花の廃棄「フラワーロス」問題 2020年4月、コロナの急速な感染拡大により、緊急事態宣言が発令された。休業要請や行動制限の他、予定されていたイベントがすべて中止になり、社会では多くの「ロス(廃棄)」が発生。その中で大量の生花も行き場を失い、「フラワーロス」という言葉が世の中に広く知れ渡るようになった。 コロナは大きなきっかけだったが、実はそれ以前から農家や花屋の店頭では、たくさんの花が日の目を見ないまま廃棄される現状があった。野菜と同じで花には規格があり、茎の長さが足りない、傷がある、茎が曲がっている、葉っぱが足りないなど、規格に満たないと市場では買い取ってもらえない。さらに、店頭では品揃えを豊富にするため花を多めに仕入れる傾向にあり、すべて売り切れずに鮮度が落ち、廃棄になるものが多くある。 毎年どのくらいの花が廃棄されているかを示すはっきりとしたデータはないものの、規格外により農家で廃棄されてしまう花が6億本以上と総生産数の2~3割、店頭での廃棄は仕入れの3割にのぼり、少なく見積もっても一年に10億本ものフラワーロスがあるとされている。 長年花に携わってきた企業として花のある文化を未来に残したい スマイルフラワープロジェクトは、コロナをきっかけにフラワーロスを救済する活動を本格化。今まで900万本を超える花を救ってきただけでなく、フラワーロスについて知ってもらう活動を精力的に行っている。 このプロジェクトを先導しているのは、東京や富山、大阪を拠点に花屋を展開する業界有数のグループ会社だ。 「花の命を一本も無駄にしないために、農家とお客さんを繋ぐ花屋としてできることをしていきたいと思っています。」プロジェクトを立ち上げた株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーションの大槻さんは言う。「弊社では創業以来、一輪の花も無駄にしないよう、割引などをして売り切り、それでも残ってしまった場合は茎や葉を堆肥にするなどの工夫をしてきましたが、スマイルフラワープロジェクトではさらに踏み込んでフラワーロスの問題にアプローチしています。コロナで行き場を失ってしまった花を救うことを目標にスタートしたプロジェクトですが、今では農家さんの協力をいただきながら、これまで廃棄が当然とされてきた『規格外』の花も価値あるものとして世に送り出しています。」 花農家と一緒にフラワーロスゼロを目指す プロジェクトではロスのない生産流通を確立するために生産者とコミュニケーションを重ね、これまで廃棄されることが業界の通例であった「規格外」の花を買い取ってECサイトで販売をしている。これは業界初の試みだ。 また、花は適正価格で購入することで、農家をサポートできる仕組みになっている。スタート当初、農家では産地のブランドイメージを守るためにロスを公にしたがらないところも多かったが、今は賛同してくれる農家が増えてきているという。 品質、生産量ともに日本一の浜松PCガーベラ。スタート当初からプロジェクトに賛同している 実際にスマイルフラワープロジェクトで販売されている花は、小さな傷がある、少し曲がっている程度で、規格外と言っても自宅で楽しむ分には何の問題もない。購入者からも産地から届く新鮮な花は好評を得ている。 さらに、大槻さんはフラワーロスのアップサイクルを推進するため、花染花馥研究所(はなそめはなふくけんきゅうじょ)を設立。花を使った染色やインクの製造をはじめ、同グループのバラ専門店ROSE GALLERYの香り高いバラからはローズウォーターを抽出。それを配合したルームフレグランス「re:ROSE」を販売するなど、まさに、花一輪、一滴も無駄にしないためにできることを日々研究している。 フラワーロスを知らなかった人に花を届ける スマイルフラワープロジェクトでは、フラワーロスを知ってもらうイベントも積極的に実施している。 上智大学のキャンパスでは、フラワーロスの存在を若い世代に知ってもらいたいと、学生と一緒に規格外の花を配るイベントを開催。当日は用意していた500本の花をあっという間に配り終え、急遽フラワーカーの装飾として使用した500本もブーケとして配り大盛況に終わった。 また、航空会社JALとタッグを組んで、朝採れの「規格外」の花を羽田空港へ空輸し、空港利用者に配布。フラワーロスを知ってもらうのと同時に、日本各地の産地と都会を結び、地方創生につなげたい思いがあった。花を受け取った人からは、「フラワーロスのことを初めて知ったが、とても綺麗で嬉しい」と、多くの喜びの声が聞かれた。 