クールアースデイってなに?由来や具体的な取り組みについてご紹介!

私たちの暮らしに、確かに影を落としている地球温暖化。

そんな現状を踏まえ、一人ひとりが地球環境について考えるきっかけとして設けられているのが、毎年7月7日の「クールアースデー」です。

本記事では、クールアースデーの成り立ちや取り組み内容、そして実際に私たちがどのように参加できるのかを、最新の温暖化の状況とあわせてご紹介します。

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クールアースデーとは

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毎年7月7日。この日は、七夕でありながら、もうひとつの大切な意味を持っています。
それが「クールアースデー」です。

クールアースデーとは、地球温暖化の防止に向けて、一人ひとりが地球のことを考え、行動するきっかけをつくる日として、環境省が呼びかけている記念日です。

とはいえ、「どうして7月7日なの?」「そもそも、どうしてこの日ができたの?」と思った方も多いかもしれません。
次の章では、クールアースデーの由来について、わかりやすくご紹介します。

クールアースデーの由来

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クールアースデーがはじめて実施されたのは、2008年。きっかけは、この年に日本で開催された「北海道洞爺湖サミット(G8サミット)」でした。

このサミットでは、地球温暖化対策が主要議題の一つとなり、日本から世界へ、温暖化防止の重要性を発信する必要がありました。

そこで、「七夕の日に、夜の明かりを消して、星空を見上げながら地球のことを考える」をコンセプトにクールアースデーが生まれたのです。

地球温暖化の現状

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「昔より、夏が異常に暑い気がする」「季節の移り変わりがなんだか変わった」

そう感じている方も、少なくないのではないでしょうか。それは気のせいではありません。

ここでは、地球温暖化の現状についていくつかの観点で整理していきます。

①気温の変化

環境省のレポートによれば、日本の年平均気温は、変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり1.40℃の割合で上昇しています。特に1990年代以降、高温となる年が頻出しています。

日本の上昇幅は世界平均(約0.74℃/100年)よりも大きいことも特徴のひとつ。これは、日本が温暖化の影響を受けやすい北半球の中緯度地域に位置していることが背景にあります。

加えて、大都市ではヒートアイランド現象の影響もあり、気温上昇はさらに顕著です。たとえば、東京や大阪など都市部では、同じ期間中に地方の観測地点と比べて年平均気温が0.4~1.7℃ほど高くなっているケースも確認されているのです。

②今後の予測

では、この先、気温はどこまで上がってしまうのでしょう?
そうした問いに対して、科学的な予測モデルを用いた将来シナリオが示されています。

環境省と気象庁による予測では、今世紀末(2100年ごろ)の日本の年平均気温は、

  • 最大で約4.5℃上昇(RCP8.5シナリオ)
  • 温室効果ガスの排出を大きく抑えた場合でも約1.4℃上昇(RCP2.6シナリオ)

と見込まれています。

この「RCP」とは、将来の温室効果ガスの排出量に基づくシナリオのこと。たとえば、RCP8.5は「今後も高い排出を続けた場合」、RCP2.6は「大幅に排出を減らす努力をした場合」を指しています。

実は日本は、世界の中でも気温上昇の影響を受けやすい地域に位置しています。

またIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)のデータによると、日本周辺の気温の上昇幅は、世界平均よりも1.2〜1.4倍ほど大きくなる傾向があり、これまでの観測結果とも一致しています。

高緯度地域ほど上昇幅が大きく冬のほうが夏よりも顕著に気温が上がる傾向があることもわかっています。特に最低気温の上昇幅が大きいというのも特徴で、これは農作物の成育や生態系への影響がより深刻になることを示唆しています。

地球温暖化の傾向は今後も続いていくと予測されていることがわかりますね。

地球温暖化によって起こる問題 

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地球温暖化の影響は、未来の話ではなく、すでに私たちの身の回りで始まっています。

暑さが厳しくなったり、雨の降り方が変わったり。農作物や自然、生きものたちにも影響が出ています。

ここでは、地球温暖化によって起きている変化、今後起こるかもしれない問題についてご紹介します。

①農作物の品質の低下

地球温暖化は、日本の農業に大きな影響を与えています。たとえば:

  • コメの品質低下:夏の高温により、米粒が白く濁る「白未熟粒」や割れてしまう「胴割粒」が増加し、食味や収量に影響が出ています。
  • 斑点米カメムシの被害拡大:温暖化により生息域が北上し、被害地域が拡大。米の品質を下げ、農家の収益にも影響します。
  • 果実の障害:トマトでは「尻腐果」、ミカンでは日焼けによる皮の変色や斑点が発生。高温と直射日光によって品質が損なわれます。