上智大学でのイベントには長蛇の列ができた さらには「フラワーライフ振興協議会」を設立し、世界遺産や国宝を会場にフラワーイベントを実施したり、富山で球根を育てるために切り落とされてしまうチューリップ30万輪を使ってフラワーカーペットを作るなど、全国でフラワーロスや花の魅力を知ってもらう活動を行っている。 “花も人と同じ、一輪も取り残したくない” 「活動を通して、ひとの心に寄り添い笑顔にしてくれるお花の力は思う以上のものがあると何度も勇気づけられてきました。私たちが一人ひとり個性を持っているのと同じように、姿かたちの個性も含めて一輪の花も無駄にすることなく活かしてゆきたいと思っています。」と大槻さんは話す。 花農家は、後継者不足で存続が厳しいところが多く、コロナをはじめ社会の情勢によって花の価格が急落してしまうリスクを常に抱え、課題はフラワーロスの削減だけではない。 もし、世の中から花がなくなってしまったら、私たちの生活から彩りが失われてしまうのではないだろうか。 フラワースマイルプロジェクトはこれからも農家と一緒になって、花のある豊かな文化を未来に残していきたいと考えている。 取材を通して~花の命を無駄にしないために私たちにできること フラワーロスの話を聞いてまず驚いたのが1年に10億本と言われる廃棄される花の数だ。その数から、私たちの手元に届く花は厳しい基準をクリアした完璧な花であることに改めて気が付かされる。私たちにできることはまずフラワーロスという問題を知ること。それだけでも規格外の花をインターネットで探してみたり、数日前に作られ店頭で安くなっているブーケを購入したりするきっかけになるのではないかと思う。 スマイルフラワープロジェクトhttps://jfc.thebase.in/フラワーロスのサブスクリプションhttps://flover-s.jp/

  • 人のための社会づくり。日本と世界の都市のソーシャルデザイン事例

    みんなが住みやすい社会を作っていくためのソーシャルデザイン。近年国内外で、人にフォーカスした社会づくりや街づくりが活発になっています。今回は、国内・海外から注目のソーシャルデザイン事例をピックアップ。もともとあった場所をどんな世代の人でも使えるようにバリアフリーにすることでみんなが集まれる場所へとリニューアルしたり、人と自然が共存できる場所を作ったりと、アイデアに溢れた場所がどんどん増えてきています。各地でどんな取り組みが進んでいるのか見ていきましょう。 関連記事:https://rootus.net/article/1490 日本のソーシャルデザイン事例3選 アーティストが提案する憩いの場「HIROPPA」(長崎県波佐見町) この投稿をInstagramで見る 有限会社マルヒロ(@maruhiro.hasami)がシェアした投稿 「HIROPPA(ヒロッパ)」は、磁器づくりの歴史がある波佐見町に拠点を構え、波佐見焼の食器や雑貨を販売する企業、マルヒロが2021年10月にオープンした複合施設です。敷地内には国内外のアーティストが手がける作品が点在しているのが特徴です。芝生をメインとした公園を中心とした施設には、コーヒーショップやマルヒロの直営店、キオスクを併設。ベビーカーや車椅子でも回れるよう、バリアフリーの通路を完備するなど、老若男女どんな人でも楽しめるコミュニティースペースとなっています。また、子どもたちに自由に遊びを楽しんで欲しいとい願いから、公園には一般的な遊具はあえて設置していません。廃棄予定の波佐見焼を利用した白い「砂浜」など、気軽に地域の伝統に触れられる工夫が随所に施されています。 マルヒロ公式サイト https://www.hasamiyaki.jp/ HIROPPA公式サイト https://hiroppa.hasamiyaki.jp/ 子どもも大歓迎のくつろげる空間にリニューアル(滋賀県立美術館) この投稿をInstagramで見る 滋賀県立美術館SMoA(@shigamuseum)がシェアした投稿 1984年に開館した滋賀県立近代美術館。時代の変化に合わせて、敷居の高いイメージだった美術館から、どんな人も広く受け入れる「くつろげる美術館」を目指し、大幅な改修を経て、2021年6月に滋賀県立美術館としてリニューアルオープンしました。ガラス張りの大きな窓から光が降り注ぐ、明るいキッズスペースには様々な空間設計がされています。琵琶湖をイメージしたという柔らかなフォルムのプレイマットの傍に本棚を設置し、遊びながら自然にアートと触れ合うことのできる仕掛けを施したり、椅子と机は低めにすることで乳児~小学生までの使用を可能にしています。また、授乳室のあるファミリールームやファミリートイレも完備。大人の楽しむ場所のイメージが強い美術館が、幅広い年代の集う空間へと生まれ変わりました。 公式サイト https://www.shigamuseum.jp/ 企業と警察が一緒に課題を解決(広島県尾道市) おのみちサイクルポリス隊員が,サイクルイベント「グラン・ツール・せとうち2022」で,参加者に法令遵守と交通事故防止を呼びかけました。5月は「自転車マナーアップ強化月間」です。交通ルールの遵守とマナーの向上を目指しましょう。「自転車も ルールを守る ドライバー」【#尾道警察署】 pic.twitter.com/dsQpTLojkh— 広島県警察(公式) (@HP_maplekun) April 27, 2022 広島県尾道市は、しまなみ海道のサイクリングの拠点となっており、レンタサイクルやサイクリストのための施設などが充実する「サイクリストの聖地」。コロナ以前は年間30万超のサイクリストが訪れていましたが、来訪者の一部にはマナーやモラルに欠ける行為もあり、地元住民を悩ませていました。尾道サイクリング協会は、2017年10月、事故防止とマナー啓発に役立てて欲しいとの願いを込めて、尾道署へポリス特別仕様の自転車5台を寄贈。フラットバーを採用したハンドルや、誘導灯、サイドミラーを装備するなど警察官が使いやすいデザインとなっていて、坂道の多い尾道でも乗りやすいよう設計されています。高い機能性を備えた自転車でパトロールする「サイクルポリス隊」は、尾道のまちづくりを支えるシンボル的存在です。 海外のソーシャルデザイン事例3選 使われなくなった街の電話ボックスを現代風にアップグレード(中国・上海) スマートフォンの普及により現代人には馴染みの薄い存在になりつつある公衆電話。上海では、使われずに街の中でスペースを取っていた公衆電話ボックスを、誰もが使えるスペースに改修する取り組みが行われています。目に飛び込んでくるのはビビッドなオレンジに塗りつくされた内装。かつての電話ボックスは個室タイプですが、再生後は歩道側の壁をなくし、誰でも座れるパブリックスペースに生まれ変わりました。イス、テーブルにフリーWi-Fiと充実の設備で、カフェさながらのつくりに。公衆電話の機能を残しながらも、現代にマッチしたスペースは街の人たちに有効利用されています。 公式サイト https://100architects.com/project/orange-phonebooths/ 人々が気軽に集まれる都市型デザインの移動式空間(チェコ) この投稿をInstagramで見る KOGAA(@kogaa_studio)がシェアした投稿 都市は華やかで活気がある一方、人々の孤立も生む一面も合わせ持っています。チェコのデザイン事務所が提案するのは、都市空間の活用されていないスペースに「移動式」のパブリックスペースを作り、街を活気づけるアイデアです。屋根のない円形型の移動式建築「AIR SQUARE」にはベンチが備え付けてあり、人々の憩いの場として活用され、イベントやファーマーズマーケットとしても使用可能。上部リングにはヒートアイランド対策として熱を和らげる効果がある他、夜間には照明の役割を担い、街の安全性に貢献します。どんな人も気兼ねなく使えるようにバリアフリーに設計されています。 公式サイト https://www.kogaa.eu/projects/air-square 野鳥とサステナブルを体験する宿泊施設(スウェーデン・ハラッズ) この投稿をInstagramで見る Treehotel(@treehotel)がシェアした投稿 Biosphereは野鳥保護を目的としてスウェーデンの宿泊施設「Treehotel」内に作られた客室です。ホテルのコンセプトはサステナビリティと自然環境を楽しむこと。総数340個の鳥の巣箱が、木の上に建てられた客室を360度ぐるっと囲むように設置され、客が鳥たちの住まいにお邪魔させてもらっているかのようなユニークなデザインに。鳥たちの生息地で暮らす体験を通して、サステナビリティへの新たな知見を得ることができ、人々の癒しにも繋がります。 公式サイト https://treehotel.se/en/rooms/the-biosphere 世界的に広がりをみせるソーシャルデザイン 国内外のソーシャルデザイン事例を紹介しました。世界的にも人が暮らしやすい街づくりは注目されており、さらには自然保護も掛け合わせて、新たなアイデアが次々と誕生しています。より良い社会を作るのに欠かせないソーシャルデザイン。みなさんもぜひ身の回りのソーシャルデザインを探してみませんか。

  • フードマイレージとは?買い物するときに注目したいポイントを解説