農作物は気候にとても敏感なため、小さな変化が大きな影響につながっています。

②生態系の変化

また、下記のような現象が生態系全体のバランスに影響を与え、漁業資源や観光業にも影響を及ぼす恐れがあります。

  • 南方系の魚の北上:東京湾や瀬戸内海では、ミドリイガイやチョウチョウウオなど、本来は暖かい海に生息する魚介類が多く見られるようになっています。
  • サンゴの白化:海水温の上昇により、沖縄などのサンゴ礁では白化現象が頻発し、サンゴが死滅するケースも多く報告されています。

③水資源への影響

地域によっては、断水や飲料水の安全性への懸念が現実のものとなってきており、実際に下記の様な報告もあります。

  • 河川の渇水や水道水源の不足:雨の降り方が不安定になり、貯水率が下がる地域も増加。
  • 水温の上昇による水質悪化:高温により藻類の繁殖が進み、水のにおいや色が悪化することもあります。

④自然災害の増加

そして、自然災害の増加も重要な問題として挙げられます。

  • 集中豪雨や台風の強大化:1時間あたり50mm以上の豪雨の発生頻度は増加しており、浸水や土砂災害のリスクが高まっています。
  • 台風の勢力強化:台風の強さが増すことで、高潮や海岸浸食など沿岸部の被害が拡大する可能性があります。

これらの現象は、都市部・地方に関係なく、誰の身にも起こり得る問題として備えが求められています。

クールアースデーの取り組み 

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毎年7月7日のクールアースデーは、地球温暖化対策の一環として、企業や自治体がさまざまな取り組みを行う日です。

では、具体的にどんな取り組みがおこなわれているのでしょうか。

①オフィスビルのライトダウン

さまざまな企業が、「オフィスビルの消灯(ライトダウン)」という形でクールアースデーを実施しています。

たとえば、NSK(日本精工株式会社)は、全国の事業所でオフィスビルの消灯活動を実施しています。

全国のNSK事業所において、オフィスビルの屋外照明や看板照明を消灯し、これによりエネルギー消費の削減と地球温暖化防止への意識向上を図りました。

この取り組みは、社員一人ひとりが地球環境について考えるきっかけとなり、持続可能な社会の実現に向けた意識改革を促しています。

②打ち水の実施

地方自治体が独自に実施しているクールアースデーの取り組みもあります。

文京区では、地球温暖化対策の一環として、毎月7日を「文京版クールアース・デー」と定め、さまざまな取り組みを行っています。その中でも、伝統的な涼を取る方法である「打ち水」を現代の環境対策として活用しています。

打ち水は、気化熱の作用により地表の温度を下げ、周囲の気温を和らげる効果があります。これにより、都市部のヒートアイランド現象の緩和が期待されているのです。

イベント当日、区では区民や事業者が打ち水を実践できるよう、打ち水用品の貸出を行い、区民の参加を促しています。

③スマートムーヴを取り入れる

移動のあり方を見直す「スマートムーヴ」も、クールアースデーの趣旨に合った行動の一つです。

スマートムーヴとは、自動車だけに頼らず、電車やバス、自転車や徒歩といった環境に優しい移動手段を積極的に選ぶライフスタイルのこと。車の使用を少し控えるだけでも、温室効果ガスの排出は大きく変わります。

たとえば、普段の通勤を一駅歩いてみる、近所の買い物に自転車を使ってみるなど、小さな選択の積み重ねが、地球への優しさに繋がっていきます。

クールアースデーに参加しよう! 

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 地球温暖化の影響は、今この瞬間にも、私たちの暮らしや自然環境に確実に現れています。将来世代のために、そして私たち自身の安心で持続可能な生活のために、今こそ行動が求められているのです。

今回ご紹介したクールアースデーは、地球環境について考え、行動を起こすきっかけとなる大切な一日です。オフィスや家庭の明かりを消す、打ち水を試してみる、日々の移動を見直す。そうした身近な行動一つひとつが、温室効果ガスの削減につながります。

7月7日という特別な日に、私たちの暮らしを少し立ち止まって見つめ直し、よりよい未来に向けた第一歩を踏み出してみませんか。

参考:
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolearthday/
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/pamph_tekiou/full.pdf
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolearthday/
https://www.env.go.jp/content/000120415.pdf
https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2022/turned-off-lights-on-cool-earth-day/
https://www.city.bunkyo.lg.jp/b037/p004970/index.html

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この記事を書いた人

元エコビジネス系コンサルタントのフリーライター/ラジオディレクター。大好きなあんこと白米を食べながら日々言葉とメディアの可能性を模索する。おはぎを考えてくれた人、本当にありがとう。将来素敵な本を出すためにいろんな経験をしたい20代。

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