    皆さんは食材を買う際にどのような点チェックしますか。持続可能な食の未来を考えるとき、まず確認しておきたいのが、食材の原産地です。本記事では、買い物をするときに取り入れたいアイデア、「フードマイレージ」について解説します。 フードマイレージとは 出典:unsplash.com フードマイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標のことです。地産地消を進めて環境負荷を減らそうとイギリスで広がった「フードマイルズ運動」を参考に、20年前に日本の農林水産省農林水産政策研究所が提唱しました。 フードマイレージの計算方法 出典:pexels.com フードマイレージの計算式は簡単で、以下の方法で算出できます。 フードマイレージ=「食料の輸送量(t)」×「輸送距離(km)」 ※単位はt・km(トン・キロメートル) フードマイレージは、数値が大きければ大きいほど、購入者と生産地が離れていることを表します。食品が私たちの食卓に並ぶまでには、輸送のプロセスを経ていて、移動や品質保持のため、石油などのエネルギーが使われ、CO2が排出されているのです。つまり生産地と食卓の距離が長ければ長いほど、環境に負荷をかけているということになります。 フードマイレージが小さい食材のメリット フードマイレージが小さい食材のメリットは、運送コストがほとんどかからず、地球環境に与える負荷が少ない点です。生産地から食卓までの輸送距離が短いと、CO2の排出を最小限に抑えることができます。同じ食材を選ぶのであれば、地元や近くの生産地で収穫された食材の方が、環境に優しいのです。また、国内で生産されたものを選ぶことは食料自給率の向上にも繋がり、これは持続可能な食の在り方に欠かせません。 日本のフードマイレージ 農林水産省が公開した「令和3年度食料需給表」の資料によると、近年の日本の食料自給率は4割に満たない数値が続いており、欧米と比べても明らかに低いということがわかります。 出典:農林水産省大臣官房政策課 食料安全保障室 令和3年度食料需給表(pdf) また、農林水産省では、主要国のフードマイレージに関するデータも公開しています。 グラフを見てもわかるとおり、食料自給率が低い日本は食料を海外に依存しているということもあり、フードマイレージの数値が極めて高いという結果となっています。 出典:「フード・マイレージ」について - 農林水産省(pdf) この2つのデータやグラフから見てもわかるとおり、私たちが普段食べている食材の多くは輸入に頼っており、食卓に並ぶまでには大きな環境負荷がかかっていることが見て取れるでしょう。 フードマイレージのデメリット 出典:pexels.com 食材が生産地から食卓に並ぶまでの環境負荷などがわかるフードマイレージですが、留意しなければならない点もあります。まず、フードマイレージの指標は、食品の輸送に限定されているという点です。例えば生産段階でどのくらいCO2が排出されているかなどは考慮されていません。そのため、単純に海外で作られたものの方が国産に比べて環境負荷が高いとは言い切れないのです。どのくらい環境に負荷がかかっているのかは、生産から総合的に見なければなりません。また、輸送手段によってCO2の排出量は異なるという点も留意したいところです。トラックよりも船の方がCO2排出量は格段に少ないですが、これはフードマイレージには反映されていません。 以上のように、簡単に算出できるフードマイレージだけでは総合的な環境負荷は判断しきれません。しかし簡単だからこそイメージがしやすく、私たち消費者が買い物をする上でアクションに結び付けやすいのではないでしょうか。フードマイレージも含め、食材がどのように作られて、どのように私たちの元にやってきたのか、生産や輸送の背景を知ることが大切なのです。 フードマイレージの小さいものを選ぶには 出典:unsplash.com フードマイレージが小さいものを選ぶポイントは以下のとおりです。 ・生産地をチェックする ・住んでいる地域の特産品をリサーチする ・食材を選ぶときは外国産ではなく、なるべく国産を選ぶ 他にも近くで開催されているファーマーズマーケットなどに足を運んでみるのもおすすめです。直接生産者から地元野菜を購入できるメリットがあり、生産の背景を知ることができます。 関連記事:【都内近郊18選】生産者に会えるファーマーズマーケットに行こう 私たちが普段触れている食料になかには、コーヒーやアボカドなど国内で生産していない食料があり、すべての食料を環境負荷の少ないものに切り替えることは難しいのが現状です。 しかし、一人ひとりが地元や国内で手に入る食料を知り、フードマイレージを小さくしようとする意識の積み重ねで、環境への影響が変わってきます。食料の選び方のひとつにフードマイレージを取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • 世界中が注目。豊かな社会へ導くチェンジメーカー7人

    各国が抱える経済格差や貧困、環境汚染などの解決すべき課題。世界にはそんな時代に一石を投じるチェンジメーカーがいます。今回は私たちの社会にインパクトを与え、新たな波を起こしたチェンジメーカーをご紹介します。 チェンジメーカーとは 出典:unsplash.com チェンジメーカーとは、ビジネスや活動を通して社会の課題解決にチャレンジし、新しい風を吹き込むような人を指します。時代によって社会の課題は異なるので、チェンジメーカーと呼ばれる人の定義も社会の状況によって変化するものですが、今日の社会では、チェンジメーカー=社会起業家のようなイメージもあり、物質的な豊かさではなく精神的な豊かさを求め、貧困や環境問題などに取り組む人が支持を得ています。 世界のチェンジメーカー7人 社会にソーシャルグッドなインパクトを与えるだけでなく、私たち個人にも新しい発想をもたらしてくれるチェンジメーカー。 今回は、世界的に大きな影響を与える現代のチェンジメーカー7人をピックアップしました。 ホセ・ムヒカ氏 ホセ・ムヒカ氏は、ウルグアイの元大統領です。2012年にブラジル・リオデジャネイロでの国連会議で大量消費社会を痛烈に批判し、人類にとって本当の「幸せ」とは何かを訴えたスピーチで一躍有名になりました。貧困をなくす政策を推し進めた大統領時代には、自身の給料の9割を寄付。大統領公邸には住まず、郊外の質素な家で妻と生活していたことから、敬愛の念を込めて「世界でいちばん貧しい大統領」とも呼ばれ、過去には日本でもドキュメンタリー映画が上映されました。ウルグアイだけでなく世界中にファンの多い元大統領です。 ムハマド・ユヌス氏 ムハマド・ユヌス氏は、バングラデシュ出身の経済学者であり、実業家です。貧困の根絶を目指し、1983年に無担保小口貸付を行うグラミン銀行を創設。生活に困難な人たちの自立支援に尽力しました。2006年にはグラミン銀行とともに、ノーベル平和賞を受賞。無担保小口貸付の仕組みはマイクロ・クレジットと呼ばれ、それを取り入れたマイクロ・クレジット・バンクが、60カ国以上の国で設立されています。日本でも、ユヌス氏のビジネスモデルをベースに「一般社団法人グラミン日本」が、シングルマザーを中心とした支援を行っています。ユヌス氏はそれまで難しいとされてきた貧困の根本的解決に挑み、その仕組みが世界に大きな影響を与えているのです。 ケイト・ラワース氏 ケイト・ラワース氏は、イギリス出身の経済学者です。自身の著書『ドーナツ経済学が地球を救う』では、地球を気候変動から守りつつ、貧困や格差を解消していく経済活動のモデルを「ドーナツ」型の図にしたことで多くの人たちから注目を集めました。これまで社会が当たり前に追い求めてきた成長ではなく、持続可能な繁栄の社会を作ることを提案しています。その持続可能なモデルは、各国の自治体からも支持を受け、オランダのアムステルダムでは市をあげてドーナツ型の経済のかたちを目指しています。 セリーナ・ユール氏  セリーナ・ユール氏は、ロシア出身で現在はデンマークで活動する食品ロス問題の専門家であり、NGO団体「Stop Wasting Food movement Denmark」の設立者です。デンマークで目の当たりにした大量の食品廃棄に疑問を持ち、2008年にフェイスブックページでグループを作ってロスをなくす運動を開始。スーパーなどに声をかけ、無駄が出やすい食品のまとめ売りをなくすところから始めました。政府も彼女の活動に賛同し、メディアが取り上げ始め、協力者はまたたくまに増加。2013年までの5年間でデンマーク国内の食品廃棄量を25%削減するのに大きく貢献しました。 マララ・ユスフザイ氏 マララ・ユスフザイ氏は、史上最年少でノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の人道活動家です。女性教育弾圧に反対活動をしたことでタリバンから銃撃を受けながらも、女性が教育を受ける権利を全世界に訴え続けました。その努力が認められ、パキスタンでは初めて無償で義務教育を受けられる権利を盛り込んだ法案を可決。また、「マララ基金」を設立し、すべての女子が平等に教育を受けられるよう活動をしています。著書には『武器より一冊の本をください:少女マララ・ユスフザイの祈り』があり、彼女の半生を綴ったドキュメンタリー映画も制作されています。 斎藤幸平氏 斎藤幸平氏は、日本の哲学者であり、経済思想家(マルクス主義者)です。歴代最年少でマルクス研究者の最高権威『ドイッチャー記念賞』を受賞した自身の著書『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』では、温暖化、異常気象などの問題を抱える資本主義の構造を批判し、私たちはどうあるべきかを説いています。新書大賞を獲得した2021年の著書『人新世の「資本論」』も、今地球上で起きている問題を自分事としてとらえながら読み進めることができる、おすすめの一冊です。NHKの番組などメディアでも活躍する斎藤氏。持続可能な未来に向けて真剣に取り組む姿勢と、わかりやすい説明にファンが増え続けています。 小林りん氏 小林りん氏は、学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(以下、UWC ISAK Japan)の代表理事であり、2013年に日経ビジネスが選ぶ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した方です。留学中に経験したメキシコでの貧困問題や、国際児童基金(ユニセフ)でフィリピンのストリートチルドレンの教育支援に携わったことから、この社会の仕組みを変えていくリーダーシップ教育の必要性を実感。2014年に軽井沢に全寮制インターナショナルスクールUWC ISAK Japanを開校しました。国籍も育ってきた環境も異なる生徒は、チェンジメーカーを育てるための実践的な授業を受けるだけでなく、ダイバーシティの中で生きるということを、身を持って経験しています。 チェンジメーカーからインスピレーションを 出典:unsplash.com 世界や社会を大きく動かしているチェンジメーカー。たとえ自分が直接その影響を受けることがなくても、彼らの思想を学ぶだけで大きな刺激になります。今私たちが直面するたくさんの課題。チェンジメーカーを手本に、一人ひとりが真剣に地球の未来について考えなくてはいけないフェーズにきているのかも知れません。今回ご紹介した7人については、書籍や映画もあり、インターネットなどでも情報を集められるので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

  • 行き場のないコスメの救世主。プラスコスメプロジェクトが描く「クリエイティブな循環」

    洋服の大量廃棄問題は耳にすることも多くなりましたが、実は同じく深刻なのがコスメの廃棄です。洋服と同じく、流行などに左右されやすいコスメは、使いきれずに捨てられてしまうケースも珍しくありません。 今回は、“コスメを通じてクリエイティブな循環を実現させたい”そんな想いのもと、不要になった化粧品を回収し画材として新たに生まれ変わらせる取り組みを行う、PLUS COSME PROJECT(プラスコスメプロジェクト)を取材しました。 コスメのアップサイクルとは? 子どもたちによる自由で想像力豊かなアート。これは、コスメから作られた画材を使って描かれた作品です。コスメが元から持っている色味や質感を生かすことで、画材として魅力あるものに生まれ変わります。捨てられるはずだったものが新たな価値を持ち、生まれ変わるというコスメのアップサイクルは、まだ使えるものを再利用することで廃棄を減らすことはもちろん、コスメの廃棄問題を広く知ってもらうという大きな役割を担っています。 プラスコスメプロジェクトのアンケート調査によると、女性80名のうち6割が化粧品を使いきれずに捨てた経験があると回答。コスメの廃棄問題は、私たちにとって身近な問題なのです。 始まりは化粧品の大量廃棄に疑問を持ったこと 「化粧品の廃棄問題を知ったのは、以前化粧品会社に勤務していた時でした。中身が残ったままの化粧品が大量に廃棄されていくのを見て、化粧品業界のサステナビリティを考えるようになりました。自分自身もコスメのテスターやサンプルをどのように処分したらよいか困っていたんです。」そう話すのは、プラスコスメプロジェクト代表の坂口翠さん。当時、スキンケア化粧品のボトルをリサイクルする動きはあったものの、コスメそのものをリサイクルするという選択肢はなく、不要になったたくさんのコスメが行き場を失い、廃棄になっていたのです。 坂口さんは、化粧品業界の環境問題やサステナビリティを学ぶために、大学院へ入学。化粧品リサイクルなどの研究をスタート。2012年には、メイクアップコスメを画材へアップサイクルするプラスコスメプロジェクトの活動を開始しました。 プラスコスメプロジェクト代表の坂口翠さん 活動を行っていてよく聞くようになったのが「余ったコスメを廃棄することができず、とても困っていた。このように再活用してもらえると嬉しい」という人々の声です。協力企業からも「廃棄するものなので是非とも活用してもらいたい」と賛同の声が上がっています。 コスメならではのカラー。アップサイクルクレヨンができるまで プラスコスメプロジェクトのアップサイクルはメイクアップコスメを集めることから始まります。個人で不要になったコスメの他に、化粧品メーカーや商業施設、団体からも不要コスメを回収。回収したコスメはまず、容器から残っている化粧品を取り出します。それを色ごとに分別し、蜜蝋などの材料と混ぜ合わせ、クレヨンが出来上がります。メイクアップコスメが持っているラメなどの質感もそのままクレヨンに引き継がれるので、これまでのクレヨンとは違った色味を楽しむことができるのが特徴です。また、アップサイクルクレヨンは安全認証機関でも安全テストを受けているので、安心して使用することができます。 アートを楽しむことがコスメの廃棄問題を知ることに繋がる プロジェクトでは、アートイベントやアーティストへの画材提供を行い、アート活動をサポートする取り組みも行っています。他にも地域密着型の化粧品店で、不要コスメから絵具を作るワークショップなども開催。クリエイティブな時間を楽しんでもらいながら、コスメの廃棄問題についても知ってもらいたいという思いがあります。プラスコスメプロジェクトは、不要になってしまったコスメとアートを楽しむ人々をつなぎ、コスメのサステナビリティ意識を広める役割も果たしているのです。 プラスコスメプロジェクトの見つめる未来 これまで受注制作がメインでしたが、今プラスコスメプロジェクトでは、クレヨンを販売する計画が進んでいます。坂口さんが2012年にプロジェクトを開始したときに思い描いていたものが現実のものになっているそうです。コスメを回収してからクレヨンが完成するまで全てを手作業で行っているため、回収量が多いときは製作が追い付かないという苦労もありながら、坂口さんは活動に確かな手ごたえを感じています。「コスメを廃棄することに悩んだり、罪悪感を抱く人も少なくありません。そんな中でプロジェクトに取り組んでいると、行き場のないコスメを再活用してもらえることに感謝され、想いに賛同してくれる方も多くいらっしゃいます。国内外のアートイベントで活用されている報告や、応援の声が大きな原動力となっています。」また、コスメを捨てるのに罪悪感を持っている人のためにもなりたいと話します。 「ご縁があって手元にはやってきたものの、どうしても使うことができず、不要になってしまった残ったままの化粧品。その化粧品が新たな形で再利用されれば、手放す際の“小さなわだかまり(ストレス)”も少し軽くなるのではないでしょうか。それは心の中の健やかさや美しさにもつながっていくのではないかと思っています。」 プラスコスメプロジェクトは、誰でも簡単に参加することができます。「現在は郵送でも不要コスメ回収を受け付けておりますので、是非ともご一報ください! 皆様の代わりにアップサイクルさせて頂きます。また画材提供先として不要コスメで作品を描いてくださるアーティストさんも随時募集しております。今後この活動が必要なくなった時は、本当の意味で化粧品のサステナブルな仕組みが実現したときだと思っております。」 ポップアートアーティストへ画材を提供した際、廃棄されるはずだったコスメが画材として絵画に変化していく様子を見て、感動を覚えたという坂口さん。アーティストへの提供を通じて日本のサスティナブルアート文化を盛り上げていきたいこと、絵本作家と協力し子どもたちと一緒に地球環境を考える絵本を製作したいことなど、坂口さんは色彩豊かな未来を描いています。 <編集後記> コスメを使いきることができず廃棄した経験や、ポーチで眠ったままにしている方は多いのではないでしょうか。筆者にもそんな経験があり、不要になったコスメの活用方法があることを多くの方に知ってもらいたいという思いから今回プラスコスメプロジェクトさんを取材させて頂きました。コスメを使う人々や企業、アーティスト、子どもたちを巻き込みながら、不要コスメから始まる循環の輪はますます広がりを見せてゆくでしょう。10年目を迎えたプラスコスメプロジェクト。今後の活動にも期待したいと思います! 【PLUS COSME PROJECT】公式サイト https://www.pluscosmeproject.com/Instagram公式アカウント https://www.instagram.com/pluscosmeproject/